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「……は?」
謁見の間に、わたくしの間の抜けた声が小さく響きました。
今、なんと仰いました?
名乗りを上げる?
誰が?
この目の前の、氷の彫刻のような美貌を持つ公爵様が?
「公爵様……冗談はおやめください。ここは神聖な謁見の間ですわよ?」
わたくしは引きつった笑顔で、アレクセイ様の腕を払おうとしました(ビクともしませんが)。
「冗談? 私はいつだって本気だ」
アレクセイ様は涼しい顔で、さらに強く腰を引き寄せました。
そして、玉座の国王陛下に向かって、堂々と宣言を続けます。
「陛下。カテリーナ嬢は、今回の婚約破棄において、あまりにも深く傷つきました(嘘です)。その心の傷を癒やし、生涯守り抜くことができるのは……僭越ながら、この私しかいないと自負しております」
「おお……!」
陛下が身を乗り出しました。
「ベルンシュタイン公爵よ。そなた、そこまでの覚悟が……!」
「はい。彼女の全て(主に食費と怠惰)を受け入れる準備は整っております」
「なんと愛の深い男だ……! 氷の公爵と呼ばれたそなたが、一人の女性のためにそこまで熱くなるとは!」
違います陛下!
熱くなっているのは愛ではなく、独占欲と「珍獣を飼いたい」というコレクター魂です!
しかし、会場の貴族たちは完全に「ロマンス脳」になっていました。
「素敵だわ……!」
「傷ついた聖女様を、最強の公爵様が救い出すなんて!」
「これぞ真実の愛の物語!」
拍手。
割れんばかりの拍手喝采です。
スタンディングオベーションまで起きています。
わたくしは顔面蒼白になりました。
これでは、断れません。
もしここで「嫌です!」と言えば、この感動的な空気をぶち壊し、アレクセイ様の顔に泥を塗ることになります。
そうなれば、後で何をされるかわかったものではありません(主にお菓子抜きとか)。
「……陛下」
アレクセイ様が、勝ち誇った笑みでわたくしを見下ろしました。
「彼女の父、クロイツ伯爵の了承もすでに得ております」
「なんと! 根回しまで完璧か!」
「あとは、カテリーナ嬢本人の同意だけですが……」
アレクセイ様の顔が近づいてきます。
その青い瞳が、「わかっているな?」と無言の圧力をかけてきます。
「カテリーナ。……俺の手を取れ。パンケーキと羽根布団が待っているぞ」
耳元で囁かれる、悪魔の契約条件。
わたくしは、震える唇を開きました。
「……つ、謹んで……お受けいたします」
「よくできました」
アレクセイ様はニッコリと微笑み、わたくしの手を取って高々と掲げました。
「ここに、私アレクセイ・フォン・ベルンシュタインと、カテリーナ・フォン・クロイツの婚約を宣言する!」
ワァァァァァッ!!
歓声が爆発しました。
わたくしは虚ろな目で天井を見上げました。
さようなら、自由。
こんにちは、飼育生活。
「ちょ、ちょっと待ってくれ兄上!!」
そこへ、空気を読まない男・ナンバーワンが飛び出してきました。
フレデリック殿下です。
「兄上がカテリーナと婚約だって!? 聞いてないよ!」
「今言った」
「そ、そうだけど! でもカテリーナは僕の『魂の友』で、『永遠の片思い相手』なんだぞ! それを兄上が奪うなんて!」
殿下が地団駄を踏んでいます。
まだ「片思い」設定を信じているのですか。
アレクセイ様は、冷ややかな視線を弟に向けました。
「殿下。貴方はイザベラを選んだ。カテリーナを捨てたのは貴方だ」
「捨てたんじゃない! リサイクルだ!」
「そのリサイクル品を、私が買い取った。それだけの話です」
「ぐぬぬ……! でも、カテリーナは僕の影を踏まないように五メートル離れるって誓ったんだぞ! 兄上と結婚したら、親族になるじゃないか! 距離が近すぎる!」
「安心しろ。カテリーナは私と結婚したら、公爵領の屋敷か、王都の別邸に引きこもる予定だ。貴方と顔を合わせる機会は極限まで減らす」
「えっ」
わたくしも驚きました。
公爵様、そこまで考えて……!?
「殿下の影を踏まないよう、彼女を徹底的に隔離(保護)します。それが彼女の望みでもありますからな」
「さ、さすが兄上……! そこまで配慮してくれるなんて!」
殿下が感動しています。
単にわたくしを独占したいだけだと思いますが、まあ結果オーライです。
「それに、殿下」
「なんだい?」
「これからは、カテリーナは私の妻、すなわち『義姉』になります。……義姉に対して『僕のポエムを聞け』だの『セレナーデを歌う』だの、節操のない真似をしたら……」
アレクセイ様の目が、スッと細められました。
その背後に、吹雪が見えた気がします。
「……王太子といえど、教育的指導(ゲンコツ)が必要になりますが?」
「ひぃっ!?」
殿下が青ざめて後ずさりしました。
幼少期からのトラウマがあるのでしょう。
氷の公爵の「教育」は、言葉通り身に染みるようです。
「わ、わかったよ! 手出しはしないよ! お幸せにね!」
殿下は捨て台詞を残し、イザベラ様の後ろに隠れました。
撃退完了です。
さすが公爵様。
物理的にも精神的にも最強の盾です。
「お兄様! おめでとうございます!」
次に駆け寄ってきたのは、イザベラ様でした。
彼女は目をキラキラさせて、わたくしの手を取りました。
「カテリーナ様! いえ、お義姉(ねえ)様!」
「……イザベラ様」
「嬉しいですわ! わたくしの『心の友』が、本当の家族になるなんて! これからは毎日お茶会ができますわね!」
「えっ、毎日?」
「ええ! 公爵邸の合鍵、わたくしも持っていますから! いつでも遊びに行きますわ!」
わたくしは助けを求めてアレクセイ様を見ました。
『引きこもり生活』の話と違います!
アレクセイ様は苦笑して、イザベラ様の頭をポンと叩きました。
「イザベラ。カテリーナはこれから『静養』に入る。あまり連れ回すな」
「えーっ、つまらないですわ」
「だが、たまになら許可しよう。……ただし、カテリーナが起きている時間(午後三時以降)限定だ」
「わかりましたわ! では、毎日午後三時に突撃します!」
「(毎日来る気満々ですわ……)」
前途多難です。
しかし、イザベラ様の屈託のない笑顔を見ていると、「まあ、お菓子を持ってきてくれるならいいか」と思えてしまう自分がいます。
「さて、カテリーナ」
アレクセイ様が、改めてわたくしに向き直りました。
周囲の祝福の拍手が鳴り止まない中、彼は片膝をつき、手の甲に口づけを落としました。
「皆の前で誓おう。……お前を世界一、幸せな(怠惰な)公爵夫人にする」
カッコ内が聞こえたのは、わたくしだけでしょう。
でも、その言葉は、どんな甘い愛の言葉よりも、わたくしの心に響きました。
「……期待しておりますわ、旦那様(パトロン)」
わたくしは観念して、微笑みました。
こうして。
世紀の婚約破棄劇は、驚天動地のサプライズ婚約発表によって幕を閉じました。
「さあ、行くぞ。馬車を待たせてある」
「えっ、もうですか? パーティーは?」
「主役が長居する必要はない。それに……お前、腹が減っているだろう?」
「……(ギクリ)」
「腹の虫が鳴く音が、ここまで聞こえていたぞ」
アレクセイ様は楽しそうに笑い、わたくしをエスコートして歩き出しました。
背後から、陛下や殿下、イザベラ様たちの「お幸せにー!」という声が追いかけてきます。
王宮の重い扉が開き、外の空気が流れ込んできました。
眩しい日差し。
そして、その先には――わたくしの新たな「飼育小屋」である、ベルンシュタイン公爵邸への馬車が待っていました。
「……乗れ」
差し出された手。
わたくしは、もう迷わずにその手を取りました。
さようなら、王太子妃への道。
ようこそ、最強のヒモ……いえ、公爵夫人への道!
わたくしの人生の第二章が、今、パンケーキの香りと共に始まろうとしていました。
謁見の間に、わたくしの間の抜けた声が小さく響きました。
今、なんと仰いました?
名乗りを上げる?
誰が?
この目の前の、氷の彫刻のような美貌を持つ公爵様が?
「公爵様……冗談はおやめください。ここは神聖な謁見の間ですわよ?」
わたくしは引きつった笑顔で、アレクセイ様の腕を払おうとしました(ビクともしませんが)。
「冗談? 私はいつだって本気だ」
アレクセイ様は涼しい顔で、さらに強く腰を引き寄せました。
そして、玉座の国王陛下に向かって、堂々と宣言を続けます。
「陛下。カテリーナ嬢は、今回の婚約破棄において、あまりにも深く傷つきました(嘘です)。その心の傷を癒やし、生涯守り抜くことができるのは……僭越ながら、この私しかいないと自負しております」
「おお……!」
陛下が身を乗り出しました。
「ベルンシュタイン公爵よ。そなた、そこまでの覚悟が……!」
「はい。彼女の全て(主に食費と怠惰)を受け入れる準備は整っております」
「なんと愛の深い男だ……! 氷の公爵と呼ばれたそなたが、一人の女性のためにそこまで熱くなるとは!」
違います陛下!
熱くなっているのは愛ではなく、独占欲と「珍獣を飼いたい」というコレクター魂です!
しかし、会場の貴族たちは完全に「ロマンス脳」になっていました。
「素敵だわ……!」
「傷ついた聖女様を、最強の公爵様が救い出すなんて!」
「これぞ真実の愛の物語!」
拍手。
割れんばかりの拍手喝采です。
スタンディングオベーションまで起きています。
わたくしは顔面蒼白になりました。
これでは、断れません。
もしここで「嫌です!」と言えば、この感動的な空気をぶち壊し、アレクセイ様の顔に泥を塗ることになります。
そうなれば、後で何をされるかわかったものではありません(主にお菓子抜きとか)。
「……陛下」
アレクセイ様が、勝ち誇った笑みでわたくしを見下ろしました。
「彼女の父、クロイツ伯爵の了承もすでに得ております」
「なんと! 根回しまで完璧か!」
「あとは、カテリーナ嬢本人の同意だけですが……」
アレクセイ様の顔が近づいてきます。
その青い瞳が、「わかっているな?」と無言の圧力をかけてきます。
「カテリーナ。……俺の手を取れ。パンケーキと羽根布団が待っているぞ」
耳元で囁かれる、悪魔の契約条件。
わたくしは、震える唇を開きました。
「……つ、謹んで……お受けいたします」
「よくできました」
アレクセイ様はニッコリと微笑み、わたくしの手を取って高々と掲げました。
「ここに、私アレクセイ・フォン・ベルンシュタインと、カテリーナ・フォン・クロイツの婚約を宣言する!」
ワァァァァァッ!!
歓声が爆発しました。
わたくしは虚ろな目で天井を見上げました。
さようなら、自由。
こんにちは、飼育生活。
「ちょ、ちょっと待ってくれ兄上!!」
そこへ、空気を読まない男・ナンバーワンが飛び出してきました。
フレデリック殿下です。
「兄上がカテリーナと婚約だって!? 聞いてないよ!」
「今言った」
「そ、そうだけど! でもカテリーナは僕の『魂の友』で、『永遠の片思い相手』なんだぞ! それを兄上が奪うなんて!」
殿下が地団駄を踏んでいます。
まだ「片思い」設定を信じているのですか。
アレクセイ様は、冷ややかな視線を弟に向けました。
「殿下。貴方はイザベラを選んだ。カテリーナを捨てたのは貴方だ」
「捨てたんじゃない! リサイクルだ!」
「そのリサイクル品を、私が買い取った。それだけの話です」
「ぐぬぬ……! でも、カテリーナは僕の影を踏まないように五メートル離れるって誓ったんだぞ! 兄上と結婚したら、親族になるじゃないか! 距離が近すぎる!」
「安心しろ。カテリーナは私と結婚したら、公爵領の屋敷か、王都の別邸に引きこもる予定だ。貴方と顔を合わせる機会は極限まで減らす」
「えっ」
わたくしも驚きました。
公爵様、そこまで考えて……!?
「殿下の影を踏まないよう、彼女を徹底的に隔離(保護)します。それが彼女の望みでもありますからな」
「さ、さすが兄上……! そこまで配慮してくれるなんて!」
殿下が感動しています。
単にわたくしを独占したいだけだと思いますが、まあ結果オーライです。
「それに、殿下」
「なんだい?」
「これからは、カテリーナは私の妻、すなわち『義姉』になります。……義姉に対して『僕のポエムを聞け』だの『セレナーデを歌う』だの、節操のない真似をしたら……」
アレクセイ様の目が、スッと細められました。
その背後に、吹雪が見えた気がします。
「……王太子といえど、教育的指導(ゲンコツ)が必要になりますが?」
「ひぃっ!?」
殿下が青ざめて後ずさりしました。
幼少期からのトラウマがあるのでしょう。
氷の公爵の「教育」は、言葉通り身に染みるようです。
「わ、わかったよ! 手出しはしないよ! お幸せにね!」
殿下は捨て台詞を残し、イザベラ様の後ろに隠れました。
撃退完了です。
さすが公爵様。
物理的にも精神的にも最強の盾です。
「お兄様! おめでとうございます!」
次に駆け寄ってきたのは、イザベラ様でした。
彼女は目をキラキラさせて、わたくしの手を取りました。
「カテリーナ様! いえ、お義姉(ねえ)様!」
「……イザベラ様」
「嬉しいですわ! わたくしの『心の友』が、本当の家族になるなんて! これからは毎日お茶会ができますわね!」
「えっ、毎日?」
「ええ! 公爵邸の合鍵、わたくしも持っていますから! いつでも遊びに行きますわ!」
わたくしは助けを求めてアレクセイ様を見ました。
『引きこもり生活』の話と違います!
アレクセイ様は苦笑して、イザベラ様の頭をポンと叩きました。
「イザベラ。カテリーナはこれから『静養』に入る。あまり連れ回すな」
「えーっ、つまらないですわ」
「だが、たまになら許可しよう。……ただし、カテリーナが起きている時間(午後三時以降)限定だ」
「わかりましたわ! では、毎日午後三時に突撃します!」
「(毎日来る気満々ですわ……)」
前途多難です。
しかし、イザベラ様の屈託のない笑顔を見ていると、「まあ、お菓子を持ってきてくれるならいいか」と思えてしまう自分がいます。
「さて、カテリーナ」
アレクセイ様が、改めてわたくしに向き直りました。
周囲の祝福の拍手が鳴り止まない中、彼は片膝をつき、手の甲に口づけを落としました。
「皆の前で誓おう。……お前を世界一、幸せな(怠惰な)公爵夫人にする」
カッコ内が聞こえたのは、わたくしだけでしょう。
でも、その言葉は、どんな甘い愛の言葉よりも、わたくしの心に響きました。
「……期待しておりますわ、旦那様(パトロン)」
わたくしは観念して、微笑みました。
こうして。
世紀の婚約破棄劇は、驚天動地のサプライズ婚約発表によって幕を閉じました。
「さあ、行くぞ。馬車を待たせてある」
「えっ、もうですか? パーティーは?」
「主役が長居する必要はない。それに……お前、腹が減っているだろう?」
「……(ギクリ)」
「腹の虫が鳴く音が、ここまで聞こえていたぞ」
アレクセイ様は楽しそうに笑い、わたくしをエスコートして歩き出しました。
背後から、陛下や殿下、イザベラ様たちの「お幸せにー!」という声が追いかけてきます。
王宮の重い扉が開き、外の空気が流れ込んできました。
眩しい日差し。
そして、その先には――わたくしの新たな「飼育小屋」である、ベルンシュタイン公爵邸への馬車が待っていました。
「……乗れ」
差し出された手。
わたくしは、もう迷わずにその手を取りました。
さようなら、王太子妃への道。
ようこそ、最強のヒモ……いえ、公爵夫人への道!
わたくしの人生の第二章が、今、パンケーキの香りと共に始まろうとしていました。
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