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ユミリアが去った後のパーティー会場は、奇妙な熱気に包まれていた。
といっても、それは感動や興奮といった類のものではない。
大多数の貴族たちが抱いていたのは、沈没船に取り残されたような焦燥感だった。
だが、渦中の人物であるアレクセイ王子だけは、上機嫌でワインを傾けている。
「ふん、見てみろあの書類の山を。ユミリアの奴、よほど私に未練があったと見える」
彼は、ユミリアが置いていった羊皮紙の束をパラパラと適当にめくった。
そこに羅列された数字の羅列など、目に入っていないようだ。
「あれはきっと、私への恋文の代わりなのだ。『こんなに貴方のために尽くしました』というアピールに違いない」
「さすがはアレクセイ様ですぅ。愛されてますねぇ」
ニーナが甘ったるい声で相槌を打つ。
「だが、もう遅い。私の心はニーナ、君だけのものだ」
「きゃっ! もう、アレクセイ様ったら!」
二人が見せつけるような口づけを交わすと、周囲の貴族たちは一斉に視線を逸らした。
直視できない、という意味ではない。
『あ、これ終わったな』という諦めの境地である。
「殿下、あ、あの……よろしいでしょうか」
恐る恐る声をかけたのは、財務大臣の息子だった。
顔色は死人のように白い。
「なんだ? 今はニーナとの愛を語らっている最中だぞ」
「い、いえ、その書類です。先ほどユミリア嬢……いえ、ローゼン公爵令嬢が置いていかれたものですが」
「ああ、これか。愛の重さを物理的に表現したかったのだろう? 後で暖炉の焚き付けにでもしておけ」
「め、滅相もございません!!」
財務大臣の息子は悲鳴に近い声を上げた。
「そ、そこには国庫への貸付金返済に関する条項が……! しかも『即時一括』とあります! 殿下がサインされた以上、これは王命と同等の効力を持ちます!」
「はあ? 何を言っている。金など、父上に頼めばいくらでも湧いてくるだろう」
「湧いてきません! 現在の国庫は空っぽです! ローゼン公爵家の支援があって初めて回っていた自転車操業なんですよ!?」
彼は必死に訴えたが、アレクセイはきょとんとした顔で首を傾げた。
「自転車? なんだそれは。新しい馬車の名前か?」
「……っ!」
会話が通じない。
その事実に絶望した財務大臣の息子は、膝から崩れ落ちた。
「あーあ、可哀想に。難しいお話ばかりするから疲れちゃったんですねぇ」
ニーナが無邪気に笑う。
アレクセイは彼女の肩を抱き寄せ、優しく囁いた。
「気にするなニーナ。凡人には、我々の高尚な愛の世界が理解できないだけだ」
「はいっ! 私、アレクセイ様がいればパンの耳でも幸せです!」
「ははは、パンの耳など食べさせはしないさ。これからは毎日、最高級のケーキを食べよう」
そのケーキを買う金がどこにあるのか。
会場にいる全員が心の中でツッコミを入れたが、誰一人としてそれを口にする勇気はなかった。
なぜなら、彼らは既に計算を始めていたからだ。
この国が破綻するまでの日数と、自分の資産を海外へ持ち出すためのルートを。
◇ ◇ ◇
一方その頃。
王都の一等地にあるローゼン公爵邸は、戦場のような……いや、高度に訓練された軍隊のような動きを見せていた。
「お父様、ただいま戻りました」
私が執務室の扉を開けると、父であるローゼン公爵が優雅に紅茶を飲んでいた。
片眼鏡をかけた鋭い眼光は私とよく似ている。
「遅かったな、ユミリア。予定より三分オーバーだ」
「申し訳ありません。退場際に殿下が駄々をこねたもので。サインをもらうのに手間取りました」
「ほう。例のブツは?」
「ここに」
私が懐から羊皮紙の束を取り出すと、父はそれを素早く奪い取り、内容を確認した。
王子の署名。
王家の印章(持ち出されていたものをニーナが遊びで押していたのを、私が有効活用させた)。
「……完璧だ。これさえあれば、法的にも国際的にも、我が家は王家への義理を完全に果たし、かつ債権を回収する権利を得たことになる」
父はニヤリと笑った。
悪人面だ。
私もきっと同じ顔をしているだろう。
「で、お父様。準備の方は?」
「愚問だな。窓の外を見てみろ」
言われて窓から中庭を見下ろすと、そこには数十台の馬車が整然と並んでいた。
荷積みは既に完了しており、屋敷の家財道具から美術品、さらには愛用していたティーカップ一つに至るまで、全て梱包済みだ。
使用人たちが無駄のない動きで整列している。
「さすがはお父様。逃げ足の速さは天下一品ですね」
「危機管理能力と言え。沈むとわかっている泥舟に乗り続けるのは、無能のすることだ」
