24 / 28
24
「ない! ないのぉぉぉ!」
結婚式の開始一時間前。
新婦控室に、ミナの絶叫が響き渡った。
私とラシード公爵が駆けつけると、ウェディングドレス姿のミナが、引き出しや箱をひっくり返して暴れていた。
隣では、タキシード姿のジェラルド王子が顔面蒼白で震えている。
「どうしました、ミナ様。またお菓子が足りませんか?」
私が冷静に尋ねると、ミナは涙目で首を振った。
「違うの! 指輪! ジェラルド様と交換する『誓いの指輪』がないの!」
「……は?」
「さっきまで机の上にあったのに! ちょっと目を離した隙に消えちゃったの!」
場が凍りついた。
ただの指輪ではない。
今回、二人が使うのは王家に代々伝わる『光の指輪』だ。
時価、金貨五千枚。
もし紛失すれば、ジェラルドの借金は倍増し、一生ドリル一号の世話係確定である。
「探せぇぇぇ! 何としても探すんだぁぁ!」
ジェラルドが悲鳴を上げて床を這いずり回る。
侍女たちも大パニックだ。
私は眉間を押さえ、隣の公爵を見た。
「……閣下。会場の出入り口を封鎖してください。窃盗の可能性があります」
「了解した。……衛兵! アリ一匹逃すな!」
公爵が手際よく指示を出す。
私は腕まくりをして、現場検証に入った。
「ミナ様。最後に指輪を見たのはいつですか?」
「えっとね、三十分くらい前。……『お祝いクッキー』を焼こうと思って、生地をコネコネしてた時かな?」
「……クッキー?」
嫌な予感がした。
なぜ花嫁が式直前にクッキーを焼いているのか。
ツッコミどころは満載だが、今はスルーだ。
「その時、指輪はどうしていました?」
「汚れるから外して、横に置いて……。あ、そのあと『隠し味』を入れるのに夢中になって……」
「隠し味とは?」
「愛!」
「……物理的な材料名で答えてください」
「えっと、砕いたアーモンド!」
私は視線を部屋の隅に向けた。
そこには、可愛らしくラッピングされたバスケットが置かれている。
中には、焼き上がったばかりのゴツゴツしたクッキー。
「……まさか」
私はバスケットに歩み寄った。
甘い香りがする。
形は歪だが、こんがりと焼けている。
「……失礼します」
私はクッキーの一つを手に取り、躊躇なく真っ二つに割った。
サクッ。
中から出てきたのは、アーモンド――ではなく。
キラリと光る、プラチナのリングだった。
「……ありました」
「ええっ!?」
全員が驚愕する。
「な、なんでクッキーの中に!?」
「生地に混ぜたんでしょうね。アーモンドと間違えて」
私は呆れてため息をついた。
五千枚の指輪を焼き菓子にするとは、なんと贅沢な隠し味か。
しかも、もしこれに気づかず、式の中で食べさせ合いなどをしていたら……。
「ジェラルド殿下の喉に詰まって、式場が葬儀場になるところでしたよ」
「ひいいっ! 殺されるところだった!」
ジェラルドが首を押さえて後ずさる。
「あちゃ~、やっちゃった! ごめんね!」
ミナがテヘペロと舌を出す。
反省の色が見えない。
「……回収します」
私は指輪についたクッキー屑をハンカチで拭き取り、ジェラルドに渡した。
「はい、どうぞ。……『指輪捜索費用』および『緊急クリーニング代』として、金貨五十枚を請求します」
「は、払うよ! 命拾いしたと思えば安いもんだ!」
ジェラルドが涙目で指輪を受け取る。
これで一安心……と思った矢先だった。
「大変です! 今度は神父様が倒れました!」
侍女が飛び込んできた。
「はあ!? なんで!?」
「ミナ様の焼いた『試作品クッキー』を召し上がって、泡を吹いて……!」
「ミナァァァ!! 何を入れたんだァァ!」
ジェラルドが絶叫する。
「えっ? 栄養ドリンク(マンドラゴラ入り)だけど?」
「毒殺未遂だ!」
会場は大混乱に陥った。
神父不在。
開始時刻まであと十分。
招待客(借金取りや、王子の不始末を知る関係者たち)はすでに席についている。
「……どうするんだ、これ」
ラシード公爵が頭を抱える。
「中止にするか? 暴動が起きるぞ」
「中止はできません。キャンセル料が発生しますし、何より殿下の更生(借金返済)が遠のきます」
私は即断した。
こうなれば、使えるものは何でも使う。
「……閣下。神父の資格、お持ちですよね?」
「は? ……まあ、公爵家の当主として、形式上の祭司資格はあるが」
「採用です。閣下が神父代行をしてください」
「私が!? 元婚約者の式で!?」
「適任です。殿下が誓いの言葉を破ろうとしたら、その場で『断罪(物理)』できますから」
「……なるほど。悪くない」
公爵がニヤリと笑い、黒いマントを翻した。
「よし、行くぞ。……コンシュ、お前は立会人だ。指輪(クッキーまみれ)を管理しろ」
「はい。……追加料金、発生しますからね!」
◇
そして始まった結婚式。
祭壇の前には、ガタガタ震えるジェラルドと、ニコニコしているミナ。
その前に立つのは、聖書ではなく『分厚い契約書(借用書)』を持った、魔王のようなラシード公爵。
「……新郎ジェラルド。汝、健やかなる時も、病める時も、富める時も(ないと思うが)、貧しき時も(確定だが)、妻を愛し、借金を返し続けることを誓うか?」
「ち、誓いますぅぅ!」
「新婦ミナ。汝、夫がハゲても太っても、おやつが出なくても、彼を愛し、共に労働することを誓うか?」
「えー、おやつなし? ……まあ、週一でケーキくれるなら誓いまーす!」
「……誓約成立」
公爵が契約書にサインをさせる。
厳かな雰囲気など皆無。
まるで闇金の契約更新現場だ。
しかし、参列者たち(債権者)からは、割れんばかりの拍手が巻き起こった。
「よし! これで貸し倒れは免れたぞ!」
「働けよ王子!」
「ミナちゃん、逃げるなよー!」
異様な盛り上がりの中、二人は指輪(微かに甘い匂いがする)を交換した。
「……ふう。なんとかなりましたね」
私は柱の陰で、電卓を叩き終えた。
本日の売上、過去最高。
トラブル対応費、神父代行費、立会人手数料……すべてが私の利益となる。
「……疲れた」
公爵が戻ってきた。
神父の衣装(急拵え)を脱ぎ捨て、いつもの軍服に戻る。
「……二度と御免だ、あんな式は」
「同感です。……愛も感動もありませんでしたね」
「全くだ」
公爵は私を見つめ、ふと真剣な顔になった。
「……コンシュ」
「はい?」
「私たちの時は……もっと静かな式にしよう」
「……」
私たちの時。
その言葉の響きに、心臓が跳ねた。
「……誰もしない場所で、二人だけで。……契約書ではなく、心からの言葉を誓いたい」
公爵の手が、私の手に触れる。
その瞳は、騒がしい会場の中で、私だけを映していた。
「……見積もり、出しておいてくれ」
「……はい。格安プランで検討しておきます」
私は赤くなる顔を隠すように俯いた。
ジェラルドたちのドタバタ劇のおかげで、自分の結婚式へのハードルが下がったのは、唯一の怪我の功名かもしれない。
こうして、王都史上最も騒がしく、最も夢のない結婚式は幕を閉じた。
だが、物語はまだ終わらない。
次は、私自身が主役となる番だ。
結婚式の開始一時間前。
新婦控室に、ミナの絶叫が響き渡った。
私とラシード公爵が駆けつけると、ウェディングドレス姿のミナが、引き出しや箱をひっくり返して暴れていた。
隣では、タキシード姿のジェラルド王子が顔面蒼白で震えている。
「どうしました、ミナ様。またお菓子が足りませんか?」
私が冷静に尋ねると、ミナは涙目で首を振った。
「違うの! 指輪! ジェラルド様と交換する『誓いの指輪』がないの!」
「……は?」
「さっきまで机の上にあったのに! ちょっと目を離した隙に消えちゃったの!」
場が凍りついた。
ただの指輪ではない。
今回、二人が使うのは王家に代々伝わる『光の指輪』だ。
時価、金貨五千枚。
もし紛失すれば、ジェラルドの借金は倍増し、一生ドリル一号の世話係確定である。
「探せぇぇぇ! 何としても探すんだぁぁ!」
ジェラルドが悲鳴を上げて床を這いずり回る。
侍女たちも大パニックだ。
私は眉間を押さえ、隣の公爵を見た。
