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「……五月蝿(うるさ)いですわ」
放課後の図書室。
私は、開いた本のページをめくることなく、こめかみを指で押さえました。
私の目の前では、またしてもフレデリック殿下とリリーナさんが、小声で――しかし熱っぽく議論を戦わせていました。
「だから、アミカの瞳の色は『サファイアブルー』ではなく『ミッドナイト・オーシャン』だと何度言えば分かるんだ。深みが違う」
「いいえ殿下、分かっておられませんね。光が当たった時のあのアメジストのような輝きを含めて、『トワイライト・バイオレット』と呼ぶべきです! 観察眼が足りませんわ!」
「なんだと? 僕は毎日アミカの肖像画を三十分見つめているんだぞ」
「私は実家の畑のナスビを見るたびにお姉様を思い出して拝んでいます!」
「ナスビと一緒にすなーっ!!」
私の怒声が図書室に響き渡りました。
司書の先生がギロリとこちらを睨みましたが、私が「ごきげんよう(威圧)」と微笑むと、目を逸らしました。
「まったく……来週は中間試験ですのよ? 貴方たち、こんなところで私の瞳の色について論文を発表している場合ですか?」
私は呆れて言いました。
そうです。学生の本分は勉強。
そして、恋愛イベントの定番といえば「試験勉強」です。
本来なら、勉強が苦手なヒロインに、優秀な王子が手取り足取り教える……という甘酸っぱい展開が期待できるはず。
しかし、この二人は私の観察に忙しくて、教科書すら開いていません。
(……これではいけませんわ)
もし二人が赤点を取れば、補習になります。
補習になれば、放課後のダンスレッスン(パーティーに向けた特訓)ができなくなり、二人の仲を深める計画がパーになります。
それに、王太子の婚約者として、パートナーがあまりに馬鹿だと私の評判にも関わります。
(ここは一つ、私が『悪役令嬢』として、無理難題を吹っかけてやるしかありませんわね)
私はニヤリと笑い、書架から分厚い本を数冊抜き出してきました。
ドンッ!!
机の上に、レンガのような本が積み上げられます。
埃が舞い、二人が「ゲホッ」と咳き込みました。
「ア、アミカ? これは……?」
「『古代ルーン文字の解読と応用』、そして『超理論魔法数学・地獄編』ですわ」
私は適当に、誰も読まないような難解な古書を選びました。
中身は私も読んだことがありません。おそらく、呪文のような数式とミミズのような文字が羅列されているだけでしょう。
「貴方たち、私のパートナーを名乗るなら、これくらいの内容、明日までに完璧に暗記してきなさい」
「は?」
「できなければ……そうね。二度と私の視界に入らないでくださる?」
無理難題です。
明日までにこの量を暗記するなど、聖徳太子でも不可能です。
これで二人は絶望し、「無理だ……」「どうしよう」と泣き言を言い合い、互いに慰め合うはず。
さあ、絶望の淵で愛を育みなさい!
しかし。
二人は顔を見合わせ、そして私の予想を裏切る反応を見せました。
「……試されている」
殿下がゴクリと唾を飲み込みました。
「えっ?」
「これはアミカからの挑戦状だ。『王族たるもの、過去の叡智(ルーン)を理解し、未来(数学)を計算できなければ国は治められない』……そういうメッセージなんだね!」
「深読みしすぎです」
リリーナさんも目を輝かせました。
「分かります! これは単なる暗記ではありません! お姉様は、私たちが限界を超えて『知の領域』に到達することを望んでおられるのです! これこそが、アミカブル・イズム!」
「何ですかその宗教は」
二人は猛烈な勢いで本を手に取りました。
「やるぞ、男爵令嬢! どちらが先にこの魔導書を攻略するか勝負だ!」
「望むところです! 脳みそが焼き切れるまで詰め込みます!」
「うおおおおお!」
二人は本を開き、そのままトランス状態に入りました。
「ルーン配列、αパターン……解析完了!」
「魔法定数、三乗根の展開……解けた!」
パラパラパラパラ……!
ページをめくる音が、まるで嵐のようです。
二人の目からは怪しい光線が出ており、ペンの動きは音速を超えています。
周囲の生徒たちが「ひっ、あの一角だけ時空が歪んでいる……」「近寄るな、知恵熱が伝染るぞ」と逃げ出していきます。
私は、口をポカンと開けてその光景を見ていました。
(……まあ、やる気があるならいいですわ。どうせ試験範囲とは全く関係ない内容ですし)
そう、ここがポイントです。
私が渡したのは、試験には絶対に出ない超マニアックな専門書。
これをいくら勉強したところで、通常の中間試験(国語や歴史)には何の役にも立ちません。
結果、二人は時間を無駄にし、試験本番で睡眠不足になり、赤点を取る。
そして「アミカブル様に騙された!」と私を恨む。
完璧なシナリオです。
「ふふふ……せいぜい頑張ることね。明日の試験結果が楽しみですわ」
私は優雅に席を立ち、図書室を後にしました。
◇
そして、試験結果発表の日。
掲示板の前には、人だかりができていました。
私は人混みをかき分け、最前列に進み出ました。
「さてさて、あの二人の名前はどこかしら? 最下位の欄かしら?」
私は下の方から順に指でなぞっていきました。
圏外……いない。
補習対象者……いない。
平均点……いない。
「おや?」
おかしいですね。まさか名前を書き忘れたのでしょうか。
私は視線を上げていきました。
そして、一番上の「学年トップ3」の欄で指が止まりました。
**1位:フレデリック・ド・ロイヤル(全教科満点)**
**2位:リリーナ・ボット(全教科満点・提出速度の差で2位)**
**3位:アミカブル・ド・ヴィラン(98点)**
「……は?」
私は自分の目を疑いました。
満点?
あの二人が?
試験範囲外の勉強しかしていなかったはずなのに?
「やりましたわ、お姉様!」
背後から、元気な声が聞こえました。
振り返ると、げっそりと痩せこけてはいますが、ドヤ顔の二人が立っていました。
「リ、リリーナさん、フレデリック……。これはどういうことですの? 貴方たち、私が渡した本しか読んでいませんでしたよね?」
殿下がニッと笑いました。
「ああ。だがアミカ、君がくれた本は凄かったよ。『超理論魔法数学』を理解したら、高校レベルの数学なんて『1+1』に見えたんだ」
「は?」
リリーナさんが続きます。
「『古代ルーン文字』を解読したら、現代語の構造なんて単純すぎて、歴史の教科書が一瞬で頭に入ってきました! 応用力が違いすぎます!」
「……」
つまり、こういうことですか。
ドラゴンを倒す修行をしていたら、スライム(中間試験)がデコピンで倒せるようになっていた、と。
「オーバーキルですわ……」
私はがっくりと項垂れました。
私の98点も十分に優秀なはずですが、満点の二人の前では霞んでしまいます。
「くっ……悔しい! 私が3位だなんて!」
私が唇を噛むと、殿下が慌ててフォローしました。
「いやいやアミカ、君は僕たちの『師匠』だからね。師匠が弟子に花を持たせるのは当然だろう?」
「そうですよお姉様! 私たちが1位になれたのは、お姉様のスパルタ指導のおかげです! 実質、お姉様が1位です!」
周囲の生徒たちが、「さすがアミカブル様……ご自身の成績を犠牲にしてまで、婚約者と友人を育て上げたのか」「なんて慈深い」「教育者の鑑だ」と涙ぐんでいます。
違います。
私はただ、貴方たちを陥れようとしただけなのです。
「……もう、どうにでもなさい」
私は力なく手を振りました。
「ですが、これで証明されましたわね。お二人は頭脳明晰。釣り合いが取れていますわ」
「ええ! 殿下、悔しいですが負けました! 次は勝ちます!」
「望むところだ。だが、アミカの隣に立つのは僕だ」
二人がバチバチと火花を散らします。
成績優秀、美男美女のカップル(予定)。
学園中の憧れの的となった二人ですが、その中心にいる私が「諸悪の根源」であることは、誰も知りません。
「……次は実技試験ですわね。そこなら……そこならきっと、ボロが出るはずですわ」
私は諦め悪く呟きましたが、その声には以前のような覇気がありませんでした。
なぜなら、リリーナさんが鞄から取り出した「筋肉増強プロテイン」を一気飲みしているのを見てしまったからです。
このヒロイン、どこへ向かおうとしているのでしょうか。
放課後の図書室。
私は、開いた本のページをめくることなく、こめかみを指で押さえました。
私の目の前では、またしてもフレデリック殿下とリリーナさんが、小声で――しかし熱っぽく議論を戦わせていました。
「だから、アミカの瞳の色は『サファイアブルー』ではなく『ミッドナイト・オーシャン』だと何度言えば分かるんだ。深みが違う」
「いいえ殿下、分かっておられませんね。光が当たった時のあのアメジストのような輝きを含めて、『トワイライト・バイオレット』と呼ぶべきです! 観察眼が足りませんわ!」
「なんだと? 僕は毎日アミカの肖像画を三十分見つめているんだぞ」
「私は実家の畑のナスビを見るたびにお姉様を思い出して拝んでいます!」
「ナスビと一緒にすなーっ!!」
私の怒声が図書室に響き渡りました。
司書の先生がギロリとこちらを睨みましたが、私が「ごきげんよう(威圧)」と微笑むと、目を逸らしました。
「まったく……来週は中間試験ですのよ? 貴方たち、こんなところで私の瞳の色について論文を発表している場合ですか?」
私は呆れて言いました。
そうです。学生の本分は勉強。
そして、恋愛イベントの定番といえば「試験勉強」です。
本来なら、勉強が苦手なヒロインに、優秀な王子が手取り足取り教える……という甘酸っぱい展開が期待できるはず。
しかし、この二人は私の観察に忙しくて、教科書すら開いていません。
(……これではいけませんわ)
もし二人が赤点を取れば、補習になります。
補習になれば、放課後のダンスレッスン(パーティーに向けた特訓)ができなくなり、二人の仲を深める計画がパーになります。
それに、王太子の婚約者として、パートナーがあまりに馬鹿だと私の評判にも関わります。
(ここは一つ、私が『悪役令嬢』として、無理難題を吹っかけてやるしかありませんわね)
私はニヤリと笑い、書架から分厚い本を数冊抜き出してきました。
ドンッ!!
机の上に、レンガのような本が積み上げられます。
埃が舞い、二人が「ゲホッ」と咳き込みました。
「ア、アミカ? これは……?」
「『古代ルーン文字の解読と応用』、そして『超理論魔法数学・地獄編』ですわ」
私は適当に、誰も読まないような難解な古書を選びました。
中身は私も読んだことがありません。おそらく、呪文のような数式とミミズのような文字が羅列されているだけでしょう。
「貴方たち、私のパートナーを名乗るなら、これくらいの内容、明日までに完璧に暗記してきなさい」
「は?」
「できなければ……そうね。二度と私の視界に入らないでくださる?」
無理難題です。
明日までにこの量を暗記するなど、聖徳太子でも不可能です。
これで二人は絶望し、「無理だ……」「どうしよう」と泣き言を言い合い、互いに慰め合うはず。
さあ、絶望の淵で愛を育みなさい!
しかし。
二人は顔を見合わせ、そして私の予想を裏切る反応を見せました。
「……試されている」
殿下がゴクリと唾を飲み込みました。
「えっ?」
「これはアミカからの挑戦状だ。『王族たるもの、過去の叡智(ルーン)を理解し、未来(数学)を計算できなければ国は治められない』……そういうメッセージなんだね!」
「深読みしすぎです」
リリーナさんも目を輝かせました。
「分かります! これは単なる暗記ではありません! お姉様は、私たちが限界を超えて『知の領域』に到達することを望んでおられるのです! これこそが、アミカブル・イズム!」
「何ですかその宗教は」
二人は猛烈な勢いで本を手に取りました。
「やるぞ、男爵令嬢! どちらが先にこの魔導書を攻略するか勝負だ!」
「望むところです! 脳みそが焼き切れるまで詰め込みます!」
「うおおおおお!」
二人は本を開き、そのままトランス状態に入りました。
「ルーン配列、αパターン……解析完了!」
「魔法定数、三乗根の展開……解けた!」
パラパラパラパラ……!
ページをめくる音が、まるで嵐のようです。
二人の目からは怪しい光線が出ており、ペンの動きは音速を超えています。
周囲の生徒たちが「ひっ、あの一角だけ時空が歪んでいる……」「近寄るな、知恵熱が伝染るぞ」と逃げ出していきます。
私は、口をポカンと開けてその光景を見ていました。
(……まあ、やる気があるならいいですわ。どうせ試験範囲とは全く関係ない内容ですし)
そう、ここがポイントです。
私が渡したのは、試験には絶対に出ない超マニアックな専門書。
これをいくら勉強したところで、通常の中間試験(国語や歴史)には何の役にも立ちません。
結果、二人は時間を無駄にし、試験本番で睡眠不足になり、赤点を取る。
そして「アミカブル様に騙された!」と私を恨む。
完璧なシナリオです。
「ふふふ……せいぜい頑張ることね。明日の試験結果が楽しみですわ」
私は優雅に席を立ち、図書室を後にしました。
◇
そして、試験結果発表の日。
掲示板の前には、人だかりができていました。
私は人混みをかき分け、最前列に進み出ました。
「さてさて、あの二人の名前はどこかしら? 最下位の欄かしら?」
私は下の方から順に指でなぞっていきました。
圏外……いない。
補習対象者……いない。
平均点……いない。
「おや?」
おかしいですね。まさか名前を書き忘れたのでしょうか。
私は視線を上げていきました。
そして、一番上の「学年トップ3」の欄で指が止まりました。
**1位:フレデリック・ド・ロイヤル(全教科満点)**
**2位:リリーナ・ボット(全教科満点・提出速度の差で2位)**
**3位:アミカブル・ド・ヴィラン(98点)**
「……は?」
私は自分の目を疑いました。
満点?
あの二人が?
試験範囲外の勉強しかしていなかったはずなのに?
「やりましたわ、お姉様!」
背後から、元気な声が聞こえました。
振り返ると、げっそりと痩せこけてはいますが、ドヤ顔の二人が立っていました。
「リ、リリーナさん、フレデリック……。これはどういうことですの? 貴方たち、私が渡した本しか読んでいませんでしたよね?」
殿下がニッと笑いました。
「ああ。だがアミカ、君がくれた本は凄かったよ。『超理論魔法数学』を理解したら、高校レベルの数学なんて『1+1』に見えたんだ」
「は?」
リリーナさんが続きます。
「『古代ルーン文字』を解読したら、現代語の構造なんて単純すぎて、歴史の教科書が一瞬で頭に入ってきました! 応用力が違いすぎます!」
「……」
つまり、こういうことですか。
ドラゴンを倒す修行をしていたら、スライム(中間試験)がデコピンで倒せるようになっていた、と。
「オーバーキルですわ……」
私はがっくりと項垂れました。
私の98点も十分に優秀なはずですが、満点の二人の前では霞んでしまいます。
「くっ……悔しい! 私が3位だなんて!」
私が唇を噛むと、殿下が慌ててフォローしました。
「いやいやアミカ、君は僕たちの『師匠』だからね。師匠が弟子に花を持たせるのは当然だろう?」
「そうですよお姉様! 私たちが1位になれたのは、お姉様のスパルタ指導のおかげです! 実質、お姉様が1位です!」
周囲の生徒たちが、「さすがアミカブル様……ご自身の成績を犠牲にしてまで、婚約者と友人を育て上げたのか」「なんて慈深い」「教育者の鑑だ」と涙ぐんでいます。
違います。
私はただ、貴方たちを陥れようとしただけなのです。
「……もう、どうにでもなさい」
私は力なく手を振りました。
「ですが、これで証明されましたわね。お二人は頭脳明晰。釣り合いが取れていますわ」
「ええ! 殿下、悔しいですが負けました! 次は勝ちます!」
「望むところだ。だが、アミカの隣に立つのは僕だ」
二人がバチバチと火花を散らします。
成績優秀、美男美女のカップル(予定)。
学園中の憧れの的となった二人ですが、その中心にいる私が「諸悪の根源」であることは、誰も知りません。
「……次は実技試験ですわね。そこなら……そこならきっと、ボロが出るはずですわ」
私は諦め悪く呟きましたが、その声には以前のような覇気がありませんでした。
なぜなら、リリーナさんが鞄から取り出した「筋肉増強プロテイン」を一気飲みしているのを見てしまったからです。
このヒロイン、どこへ向かおうとしているのでしょうか。
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