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ガタゴト、ガタゴト……。
園遊会からの帰り道。
ベルンシュタイン公爵家の紋章が入った豪華な馬車は、石畳の上を滑るように進んでいました。
車内は薄暗く、ランプの淡い光だけが揺れています。
そして、その密室には、わたくしカテリーナと、「氷の公爵」アレクセイ様が二人きり。
(……気まずい。いや、心臓に悪い)
わたくしは窓際で小さくなっておりました。
なぜなら、アレクセイ様が乗車してから一言も発さず、ただ静かにわたくしを見つめているからです。
その視線には、獲物を追い詰めた肉食獣のような、ゆったりとした余裕と熱が宿っていました。
「……あの、公爵様?」
「なんだ」
「その……『褒美』というのは、いつ……?」
わたくしは恐る恐る尋ねました。
いや、催促しているわけではありません!
いつ来るかわからない恐怖(と期待)に耐えきれなくなっただけです!
アレクセイ様はフッと笑い、足を組み替えました。
「焦るな。楽しみは最後にとっておくものだ」
「は、はい……」
「それよりも、少し疲れただろう。今日は一日中、気を張っていたからな」
アレクセイ様はそう言うと、ごく自然にわたくしの隣に移動してきました。
そして、わたくしの頭を自分の肩に引き寄せます。
「えっ」
「屋敷に着くまでまだ時間がある。少し眠っておけ」
「で、ですが、公爵様の肩をお借りするなんて……」
「構わん。お前の重みなど、羽毛のようなものだ」
嘘です。
先日のモンブラン五個分の重みがあるはずです。
しかし、彼の肩は驚くほど広く、安定していました。
そして、ほのかに香る紅茶と麝香(ムスク)のような香り。
(……悔しいけれど、落ち着きますわ)
今日の激務。
ソフィア王女との舌戦、イザベラ様のフォロー、そして「嫉妬作戦」への協力。
わたくしのHPは確かに限界でした。
心地よい揺れと、アレクセイ様の体温に包まれているうちに、わたくしの瞼は重くなっていきました。
(少しだけ……五分だけ……)
わたくしの意識は、睡魔の深淵へと沈んでいきました。
***
……どれくらい時間が経ったのでしょう。
ふと意識が浮上しかけました。
まだ馬車は動いています。
わたくしはアレクセイ様の肩にもたれたまま、完全に熟睡していたようです。
(あ、よだれ……垂らしてないかしら)
そんな心配が頭をよぎった時。
頭上から、独り言のような、低い呟きが聞こえてきました。
「……無防備すぎるぞ、聖女様」
アレクセイ様の声です。
わたくしは反射的に「起きてます!」と言おうとしましたが、体が鉛のように重くて動きません。
いわゆる、金縛り……ではなく、二度寝直前のまどろみ状態です。
アレクセイ様の手が、わたくしの髪を優しく撫でました。
「今日はよくやった。……お前がいなければ、俺もここまで笑えなかっただろう」
独り言モードのようです。
これは、狸寝入りを決め込むのが正解でしょう。
下手に起きれば、気まずい空気が流れるだけです。
「最初は……ただの面白い玩具だと思っていた」
手が、髪から頬へと滑り落ちてきます。
親指が、わたくしの唇をなぞりました。
ドキッ。
心臓が跳ねましたが、必死に寝息をコントロールします。
バレてはいけません。
「だが、いつの間にか……お前が隣にいないと、つまらなくなった」
アレクセイ様の声が、熱を帯びていきます。
「お前のその、飾らない言葉。欲望に忠実な生き方。そして、誰かのために本気で怒れる優しさ。……その全てが、俺の氷を溶かしていくようだ」
(……え?)
これは、もしや。
愛の告白、でしょうか?
あの冷徹な公爵様が?
わたくしのような干物女に?
「カテリーナ。お前は『平穏な老後』を望んでいると言ったな」
はい、言いました。
それがわたくしの人生の指針です。
「だが、残念ながら、それは叶わんぞ」
(なんですって!?)
「俺が、お前を離さないからだ」
アレクセイ様の手が、わたくしの肩を抱き寄せました。
力が強まります。
「王太子にも、他のどの男にも渡さん。お前のその怠惰な生活も、食い意地も、全て俺が丸ごと引き受けてやる」
「……っ」
「だから、覚悟しておけ。……お前の『老後』は、俺の隣にある」
その言葉は、命令でありながら、この世で最も甘い誓いのようにも聞こえました。
そして。
ふわり、と気配が近づきました。
(く、来る……!)
わたくしは心の中で悲鳴を上げました。
狸寝入りの限界です。
心臓の音がうるさすぎて、馬車の車輪の音より大きいのではないでしょうか。
チュッ。
額に、温かい感触。
(……額?)
と思ったら。
チュッ。
瞼に。
チュッ。
鼻先に。
(ちょ、数が多いですわ!)
そして最後に。
唇が、わたくしの唇に触れるか触れないかの距離で止まりました。
吐息がかかります。
「……起きているのだろう? カテリーナ」
「!!!!!」
バレていました。
完全に、バレていました。
わたくしはカッと目を見開きました。
目の前には、楽しそうに目を細めるアレクセイ様の顔がドアップで。
「おはよう、お寝坊さん」
「……卑怯です、公爵様! 気づいているなら言ってください!」
「言ったら、こんなに可愛い反応は見られなかっただろう?」
アレクセイ様は悪びれもせず、わたくしの真っ赤な頬をつつきました。
「それに、これは『褒美』だと言ったはずだ。拒否権はない」
「こ、これは褒美というより、心臓への負荷テストです!」
「合格だな。いい音をしていたぞ」
アレクセイ様は低く笑い、わたくしを離しました。
馬車がゆっくりと停止します。
どうやら、屋敷に到着したようです。
「さあ、降りるぞ。……それとも、続きがしたいか?」
「け、結構です! 降ります! 今すぐ降ります!」
わたくしは逃げるように馬車の扉を開けました。
夜風が火照った頬に当たりますが、全く冷えません。
「……逃げ足の速い奴だ」
背後でアレクセイ様が笑っています。
わたくしは屋敷の玄関へ早歩きで向かいながら、胸を押さえました。
(……聞いてしまいましたわ)
『お前の老後は、俺の隣にある』。
その言葉が、頭の中でリフレインして止まりません。
平穏な隠居生活。
一人でのんびり暮らす夢。
それが、音を立てて崩れていくのを感じました。
でも。
なぜでしょう。
崩れていくその瓦礫の中に、キラキラとした希望の光が見えるような気がするのは。
「……本当に、調子が狂いますわ」
わたくしは空を見上げました。
月が、まるでわたくしの動揺を笑うかのように、明るく輝いていました。
外堀は、完全に埋められました。
もはや、陥落寸前です。
わたくしの心(城)は、氷の公爵によって、内側から溶かされ始めていたのでした。
園遊会からの帰り道。
ベルンシュタイン公爵家の紋章が入った豪華な馬車は、石畳の上を滑るように進んでいました。
車内は薄暗く、ランプの淡い光だけが揺れています。
そして、その密室には、わたくしカテリーナと、「氷の公爵」アレクセイ様が二人きり。
(……気まずい。いや、心臓に悪い)
わたくしは窓際で小さくなっておりました。
なぜなら、アレクセイ様が乗車してから一言も発さず、ただ静かにわたくしを見つめているからです。
その視線には、獲物を追い詰めた肉食獣のような、ゆったりとした余裕と熱が宿っていました。
「……あの、公爵様?」
「なんだ」
「その……『褒美』というのは、いつ……?」
わたくしは恐る恐る尋ねました。
いや、催促しているわけではありません!
いつ来るかわからない恐怖(と期待)に耐えきれなくなっただけです!
アレクセイ様はフッと笑い、足を組み替えました。
「焦るな。楽しみは最後にとっておくものだ」
「は、はい……」
「それよりも、少し疲れただろう。今日は一日中、気を張っていたからな」
アレクセイ様はそう言うと、ごく自然にわたくしの隣に移動してきました。
そして、わたくしの頭を自分の肩に引き寄せます。
「えっ」
「屋敷に着くまでまだ時間がある。少し眠っておけ」
「で、ですが、公爵様の肩をお借りするなんて……」
「構わん。お前の重みなど、羽毛のようなものだ」
嘘です。
先日のモンブラン五個分の重みがあるはずです。
しかし、彼の肩は驚くほど広く、安定していました。
そして、ほのかに香る紅茶と麝香(ムスク)のような香り。
(……悔しいけれど、落ち着きますわ)
今日の激務。
ソフィア王女との舌戦、イザベラ様のフォロー、そして「嫉妬作戦」への協力。
わたくしのHPは確かに限界でした。
心地よい揺れと、アレクセイ様の体温に包まれているうちに、わたくしの瞼は重くなっていきました。
(少しだけ……五分だけ……)
わたくしの意識は、睡魔の深淵へと沈んでいきました。
***
……どれくらい時間が経ったのでしょう。
ふと意識が浮上しかけました。
まだ馬車は動いています。
わたくしはアレクセイ様の肩にもたれたまま、完全に熟睡していたようです。
(あ、よだれ……垂らしてないかしら)
そんな心配が頭をよぎった時。
頭上から、独り言のような、低い呟きが聞こえてきました。
「……無防備すぎるぞ、聖女様」
アレクセイ様の声です。
わたくしは反射的に「起きてます!」と言おうとしましたが、体が鉛のように重くて動きません。
いわゆる、金縛り……ではなく、二度寝直前のまどろみ状態です。
アレクセイ様の手が、わたくしの髪を優しく撫でました。
「今日はよくやった。……お前がいなければ、俺もここまで笑えなかっただろう」
独り言モードのようです。
これは、狸寝入りを決め込むのが正解でしょう。
下手に起きれば、気まずい空気が流れるだけです。
「最初は……ただの面白い玩具だと思っていた」
手が、髪から頬へと滑り落ちてきます。
親指が、わたくしの唇をなぞりました。
ドキッ。
心臓が跳ねましたが、必死に寝息をコントロールします。
バレてはいけません。
「だが、いつの間にか……お前が隣にいないと、つまらなくなった」
アレクセイ様の声が、熱を帯びていきます。
「お前のその、飾らない言葉。欲望に忠実な生き方。そして、誰かのために本気で怒れる優しさ。……その全てが、俺の氷を溶かしていくようだ」
(……え?)
これは、もしや。
愛の告白、でしょうか?
あの冷徹な公爵様が?
わたくしのような干物女に?
「カテリーナ。お前は『平穏な老後』を望んでいると言ったな」
はい、言いました。
それがわたくしの人生の指針です。
「だが、残念ながら、それは叶わんぞ」
(なんですって!?)
「俺が、お前を離さないからだ」
アレクセイ様の手が、わたくしの肩を抱き寄せました。
力が強まります。
「王太子にも、他のどの男にも渡さん。お前のその怠惰な生活も、食い意地も、全て俺が丸ごと引き受けてやる」
「……っ」
「だから、覚悟しておけ。……お前の『老後』は、俺の隣にある」
その言葉は、命令でありながら、この世で最も甘い誓いのようにも聞こえました。
そして。
ふわり、と気配が近づきました。
(く、来る……!)
わたくしは心の中で悲鳴を上げました。
狸寝入りの限界です。
心臓の音がうるさすぎて、馬車の車輪の音より大きいのではないでしょうか。
チュッ。
額に、温かい感触。
(……額?)
と思ったら。
チュッ。
瞼に。
チュッ。
鼻先に。
(ちょ、数が多いですわ!)
そして最後に。
唇が、わたくしの唇に触れるか触れないかの距離で止まりました。
吐息がかかります。
「……起きているのだろう? カテリーナ」
「!!!!!」
バレていました。
完全に、バレていました。
わたくしはカッと目を見開きました。
目の前には、楽しそうに目を細めるアレクセイ様の顔がドアップで。
「おはよう、お寝坊さん」
「……卑怯です、公爵様! 気づいているなら言ってください!」
「言ったら、こんなに可愛い反応は見られなかっただろう?」
アレクセイ様は悪びれもせず、わたくしの真っ赤な頬をつつきました。
「それに、これは『褒美』だと言ったはずだ。拒否権はない」
「こ、これは褒美というより、心臓への負荷テストです!」
「合格だな。いい音をしていたぞ」
アレクセイ様は低く笑い、わたくしを離しました。
馬車がゆっくりと停止します。
どうやら、屋敷に到着したようです。
「さあ、降りるぞ。……それとも、続きがしたいか?」
「け、結構です! 降ります! 今すぐ降ります!」
わたくしは逃げるように馬車の扉を開けました。
夜風が火照った頬に当たりますが、全く冷えません。
「……逃げ足の速い奴だ」
背後でアレクセイ様が笑っています。
わたくしは屋敷の玄関へ早歩きで向かいながら、胸を押さえました。
(……聞いてしまいましたわ)
『お前の老後は、俺の隣にある』。
その言葉が、頭の中でリフレインして止まりません。
平穏な隠居生活。
一人でのんびり暮らす夢。
それが、音を立てて崩れていくのを感じました。
でも。
なぜでしょう。
崩れていくその瓦礫の中に、キラキラとした希望の光が見えるような気がするのは。
「……本当に、調子が狂いますわ」
わたくしは空を見上げました。
月が、まるでわたくしの動揺を笑うかのように、明るく輝いていました。
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