「……閣下。会場の出入り口を封鎖してください。窃盗の可能性があります」
「了解した。……衛兵! アリ一匹逃すな!」
公爵が手際よく指示を出す。
私は腕まくりをして、現場検証に入った。
「ミナ様。最後に指輪を見たのはいつですか?」
「えっとね、三十分くらい前。……『お祝いクッキー』を焼こうと思って、生地をコネコネしてた時かな?」
「……クッキー?」
嫌な予感がした。
なぜ花嫁が式直前にクッキーを焼いているのか。
ツッコミどころは満載だが、今はスルーだ。
「その時、指輪はどうしていました?」
「汚れるから外して、横に置いて……。あ、そのあと『隠し味』を入れるのに夢中になって……」
「隠し味とは?」
「愛!」
「……物理的な材料名で答えてください」
「えっと、砕いたアーモンド!」
私は視線を部屋の隅に向けた。
そこには、可愛らしくラッピングされたバスケットが置かれている。
中には、焼き上がったばかりのゴツゴツしたクッキー。
「……まさか」
私はバスケットに歩み寄った。
甘い香りがする。
形は歪だが、こんがりと焼けている。
「……失礼します」
私はクッキーの一つを手に取り、躊躇なく真っ二つに割った。
サクッ。
中から出てきたのは、アーモンド――ではなく。
キラリと光る、プラチナのリングだった。
「……ありました」
「ええっ!?」
全員が驚愕する。
「な、なんでクッキーの中に!?」
「生地に混ぜたんでしょうね。アーモンドと間違えて」
私は呆れてため息をついた。
五千枚の指輪を焼き菓子にするとは、なんと贅沢な隠し味か。
しかも、もしこれに気づかず、式の中で食べさせ合いなどをしていたら……。
「ジェラルド殿下の喉に詰まって、式場が葬儀場になるところでしたよ」
「ひいいっ! 殺されるところだった!」
ジェラルドが首を押さえて後ずさる。
「あちゃ~、やっちゃった! ごめんね!」
ミナがテヘペロと舌を出す。
反省の色が見えない。
「……回収します」
私は指輪についたクッキー屑をハンカチで拭き取り、ジェラルドに渡した。
「はい、どうぞ。……『指輪捜索費用』および『緊急クリーニング代』として、金貨五十枚を請求します」
「は、払うよ! 命拾いしたと思えば安いもんだ!」
ジェラルドが涙目で指輪を受け取る。
これで一安心……と思った矢先だった。
「大変です! 今度は神父様が倒れました!」
侍女が飛び込んできた。
「はあ!? なんで!?」
「ミナ様の焼いた『試作品クッキー』を召し上がって、泡を吹いて……!」
「ミナァァァ!! 何を入れたんだァァ!」
ジェラルドが絶叫する。
「えっ? 栄養ドリンク(マンドラゴラ入り)だけど?」
「毒殺未遂だ!」
会場は大混乱に陥った。
神父不在。
開始時刻まであと十分。
招待客(借金取りや、王子の不始末を知る関係者たち)はすでに席についている。
「……どうするんだ、これ」
ラシード公爵が頭を抱える。
「中止にするか? 暴動が起きるぞ」
「中止はできません。キャンセル料が発生しますし、何より殿下の更生(借金返済)が遠のきます」
私は即断した。
こうなれば、使えるものは何でも使う。
「……閣下。神父の資格、お持ちですよね?」
「は? ……まあ、公爵家の当主として、形式上の祭司資格はあるが」
「採用です。閣下が神父代行をしてください」
「私が!? 元婚約者の式で!?」
「適任です。殿下が誓いの言葉を破ろうとしたら、その場で『断罪(物理)』できますから」
「……なるほど。悪くない」
公爵がニヤリと笑い、黒いマントを翻した。
「よし、行くぞ。……コンシュ、お前は立会人だ。指輪(クッキーまみれ)を管理しろ」
「はい。……追加料金、発生しますからね!」
◇
そして始まった結婚式。
祭壇の前には、ガタガタ震えるジェラルドと、ニコニコしているミナ。
その前に立つのは、聖書ではなく『分厚い契約書(借用書)』を持った、魔王のようなラシード公爵。
「……新郎ジェラルド。汝、健やかなる時も、病める時も、富める時も(ないと思うが)、貧しき時も(確定だが)、妻を愛し、借金を返し続けることを誓うか?」
「ち、誓いますぅぅ!」
「新婦ミナ。汝、夫がハゲても太っても、おやつが出なくても、彼を愛し、共に労働することを誓うか?」
「えー、おやつなし? ……まあ、週一でケーキくれるなら誓いまーす!」
「……誓約成立」
公爵が契約書にサインをさせる。
厳かな雰囲気など皆無。
まるで闇金の契約更新現場だ。
しかし、参列者たち(債権者)からは、割れんばかりの拍手が巻き起こった。
「よし! これで貸し倒れは免れたぞ!」
「働けよ王子!」
「ミナちゃん、逃げるなよー!」
異様な盛り上がりの中、二人は指輪(微かに甘い匂いがする)を交換した。
「……ふう。なんとかなりましたね」
私は柱の陰で、電卓を叩き終えた。
本日の売上、過去最高。
トラブル対応費、神父代行費、立会人手数料……すべてが私の利益となる。
「……疲れた」
公爵が戻ってきた。
神父の衣装(急拵え)を脱ぎ捨て、いつもの軍服に戻る。
「……二度と御免だ、あんな式は」
「同感です。……愛も感動もありませんでしたね」
「全くだ」
公爵は私を見つめ、ふと真剣な顔になった。
「……コンシュ」
「はい?」
「私たちの時は……もっと静かな式にしよう」
「……」
私たちの時。
その言葉の響きに、心臓が跳ねた。
「……誰もしない場所で、二人だけで。……契約書ではなく、心からの言葉を誓いたい」
公爵の手が、私の手に触れる。
その瞳は、騒がしい会場の中で、私だけを映していた。
「……見積もり、出しておいてくれ」
「……はい。格安プランで検討しておきます」
私は赤くなる顔を隠すように俯いた。
ジェラルドたちのドタバタ劇のおかげで、自分の結婚式へのハードルが下がったのは、唯一の怪我の功名かもしれない。
こうして、王都史上最も騒がしく、最も夢のない結婚式は幕を閉じた。
だが、物語はまだ終わらない。
次は、私自身が主役となる番だ。
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています
かきんとう
恋愛
王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。
磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。
その中心に、私は立っていた。
――今日、この瞬間のために。
「エレノア・フォン・リーベルト嬢」
高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。
誘拐された公爵令嬢ですが、なぜか皇帝に溺愛されています』
富士山麓
恋愛
舞踏会で王太子から婚約破棄を告げられそうになった瞬間――
目の前に現れたのは、馬に乗った仮面の皇帝だった。
そのまま攫われた公爵令嬢ビアンキーナは、誘拐されたはずなのに超VIP待遇。
一方、助けようともしなかった王太子は「無能」と嘲笑され、静かに失墜していく。
選ばれる側から、選ぶ側へ。
これは、誰も断罪せず、すべてを終わらせた令嬢の物語。
地味令嬢の私が婚約破棄された結果、なぜか最強王子に溺愛されてます
白米
恋愛
侯爵家の三女・ミレイアは、控えめで目立たない“地味令嬢”。
特に取り柄もなく、華やかな社交界ではいつも壁の花。だが幼いころに交わされた約束で、彼女は王弟・レオンハルト殿下との婚約者となっていた。
だがある日、突然の婚約破棄通告――。
「やはり君とは釣り合わない」
そう言い放ったのは、表向きには完璧な王弟殿下。そしてその横には、社交界の華と呼ばれる公爵令嬢の姿が。
悲しみも怒りも感じる間もなく、あっさりと手放されたミレイア。
しかしその瞬間を見ていたのが、王家随一の武闘派にして“最強”と噂される第一王子・ユリウスだった。
「……くだらん。お前を手放すなんて、あいつは見る目がないな」
「よければ、俺が貰ってやろうか?」
冗談かと思いきや、なぜか本気のご様子!?
