17 / 28
17
しおりを挟む
「金庫を開けなさい! 今すぐです!」
財務省の重厚な扉を蹴り開け、私は高らかに叫びました。
中にいた役人たちが、鳩が豆鉄砲を食らったような顔で私を見ます。
「ア、アミカブル様……? ここは国の金庫番である財務省ですぞ。そのような狼藉は……」
「狼藉? ええ、そうですわ。私は強欲な悪役令嬢ですからね!」
私はズカズカと部屋の中央に進み、大臣の机をバンッ! と叩きました。
「国の金は私のもの。私のものは私のもの。今日からこの国の予算は、すべて私が管理しますわ!」
ついに、私は禁断の領域に手を染めました。
これまでの作戦(王子いじめ、騎士いじめ、外交問題)がすべて「善行」とみなされてしまった今、残る手段は一つ。
**「国民の生活を脅かす」**ことです。
具体的には、福祉予算を削減し、税金を上げ、無駄な公共事業(私の銅像建設など)にお金を湯水のように使う。
そうすれば、国民は「あの女のせいで生活が苦しい!」と激怒し、一揆を起こし、私を断罪台へと送り込んでくれるはず!
「さあ、今年度の予算案を出しなさい! 私が赤ペンで真っ赤に染めて差し上げますわ!」
私が睨みつけると、財務大臣(以前、殿下に書類を投げつけられて更生した恰幅の良い男性)が、汗を拭きながら分厚いファイルを持ってきました。
「こ、こちらでございます……。しかし、すでに殿下の改革でかなり切り詰めておりまして……」
「甘いですわ! 殿下の改革なんて、所詮は『無駄をなくそう』レベル。私は『必要なものまでなくす』レベルを目指していますのよ!」
私はファイルを奪い取り、パラパラとめくりました。
「フン……何ですの、この『孤児院への寄付金』というのは」
「はっ、それは身寄りのない子供たちの食費や衣服代で……」
「却下! 甘やかすんじゃありません!」
私は赤ペンで大きくバツ印をつけました。
「子供は風の子です。草でも食べて強く生きなさい。その浮いた金で、私のドレスにつけるダイヤモンドを買いなさい!」
どうですか、この非道ぶり!
これぞ悪魔の所業!
大臣が青ざめます。
「そ、そんな……子供たちからパンを奪うなど……」
「さらにこれ! 『街道の修繕費』? 穴くらいジャンプして避けなさい! 全額カット!」
「『公衆浴場の運営費』? 川で泳げばよろしい! カット!」
「『高齢者への医療補助』? 気合で治しなさい! カット!」
私は次々と、国民のライフラインに関わる予算を切り捨てていきました。
気分は最高です。
これできっと、明日の新聞には『アミカブル、弱者を切り捨てる』という見出しが踊るでしょう。
「そして極め付けはこれですわ!」
私は最後のページを開き、大きく書き込みました。
**『新税導入:贅沢税(税率500%)』**
「宝石、シルク、輸入香水、高級馬車……これらすべてに五倍の税金をかけます! 貴族たちから搾り取った金で、私は毎日キャビア風呂に入りますわ!」
これは、私を支持している貴族層を一網打尽にする策です。
私を「女神」と崇める彼らも、自分の財布が痛めば、手のひらを返すに違いありません。
「ふふふ……これで国中が敵に回りますわ。さあ、どうですか大臣! この地獄の予算案、恐怖に震えなさい!」
私はファイルを大臣に突き返しました。
大臣は震える手でファイルを受け取り、中身を確認しました。
沈黙。
長い沈黙が流れます。
役人たちも固唾を飲んで見守っています。
やがて、大臣がゆっくりと顔を上げました。
「……アミカブル様」
「何かしら。文句があるなら……」
「天才ですか……?」
「は?」
大臣の目が、カッと見開かれました。
「この『孤児院への寄付金』カット……。よく見れば、ここは長年、院長が私腹を肥やしているという噂があった『不正の温床』となっていた口座ではありませんか!」
「えっ?」
「貴女様は、単に金を切ったのではない。不正ルートへの資金供給を断ち、代わりにこちらの……『子供たちの自立支援プログラム(職業訓練)』の方に予算を振り分けようという意図ですね!?」
「いえ、ただ草を食わせようと……」
「『街道の修繕費』もそうです! 従来の手法では業者の癒着で高コストでした。貴女様はあえて予算をゼロにすることで、『一度更地にして、より耐久性の高い新素材で作り直す』という抜本的改革を提案されたのですね!」
「いや、ジャンプしろと……」
「極め付けはこの『贅沢税』!!」
大臣が机をバンバン叩いて興奮しています。
「我が国の財政難の原因は、一部の富裕層による資産の海外流出と、納税逃れでした。この税率は、彼らの『逃げ得』を許さない究極の一手! これにより得られる財源で、先ほどカットした福祉予算を倍増させることができる!」
「はあああ!?」
大臣が感極まって叫びました。
「皆さん聞きましたか! アミカブル様は、既得権益にメスを入れ、真に国民のためになる『富の再分配』を行おうとしているのです!」
「「「おおおおおっ!!」」」
役人たちが総立ちになりました。
「アミカブル様、万歳!」
「ジャンヌ・ダルクの再来だ!」
「財務省の救世主!」
拍手喝采。スタンディングオベーション。
なぜですの。
私はただ、子供からパンを奪い、年寄りを困らせ、自分が贅沢をしたかっただけなのに。
どうしてそれが「富の再分配」なんて高尚な経済理論に変換されてしまうのですか!?
「違います! 私はただの強欲女で……!」
「分かっております! あえて『悪役』を演じ、汚れ役を買って出ることで、我々が切り込めなかった聖域に踏み込んだのですね!」
大臣が私の手を取り、涙を流しました。
「貴女様の覚悟、無駄にはしません。この『アミカブル・プラン』、直ちに実行に移します!」
「実行しないで! 国が良くなってしまいますわ!」
そこへ、騒ぎを聞きつけたフレデリック殿下が入ってきました。
「何事だい? ……おや、アミカ。また何か伝説を作ったのかい?」
殿下は、熱狂する役人たちと、白目を剥いている私を見て状況を察しました(誤った方向に)。
「そうか。アミカは国の財布の紐まで締めに来てくれたんだね。……ありがとう。僕も、王族費を削減する覚悟を決めるよ」
「決めるな! もっと浪費しろ!」
「よし、僕の離宮を売却して、その金を全額、君の提案した『自立支援プログラム』に充てよう」
「やめてーっ! 私の悪事がまた善行に上書きされていくーっ!」
私は頭を抱えてその場にうずくまりました。
もうダメです。
何をしても、どう足掻いても、世界が私を「聖女」へと押し上げていきます。
この国には、「悪意」という概念が存在しないのでしょうか。
「……こうなったら」
私はフラフラと立ち上がりました。
私の瞳から、光が消えていました。
「こうなったら、最後の手段ですわ」
「アミカ?」
私は殿下を無視して、よろめきながら出口へと向かいました。
「自分の手でダメなら、他人の口を使います」
そう、卒業パーティー。
そこで行われる「婚約破棄イベント」。
これを自作自演するしかありません。
「リリーナさんに……台本を渡しましょう」
『アミカブルはこんなに酷いことをした』という嘘の告発文を。
彼女にそれを読ませれば、さすがの周囲もドン引きするはず。
「待っていなさい、卒業パーティー。そこが私の処刑台(ステージ)ですわ……!」
私は虚ろな笑みを浮かべて、財務省を後にしました。
背後で「アミカブル様の背中が、国の重責を背負って小さく見える……」と大臣たちが合掌しているのを、私はもう否定する気力さえありませんでした。
財務省の重厚な扉を蹴り開け、私は高らかに叫びました。
中にいた役人たちが、鳩が豆鉄砲を食らったような顔で私を見ます。
「ア、アミカブル様……? ここは国の金庫番である財務省ですぞ。そのような狼藉は……」
「狼藉? ええ、そうですわ。私は強欲な悪役令嬢ですからね!」
私はズカズカと部屋の中央に進み、大臣の机をバンッ! と叩きました。
「国の金は私のもの。私のものは私のもの。今日からこの国の予算は、すべて私が管理しますわ!」
ついに、私は禁断の領域に手を染めました。
これまでの作戦(王子いじめ、騎士いじめ、外交問題)がすべて「善行」とみなされてしまった今、残る手段は一つ。
**「国民の生活を脅かす」**ことです。
具体的には、福祉予算を削減し、税金を上げ、無駄な公共事業(私の銅像建設など)にお金を湯水のように使う。
そうすれば、国民は「あの女のせいで生活が苦しい!」と激怒し、一揆を起こし、私を断罪台へと送り込んでくれるはず!
「さあ、今年度の予算案を出しなさい! 私が赤ペンで真っ赤に染めて差し上げますわ!」
私が睨みつけると、財務大臣(以前、殿下に書類を投げつけられて更生した恰幅の良い男性)が、汗を拭きながら分厚いファイルを持ってきました。
「こ、こちらでございます……。しかし、すでに殿下の改革でかなり切り詰めておりまして……」
「甘いですわ! 殿下の改革なんて、所詮は『無駄をなくそう』レベル。私は『必要なものまでなくす』レベルを目指していますのよ!」
私はファイルを奪い取り、パラパラとめくりました。
「フン……何ですの、この『孤児院への寄付金』というのは」
「はっ、それは身寄りのない子供たちの食費や衣服代で……」
「却下! 甘やかすんじゃありません!」
私は赤ペンで大きくバツ印をつけました。
「子供は風の子です。草でも食べて強く生きなさい。その浮いた金で、私のドレスにつけるダイヤモンドを買いなさい!」
どうですか、この非道ぶり!
これぞ悪魔の所業!
大臣が青ざめます。
「そ、そんな……子供たちからパンを奪うなど……」
「さらにこれ! 『街道の修繕費』? 穴くらいジャンプして避けなさい! 全額カット!」
「『公衆浴場の運営費』? 川で泳げばよろしい! カット!」
「『高齢者への医療補助』? 気合で治しなさい! カット!」
私は次々と、国民のライフラインに関わる予算を切り捨てていきました。
気分は最高です。
これできっと、明日の新聞には『アミカブル、弱者を切り捨てる』という見出しが踊るでしょう。
「そして極め付けはこれですわ!」
私は最後のページを開き、大きく書き込みました。
**『新税導入:贅沢税(税率500%)』**
「宝石、シルク、輸入香水、高級馬車……これらすべてに五倍の税金をかけます! 貴族たちから搾り取った金で、私は毎日キャビア風呂に入りますわ!」
これは、私を支持している貴族層を一網打尽にする策です。
私を「女神」と崇める彼らも、自分の財布が痛めば、手のひらを返すに違いありません。
「ふふふ……これで国中が敵に回りますわ。さあ、どうですか大臣! この地獄の予算案、恐怖に震えなさい!」
私はファイルを大臣に突き返しました。
大臣は震える手でファイルを受け取り、中身を確認しました。
沈黙。
長い沈黙が流れます。
役人たちも固唾を飲んで見守っています。
やがて、大臣がゆっくりと顔を上げました。
「……アミカブル様」
「何かしら。文句があるなら……」
「天才ですか……?」
「は?」
大臣の目が、カッと見開かれました。
「この『孤児院への寄付金』カット……。よく見れば、ここは長年、院長が私腹を肥やしているという噂があった『不正の温床』となっていた口座ではありませんか!」
「えっ?」
「貴女様は、単に金を切ったのではない。不正ルートへの資金供給を断ち、代わりにこちらの……『子供たちの自立支援プログラム(職業訓練)』の方に予算を振り分けようという意図ですね!?」
「いえ、ただ草を食わせようと……」
「『街道の修繕費』もそうです! 従来の手法では業者の癒着で高コストでした。貴女様はあえて予算をゼロにすることで、『一度更地にして、より耐久性の高い新素材で作り直す』という抜本的改革を提案されたのですね!」
「いや、ジャンプしろと……」
「極め付けはこの『贅沢税』!!」
大臣が机をバンバン叩いて興奮しています。
「我が国の財政難の原因は、一部の富裕層による資産の海外流出と、納税逃れでした。この税率は、彼らの『逃げ得』を許さない究極の一手! これにより得られる財源で、先ほどカットした福祉予算を倍増させることができる!」
「はあああ!?」
大臣が感極まって叫びました。
「皆さん聞きましたか! アミカブル様は、既得権益にメスを入れ、真に国民のためになる『富の再分配』を行おうとしているのです!」
「「「おおおおおっ!!」」」
役人たちが総立ちになりました。
「アミカブル様、万歳!」
「ジャンヌ・ダルクの再来だ!」
「財務省の救世主!」
拍手喝采。スタンディングオベーション。
なぜですの。
私はただ、子供からパンを奪い、年寄りを困らせ、自分が贅沢をしたかっただけなのに。
どうしてそれが「富の再分配」なんて高尚な経済理論に変換されてしまうのですか!?
「違います! 私はただの強欲女で……!」
「分かっております! あえて『悪役』を演じ、汚れ役を買って出ることで、我々が切り込めなかった聖域に踏み込んだのですね!」
大臣が私の手を取り、涙を流しました。
「貴女様の覚悟、無駄にはしません。この『アミカブル・プラン』、直ちに実行に移します!」
「実行しないで! 国が良くなってしまいますわ!」
そこへ、騒ぎを聞きつけたフレデリック殿下が入ってきました。
「何事だい? ……おや、アミカ。また何か伝説を作ったのかい?」
殿下は、熱狂する役人たちと、白目を剥いている私を見て状況を察しました(誤った方向に)。
「そうか。アミカは国の財布の紐まで締めに来てくれたんだね。……ありがとう。僕も、王族費を削減する覚悟を決めるよ」
「決めるな! もっと浪費しろ!」
「よし、僕の離宮を売却して、その金を全額、君の提案した『自立支援プログラム』に充てよう」
「やめてーっ! 私の悪事がまた善行に上書きされていくーっ!」
私は頭を抱えてその場にうずくまりました。
もうダメです。
何をしても、どう足掻いても、世界が私を「聖女」へと押し上げていきます。
この国には、「悪意」という概念が存在しないのでしょうか。
「……こうなったら」
私はフラフラと立ち上がりました。
私の瞳から、光が消えていました。
「こうなったら、最後の手段ですわ」
「アミカ?」
私は殿下を無視して、よろめきながら出口へと向かいました。
「自分の手でダメなら、他人の口を使います」
そう、卒業パーティー。
そこで行われる「婚約破棄イベント」。
これを自作自演するしかありません。
「リリーナさんに……台本を渡しましょう」
『アミカブルはこんなに酷いことをした』という嘘の告発文を。
彼女にそれを読ませれば、さすがの周囲もドン引きするはず。
「待っていなさい、卒業パーティー。そこが私の処刑台(ステージ)ですわ……!」
私は虚ろな笑みを浮かべて、財務省を後にしました。
背後で「アミカブル様の背中が、国の重責を背負って小さく見える……」と大臣たちが合掌しているのを、私はもう否定する気力さえありませんでした。
30
あなたにおすすめの小説
冷遇妃マリアベルの監視報告書
Mag_Mel
ファンタジー
シルフィード王国に敗戦国ソラリから献上されたのは、"太陽の姫"と讃えられた妹ではなく、悪女と噂される姉、マリアベル。
第一王子の四番目の妃として迎えられた彼女は、王宮の片隅に追いやられ、嘲笑と陰湿な仕打ちに晒され続けていた。
そんな折、「王家の影」は第三王子セドリックよりマリアベルの監視業務を命じられる。年若い影が記す報告書には、ただ静かに耐え続け、死を待つかのように振舞うひとりの女の姿があった。
王位継承争いと策謀が渦巻く王宮で、冷遇妃の運命は思わぬ方向へと狂い始める――。
(小説家になろう様にも投稿しています)
白い結婚の行方
宵森みなと
恋愛
「この結婚は、形式だけ。三年経ったら、離縁して養子縁組みをして欲しい。」
そう告げられたのは、まだ十二歳だった。
名門マイラス侯爵家の跡取りと、書面上だけの「夫婦」になるという取り決め。
愛もなく、未来も誓わず、ただ家と家の都合で交わされた契約だが、彼女にも目的はあった。
この白い結婚の意味を誰より彼女は、知っていた。自らの運命をどう選択するのか、彼女自身に委ねられていた。
冷静で、理知的で、どこか人を寄せつけない彼女。
誰もが「大人びている」と評した少女の胸の奥には、小さな祈りが宿っていた。
結婚に興味などなかったはずの青年も、少女との出会いと別れ、後悔を経て、再び運命を掴もうと足掻く。
これは、名ばかりの「夫婦」から始まった二人の物語。
偽りの契りが、やがて確かな絆へと変わるまで。
交差する記憶、巻き戻る時間、二度目の選択――。
真実の愛とは何かを、問いかける静かなる運命の物語。
──三年後、彼女の選択は、彼らは本当に“夫婦”になれるのだろうか?
悪役令嬢まさかの『家出』
にとこん。
恋愛
王国の侯爵令嬢ルゥナ=フェリシェは、些細なすれ違いから突発的に家出をする。本人にとっては軽いお散歩のつもりだったが、方向音痴の彼女はそのまま隣国の帝国に迷い込み、なぜか牢獄に収監される羽目に。しかし無自覚な怪力と天然ぶりで脱獄してしまい、道に迷うたびに騒動を巻き起こす。
一方、婚約破棄を告げようとした王子レオニスは、当日にルゥナが失踪したことで騒然。王宮も侯爵家も大混乱となり、レオニス自身が捜索に出るが、恐らく最後まで彼女とは一度も出会えない。
ルゥナは道に迷っただけなのに、なぜか人助けを繰り返し、帝国の各地で英雄視されていく。そして気づけば彼女を慕う男たちが集まり始め、逆ハーレムの中心に。だが本人は一切自覚がなく、むしろ全員の好意に対して煙たがっている。
帰るつもりもなく、目的もなく、ただ好奇心のままに彷徨う“無害で最強な天然令嬢”による、帝国大騒動ギャグ恋愛コメディ、ここに開幕!
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
愛すべきマリア
志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。
学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。
家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。
早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。
頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。
その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。
体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。
しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。
他サイトでも掲載しています。
表紙は写真ACより転載しました。
【完結】引きこもりが異世界でお飾りの妻になったら「愛する事はない」と言った夫が溺愛してきて鬱陶しい。
千紫万紅
恋愛
男爵令嬢アイリスは15歳の若さで冷徹公爵と噂される男のお飾りの妻になり公爵家の領地に軟禁同然の生活を強いられる事になった。
だがその3年後、冷徹公爵ラファエルに突然王都に呼び出されたアイリスは「女性として愛するつもりは無いと」言っていた冷徹公爵に、「君とはこれから愛し合う夫婦になりたいと」宣言されて。
いやでも、貴方……美人な平民の恋人いませんでしたっけ……?
と、お飾りの妻生活を謳歌していた 引きこもり はとても嫌そうな顔をした。
公爵令嬢の辿る道
ヤマナ
恋愛
公爵令嬢エリーナ・ラナ・ユースクリフは、迎えた5度目の生に絶望した。
家族にも、付き合いのあるお友達にも、慕っていた使用人にも、思い人にも、誰からも愛されなかったエリーナは罪を犯して投獄されて凍死した。
それから生を繰り返して、その度に自業自得で凄惨な末路を迎え続けたエリーナは、やがて自分を取り巻いていたもの全てからの愛を諦めた。
これは、愛されず、しかし愛を求めて果てた少女の、その先の話。
※暇な時にちょこちょこ書いている程度なので、内容はともかく出来についてはご了承ください。
追記
六十五話以降、タイトルの頭に『※』が付いているお話は、流血表現やグロ表現がございますので、閲覧の際はお気を付けください。
皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜
百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。
「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」
ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!?
ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……?
サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います!
※他サイト様にも掲載
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる