11 / 28
11
しおりを挟む
「お金があるって、素晴らしい!」
私はボロ屋の玄関前で、仁王立ちして叫んだ。
先日の「督促状作戦」でゲットした慰謝料(と、王子からの口止め料)は、即座にこの家のリフォーム資金へと変わった。
王都の商会に通信石で発注をかけ、特急料金を上乗せして資材を取り寄せたのだ。
「さあ、作業開始よ!」
雇ったのは、近隣の漁村に住む大工たちだ。
彼らは最初は「こんな廃墟、直すより建て替えた方が……」と渋っていたが、私が札束(金貨)で頬を叩いた瞬間、「へい! 喜んで!」とプロの顔になった。
現金な人たちだ。気が合う。
カンカンカン! ギコギコ!
小気味良い音が響き渡る。
雨漏りしていた屋根は、最新の防水加工瓦に。
腐っていた床板は、高級マホガニー材に。
そして何より重要なのが……。
「完成! 私の城!」
三日後。
そこには、もはや「ボロ屋」とは呼べない、白亜のコテージが誕生していた。
テラスには白いパラソルと籐(とう)の椅子。
室内にはフカフカのソファと、最新式の魔導キッチン。
さらに、寝室には最高級スプリングのベッドを導入した。
「ふふふ……これよ。これが私が求めていた『QOL(クオリティ・オブ・ライフ)』よ!」
私はテラスの椅子に深々と座り、冷えたフルーツ水を飲んだ。
完璧だ。
もう背中の痛みで目覚めることも、井戸の水汲みで筋肉痛になることもない。
「……随分と様変わりしたな」
いつもの低い声が聞こえた。
テラスの向こう、私の家の境界線ギリギリの場所に、サイラスが立っていた。
今日はなぜか、いつもより少しカチッとした服装だ。
「あら、サイラス様。見てください、このビフォーアフターを! 匠の技(と金)の結晶です!」
「……三日でこれか。お前の行動力には恐れ入る」
サイラスは呆れたように、しかし感心した様子で新居を見回した。
「これなら、台風が来ても飛ばされなさそうだな」
「ええ。基礎工事からやり直しましたから。ついでに防犯用の『落とし穴』も庭に三箇所ほど掘りました」
「……誰を落とす気だ?」
「もちろん、招かれざる客(主に王子とか、王子とか、王子)です。あ、サイラス様は踏まないように気をつけてくださいね。目印に赤い花を植えてありますから」
「……配慮に感謝する」
サイラスは苦笑しながらテラスに上がってきた。
私は彼にフルーツ水を勧めた。
「それで? 今日は何の用ですか? またお腹が空いたんですか?」
「いや」
サイラスは珍しく言い淀んだ。
彼はグラスを受け取ったまま、何かを迷うように視線を泳がせている。
「……今日は、提案があって来た」
「提案?」
「単刀直入に言う」
サイラスは真剣な眼差しで、私を真っ直ぐに見据えた。
その青い瞳に、私は思わず居住まいを正した。
(何? このシリアスな空気。もしかして、立ち退き要求? やっぱり隣人がうるさいから出て行けとか?)