次の日には「俺の婚約者として紹介する」と言われ、さらには
「笑った顔が見たい」「他の男の前で泣くな」
――溺愛モードが止まらない!
聖女様と間違って召喚された腐女子ですが、申し訳ないので仕事します!
碧桜
恋愛
私は花園美月。20歳。派遣期間が終わり無職となった日、馴染の古書店で顔面偏差値高スペックなイケメンに出会う。さらに、そこで美少女が穴に吸い込まれそうになっていたのを助けようとして、私は古書店のイケメンと共に穴に落ちてしまい、異世界へ―。実は、聖女様として召喚されようとしてた美少女の代わりに、地味でオタクな私が間違って来てしまった!
落ちたその先の世界で出会ったのは、私の推しキャラと見た目だけそっくりな王(仮)や美貌の側近、そして古書店から一緒に穴に落ちたイケメンの彼は、騎士様だった。3人ともすごい美形なのに、みな癖強すぎ難ありなイケメンばかり。
オタクで人見知りしてしまう私だけど、元の世界へ戻れるまで2週間、タダでお世話になるのは申し訳ないから、お城でメイドさんをすることにした。平和にお給料分の仕事をして、異世界観光して、2週間後自分の家へ帰るつもりだったのに、ドラゴンや悪い魔法使いとか出てきて、異能を使うイケメンの彼らとともに戦うはめに。聖女様の召喚の邪魔をしてしまったので、美少女ではありませんが、地味で腐女子ですが出来る限り、精一杯頑張ります。
ついでに無愛想で苦手と思っていた彼は、なかなかいい奴だったみたい。これは、恋など始まってしまう予感でしょうか!?
*カクヨムにて先に連載しているものを加筆・修正をおこなって掲載しております
処刑回避のため家出した令嬢は、男装騎士として運命をやり直す
松平ちこ
恋愛
一度目の十七歳の人生で、すべてを失った。ただ生きていただけなのに。
家族も、居場所も、そして――命そのものを。
次に目を開けたとき、カメリアは「過去」に戻っていた。
二度目の人生で彼女が選んだのは、貴族令嬢として生き直すことではなかった。
家族を守るために、男として身を隠し逃げることを決意する。
少年リンとして身を寄せた隣国アスフォデル国の教会で、前世では起こらなかったはずの王位継承を目の当たりにする。
冷酷無慈悲と噂される新国王ライラック・アスフォデルは、あろうことか、カメリアの家族がいるミレット王国へと宣戦布告の準備を始めたという。
その噂の真意を突き止めるため、リンは兵として志願し、潜入するとこを決意する。
けれど、彼女は知らなかった。
この世界には、彼女の「最期」を知る者がいることを。
逃げ続けた先で、リンはやがてミレット王国の闇と向き合うことになる。
そして明かされる真実は、彼女の選択すべてを揺るがしていく――。
これは、処刑された令嬢が生き直し、逃げたはずの運命に再び捕まる物語。
政略結婚のはずが、完璧公爵の溺愛が子リス系令嬢を解き放ちました
宮野夏樹
恋愛
「冷徹」と噂されるヴァレリオ公爵ジュリアンと、淑女らしからぬ「男前」な本性を隠すリシェル伯爵令嬢。
政略結婚で結ばれた二人は、すれ違うばかりの初夜を過ごし、互いの距離は開く一方だった。
だが、ある秘密の趣味が露見したことで、完璧な公爵の仮面が剥がれ落ち、リシェルへの底なしの溺愛が止まらなくなる! 完璧主義の公爵が、リシェルを「可愛いもの」と認識した瞬間から、公爵邸は甘く蕩けるような空気に包まれる。
一方、執拗な嫌がらせを繰り返す邪魔な存在、シャルロッテの出現。
しかし、ジュリアンは「俺の可愛い妻を傷つける者は、決して許さない」と、その絶対的な愛と庇護で全てを排除。
そして、リシェルの長年のコンプレックスだった「男前」な本性も、ジュリアンの愛によって全て肯定され、真の幸福を掴む。
完璧公爵の強すぎる愛で、政略結婚から始まる「愛され新婚生活」は、予想もしない甘さで満たされていく——。
※以前投稿したものの修正版です。
読みやすさを重視しています。
おかげさまで、先行公開サイトにて累計100,000PVを突破いたしました!
感謝を込めて、記念の番外編をお届けします。
本日、改稿版もこれにて完結となります。最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!
節目には、達成祝いの話を投稿しますので、これからもヴァレリオ公爵家を温かく見守っていただけると幸いです。
『生きた骨董品』と婚約破棄されたので、世界最高の魔導ドレスでざまぁします。私を捨てた元婚約者が後悔しても、隣には天才公爵様がいますので!
aozora
恋愛
『時代遅れの飾り人形』――。
そう罵られ、公衆の面前でエリート婚約者に婚約を破棄された子爵令嬢セラフィナ。家からも見放され、全てを失った彼女には、しかし誰にも知られていない秘密の顔があった。
それは、世界の常識すら書き換える、禁断の魔導技術《エーテル織演算》を操る天才技術者としての顔。
淑女の仮面を捨て、一人の職人として再起を誓った彼女の前に現れたのは、革新派を率いる『冷徹公爵』セバスチャン。彼は、誰もが気づかなかった彼女の才能にいち早く価値を見出し、その最大の理解者となる。
古いしがらみが支配する王都で、二人は小さなアトリエから、やがて王国の流行と常識を覆す壮大な革命を巻き起こしていく。
知性と技術だけを武器に、彼女を奈落に突き落とした者たちへ、最も華麗で痛快な復讐を果たすことはできるのか。
これは、絶望の淵から這い上がった天才令嬢が、運命のパートナーと共に自らの手で輝かしい未来を掴む、愛と革命の物語。
【完結】廃墟送りの悪役令嬢、大陸一の都市を爆誕させる~冷酷伯爵の溺愛も限界突破しています~
遠野エン
恋愛
王太子から理不尽な婚約破棄を突きつけられた伯爵令嬢ルティア。聖女であるライバルの策略で「悪女」の烙印を押され、すべてを奪われた彼女が追放された先は荒れ果てた「廃墟の街」。人生のどん底――かと思いきや、ルティアは不敵に微笑んだ。
「問題が山積み? つまり、改善の余地(チャンス)しかありませんわ!」
彼女には前世で凄腕【経営コンサルタント】だった知識が眠っていた。
瓦礫を資材に変えてインフラ整備、ゴロツキたちを警備隊として雇用、嫌われ者のキノコや雑草(?)を名物料理「キノコスープ」や「うどん」に変えて大ヒット!
彼女の手腕によって、死んだ街は瞬く間に大陸随一の活気あふれる自由交易都市へと変貌を遂げる!
その姿に、当初彼女を蔑んでいた冷酷伯爵シオンの心も次第に溶かされていき…。
一方、ルティアを追放した王国は経済が破綻し、崩壊寸前。焦った元婚約者の王太子がやってくるが、幸せな市民と最愛の伯爵に守られた彼女にもう死角なんてない――――。
知恵と才覚で運命を切り拓く、痛快逆転サクセス&シンデレラストーリー、ここに開幕!