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「……で? 整理しましょう」
私は泥だらけのジェラルド王子に、冷たいタオル(有料)を投げ渡しながら言った。
隣では、ラシード公爵がこめかみに青筋を浮かべ、今にも抜刀しそうな殺気を放っている。
「つまり、殿下は『内職で稼ぐのは地味すぎる! 一発逆転してミナにいいところを見せたい!』と思い立った」
「う、うん……」
「街の路地裏で『伝説の勇者の剣の在り処』という古地図を、金貨百枚(内職の売上すべて)で購入した」
「『選ばれし者にしか売らない』って言われたんだ! 運命だと思ったんだよ!」
「……典型的な霊感商法ですね。で、その地図に従って、王都の裏山にある洞窟へ行き、突き刺さっていた『錆びた剣』を引っこ抜いた」
「そう! エクスカリバーだと思って! そしたら……」
ジェラルドが身震いをする。
「地面が割れて、中から『ウガァァァァ!』ってすごい声が聞こえて……黒い影が飛び出してきたんだ! あれは魔王だ! 僕が魔王の封印を解いてしまったんだ!」
「……」
私と公爵は顔を見合わせた。
公爵が深く、深く息を吐く。
「……ジェラルド。王都の裏山に、魔王の伝承などない」
「えっ? でも、すごい殺気だったよ!? 『我を目覚めさせたのは誰だ』って!」
「空耳だ。……だが、何かしらの獣か魔獣を解き放ったのは事実らしいな」
公爵が窓の外を見る。
遠くの山の方角から、ズーン、ズーンという地響きが聞こえてくる。
鳥たちが一斉に飛び立っているのが見えた。
「……向かっているな、王都へ」
「ひいぃっ! やっぱり魔王だ! 僕を殺しに来るんだ!」
ジェラルドが私のスカートの後ろに隠れる。
私は彼を引き剥がし、電卓を叩いた。
「殿下。現状における罪状を整理します」
「一、王族としての品位失墜」
「二、危険物取扱法違反」
「三、自然公園法違反(無許可の発掘)」
「そして、もしあれが王都に被害を出した場合、賠償額は天文学的な数字になります」
「や、やめてくれぇ! 数字の話はやめてくれぇ!」
「泣いている暇があったら現場へ行きますよ! ……閣下、出動です」
「……ああ。私の休暇は終わりだ」
ラシード公爵は諦め顔で剣を佩いた。
私は「緊急災害対策キット」と「損害賠償請求書(白紙)」を鞄に詰め込んだ。
◇
王都の裏山。
現場は惨憺たる有様だった。
木々はなぎ倒され、地面には巨大な穴が空いている。
「……ここか」
公爵が穴の縁に立つ。
そこには、ジェラルドが引っこ抜いたという「伝説の剣」が転がっていた。
私はそれを拾い上げた。
錆びついた鉄の棒だ。
よく見ると、持ち手の部分に古代語……いや、ただの古い公用語で何かが彫られている。
「……『キケン! 猛獣封鎖用アンカー。抜くな』……」
私は読み上げた。
「……看板じゃないか」
公爵が頭を抱えた。
「剣ですらない。ただの『杭』だ。これを抜いたせいで、地下空洞への蓋が開いたんだ」
「でも、伝説のオーラが漂っていたんだよ!」
ジェラルドが言い訳をする。
「それは『錆びた鉄の臭い』です。……さて、足跡がありますね」
地面には、直径一メートルほどの巨大な足跡が続いていた。
爪の跡が鋭く、深く土を抉っている。
方向は、王都の北門。
そこには、新興住宅地が広がっている。
「……まずいな。あそこには人が多い」
公爵の目が鋭くなる。
先ほどの呆れ顔は消え、歴戦の武人の顔になっていた。
「コンシュ。お前はここにいろ。私が止める」
「いいえ、行きます。被害状況を正確に算出し、殿下に請求しないといけませんから」
「……死んでも知らんぞ」
「私の命は高いですよ。簡単には死にません」
私たちは足跡を追って走った。
ジェラルドも「置いていかないで!」と泣きながらついてくる。
◇
王都北門付近。
そこはパニックになっていた。
住民たちが悲鳴を上げて逃げ惑っている。
「出たぞぉーっ! 怪物だぁーっ!」
土煙の向こうに、巨大なシルエットが浮かび上がっていた。