私は身構えた。
サイラスは深く息を吸い、言った。
「私の城に来ないか」
「……はい?」
「この家も悪くはないが、やはり不便だろう。私の城なら設備も整っているし、使用人もいる。食材も最高級のものが揃っている」
「はあ」
「お前の部屋も用意させよう。一番日当たりの良い、海が見える部屋だ。インテリアも好きにしていい」
サイラスは一歩近づいてきた。
「私のそばにいれば、もう金輪際、不自由はさせない。あの馬鹿王子のような真似もしないし、お前の才能を……その、計算高さも含めて、尊重する」
彼の言葉は熱を帯びていた。
「俺には、お前が必要だ。……どうだ?」
サイラスは手を差し出した。
私はその手と、彼の真剣な顔を交互に見た。
沈黙が流れる。
波の音だけが聞こえる。
そして、私の脳内コンピューターが、彼の言葉を高速で解析した。
解析結果が出た。
私はポンと手を打った。
「なるほど! そういうことですか!」
「……分かってくれたか」
サイラスの表情がパッと明るくなる。
私は満面の笑みで、彼の手をガッチリと握り返した。
「ええ、よく分かりました! つまり……」
「つまり?」
「『ヘッドハンティング』ですね!!」
「……は?」
サイラスの笑顔が凍りついた。
私は構わず捲し立てた。
「私の『家計管理能力』と『料理の腕』、そして『屋敷のリフォーム手腕』を高く評価してくださり、グレイヴ辺境伯家の『筆頭家令(兼コンサルタント)』として雇いたい、というオファーですね!」
「……いや、そういうわけでは」
「素晴らしい提案です! 正直、このまま無職で食いつなぐのも不安でしたし、大口のクライアント(パトロン)がいれば安泰です!」
私は懐からメモ帳を取り出した。
「では、労働条件の交渉に入りましょう。まず基本給ですが、辺境伯家の予算管理を任されるなら、月給金貨五十枚は頂きたいです」
「……五十枚」
「高いですか? でも、私が介入すれば、必ずそれ以上の経費削減効果を出してみせます。元は取れますよ」
「金の問題ではない」
「次に勤務時間です。私は『スローライフ』が信条ですので、残業は一切しません。朝の九時から夕方五時まで。休日は週休二日制。有給休暇は初年度から二十日付与でお願いします」
「……」
「それから、住み込みとのことですが、プライベート空間の確保は絶対です。私の部屋に勝手に入らないこと。特に、夜中に『小腹が空いた』と呼び出すのは、深夜割増料金(通常の三倍)を請求します」
「……ピース」
「最後に! ここが重要なんですが、契約期間は一年ごとの更新で。もし私により良い条件(もっと楽して稼げる話)が舞い込んだ場合は、違約金なしで退職できるものとします!」
私は一気に言い切り、期待に満ちた目でサイラスを見た。
「どうでしょう、この条件で? 雇い主(ボス)として、サインして頂けますか?」
サイラスは長い、長い沈黙の後。
片手で顔を覆い、天を仰いだ。
「……はぁ」
深いため息が、南国の風に流されていく。
「な、何か不満でしたか? 福利厚生が厚すぎました?」
「……違う。そうじゃない」
サイラスは力なく首を振った。
「俺が言いたかったのは、雇用契約ではなく……終身契約、いや、パートナーシップというか……」
「パートナー? ああ、共同経営者(ビジネスパートナー)としてですか! それなら話は別です。出資比率はどうなりますか?」
「もういい」
サイラスはガックリと肩を落とした。
彼は悟ったのだ。
この「守銭奴令嬢」には、ロマンチックな言葉など馬の耳に念仏。
色気のある誘い文句も、全て「ビジネス用語」に自動翻訳されてしまうのだと。
「……とりあえず、その条件で保留にしておく」
サイラスは疲れたように言った。
「えっ、即決じゃないんですか? 残念」
「少し考えさせてくれ。……頭が痛くなってきた」
「あら、熱射病ですか? 冷たいお水、もう一杯どうですか? 一杯銀貨一枚ですけど」
「……貰おう。ツケでな」
サイラスは再び椅子に座り込み、遠い目をした。
「(……道のりは遠そうだ)」
彼の心の声は、私には聞こえなかった。
