99 / 140
第五章.美しくありたい
8.彼女と彼女その2
しおりを挟む
「……果たして無事なのか」
そんな事を呟きつつ俺は歩を先に進める。アグリーから話を聞き終わり、マークと別れた後で無性にリーシャの事が心配になった俺は彼女の元へと急ぐ。……本当に大丈夫なのだろか?
「リーシャ、無事か──」
庭に着いてすぐさまリーシャに声を掛けようとして……我が目を疑ってしまう。あのリーシャが……コミュ障で、未だに俺ともまともに話せないリーシャが、運動音痴で戦闘時は俺に抱えられるリーシャが、遊べているだと? あの大人数の子ども達を相手に?
「……リーシャ?」
「あら? クレル君、もう大丈夫なんですか?」
「あ、あぁ……」
俺の声掛けに反応して振り向いたリーシャは……普段から表情に乏しい彼女にしては珍しく、花が咲くような満面の笑みで、子ども達と手を繋ぎ、流れるように普通に喋ってみせる。……驚きのあまりに声が出ない。
「……そっちは大丈夫なのか?」
「えぇ、もちろんよ?」
「……そうか」
あぁそうか、なるほど……それならば安心だ。彼女が大丈夫だと言うのなら、本当にそうなのだろう。事実、子ども達と遊ぶ姿は本当に年頃の少女そのものもだ。
「……楽しいか?」
「えぇ、とっても楽しいわ」
元気に、年頃の少女のように笑顔を咲かせる彼女を見れば聞く必要はないと理解できるが、どうしても聞かずにはいられなかった……案の定、なにも問題など無かったが。
「それは良かった……………………元気そうだな、ミーナ」
「? えぇ、私はとっても元気よ?」
「なら良い……俺は先に部屋に戻っておく」
楽しそうに子ども達と遊ぶ彼女の邪魔はするまい、今日はこのまま与えられた部屋に戻ろう……下から恨めしそうな子ども達の視線も突き刺さっていた事だしな。
▼▼▼▼▼▼▼
──コンコン
夜中、深夜になり森の中という事も相まってか完全な暗闇が外を支配する時間に俺の部屋をノックする音が聞こえ、『供物』を整理する手を止める。
「……誰だ?」
『私で、す……』
「…………リーシャ?」
まさかこんな時間に彼女が来るとは思わず、驚きのあまり思考が一時止まってしまう……内心の動揺を隠しながら入室の許可を出せば、俯いたままのリーシャがおずおずと部屋に入って来る。
「こんな時間にどうした? あまり褒められたものではないぞ?」
「は、い……そ、れはわかっ……てい、ま……すが……」
こんな時間に年頃の男女が同じ部屋に居るなど……なにか間違いがあってからでは遅い。戦闘時に身体に触れられるだけでも赤面してしまうほどに恥ずかしがり屋な彼女が、いったいどうしたと言うのだろう?
「そ、の昼……間はす、みま……せ、ん……」
「……あぁ、問題ない」
ふむ、まさか彼女は昼間に自己を見失ってしまった事を恥じているのだろうか? そんなものは魔法使いには憑き物であるし、気にしなくても良いと思うが……ちゃんと戻ってこれた訳だしな。
「……それだけか?」
「う、えっ……と……」
「……」
「……」
……それっきりリーシャは黙ってしまう。ど、どうしたら良いのだろう? 恐らくまだ話はあるのだろうが、そんなに言い出し辛い事柄なのだろうか? 俺はこういう時どうしたら良いのかまったく分からん。
「……」
「……」
「…………」
「…………」
「……………………」
「……………………」
ち、沈黙が辛い! 俺にどうしろと言うのだろう……すぐ隣、同じベッドの上に座るリーシャが所在なさげにモジモジとする度に衣擦れの音が部屋に反響し、密室で隣合っているためか彼女の甘い匂いが香ってくるようだ。
「…………あ、のです……ね?」
「あ、あぁ……なんだ?」
「そ、の……ミー、ナちゃ……んを思……い、出し、て……しま……いま、して……」
「……なるほど」
まぁ、あれだけハッキリとミーナの人格が表に出たんだ……思い出してしまうのも無理はない。忘れた事などないだろうし、忘れられないだろうが……嫌でも意識してしまうだろう。
「か、彼女を……私、達が……殺……めて、しま……いまし、た……」
「……」
「彼女、を……連れ……出、す手を……考え、られてい、たな……ら……」
そうか、リーシャは子ども達と遊ぶ事で……子ども達と遊ぶ彼女を感じる事で〝後悔〟が生まれてきてしまったのか。……あの時に俺達に取れる手段なんて何もなかった、あの場でミーナを連れ出していたなら……狩人だけでなく奈落の底まで敵に回していただろう。……俺達にそれらを相手にできるほどの実力も人脈もない。
「わ、わた……私、が……殺さな、けれ……ば、彼女はもっ……と、笑え……たは、ずで──」
「──それは違うぞ、リーシャ」
「……?」
なにやら瞳に涙を浮かべ、既に泣きそうになっているリーシャを見て内心穏やかではないが努めて平静を装い、彼女の考えを否定する。それは違う、と。
「ミーナは殺されてなどいない、生かされている」
「そ、れは……?」
「……ミーナはお前の中に居る」
「……」
なんだか使い古されたような、ありきたりな慰め文句っぽいが……事実だ。彼女は彼女の中で確実に生きている。死んでなどいない。
「リーシャ、お前も今日見ただろ? 子ども達と元気いっぱいに遊ぶミーナを」
「……」
「彼女は今も元気に、楽しそうに──」
そうなのだ、彼女は……ミーナは今日も元気いっぱいに遊んでいたではないか? 表に出ている事も気付かず、本当に楽しそうに……なんの疑問も持たずに──
「──笑っていたじゃないか」
「──」
見た目はリーシャそのもので、満面の笑みであろうと、とても控えめで彼女らしく、愛らしいものであったが……あの笑顔は、笑い方は……リーシャ達と過ごすミーナのものであったはずだ。
「だからそう思い悩む必要はない……彼女はこちらの心配をよそに、子ども達と仲良くしていたぞ? むしろ友達が増えたのではないか?」
「そ、うで……す、ね……」
こちらの心配なんか知らず、ミーナは子ども達と仲良くなっていた……あの部屋に閉じこもっている時よりも能動的ですらある。……子ども達からも邪魔をするなと、無言で抗議されてしまったくらいだ。
「リーシャ、お前がミーナをあの場から連れ出し、新しい友達を作って笑顔にさせた……これは事実だ」
「……」
「……だから、泣くな」
「……は、い」
リーシャがミーナを、自分の友達をあの環境から連れ出したのだ、笑顔にさせたのだ……それは疑いようのない事実で、ただ一つの真実であるはずだ。……だから、泣かなくて良いのに。僕はこういう時にどうしたら良いのか分からかなくて、リーシャの頭を撫でようとして……結局できずに、伸ばした手を下ろしてしまう。
「ほら、涙を拭いて? 落ち着いた?」
「う、はい……すい、ま……せん…………あり、がと……うご、ざ……い、ます…………」
女の子が泣いた時の対応なんて、何も分からない僕だけれど……それでも涙を流し続ける事が良くないっていうのは分かる。そのまま混乱のままに羊毛を『供物』として魔法でハンカチを作ってリーシャへと渡す。
「……落ち着いた?」
「……(コクッ」
「もう大丈夫?」
「……(コクッ」
良かった……渡したハンカチで顔を覆うリーシャの頷きに安堵のため息をつく。……本当に良かった、彼女が泣いていると心がザワザワして落ち着かない。
「すい、ま……せん……迷、惑を……」
「相棒なんだから、それくらい気にしなくても大丈夫だよ」
そう、僕達は相棒なんだからお互いに迷惑を掛け合って、助け合わなくちゃ……だから僕はハンカチで顔を覆うリーシャの耳が、暗闇でも分かるくらいに真っ赤になっている事から目を逸らし、見ない振りをする。……もう少ししたら完全に落ち着くだろうし、その時に部屋に返そう。
▼▼▼▼▼▼▼
そんな事を呟きつつ俺は歩を先に進める。アグリーから話を聞き終わり、マークと別れた後で無性にリーシャの事が心配になった俺は彼女の元へと急ぐ。……本当に大丈夫なのだろか?
「リーシャ、無事か──」
庭に着いてすぐさまリーシャに声を掛けようとして……我が目を疑ってしまう。あのリーシャが……コミュ障で、未だに俺ともまともに話せないリーシャが、運動音痴で戦闘時は俺に抱えられるリーシャが、遊べているだと? あの大人数の子ども達を相手に?
「……リーシャ?」
「あら? クレル君、もう大丈夫なんですか?」
「あ、あぁ……」
俺の声掛けに反応して振り向いたリーシャは……普段から表情に乏しい彼女にしては珍しく、花が咲くような満面の笑みで、子ども達と手を繋ぎ、流れるように普通に喋ってみせる。……驚きのあまりに声が出ない。
「……そっちは大丈夫なのか?」
「えぇ、もちろんよ?」
「……そうか」
あぁそうか、なるほど……それならば安心だ。彼女が大丈夫だと言うのなら、本当にそうなのだろう。事実、子ども達と遊ぶ姿は本当に年頃の少女そのものもだ。
「……楽しいか?」
「えぇ、とっても楽しいわ」
元気に、年頃の少女のように笑顔を咲かせる彼女を見れば聞く必要はないと理解できるが、どうしても聞かずにはいられなかった……案の定、なにも問題など無かったが。
「それは良かった……………………元気そうだな、ミーナ」
「? えぇ、私はとっても元気よ?」
「なら良い……俺は先に部屋に戻っておく」
楽しそうに子ども達と遊ぶ彼女の邪魔はするまい、今日はこのまま与えられた部屋に戻ろう……下から恨めしそうな子ども達の視線も突き刺さっていた事だしな。
▼▼▼▼▼▼▼
──コンコン
夜中、深夜になり森の中という事も相まってか完全な暗闇が外を支配する時間に俺の部屋をノックする音が聞こえ、『供物』を整理する手を止める。
「……誰だ?」
『私で、す……』
「…………リーシャ?」
まさかこんな時間に彼女が来るとは思わず、驚きのあまり思考が一時止まってしまう……内心の動揺を隠しながら入室の許可を出せば、俯いたままのリーシャがおずおずと部屋に入って来る。
「こんな時間にどうした? あまり褒められたものではないぞ?」
「は、い……そ、れはわかっ……てい、ま……すが……」
こんな時間に年頃の男女が同じ部屋に居るなど……なにか間違いがあってからでは遅い。戦闘時に身体に触れられるだけでも赤面してしまうほどに恥ずかしがり屋な彼女が、いったいどうしたと言うのだろう?
「そ、の昼……間はす、みま……せ、ん……」
「……あぁ、問題ない」
ふむ、まさか彼女は昼間に自己を見失ってしまった事を恥じているのだろうか? そんなものは魔法使いには憑き物であるし、気にしなくても良いと思うが……ちゃんと戻ってこれた訳だしな。
「……それだけか?」
「う、えっ……と……」
「……」
「……」
……それっきりリーシャは黙ってしまう。ど、どうしたら良いのだろう? 恐らくまだ話はあるのだろうが、そんなに言い出し辛い事柄なのだろうか? 俺はこういう時どうしたら良いのかまったく分からん。
「……」
「……」
「…………」
「…………」
「……………………」
「……………………」
ち、沈黙が辛い! 俺にどうしろと言うのだろう……すぐ隣、同じベッドの上に座るリーシャが所在なさげにモジモジとする度に衣擦れの音が部屋に反響し、密室で隣合っているためか彼女の甘い匂いが香ってくるようだ。
「…………あ、のです……ね?」
「あ、あぁ……なんだ?」
「そ、の……ミー、ナちゃ……んを思……い、出し、て……しま……いま、して……」
「……なるほど」
まぁ、あれだけハッキリとミーナの人格が表に出たんだ……思い出してしまうのも無理はない。忘れた事などないだろうし、忘れられないだろうが……嫌でも意識してしまうだろう。
「か、彼女を……私、達が……殺……めて、しま……いまし、た……」
「……」
「彼女、を……連れ……出、す手を……考え、られてい、たな……ら……」
そうか、リーシャは子ども達と遊ぶ事で……子ども達と遊ぶ彼女を感じる事で〝後悔〟が生まれてきてしまったのか。……あの時に俺達に取れる手段なんて何もなかった、あの場でミーナを連れ出していたなら……狩人だけでなく奈落の底まで敵に回していただろう。……俺達にそれらを相手にできるほどの実力も人脈もない。
「わ、わた……私、が……殺さな、けれ……ば、彼女はもっ……と、笑え……たは、ずで──」
「──それは違うぞ、リーシャ」
「……?」
なにやら瞳に涙を浮かべ、既に泣きそうになっているリーシャを見て内心穏やかではないが努めて平静を装い、彼女の考えを否定する。それは違う、と。
「ミーナは殺されてなどいない、生かされている」
「そ、れは……?」
「……ミーナはお前の中に居る」
「……」
なんだか使い古されたような、ありきたりな慰め文句っぽいが……事実だ。彼女は彼女の中で確実に生きている。死んでなどいない。
「リーシャ、お前も今日見ただろ? 子ども達と元気いっぱいに遊ぶミーナを」
「……」
「彼女は今も元気に、楽しそうに──」
そうなのだ、彼女は……ミーナは今日も元気いっぱいに遊んでいたではないか? 表に出ている事も気付かず、本当に楽しそうに……なんの疑問も持たずに──
「──笑っていたじゃないか」
「──」
見た目はリーシャそのもので、満面の笑みであろうと、とても控えめで彼女らしく、愛らしいものであったが……あの笑顔は、笑い方は……リーシャ達と過ごすミーナのものであったはずだ。
「だからそう思い悩む必要はない……彼女はこちらの心配をよそに、子ども達と仲良くしていたぞ? むしろ友達が増えたのではないか?」
「そ、うで……す、ね……」
こちらの心配なんか知らず、ミーナは子ども達と仲良くなっていた……あの部屋に閉じこもっている時よりも能動的ですらある。……子ども達からも邪魔をするなと、無言で抗議されてしまったくらいだ。
「リーシャ、お前がミーナをあの場から連れ出し、新しい友達を作って笑顔にさせた……これは事実だ」
「……」
「……だから、泣くな」
「……は、い」
リーシャがミーナを、自分の友達をあの環境から連れ出したのだ、笑顔にさせたのだ……それは疑いようのない事実で、ただ一つの真実であるはずだ。……だから、泣かなくて良いのに。僕はこういう時にどうしたら良いのか分からかなくて、リーシャの頭を撫でようとして……結局できずに、伸ばした手を下ろしてしまう。
「ほら、涙を拭いて? 落ち着いた?」
「う、はい……すい、ま……せん…………あり、がと……うご、ざ……い、ます…………」
女の子が泣いた時の対応なんて、何も分からない僕だけれど……それでも涙を流し続ける事が良くないっていうのは分かる。そのまま混乱のままに羊毛を『供物』として魔法でハンカチを作ってリーシャへと渡す。
「……落ち着いた?」
「……(コクッ」
「もう大丈夫?」
「……(コクッ」
良かった……渡したハンカチで顔を覆うリーシャの頷きに安堵のため息をつく。……本当に良かった、彼女が泣いていると心がザワザワして落ち着かない。
「すい、ま……せん……迷、惑を……」
「相棒なんだから、それくらい気にしなくても大丈夫だよ」
そう、僕達は相棒なんだからお互いに迷惑を掛け合って、助け合わなくちゃ……だから僕はハンカチで顔を覆うリーシャの耳が、暗闇でも分かるくらいに真っ赤になっている事から目を逸らし、見ない振りをする。……もう少ししたら完全に落ち着くだろうし、その時に部屋に返そう。
▼▼▼▼▼▼▼
0
あなたにおすすめの小説
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
僕らの10パーセントは無限大
華子
青春
10%の確率でしか未来を生きられない少女と
過去に辛い経験をしたことがある幼ななじみと
やたらとポジティブなホームレス
「あり得ない今を生きてるんだったら、あり得ない未来だってあるんじゃねえの?」
「そうやって、信じたいものを信じて生きる人生って、楽しいもんだよ」
もし、あたなら。
10パーセントの確率で訪れる幸せな未来と
90パーセントの確率で訪れる悲惨な未来。
そのどちらを信じますか。
***
心臓に病を患う和子(わこ)は、医者からアメリカでの手術を勧められるが、成功率10パーセントというあまりにも酷な現実に打ちひしがれ、渡米する勇気が出ずにいる。しかしこのまま日本にいても、死を待つだけ。
追い詰められた和子は、誰に何をされても気に食わない日々が続くが、そんな時出逢ったやたらとポジティブなホームレスに、段々と影響を受けていく。
幼ななじみの裕一にも支えられながら、彼女が前を向くまでの物語。
金眼のサクセサー[完結]
秋雨薫
ファンタジー
魔物の森に住む不死の青年とお城脱走が趣味のお転婆王女さまの出会いから始まる物語。
遥か昔、マカニシア大陸を混沌に陥れた魔獣リィスクレウムはとある英雄によって討伐された。
――しかし、五百年後。
魔物の森で発見された人間の赤ん坊の右目は魔獣と同じ色だった――
最悪の魔獣リィスクレウムの右目を持ち、不死の力を持ってしまい、村人から忌み子と呼ばれながら生きる青年リィと、好奇心旺盛のお転婆王女アメルシアことアメリーの出会いから、マカニシア大陸を大きく揺るがす事態が起きるーー!!
リィは何故500年前に討伐されたはずのリィスクレウムの瞳を持っているのか。
マカニシア大陸に潜む500年前の秘密が明らかにーー
※流血や残酷なシーンがあります※
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
慈愛と復讐の間
レクフル
ファンタジー
とある国に二人の赤子が生まれた。
一人は慈愛の女神の生まれ変わりとされ、一人は復讐の女神の生まれ変わりとされた。
慈愛の女神の生まれ変わりがこの世に生を得た時、必ず復讐の女神の生まれ変わりは生を得る。この二人は対となっているが、決して相容れるものではない。
これは古より語り継がれている伝承であり、慈愛の女神の加護を得た者は絶大なる力を手にするのだと言う。
だが慈愛の女神の生まれ変わりとして生を亨けた娘が、別の赤子と取り換えられてしまった。
大切に育てられる筈の慈愛の女神の生まれ変わりの娘は、母親から虐げられながらも懸命に生きようとしていた。
そんな中、森で出会った迷い人の王子と娘は、互いにそれと知らずに想い合い、数奇な運命を歩んで行くこととなる。
そして、変わりに育てられた赤子は大切に育てられていたが、その暴虐ぶりは日をまして酷くなっていく。
慈愛に満ちた娘と復讐に駆られた娘に翻弄されながら、王子はあの日出会った想い人を探し続ける。
想い合う二人の運命は絡み合うことができるのか。その存在に気づくことができるのか……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる