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「……待ってください」
一夜明け、爽やかな朝の光が差し込むクロイツ伯爵邸。
わたくし、カテリーナは、朝食のベーコンをフォークに突き刺したまま、凍りついておりました。
昨日は、怒涛の勢いに流されてしまいました。
アレクセイ様の甘い言葉(羽根布団とお菓子)と、父の裏切り(即決)により、うっかり「公爵家に嫁ぐ」という契約書にサインしてしまったのです。
しかし。
冷静になって考えてみれば、重大な落とし穴があることに気づきました。
「公爵夫人……すなわち、社交界のトップ……?」
ガチャン。
フォークが皿に落ちました。
公爵夫人。
それは、ただの奥様ではありません。
王妃に次ぐ権力を持ち、数多の貴族夫人を取りまとめる「裏の支配者」です。
脳裏に、恐ろしいシミュレーション映像が浮かびます。
『オホホ! カテリーナ様、今度の慈善パーティーの主催はもちろん貴女様ですわよね?』
『あら、公爵夫人たるもの、一日に百通の招待状を書くのは常識ですわよ?』
『お茶会は毎日開催! ドレスは一日五回着替え! 笑顔は二十四時間キープです!』
「ヒィィィーーーーッ!!」
わたくしは頭を抱えて悲鳴を上げました。
「詐欺だわ! これは孔明の罠よ! 『労働はさせない』なんて口約束、社交界という戦場では通用しないじゃない!」
公爵夫人の務めとは、すなわち「究極の接客業」であり「ブラックな管理職」です。
そんな激務、わたくしの豆腐メンタルとナマケモノ体力で耐えられるはずがありません。
三日で過労死するか、ストレスで暴食してドレスが弾け飛ぶ未来しか見えません。
「騙された……! あの悪魔公爵め、甘い餌で釣っておいて、わたくしを社畜の檻に閉じ込める気ね!」
わたくしは立ち上がりました。
まだ間に合います。
正式な婚姻届はまだ出していないはず。
今なら、クーリングオフができるはずです(父はできないと言いましたが)。
「アンナ! アンナはどこ!?」
「はい、お嬢様。お呼びでしょうか」
侍女のアンナが涼しい顔で入ってきました。
手には、外出用のドレスを持っています。
「さあ、お嬢様。お着替えの時間ですよ。もうすぐベルンシュタイン公爵閣下が、お迎えにいらっしゃいますから」
「来させないで! バリケードよ! 今すぐ玄関を封鎖して!」
「はい?」
「わたくしは行かないわ! 公爵家なんて真っ平御免よ! あそこは、砂糖でコーティングされた地獄なのよ!」
わたくしは部屋のドアに駆け寄り、鍵をガチャリとかけました。
さらに、重たいチェストをズルズルと引きずり、ドアの前に置きます。
「お、お嬢様!? 何をなさっているのですか!」
「抵抗よ! これは聖女カテリーナによる、自由のためのストライキよ!」
「子供みたいなこと言わないでください! 公爵様がお怒りになりますよ!」
「怒らせておけばいいわ! 嫌われたらこっちのものよ! 『あんな我儘な女、願い下げだ』と言わせて、婚約破棄に持ち込むの!」
これぞ、起死回生の作戦。
「引きこもり籠城作戦」です。
わたくしが部屋から一歩も出ず、会うことを拒否し続ければ、さすがの公爵も呆れて帰るでしょう。
プライドの高い彼のことです。「俺を待たせるとは」と愛想を尽かすに違いありません。
ピンポーン。
その時、一階の玄関ベルが鳴りました。
「ひっ!?」
「あら、いらっしゃったようですね」
「早すぎるわ! まだ心の準備もバリケードの補強も終わってないのに!」
わたくしは慌ててベッドの上の布団を丸め、さらに椅子を積み上げました。
完全封鎖です。
誰一人として、この聖域(自室)には入れさせません!
ドタドタドタ……。
廊下を歩く足音が近づいてきます。
父のへつらうような声と、もう一人……あの低く落ち着いた声が。
「……そうですか。カテリーナが部屋から出てこないと」
「は、はい! 申し訳ありません閣下! 娘は急に『マリッジブルー』になったようで……」
「ブルー? いや、あれは『レイジー(怠惰)ブルー』でしょう」
(バレてる!)
足音が、わたくしの部屋の前で止まりました。
ドアノブがガチャガチャと回されます。
しかし、鍵とバリケードのおかげで開きません。
「……カテリーナ。開けろ」
ドア越しに響く、アレクセイ様の声。
甘さはゼロ。
完全に「飼い主」のトーンです。
わたくしは布団の中から叫びました。
「開けません! お引き取りください!」
「往生際が悪いぞ。昨日はあれほど神妙に頷いていたではないか」
「あれは催眠術にかかっていただけです! 今、正気に戻りました!」
「ほう。正気に戻った結果が、その子供じみた籠城か」
「子供で結構! わたくしは気づいたのです! 公爵夫人なんて、わたくしのキャパシティを超えています! お茶会も夜会も無理です! 挨拶回りで腰が爆発します!」
「……ああ、なんだ。そんなことか」
アレクセイ様の声に、呆れと笑いが混じりました。
「言ったはずだ。面倒ごとは全て俺が処理すると。お前はただ、俺の隣でニコニコしていればいい」
「信用できません! 『釣った魚に餌はやらない』ということわざを知っていますわ!」
「俺は餌をやりすぎて太らせるタイプだ」
「そういう問題ではありません!」
わたくしはドアに向かって枕を投げつけました(届きませんが)。
「とにかく、わたくしは行きません! この部屋で一生を終える所存です! スルメと本さえあれば生きていけますから!」
シン……。
廊下が静まり返りました。
諦めたのでしょうか?
勝った?
わたくしの粘り勝ちでしょうか?
「……そうか。どうしても出てこないと言うなら」
アレクセイ様の声が、一段低くなりました。
「実力行使に出るしかないな」
「えっ」
「伯爵。このドアを破壊しても構いませんか?」
「へっ!? あ、いや、どうぞどうぞ! 娘のためなら!」
(お父様ーッ!!)
ガツン!!
何かがドアにぶつかる衝撃音。
バリケードにしたチェストが揺れました。
「ひいいっ! 破壊!? 野蛮ですわ!」
「数えるぞ。3」
「待ってください! 話し合いましょう!」
「2」
「わたくしにも人権が!」
「1」
「わ、わかりました! 降参です! 開けますから蹴破らないで!」
わたくしは泣く泣くバリケードを解体し、鍵を開けました。
ガチャリ。
ゆっくりとドアが開きます。
そこには、腕を組み、仁王立ちするアレクセイ様の姿がありました。
その背後には、オロオロする父と、面白そうに見守るアンナ。
「……やっと開いたか、この引きこもり聖女」
「ううっ……暴力反対ですわ……」
「迎えに来たと言っただろう。さあ、行くぞ」
アレクセイ様が部屋に入ってきました。
わたくしは後ずさりします。
「嫌です! やっぱり嫌です! わたくし、今日はお腹が痛いんです!」
「仮病は通用しない。……それに、今日は特別に『ル・ミエル』の朝食ビュッフェを用意させてあるのだが」
ピクリ。
「……ビュッフェ?」
「ああ。焼き立てのパンケーキ、ふわふわのオムレツ、そして季節のフルーツタルト……全て食べ放題だ」
わたくしの脳裏に、黄金色のパンケーキタワーが浮かびました。
メープルシロップの滝。
溶け出すバター。
ゴクリ。
「……い、行きません。パンケーキくらいで釣られると思ったら大間違い……」
「さらに、屋敷への移動用の馬車は、振動を極限まで抑えた最新式だ。中で寝ていても揺れないぞ」
「……」
「到着後は、最高級エステティシャンによる全身マッサージコース付きだ」
「……」
心が。
わたくしの鋼の意志が、音を立てて溶けていきます。
美味しいご飯。
快適な移動。
マッサージ。
(天国……?)
「……くっ、卑怯ですわ! わたくしの弱点を知り尽くして!」
「お前の攻略法など、手に取るようにわかる」
アレクセイ様はニヤリと笑い、手を差し出しました。
「さあ、どうする? ここでスルメを齧るか、俺の屋敷でパンケーキを食べるか。……選べ」
究極の二択です。
いえ、実質一択です。
わたくしは震える手で、その手を取りました。
「……パンケーキで、お願いします」
「よろしい」
アレクセイ様は満足げに頷くと、なんとわたくしを横抱きにしました。
いわゆる、お姫様抱っこです!
「きゃっ!? な、何を!?」
「抵抗して疲れただろう。馬車まで運んでやる」
「歩けます! 重いですから下ろして!」
「軽いものだ。……捕獲完了だな」
アレクセイ様はわたくしを抱えたまま、悠々と廊下を歩き出しました。
父と使用人たちが拍手で見送っています。
まるで、狩りで獲物を仕留めた英雄の凱旋です。
(……負けた。完敗ですわ)
わたくしはアレクセイ様の腕の中で、ガックリと項垂れました。
抵抗時間、約三十分。
聖女カテリーナの反乱は、パンケーキという強力な兵器の前に、あえなく鎮圧されたのでした。
しかし。
わたくしはまだ諦めていませんでした。
馬車に揺られながら、わたくしの瞳には、まだ「逃走」への執念の炎が燻っていたのです。
(見ていらっしゃい……隙を見て、絶対に逃げ出してやりますわ!)
一夜明け、爽やかな朝の光が差し込むクロイツ伯爵邸。
わたくし、カテリーナは、朝食のベーコンをフォークに突き刺したまま、凍りついておりました。
昨日は、怒涛の勢いに流されてしまいました。
アレクセイ様の甘い言葉(羽根布団とお菓子)と、父の裏切り(即決)により、うっかり「公爵家に嫁ぐ」という契約書にサインしてしまったのです。
しかし。
冷静になって考えてみれば、重大な落とし穴があることに気づきました。
「公爵夫人……すなわち、社交界のトップ……?」
ガチャン。
フォークが皿に落ちました。
公爵夫人。
それは、ただの奥様ではありません。
王妃に次ぐ権力を持ち、数多の貴族夫人を取りまとめる「裏の支配者」です。
脳裏に、恐ろしいシミュレーション映像が浮かびます。
『オホホ! カテリーナ様、今度の慈善パーティーの主催はもちろん貴女様ですわよね?』
『あら、公爵夫人たるもの、一日に百通の招待状を書くのは常識ですわよ?』
『お茶会は毎日開催! ドレスは一日五回着替え! 笑顔は二十四時間キープです!』
「ヒィィィーーーーッ!!」
わたくしは頭を抱えて悲鳴を上げました。
「詐欺だわ! これは孔明の罠よ! 『労働はさせない』なんて口約束、社交界という戦場では通用しないじゃない!」
公爵夫人の務めとは、すなわち「究極の接客業」であり「ブラックな管理職」です。
そんな激務、わたくしの豆腐メンタルとナマケモノ体力で耐えられるはずがありません。
三日で過労死するか、ストレスで暴食してドレスが弾け飛ぶ未来しか見えません。
「騙された……! あの悪魔公爵め、甘い餌で釣っておいて、わたくしを社畜の檻に閉じ込める気ね!」
わたくしは立ち上がりました。
まだ間に合います。
正式な婚姻届はまだ出していないはず。
今なら、クーリングオフができるはずです(父はできないと言いましたが)。
「アンナ! アンナはどこ!?」
「はい、お嬢様。お呼びでしょうか」
侍女のアンナが涼しい顔で入ってきました。
手には、外出用のドレスを持っています。
「さあ、お嬢様。お着替えの時間ですよ。もうすぐベルンシュタイン公爵閣下が、お迎えにいらっしゃいますから」
「来させないで! バリケードよ! 今すぐ玄関を封鎖して!」
「はい?」
「わたくしは行かないわ! 公爵家なんて真っ平御免よ! あそこは、砂糖でコーティングされた地獄なのよ!」
わたくしは部屋のドアに駆け寄り、鍵をガチャリとかけました。
さらに、重たいチェストをズルズルと引きずり、ドアの前に置きます。
「お、お嬢様!? 何をなさっているのですか!」
「抵抗よ! これは聖女カテリーナによる、自由のためのストライキよ!」
「子供みたいなこと言わないでください! 公爵様がお怒りになりますよ!」
「怒らせておけばいいわ! 嫌われたらこっちのものよ! 『あんな我儘な女、願い下げだ』と言わせて、婚約破棄に持ち込むの!」
これぞ、起死回生の作戦。
「引きこもり籠城作戦」です。
わたくしが部屋から一歩も出ず、会うことを拒否し続ければ、さすがの公爵も呆れて帰るでしょう。
プライドの高い彼のことです。「俺を待たせるとは」と愛想を尽かすに違いありません。
ピンポーン。
その時、一階の玄関ベルが鳴りました。
「ひっ!?」
「あら、いらっしゃったようですね」
「早すぎるわ! まだ心の準備もバリケードの補強も終わってないのに!」
わたくしは慌ててベッドの上の布団を丸め、さらに椅子を積み上げました。
完全封鎖です。
誰一人として、この聖域(自室)には入れさせません!
ドタドタドタ……。
廊下を歩く足音が近づいてきます。
父のへつらうような声と、もう一人……あの低く落ち着いた声が。
「……そうですか。カテリーナが部屋から出てこないと」
「は、はい! 申し訳ありません閣下! 娘は急に『マリッジブルー』になったようで……」
「ブルー? いや、あれは『レイジー(怠惰)ブルー』でしょう」
(バレてる!)
足音が、わたくしの部屋の前で止まりました。
ドアノブがガチャガチャと回されます。
しかし、鍵とバリケードのおかげで開きません。
「……カテリーナ。開けろ」
ドア越しに響く、アレクセイ様の声。
甘さはゼロ。
完全に「飼い主」のトーンです。
わたくしは布団の中から叫びました。
「開けません! お引き取りください!」
「往生際が悪いぞ。昨日はあれほど神妙に頷いていたではないか」
「あれは催眠術にかかっていただけです! 今、正気に戻りました!」
「ほう。正気に戻った結果が、その子供じみた籠城か」
「子供で結構! わたくしは気づいたのです! 公爵夫人なんて、わたくしのキャパシティを超えています! お茶会も夜会も無理です! 挨拶回りで腰が爆発します!」
「……ああ、なんだ。そんなことか」
アレクセイ様の声に、呆れと笑いが混じりました。
「言ったはずだ。面倒ごとは全て俺が処理すると。お前はただ、俺の隣でニコニコしていればいい」
「信用できません! 『釣った魚に餌はやらない』ということわざを知っていますわ!」
「俺は餌をやりすぎて太らせるタイプだ」
「そういう問題ではありません!」
わたくしはドアに向かって枕を投げつけました(届きませんが)。
「とにかく、わたくしは行きません! この部屋で一生を終える所存です! スルメと本さえあれば生きていけますから!」
シン……。
廊下が静まり返りました。
諦めたのでしょうか?
勝った?
わたくしの粘り勝ちでしょうか?
「……そうか。どうしても出てこないと言うなら」
アレクセイ様の声が、一段低くなりました。
「実力行使に出るしかないな」
「えっ」
「伯爵。このドアを破壊しても構いませんか?」
「へっ!? あ、いや、どうぞどうぞ! 娘のためなら!」
(お父様ーッ!!)
ガツン!!
何かがドアにぶつかる衝撃音。
バリケードにしたチェストが揺れました。
「ひいいっ! 破壊!? 野蛮ですわ!」
「数えるぞ。3」
「待ってください! 話し合いましょう!」
「2」
「わたくしにも人権が!」
「1」
「わ、わかりました! 降参です! 開けますから蹴破らないで!」
わたくしは泣く泣くバリケードを解体し、鍵を開けました。
ガチャリ。
ゆっくりとドアが開きます。
そこには、腕を組み、仁王立ちするアレクセイ様の姿がありました。
その背後には、オロオロする父と、面白そうに見守るアンナ。
「……やっと開いたか、この引きこもり聖女」
「ううっ……暴力反対ですわ……」
「迎えに来たと言っただろう。さあ、行くぞ」
アレクセイ様が部屋に入ってきました。
わたくしは後ずさりします。
「嫌です! やっぱり嫌です! わたくし、今日はお腹が痛いんです!」
「仮病は通用しない。……それに、今日は特別に『ル・ミエル』の朝食ビュッフェを用意させてあるのだが」
ピクリ。
「……ビュッフェ?」
「ああ。焼き立てのパンケーキ、ふわふわのオムレツ、そして季節のフルーツタルト……全て食べ放題だ」
わたくしの脳裏に、黄金色のパンケーキタワーが浮かびました。
メープルシロップの滝。
溶け出すバター。
ゴクリ。
「……い、行きません。パンケーキくらいで釣られると思ったら大間違い……」
「さらに、屋敷への移動用の馬車は、振動を極限まで抑えた最新式だ。中で寝ていても揺れないぞ」
「……」
「到着後は、最高級エステティシャンによる全身マッサージコース付きだ」
「……」
心が。
わたくしの鋼の意志が、音を立てて溶けていきます。
美味しいご飯。
快適な移動。
マッサージ。
(天国……?)
「……くっ、卑怯ですわ! わたくしの弱点を知り尽くして!」
「お前の攻略法など、手に取るようにわかる」
アレクセイ様はニヤリと笑い、手を差し出しました。
「さあ、どうする? ここでスルメを齧るか、俺の屋敷でパンケーキを食べるか。……選べ」
究極の二択です。
いえ、実質一択です。
わたくしは震える手で、その手を取りました。
「……パンケーキで、お願いします」
「よろしい」
アレクセイ様は満足げに頷くと、なんとわたくしを横抱きにしました。
いわゆる、お姫様抱っこです!
「きゃっ!? な、何を!?」
「抵抗して疲れただろう。馬車まで運んでやる」
「歩けます! 重いですから下ろして!」
「軽いものだ。……捕獲完了だな」
アレクセイ様はわたくしを抱えたまま、悠々と廊下を歩き出しました。
父と使用人たちが拍手で見送っています。
まるで、狩りで獲物を仕留めた英雄の凱旋です。
(……負けた。完敗ですわ)
わたくしはアレクセイ様の腕の中で、ガックリと項垂れました。
抵抗時間、約三十分。
聖女カテリーナの反乱は、パンケーキという強力な兵器の前に、あえなく鎮圧されたのでした。
しかし。
わたくしはまだ諦めていませんでした。
馬車に揺られながら、わたくしの瞳には、まだ「逃走」への執念の炎が燻っていたのです。
(見ていらっしゃい……隙を見て、絶対に逃げ出してやりますわ!)
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