父は立ち上がり、マントを翻した。
「我が家は代々、この国の金庫番として尽くしてきた。だが、今の王家はその恩を仇で返した。王妃教育と称して娘をこき使い、あまつさえあの愚鈍な王子と浮気女に侮辱を与えるとはな」
父の声には、静かだが確かな怒りが滲んでいた。
「ユミリア。お前はよく耐えた。これからは、お前の能力を正当に評価してくれる場所へ行こう」
「はい。隣国のガレリア帝国ですね」
「うむ。あそこは実力主義だ。クラウス公爵とは既に話がついている。『是非ともその頭脳を借りたい』とな」
クラウス公爵。
隣国で「氷の宰相」と恐れられる、冷徹な切れ者だと聞いている。
噂では、業務効率化のために無能な部下を笑顔で左遷し、執務室の温度を物理的に下げることができるとか。
「……気が合いそうな方ですね」
「だろう? お前の好きな『数字』と『論理』が支配する国だ」
父は懐中時計を確認した。
「さて、出発だ。夜明け前には国境を越えるぞ。国王が目を覚まし、王子のやらかしに気づく頃には、我々はもう国外だ」
「はい。……あ、お父様。一つだけ」
「なんだ?」
「庭の植木、どうします? あれ、お父様のお気に入りでしたよね」
「根こそぎ掘り起こして荷馬車3号車に積んだ」
「仕事が早いです」
私たちは顔を見合わせて笑った。
屋敷を出て、馬車に乗り込む。
長年住み慣れた我が家だが、未練は微塵もない。
むしろ、壁紙の修繕費や光熱費の計算から解放される喜びの方が大きかった。
「出発!」
御者の掛け声と共に、馬車列が動き出す。
ガタゴトと揺れる車内で、私は手帳を開いた。
これまでの王家とのやり取り、貸付金の利子計算、そして今後の人生設計。
全てが計算通りに進んでいる。
唯一の誤算といえば、最後の最後でアレクセイ王子があそこまで馬鹿だったことくらいか。
「まあ、おかげで慰謝料を上乗せできたから良しとしましょう」
夜明け前の薄暗い街道を、ローゼン公爵家の馬車列が疾走する。
それはまるで、過去のしがらみを振り切るかのような、爽快な逃避行だった。
後方に見える王城には、まだ明かりが灯っている。
あそこで今もなお、王子とニーナが「真実の愛」とやらで浮かれているのかと思うと、笑いが込み上げてくる。
どうぞお幸せに。
これから訪れる地獄のような現実が、二人の愛を試す最高のスパイスになることを祈って。
「さあ、次はどんな数字に出会えるかしら」
私は新しいページをめくった。
そこにはまだ、何も書かれていない。
自由という名の白紙が、私を待っていた。
といっても、それは感動や興奮といった類のものではない。
大多数の貴族たちが抱いていたのは、沈没船に取り残されたような焦燥感だった。
だが、渦中の人物であるアレクセイ王子だけは、上機嫌でワインを傾けている。
「ふん、見てみろあの書類の山を。ユミリアの奴、よほど私に未練があったと見える」
彼は、ユミリアが置いていった羊皮紙の束をパラパラと適当にめくった。
そこに羅列された数字の羅列など、目に入っていないようだ。
「あれはきっと、私への恋文の代わりなのだ。『こんなに貴方のために尽くしました』というアピールに違いない」
「さすがはアレクセイ様ですぅ。愛されてますねぇ」
ニーナが甘ったるい声で相槌を打つ。
「だが、もう遅い。私の心はニーナ、君だけのものだ」
「きゃっ! もう、アレクセイ様ったら!」
二人が見せつけるような口づけを交わすと、周囲の貴族たちは一斉に視線を逸らした。
直視できない、という意味ではない。
『あ、これ終わったな』という諦めの境地である。
「殿下、あ、あの……よろしいでしょうか」
恐る恐る声をかけたのは、財務大臣の息子だった。
顔色は死人のように白い。
「なんだ? 今はニーナとの愛を語らっている最中だぞ」
「い、いえ、その書類です。先ほどユミリア嬢……いえ、ローゼン公爵令嬢が置いていかれたものですが」
「ああ、これか。愛の重さを物理的に表現したかったのだろう? 後で暖炉の焚き付けにでもしておけ」
「め、滅相もございません!!」
財務大臣の息子は悲鳴に近い声を上げた。
「そ、そこには国庫への貸付金返済に関する条項が……! しかも『即時一括』とあります! 殿下がサインされた以上、これは王命と同等の効力を持ちます!」
「はあ? 何を言っている。金など、父上に頼めばいくらでも湧いてくるだろう」
「湧いてきません! 現在の国庫は空っぽです! ローゼン公爵家の支援があって初めて回っていた自転車操業なんですよ!?」
彼は必死に訴えたが、アレクセイはきょとんとした顔で首を傾げた。
「自転車? なんだそれは。新しい馬車の名前か?」
「……っ!」
会話が通じない。
その事実に絶望した財務大臣の息子は、膝から崩れ落ちた。
「あーあ、可哀想に。難しいお話ばかりするから疲れちゃったんですねぇ」
ニーナが無邪気に笑う。
アレクセイは彼女の肩を抱き寄せ、優しく囁いた。
「気にするなニーナ。凡人には、我々の高尚な愛の世界が理解できないだけだ」
「はいっ! 私、アレクセイ様がいればパンの耳でも幸せです!」
「ははは、パンの耳など食べさせはしないさ。これからは毎日、最高級のケーキを食べよう」
そのケーキを買う金がどこにあるのか。
会場にいる全員が心の中でツッコミを入れたが、誰一人としてそれを口にする勇気はなかった。
なぜなら、彼らは既に計算を始めていたからだ。
この国が破綻するまでの日数と、自分の資産を海外へ持ち出すためのルートを。
◇ ◇ ◇
一方その頃。
王都の一等地にあるローゼン公爵邸は、戦場のような……いや、高度に訓練された軍隊のような動きを見せていた。
「お父様、ただいま戻りました」
私が執務室の扉を開けると、父であるローゼン公爵が優雅に紅茶を飲んでいた。
片眼鏡をかけた鋭い眼光は私とよく似ている。
「遅かったな、ユミリア。予定より三分オーバーだ」
「申し訳ありません。退場際に殿下が駄々をこねたもので。サインをもらうのに手間取りました」
「ほう。例のブツは?」
「ここに」
私が懐から羊皮紙の束を取り出すと、父はそれを素早く奪い取り、内容を確認した。
王子の署名。
王家の印章(持ち出されていたものをニーナが遊びで押していたのを、私が有効活用させた)。
「……完璧だ。これさえあれば、法的にも国際的にも、我が家は王家への義理を完全に果たし、かつ債権を回収する権利を得たことになる」
父はニヤリと笑った。
悪人面だ。
私もきっと同じ顔をしているだろう。
「で、お父様。準備の方は?」
「愚問だな。窓の外を見てみろ」
言われて窓から中庭を見下ろすと、そこには数十台の馬車が整然と並んでいた。
荷積みは既に完了しており、屋敷の家財道具から美術品、さらには愛用していたティーカップ一つに至るまで、全て梱包済みだ。
使用人たちが無駄のない動きで整列している。
「さすがはお父様。逃げ足の速さは天下一品ですね」
「危機管理能力と言え。沈むとわかっている泥舟に乗り続けるのは、無能のすることだ」
父は立ち上がり、マントを翻した。
「我が家は代々、この国の金庫番として尽くしてきた。だが、今の王家はその恩を仇で返した。王妃教育と称して娘をこき使い、あまつさえあの愚鈍な王子と浮気女に侮辱を与えるとはな」
父の声には、静かだが確かな怒りが滲んでいた。
「ユミリア。お前はよく耐えた。これからは、お前の能力を正当に評価してくれる場所へ行こう」
「はい。隣国のガレリア帝国ですね」
「うむ。あそこは実力主義だ。クラウス公爵とは既に話がついている。『是非ともその頭脳を借りたい』とな」
クラウス公爵。
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噂では、業務効率化のために無能な部下を笑顔で左遷し、執務室の温度を物理的に下げることができるとか。
「……気が合いそうな方ですね」
「だろう? お前の好きな『数字』と『論理』が支配する国だ」
父は懐中時計を確認した。
「さて、出発だ。夜明け前には国境を越えるぞ。国王が目を覚まし、王子のやらかしに気づく頃には、我々はもう国外だ」
「はい。……あ、お父様。一つだけ」
「なんだ?」
「庭の植木、どうします? あれ、お父様のお気に入りでしたよね」
「根こそぎ掘り起こして荷馬車3号車に積んだ」
「仕事が早いです」
私たちは顔を見合わせて笑った。
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唯一の誤算といえば、最後の最後でアレクセイ王子があそこまで馬鹿だったことくらいか。
「まあ、おかげで慰謝料を上乗せできたから良しとしましょう」
夜明け前の薄暗い街道を、ローゼン公爵家の馬車列が疾走する。
それはまるで、過去のしがらみを振り切るかのような、爽快な逃避行だった。
後方に見える王城には、まだ明かりが灯っている。
あそこで今もなお、王子とニーナが「真実の愛」とやらで浮かれているのかと思うと、笑いが込み上げてくる。
どうぞお幸せに。
これから訪れる地獄のような現実が、二人の愛を試す最高のスパイスになることを祈って。
「さあ、次はどんな数字に出会えるかしら」
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