体長五メートル。
茶色の剛毛に覆われた体。
鋭い爪。
そして、つぶらな瞳(?)。
「グルルルルゥ……!」
怪物が咆哮を上げる。
その声だけで、周囲の民家の窓ガラスが割れた。
「……でかいな」
公爵が剣を抜く。
「熊か? いや、あれは……」
私が目を凝らす。
その形状。
土を掘ることに特化した前脚。
そして、やたらと長い鼻。
「……モグラですね」
「は?」
「『ギガント・モール』です。本来は地中深くで眠っている古代種ですが……殿下が『杭』を抜いたせいで、地上への道が開通してしまったようです」
「モグラ……にしては凶暴すぎんか?」
公爵が言う通り、ギガント・モールは怒り狂っていた。
鼻息を荒くし、目の前にある民家を破壊しようと爪を振り上げている。
「ああっ! 僕のせいで民家が!」
ジェラルドが叫ぶ。
「安心してください殿下。あれは空き家です。……ですが、このままだと隣の商店街が壊滅します」
私は瞬時に損害額を試算した。
商店街の復興費用、営業補償、そして風評被害。
金貨十万枚コースだ。
ジェラルドが一生内職しても返せない。
「……やるしかないか」
ラシード公爵が魔力を練り上げる。
剣に青白い光が宿る。
一撃で仕留める気だ。
「待ってください、閣下!」
私が止めた。
「ここで閣下が必殺技(広範囲氷結魔法など)を使えば、商店街ごと氷漬けになります! 二次被害で請求額が増えます!」
「じゃあどうしろと言うんだ! あの爪を受けてみろ、ミンチになるぞ!」
「法で裁きます」
「はい?」
公爵とジェラルドが同時に素っ頓狂な声を上げた。
私は鞄から、魔力拡声器(メガホン)を取り出した。
そして、暴れる巨大モグラに向かって、凛とした声で呼びかけた。
「そこのモグラ! 止まりなさい!!」
「グルァ?」
モグラが動きを止めた。
意外と聞き分けがいい。
「貴方は現在、『不法侵入』および『器物損壊』の現行犯です! さらに、ここは『王都特別景観保存地区』です! 高さ三メートル以上の巨大生物の通行は条例で禁止されています!」
私はバインダーを掲げた。
「今すぐ退去しなさい! さもなくば、この私が全力を挙げて貴方を訴え、住処(巣穴)を差し押さえ、冬眠用の食料をすべて没収します!」
「……?」
モグラが首を傾げた。
言葉が通じているわけではないだろう。
だが、私の放つ「理不尽なまでの圧(債権者のオーラ)」を感じ取ったのか、少し怯んだように見えた。
「……通じるのか、それ」
公爵が呆然としている。
「動物も、強者(捕食者)の気配には敏感ですからね。今の私は『最強の捕食者(借金取り)』です」
「グルル……!」
モグラが再び唸り、威嚇してきた。
言葉だけでは退かないか。
やはり、少しばかりの「実力行使」が必要らしい。
「閣下。……あいつの鼻先、狙えますか?」
「造作もない」
「では、私が注意を引きます。その隙に、鼻先に一撃だけ入れてください。殺さず、戦意を喪失させる程度に」
「……無茶を言う。だが、乗った」
公爵が姿勢を低くする。
私はメガホンを最大音量にした。
「おいコラ! 聞いてんのかこの不届き者ォ! 慰謝料払えェェェ!!」
「ガァァァァッ!!」
モグラが私に向かって突進してきた。
巨大な爪が迫る。
ジェラルドが「コンシュぅぅ!」と叫ぶ。
だが、私は動かない。
私の背後には、最強の騎士がいるからだ。
ヒュッ。
風を切る音。
一瞬の閃光。
「……『氷牙(ヒョウガ)』」
公爵の剣閃が、モグラの急所である鼻先を正確に掠めた。
切断はしていない。
ただ、強烈な冷気と衝撃だけを与えた。
「ブギィィィッ!?」
モグラは情けない悲鳴を上げ、ひっくり返った。
鼻を押さえてのたうち回っている。
人間で言えば、弁慶の泣き所をハンマーで殴られたようなものだ。
「……確保完了ですね」
私は震える足(実は少し怖かった)を隠し、倒れたモグラに近づいた。
「さあ、示談交渉に入りましょうか。……通訳(獣使い)を呼んでください!」
こうして、王子の起こした「魔王騒動」は、私の恫喝と公爵の一撃によって、物理的かつ法的に鎮圧されたのだった。
私は泥だらけのジェラルド王子に、冷たいタオル(有料)を投げ渡しながら言った。
隣では、ラシード公爵がこめかみに青筋を浮かべ、今にも抜刀しそうな殺気を放っている。
「つまり、殿下は『内職で稼ぐのは地味すぎる! 一発逆転してミナにいいところを見せたい!』と思い立った」
「う、うん……」
「街の路地裏で『伝説の勇者の剣の在り処』という古地図を、金貨百枚(内職の売上すべて)で購入した」
「『選ばれし者にしか売らない』って言われたんだ! 運命だと思ったんだよ!」
「……典型的な霊感商法ですね。で、その地図に従って、王都の裏山にある洞窟へ行き、突き刺さっていた『錆びた剣』を引っこ抜いた」
「そう! エクスカリバーだと思って! そしたら……」
ジェラルドが身震いをする。
「地面が割れて、中から『ウガァァァァ!』ってすごい声が聞こえて……黒い影が飛び出してきたんだ! あれは魔王だ! 僕が魔王の封印を解いてしまったんだ!」
「……」
私と公爵は顔を見合わせた。
公爵が深く、深く息を吐く。
「……ジェラルド。王都の裏山に、魔王の伝承などない」
「えっ? でも、すごい殺気だったよ!? 『我を目覚めさせたのは誰だ』って!」
「空耳だ。……だが、何かしらの獣か魔獣を解き放ったのは事実らしいな」
公爵が窓の外を見る。
遠くの山の方角から、ズーン、ズーンという地響きが聞こえてくる。
鳥たちが一斉に飛び立っているのが見えた。
「……向かっているな、王都へ」
「ひいぃっ! やっぱり魔王だ! 僕を殺しに来るんだ!」
ジェラルドが私のスカートの後ろに隠れる。
私は彼を引き剥がし、電卓を叩いた。
「殿下。現状における罪状を整理します」
「一、王族としての品位失墜」
「二、危険物取扱法違反」
「三、自然公園法違反(無許可の発掘)」
「そして、もしあれが王都に被害を出した場合、賠償額は天文学的な数字になります」
「や、やめてくれぇ! 数字の話はやめてくれぇ!」
「泣いている暇があったら現場へ行きますよ! ……閣下、出動です」
「……ああ。私の休暇は終わりだ」
ラシード公爵は諦め顔で剣を佩いた。
私は「緊急災害対策キット」と「損害賠償請求書(白紙)」を鞄に詰め込んだ。
◇
王都の裏山。
現場は惨憺たる有様だった。
木々はなぎ倒され、地面には巨大な穴が空いている。
「……ここか」
公爵が穴の縁に立つ。
そこには、ジェラルドが引っこ抜いたという「伝説の剣」が転がっていた。
私はそれを拾い上げた。
錆びついた鉄の棒だ。
よく見ると、持ち手の部分に古代語……いや、ただの古い公用語で何かが彫られている。
「……『キケン! 猛獣封鎖用アンカー。抜くな』……」
私は読み上げた。
「……看板じゃないか」
公爵が頭を抱えた。
「剣ですらない。ただの『杭』だ。これを抜いたせいで、地下空洞への蓋が開いたんだ」
「でも、伝説のオーラが漂っていたんだよ!」
ジェラルドが言い訳をする。
「それは『錆びた鉄の臭い』です。……さて、足跡がありますね」
地面には、直径一メートルほどの巨大な足跡が続いていた。
爪の跡が鋭く、深く土を抉っている。
方向は、王都の北門。
そこには、新興住宅地が広がっている。
「……まずいな。あそこには人が多い」
公爵の目が鋭くなる。
先ほどの呆れ顔は消え、歴戦の武人の顔になっていた。
「コンシュ。お前はここにいろ。私が止める」
「いいえ、行きます。被害状況を正確に算出し、殿下に請求しないといけませんから」
「……死んでも知らんぞ」
「私の命は高いですよ。簡単には死にません」
私たちは足跡を追って走った。
ジェラルドも「置いていかないで!」と泣きながらついてくる。
◇
王都北門付近。
そこはパニックになっていた。
住民たちが悲鳴を上げて逃げ惑っている。
「出たぞぉーっ! 怪物だぁーっ!」
土煙の向こうに、巨大なシルエットが浮かび上がっていた。
体長五メートル。
茶色の剛毛に覆われた体。
鋭い爪。
そして、つぶらな瞳(?)。
「グルルルルゥ……!」
怪物が咆哮を上げる。
その声だけで、周囲の民家の窓ガラスが割れた。
「……でかいな」
公爵が剣を抜く。
「熊か? いや、あれは……」
私が目を凝らす。
その形状。
土を掘ることに特化した前脚。
そして、やたらと長い鼻。
「……モグラですね」
「は?」
「『ギガント・モール』です。本来は地中深くで眠っている古代種ですが……殿下が『杭』を抜いたせいで、地上への道が開通してしまったようです」
「モグラ……にしては凶暴すぎんか?」
公爵が言う通り、ギガント・モールは怒り狂っていた。
鼻息を荒くし、目の前にある民家を破壊しようと爪を振り上げている。
「ああっ! 僕のせいで民家が!」
ジェラルドが叫ぶ。
「安心してください殿下。あれは空き家です。……ですが、このままだと隣の商店街が壊滅します」
私は瞬時に損害額を試算した。
商店街の復興費用、営業補償、そして風評被害。
金貨十万枚コースだ。
ジェラルドが一生内職しても返せない。
「……やるしかないか」
ラシード公爵が魔力を練り上げる。
剣に青白い光が宿る。
一撃で仕留める気だ。
「待ってください、閣下!」
私が止めた。
「ここで閣下が必殺技(広範囲氷結魔法など)を使えば、商店街ごと氷漬けになります! 二次被害で請求額が増えます!」
「じゃあどうしろと言うんだ! あの爪を受けてみろ、ミンチになるぞ!」
「法で裁きます」
「はい?」
公爵とジェラルドが同時に素っ頓狂な声を上げた。
私は鞄から、魔力拡声器(メガホン)を取り出した。
そして、暴れる巨大モグラに向かって、凛とした声で呼びかけた。
「そこのモグラ! 止まりなさい!!」
「グルァ?」
モグラが動きを止めた。
意外と聞き分けがいい。
「貴方は現在、『不法侵入』および『器物損壊』の現行犯です! さらに、ここは『王都特別景観保存地区』です! 高さ三メートル以上の巨大生物の通行は条例で禁止されています!」
私はバインダーを掲げた。
「今すぐ退去しなさい! さもなくば、この私が全力を挙げて貴方を訴え、住処(巣穴)を差し押さえ、冬眠用の食料をすべて没収します!」
「……?」
モグラが首を傾げた。
言葉が通じているわけではないだろう。
だが、私の放つ「理不尽なまでの圧(債権者のオーラ)」を感じ取ったのか、少し怯んだように見えた。
「……通じるのか、それ」
公爵が呆然としている。
「動物も、強者(捕食者)の気配には敏感ですからね。今の私は『最強の捕食者(借金取り)』です」
「グルル……!」
モグラが再び唸り、威嚇してきた。
言葉だけでは退かないか。
やはり、少しばかりの「実力行使」が必要らしい。
「閣下。……あいつの鼻先、狙えますか?」
「造作もない」
「では、私が注意を引きます。その隙に、鼻先に一撃だけ入れてください。殺さず、戦意を喪失させる程度に」
「……無茶を言う。だが、乗った」
公爵が姿勢を低くする。
私はメガホンを最大音量にした。
「おいコラ! 聞いてんのかこの不届き者ォ! 慰謝料払えェェェ!!」
「ガァァァァッ!!」
モグラが私に向かって突進してきた。
巨大な爪が迫る。
ジェラルドが「コンシュぅぅ!」と叫ぶ。
だが、私は動かない。
私の背後には、最強の騎士がいるからだ。
ヒュッ。
風を切る音。
一瞬の閃光。
「……『氷牙(ヒョウガ)』」
公爵の剣閃が、モグラの急所である鼻先を正確に掠めた。
切断はしていない。
ただ、強烈な冷気と衝撃だけを与えた。
「ブギィィィッ!?」
モグラは情けない悲鳴を上げ、ひっくり返った。
鼻を押さえてのたうち回っている。
人間で言えば、弁慶の泣き所をハンマーで殴られたようなものだ。
「……確保完了ですね」
私は震える足(実は少し怖かった)を隠し、倒れたモグラに近づいた。
「さあ、示談交渉に入りましょうか。……通訳(獣使い)を呼んでください!」
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