私は「やった! 就職活動の手応えアリ!」と内心ガッツポーズをしていた。
「あ、そうだサイラス様。もし採用してくださるなら、特典として『王子の撃退マニュアル(改訂版)』もお付けしますよ」
「……それは魅力的だな」
サイラスが少しだけ笑った。
「まあ、焦ることはない。お前がここを気に入っているなら、しばらくは通いでいい」
「通い妻ならぬ、通い家政婦ですね!」
「……語弊があるが、まあいい」
こうして、サイラスの一世一代の(遠回しな)プロポーズは、見事に「就職面接」へとすり替えられてしまった。
だが、彼は諦めてはいなかった。
むしろ、その瞳には「長期戦上等」という新たな闘志が宿っていた。
「(外堀から埋めるしかないか。……まずは胃袋と、財布を完全に掌握してからだ)」
策士・サイラスの、新たな攻略プランが練られ始めた。
そんなこととは露知らず。
私は「よし、これで安定収入も確保できそう!」とホクホク顔で、夕食の準備(もちろんサイラスの分も有料で)を始めるのだった。
しかし。
私たちの奇妙な関係が進展する前に。
「あの」トラブルメーカーが、ついにこの島へと上陸しようとしていた。
今度は王子ではない。
さらに厄介な、「自称ヒロイン」のミナ嬢である。
私はボロ屋の玄関前で、仁王立ちして叫んだ。
先日の「督促状作戦」でゲットした慰謝料(と、王子からの口止め料)は、即座にこの家のリフォーム資金へと変わった。
王都の商会に通信石で発注をかけ、特急料金を上乗せして資材を取り寄せたのだ。
「さあ、作業開始よ!」
雇ったのは、近隣の漁村に住む大工たちだ。
彼らは最初は「こんな廃墟、直すより建て替えた方が……」と渋っていたが、私が札束(金貨)で頬を叩いた瞬間、「へい! 喜んで!」とプロの顔になった。
現金な人たちだ。気が合う。
カンカンカン! ギコギコ!
小気味良い音が響き渡る。
雨漏りしていた屋根は、最新の防水加工瓦に。
腐っていた床板は、高級マホガニー材に。
そして何より重要なのが……。
「完成! 私の城!」
三日後。
そこには、もはや「ボロ屋」とは呼べない、白亜のコテージが誕生していた。
テラスには白いパラソルと籐(とう)の椅子。
室内にはフカフカのソファと、最新式の魔導キッチン。
さらに、寝室には最高級スプリングのベッドを導入した。
「ふふふ……これよ。これが私が求めていた『QOL(クオリティ・オブ・ライフ)』よ!」
私はテラスの椅子に深々と座り、冷えたフルーツ水を飲んだ。
完璧だ。
もう背中の痛みで目覚めることも、井戸の水汲みで筋肉痛になることもない。
「……随分と様変わりしたな」
いつもの低い声が聞こえた。
テラスの向こう、私の家の境界線ギリギリの場所に、サイラスが立っていた。
今日はなぜか、いつもより少しカチッとした服装だ。
「あら、サイラス様。見てください、このビフォーアフターを! 匠の技(と金)の結晶です!」
「……三日でこれか。お前の行動力には恐れ入る」
サイラスは呆れたように、しかし感心した様子で新居を見回した。
「これなら、台風が来ても飛ばされなさそうだな」
「ええ。基礎工事からやり直しましたから。ついでに防犯用の『落とし穴』も庭に三箇所ほど掘りました」
「……誰を落とす気だ?」
「もちろん、招かれざる客(主に王子とか、王子とか、王子)です。あ、サイラス様は踏まないように気をつけてくださいね。目印に赤い花を植えてありますから」
「……配慮に感謝する」
サイラスは苦笑しながらテラスに上がってきた。
私は彼にフルーツ水を勧めた。
「それで? 今日は何の用ですか? またお腹が空いたんですか?」
「いや」
サイラスは珍しく言い淀んだ。
彼はグラスを受け取ったまま、何かを迷うように視線を泳がせている。
「……今日は、提案があって来た」
「提案?」
「単刀直入に言う」
サイラスは真剣な眼差しで、私を真っ直ぐに見据えた。
その青い瞳に、私は思わず居住まいを正した。
(何? このシリアスな空気。もしかして、立ち退き要求? やっぱり隣人がうるさいから出て行けとか?)
私は身構えた。
サイラスは深く息を吸い、言った。
「私の城に来ないか」
「……はい?」
「この家も悪くはないが、やはり不便だろう。私の城なら設備も整っているし、使用人もいる。食材も最高級のものが揃っている」
「はあ」
「お前の部屋も用意させよう。一番日当たりの良い、海が見える部屋だ。インテリアも好きにしていい」
サイラスは一歩近づいてきた。
「私のそばにいれば、もう金輪際、不自由はさせない。あの馬鹿王子のような真似もしないし、お前の才能を……その、計算高さも含めて、尊重する」
彼の言葉は熱を帯びていた。
「俺には、お前が必要だ。……どうだ?」
サイラスは手を差し出した。
私はその手と、彼の真剣な顔を交互に見た。
沈黙が流れる。
波の音だけが聞こえる。
そして、私の脳内コンピューターが、彼の言葉を高速で解析した。
解析結果が出た。
私はポンと手を打った。
「なるほど! そういうことですか!」
「……分かってくれたか」
サイラスの表情がパッと明るくなる。
私は満面の笑みで、彼の手をガッチリと握り返した。
「ええ、よく分かりました! つまり……」
「つまり?」
「『ヘッドハンティング』ですね!!」
「……は?」
サイラスの笑顔が凍りついた。
私は構わず捲し立てた。
「私の『家計管理能力』と『料理の腕』、そして『屋敷のリフォーム手腕』を高く評価してくださり、グレイヴ辺境伯家の『筆頭家令(兼コンサルタント)』として雇いたい、というオファーですね!」
「……いや、そういうわけでは」
「素晴らしい提案です! 正直、このまま無職で食いつなぐのも不安でしたし、大口のクライアント(パトロン)がいれば安泰です!」
私は懐からメモ帳を取り出した。
「では、労働条件の交渉に入りましょう。まず基本給ですが、辺境伯家の予算管理を任されるなら、月給金貨五十枚は頂きたいです」
「……五十枚」
「高いですか? でも、私が介入すれば、必ずそれ以上の経費削減効果を出してみせます。元は取れますよ」
「金の問題ではない」
「次に勤務時間です。私は『スローライフ』が信条ですので、残業は一切しません。朝の九時から夕方五時まで。休日は週休二日制。有給休暇は初年度から二十日付与でお願いします」
「……」
「それから、住み込みとのことですが、プライベート空間の確保は絶対です。私の部屋に勝手に入らないこと。特に、夜中に『小腹が空いた』と呼び出すのは、深夜割増料金(通常の三倍)を請求します」
「……ピース」
「最後に! ここが重要なんですが、契約期間は一年ごとの更新で。もし私により良い条件(もっと楽して稼げる話)が舞い込んだ場合は、違約金なしで退職できるものとします!」
私は一気に言い切り、期待に満ちた目でサイラスを見た。
「どうでしょう、この条件で? 雇い主(ボス)として、サインして頂けますか?」
サイラスは長い、長い沈黙の後。
片手で顔を覆い、天を仰いだ。
「……はぁ」
深いため息が、南国の風に流されていく。
「な、何か不満でしたか? 福利厚生が厚すぎました?」
「……違う。そうじゃない」
サイラスは力なく首を振った。
「俺が言いたかったのは、雇用契約ではなく……終身契約、いや、パートナーシップというか……」
「パートナー? ああ、共同経営者(ビジネスパートナー)としてですか! それなら話は別です。出資比率はどうなりますか?」
「もういい」
サイラスはガックリと肩を落とした。
彼は悟ったのだ。
この「守銭奴令嬢」には、ロマンチックな言葉など馬の耳に念仏。
色気のある誘い文句も、全て「ビジネス用語」に自動翻訳されてしまうのだと。
「……とりあえず、その条件で保留にしておく」
サイラスは疲れたように言った。
「えっ、即決じゃないんですか? 残念」
「少し考えさせてくれ。……頭が痛くなってきた」
「あら、熱射病ですか? 冷たいお水、もう一杯どうですか? 一杯銀貨一枚ですけど」
「……貰おう。ツケでな」
サイラスは再び椅子に座り込み、遠い目をした。
「(……道のりは遠そうだ)」
彼の心の声は、私には聞こえなかった。
私は「やった! 就職活動の手応えアリ!」と内心ガッツポーズをしていた。
「あ、そうだサイラス様。もし採用してくださるなら、特典として『王子の撃退マニュアル(改訂版)』もお付けしますよ」
「……それは魅力的だな」
サイラスが少しだけ笑った。
「まあ、焦ることはない。お前がここを気に入っているなら、しばらくは通いでいい」
「通い妻ならぬ、通い家政婦ですね!」
「……語弊があるが、まあいい」
こうして、サイラスの一世一代の(遠回しな)プロポーズは、見事に「就職面接」へとすり替えられてしまった。
だが、彼は諦めてはいなかった。
むしろ、その瞳には「長期戦上等」という新たな闘志が宿っていた。
「(外堀から埋めるしかないか。……まずは胃袋と、財布を完全に掌握してからだ)」
策士・サイラスの、新たな攻略プランが練られ始めた。
そんなこととは露知らず。
私は「よし、これで安定収入も確保できそう!」とホクホク顔で、夕食の準備(もちろんサイラスの分も有料で)を始めるのだった。
しかし。
私たちの奇妙な関係が進展する前に。
「あの」トラブルメーカーが、ついにこの島へと上陸しようとしていた。
今度は王子ではない。
さらに厄介な、「自称ヒロイン」のミナ嬢である。
90
あなたにおすすめの小説
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
『お前の顔は見飽きた!』内心ガッツポーズで辺境へ
夏乃みのり
恋愛
「リーナ・フォン・アトラス! 貴様との婚約を破棄する!」
華やかな王宮の夜会で、第一王子ジュリアンに突きつけられた非情な宣告。冤罪を被せられ、冷酷な悪役令嬢として追放を言い渡されたリーナだったが、彼女の内心は……「やったーーー! これでやっとトレーニングに専念できるわ!」と歓喜に震えていた!
冷酷侯爵と政略結婚したら、実家がざまぁされました
鍛高譚
恋愛
「この結婚は、家のため。ただの政略結婚よ」
そう言い聞かせ、愛のない結婚を受け入れた公爵令嬢リゼット。
しかし、挙式後すぐに父が「婚約破棄しろ」と命じてきた!?
だが、夫であるアレクシス・フォン・シュヴァルツ侯爵は冷たく言い放つ。
「彼女を渡すつもりはない」
冷酷無慈悲と噂される侯爵が、なぜかリゼットを溺愛し始める!?
毎日甘やかされ、守られ、気づけば逃げ場なし!
さらに、父の不正が明るみに出て、公爵家は失墜――
リゼットを道具として利用しようとした者たちに、ざまぁの鉄槌が下される!
政略結婚から始まる、甘々溺愛ラブストーリー!
「愛なんてないはずなのに……どうしてこんなに大切にされるの?」
『婚約破棄はお好きにどうぞ。――真実の愛に酔った王太子の末路と、私は隣国で王妃になります』
鷹 綾
恋愛
「真実の愛に目覚めた」――そう仰るのなら、どうぞご自由に。
公爵令嬢アーデルハイトは、王太子から突然の婚約破棄を迫られる。
理由はただ一つ。若き未亡人伯爵夫人との“運命の恋”。
爵位を継がせ、領地を与え、守ると誓う王太子。
甘い言葉と涙の芝居に酔いしれる二人。
社交界はざわめき、噂は炎のように広がっていく――。
だがアーデルハイトは動じない。
「ロマンスは小説だけで充分ですわ」
婚約破棄は受け入れる。
ただし、契約通りの違約金はきっちりいただく。
そして彼女は、その莫大な違約金を元手に隣国ヴァルディア王と婚約。
感情ではなく理で動き、交易を再編し、国と国を繋ぐ“橋”となる。
一方、真実の愛に酔った王太子は、
世間から「遺産目当て」「操られている」と叩かれ、政治的窮地へ――。
これは、激情に溺れた恋の末路と、
冷静に未来を選び取った公爵令嬢が王妃へと至る物語。
三流ロマンスの終幕後、
最後に立っているのは誰なのか。
ざまぁは静かに、しかし確実に訪れる。
婚約破棄された公爵令嬢ですが、戻らなかっただけです
鷹 綾
恋愛
王太子カイル殿下から、社交界の場で婚約破棄を言い渡された公爵令嬢リュシエンヌ。
理由は――
「王太子妃には華が必要だから」。
新たに選ばれたのは、愛らしく無邪気な義妹セシリア。
誰もが思った。
傷ついた令嬢は泣き、縋り、やがて戻るのだと。
けれどリュシエンヌは、ただ一言だけ告げる。
「戻りません」
彼女は怒らない。
争わない。
復讐もしない。
ただ――王家を支えるのをやめただけ。
流通は滞り、商会は様子を見始め、焦った王太子は失点を重ねる。
さらに義妹の軽率な一言が決定打となり、王太子妃候補の座は静かに消えた。
強いざまあとは、叫ぶことではない。
自らの選択で、自らの立場を削らせること。
そして彼女は最後まで戻らない。
支えない。
奪わない。
――選ばれなかったのではない。
彼女が、選ばなかったのだ。
これは、沈黙で勝つ公爵令嬢の物語。
前世で私を捨てた皇太子が、今世ではなぜか執着してきます。でも私は静王妃なので『皇叔母様』と呼ばせます
由香
恋愛
沈薬は前世、皇太子の妃だった。
だが彼の寵愛は側室へ移り、沈薬は罪もなく冷宮へ送られ――孤独の中で死んだ。
そして目を覚ますと、賜婚宴の日に戻っていた。
二度目の人生。
沈薬は迷わず皇太子ではなく、皇帝の弟である静王を選ぶ。
ただしその夫は、戦で重傷を負い昏睡中だった。
「今世は静かに生きられればそれでいい」
そう思っていたのに――
奇跡的に目覚めた静王は、沈薬を誰よりも大切にしてくれた。
さらにある日。
皇太子が前世の記憶を思い出してしまう。
「沈薬は俺の妃だった」
だが沈薬は微笑んで言う。
「殿下、私は静王妃です」
今の関係は――
皇叔母様。
前世で捨てた女を取り戻そうとする皇太子。
それを静かに守る静王。
宮廷を揺るがす執着と溺愛の物語。
婚約破棄ですか?構いませんわ。ですがその契約、すべて我が家のものです
ふわふわ
恋愛
王太子ユリウスは、王立学園の卒業舞踏会で突然宣言した。
「カリスタ・ヴァレリオンとの婚約を破棄する!」
隣には涙を流す義妹ルミレア。
彼女は「姉に虐げられてきた可哀想な令嬢」を演じ、王太子はそれを信じてしまう。
だが――王太子は知らなかった。
ヴァレリオン公爵家が
王国銀行の資金、港湾会社の株式、商人組合の信用保証――
王国経済の中枢を支える契約のほとんどを握っていたことを。
婚約破棄と同時に、カリスタは静かに言った。
「では契約を終了いたします」
その瞬間、王国の歯車は止まり始める。
港は停止。
銀行は資金不足。
商人は取引停止。
そしてついに――
王宮大広間で王太子の公開断罪が始まる。
「私は悪くない!」
「騙されたんだ!」
見苦しく喚き暴れる王太子は、衛兵に取り押さえられ、床を引きずられるようにして連行されていく。
王太子、義妹、義父母。
すべてが破滅したとき、カリスタはただ静かに告げる。
「契約は終わりました」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる