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「……逃げよう」
公爵家の自室。
私は、目の前に積み上げられた書類の山を前に、虚ろな目で呟きました。
「限界よ。これ以上ここにいたら、私の精神(オタク・ソウル)が死んでしまうわ」
あの日から一週間。
『救国の聖女』にして『愛の守護者(キューピッド)』という二つ名を授かった私の元には、国中からとんでもない量の依頼が殺到していました。
『隣国の王子との政略結婚が上手くいきません。シュガー様の演出で燃え上がらせてください』
『冷めきった夫婦仲を修復するための、ドラゴンのようなインパクトのあるイベントを所望する』
『うちの猫が恋を患っているようなのですが……』
「知るかああああああああッ!!」
私は書類の束を宙に放り投げました。
「私は! アレクセイ殿下とマリアさんという『推しカプ』が見たいだけなの! 他人の、しかも知らないおじさんやおばさんの恋愛事情なんて興味ないのよ!」
セバスチャンが静かに書類を拾い集めます。
「ですがお嬢様。これらは全て、国王陛下や高位貴族からの正式な依頼です。無視すれば国際問題になりかねません」
「だから逃げるのよ!」
私はベッドの下から、あらかじめ用意していた『逃亡用リュック(サバイバル仕様)』を引きずり出しました。
「本来なら、私は悪役令嬢として断罪され、国外追放されるはずだった……。それがどう? 聖女? キューピッド? 過重労働の社畜の間違いじゃない!」
私はリュックに、推しカプのスケッチブック(最重要)、保存食の干し肉、そして変装用の口髭セットを詰め込みました。
「幸い、殿下とマリアさんの結婚式のプロデュース案(企画書)は完成して提出したわ。私の最後の仕事は終わったの」
「お嬢様、本気ですか?」
「本気よ。私は北の果て、極寒の地『ノースガルド』へ行くわ。あそこなら誰も私を知らない。……そこでひっそりと、羊の毛を刈りながら余生を過ごすの」
「……キース様が黙っていないと思いますが」
「ふふっ。甘いわねセバスチャン」
私は不敵に笑い、窓を開け放ちました。
「あの『猛獣使い』のキース様といえど、私の『本気の逃走ルート』は読めないわ。……なんたって、地下水路を使うんですからね!」
「汚いですよ?」
「背に腹は代えられないわ! じゃあねセバスチャン! 元気で!」
私は窓から庭の木に飛び移り、猿のような身軽さで闇夜へと消えていきました。
◇
王都の地下水路。
湿った空気とカビの臭いが充満する、薄暗い迷宮。
私は鼻をつまみながら、地図を片手に進んでいました。
「くっ……臭い……。でも、これこそ自由への香りよ……!」
ドレスではなく、動きやすい盗賊風の装備に身を包んだ私は、足早に出口を目指していました。
この水路を抜ければ、王都の外へ出る隠し扉があるはずです。
(さようなら、殿下、マリアさん。結婚式には出られないけど、遠い北の地から毎晩呪い……じゃなくて祝福を送るわ)
寂しくないと言えば嘘になります。
でも、今の「聖女」として崇められる生活は、私には息苦しすぎました。
私はあくまで、壁になりたいオタク。
表舞台で輝くのは、推しだけでいいのです。
「……あと少し!」
前方に、微かな光が漏れる鉄格子が見えました。
出口です。
私は駆け出しました。
自由だ!
羊だ!
スローライフだ!
ガシッ。
「……ん?」
鉄格子に手をかけた瞬間。
私の肩に、重たい手が置かれました。
「――どこへ行くつもりだ、聖女様?」
地獄の底から響くような、低く、冷たい声。
私は錆びついたブリキのおもちゃのように、ギギギ……と首を回しました。
そこに立っていたのは。
腕を組み、仁王立ちしている、鬼の形相のキース様でした。
「ひいいいいいいいいっ!?」
私は悲鳴を上げて尻餅をつきました。
「な、ななな、なんで!? なんでここに!? ここは王宮の極秘地下通路よ!?」
「その極秘通路の警備責任者が誰か、忘れたのか?」
キース様は呆れたようにため息をつきました。
「お前が『逃亡』を企てることくらい、想定の範囲内だ。セバスチャンから『お嬢様が羊になりたいと仰って出て行かれました』と通報もあったしな」
「裏切り者ォォォォォ!! セバスチャァァァァン!!」
私は天井(地面)に向かって絶叫しました。
「観念して戻れ。明日は『愛のキューピッド就任式典』があるんだぞ。主役がいなくてどうする」
「嫌よ! 死んでも嫌!」
私は鉄格子にしがみつきました。
「私は聖女じゃない! ただの変態よ! 変態を式典に出したら国が滅ぶわよ!」
「自分で変態言うな。……それに、もう遅い」
キース様は懐から一枚の羊皮紙を取り出し、私の目の前に突きつけました。
「見ろ。国王陛下からの勅命だ」
「勅命……?」
『シュガー・メルティ公爵令嬢を、王家直属の終身名誉職【ロイヤル・ガーディアン(愛の守護聖女)】に任命する。なお、本職務は国外への移動を禁じ、逃亡した場合は国家予算を投じて全力で捕獲するものとする』
「……は?」
私は目を白黒させました。
「捕獲……? 国家予算で……?」
「ああ。お前はもう『国の重要文化財』みたいな扱いなんだよ。逃げられると思うな」
キース様はニヤリと笑いました。
その笑顔は、完全に私を捕食しようとする肉食獣のそれでした。
「そ、そんな……。私の人権は……?」
「あるわけないだろ。お前がドラゴンを倒した時点で放棄したようなもんだ」
「横暴だわ! ブラック国家よ!」
私は泣き崩れました。
北の国での羊ライフが、音を立てて崩れ去っていきます。
「……立てよ」
キース様が手を差し伸べてきました。
「お前がいなくなったら、誰が殿下とマリア嬢の結婚式を指揮するんだ? あのノートに書いた『誓いのキスの角度』、お前以外に誰が調整できる?」
「ッ……!」
痛いところを突かれました。
確かに、私の理想の結婚式を実現できるのは、私しかいません。
「……結婚式までは、やります。でも、それが終わったら……」
「終わったら?」
「引退させてください! 普通の女の子に戻りたいんです!」
私はキャンディーズのような台詞を吐きました。
キース様は少し驚いた顔をして、それからふっと表情を緩めました。
「……普通の女の子、か」
彼は私の手を引き、強引に立たせました。
そして、そのまま私の腰を引き寄せました。
「――っ!?」
薄暗い地下水路。
壁ドンならぬ、鉄格子ドン。
「キ、キース様……?」
「いいだろう。結婚式が終わったら、お前の『聖女』の称号は俺がなんとかしてやる」
「えっ、本当ですか!?」
「ああ。その代わり……」
キース様の顔が近づきます。
彼の瞳が、地下の闇の中で熱っぽく光っていました。
「お前は『普通の女の子』に戻って……俺の隣に来い」
「……は?」
意味が分かりません。
俺の隣?
物理的に?
「鈍いな。……俺が貰ってやるって言ってるんだ」
「貰う……? 私を? 不用品回収として?」
「違う! 妻としてだ!」
キース様が叫びました。
シーン……。
地下水路に、水滴の落ちる音だけが響きます。
1秒。
2秒。
3秒。
「……ええええええええええええええっ!?!?!?」
私の絶叫が、地下迷宮を駆け巡りました。
「つま、つま、妻ぁ!? 誰が!? 私が!? あなたの!?」
「うるさい! 他に誰がいるんだ!」
キース様も顔を真っ赤にしています。
「お前みたいな暴走機関車、俺以外に誰が御せるんだよ! 責任取って俺が管理してやるって言ってるんだ!」
「管理!? プロポーズの言葉が『管理』!?」
「うるさい! ……で、どうなんだよ」
キース様は私の肩を掴みました。
その手は、少し震えていました。
「お前は……俺じゃ不服か?」
「ふ、不服というか……その……」
私はパニックです。
推しカプのことなら何時間でも語れますが、自分のこととなると処理能力が追いつきません。
でも。
嫌かと言われれば。
この数ヶ月、私の無茶な作戦に付き合い、ドラゴンから守り、いつも隣で支えてくれたこの人のことを思うと……。
「……嫌じゃ、ないです……けど」
私は蚊の鳴くような声で答えました。
「……そうか」
キース様は安堵したように息を吐き、そして私の額にコツンと自分の額を合わせました。
「なら、決まりだ。……逃げるなよ、シュガー」
「うぅ……」
至近距離で見せつけられるイケメンのドヤ顔。
私は顔から火が出るほど赤くなり、頷くことしかできませんでした。
「さあ、帰るぞ。未来の奥様」
キース様は私をお姫様抱っこしました。
(地下水路で! 臭いのに!)
「ちょ、歩けます! それに臭いです!」
「いい匂いだよ。お前からは」
「鼻がおかしいんじゃないですか!?」
こうして。
私の「国外逃亡計画」は失敗に終わり、代わりに「永久就職(キース様のお嫁さん)」という、まったく予想外のルートが確定してしまったのでした。
地上へ戻ると、そこには心配した殿下とマリアさんが待っていました。
「シュガー! 無事か!」
「よかった……! 愛の逃避行かと思って心配しました!」
「……マリアさん、ある意味正解です」
私は遠い目で答えました。
私の人生、どうしてこうもラブコメの神様に愛されているのでしょうか。
……いえ、今は文句を言うのはやめておきましょう。
だって、キース様の腕の中は、思ったよりもずっと居心地が良かったのですから。
公爵家の自室。
私は、目の前に積み上げられた書類の山を前に、虚ろな目で呟きました。
「限界よ。これ以上ここにいたら、私の精神(オタク・ソウル)が死んでしまうわ」
あの日から一週間。
『救国の聖女』にして『愛の守護者(キューピッド)』という二つ名を授かった私の元には、国中からとんでもない量の依頼が殺到していました。
『隣国の王子との政略結婚が上手くいきません。シュガー様の演出で燃え上がらせてください』
『冷めきった夫婦仲を修復するための、ドラゴンのようなインパクトのあるイベントを所望する』
『うちの猫が恋を患っているようなのですが……』
「知るかああああああああッ!!」
私は書類の束を宙に放り投げました。
「私は! アレクセイ殿下とマリアさんという『推しカプ』が見たいだけなの! 他人の、しかも知らないおじさんやおばさんの恋愛事情なんて興味ないのよ!」
セバスチャンが静かに書類を拾い集めます。
「ですがお嬢様。これらは全て、国王陛下や高位貴族からの正式な依頼です。無視すれば国際問題になりかねません」
「だから逃げるのよ!」
私はベッドの下から、あらかじめ用意していた『逃亡用リュック(サバイバル仕様)』を引きずり出しました。
「本来なら、私は悪役令嬢として断罪され、国外追放されるはずだった……。それがどう? 聖女? キューピッド? 過重労働の社畜の間違いじゃない!」
私はリュックに、推しカプのスケッチブック(最重要)、保存食の干し肉、そして変装用の口髭セットを詰め込みました。
「幸い、殿下とマリアさんの結婚式のプロデュース案(企画書)は完成して提出したわ。私の最後の仕事は終わったの」
「お嬢様、本気ですか?」
「本気よ。私は北の果て、極寒の地『ノースガルド』へ行くわ。あそこなら誰も私を知らない。……そこでひっそりと、羊の毛を刈りながら余生を過ごすの」
「……キース様が黙っていないと思いますが」
「ふふっ。甘いわねセバスチャン」
私は不敵に笑い、窓を開け放ちました。
「あの『猛獣使い』のキース様といえど、私の『本気の逃走ルート』は読めないわ。……なんたって、地下水路を使うんですからね!」
「汚いですよ?」
「背に腹は代えられないわ! じゃあねセバスチャン! 元気で!」
私は窓から庭の木に飛び移り、猿のような身軽さで闇夜へと消えていきました。
◇
王都の地下水路。
湿った空気とカビの臭いが充満する、薄暗い迷宮。
私は鼻をつまみながら、地図を片手に進んでいました。
「くっ……臭い……。でも、これこそ自由への香りよ……!」
ドレスではなく、動きやすい盗賊風の装備に身を包んだ私は、足早に出口を目指していました。
この水路を抜ければ、王都の外へ出る隠し扉があるはずです。
(さようなら、殿下、マリアさん。結婚式には出られないけど、遠い北の地から毎晩呪い……じゃなくて祝福を送るわ)
寂しくないと言えば嘘になります。
でも、今の「聖女」として崇められる生活は、私には息苦しすぎました。
私はあくまで、壁になりたいオタク。
表舞台で輝くのは、推しだけでいいのです。
「……あと少し!」
前方に、微かな光が漏れる鉄格子が見えました。
出口です。
私は駆け出しました。
自由だ!
羊だ!
スローライフだ!
ガシッ。
「……ん?」
鉄格子に手をかけた瞬間。
私の肩に、重たい手が置かれました。
「――どこへ行くつもりだ、聖女様?」
地獄の底から響くような、低く、冷たい声。
私は錆びついたブリキのおもちゃのように、ギギギ……と首を回しました。
そこに立っていたのは。
腕を組み、仁王立ちしている、鬼の形相のキース様でした。
「ひいいいいいいいいっ!?」
私は悲鳴を上げて尻餅をつきました。
「な、ななな、なんで!? なんでここに!? ここは王宮の極秘地下通路よ!?」
「その極秘通路の警備責任者が誰か、忘れたのか?」
キース様は呆れたようにため息をつきました。
「お前が『逃亡』を企てることくらい、想定の範囲内だ。セバスチャンから『お嬢様が羊になりたいと仰って出て行かれました』と通報もあったしな」
「裏切り者ォォォォォ!! セバスチャァァァァン!!」
私は天井(地面)に向かって絶叫しました。
「観念して戻れ。明日は『愛のキューピッド就任式典』があるんだぞ。主役がいなくてどうする」
「嫌よ! 死んでも嫌!」
私は鉄格子にしがみつきました。
「私は聖女じゃない! ただの変態よ! 変態を式典に出したら国が滅ぶわよ!」
「自分で変態言うな。……それに、もう遅い」
キース様は懐から一枚の羊皮紙を取り出し、私の目の前に突きつけました。
「見ろ。国王陛下からの勅命だ」
「勅命……?」
『シュガー・メルティ公爵令嬢を、王家直属の終身名誉職【ロイヤル・ガーディアン(愛の守護聖女)】に任命する。なお、本職務は国外への移動を禁じ、逃亡した場合は国家予算を投じて全力で捕獲するものとする』
「……は?」
私は目を白黒させました。
「捕獲……? 国家予算で……?」
「ああ。お前はもう『国の重要文化財』みたいな扱いなんだよ。逃げられると思うな」
キース様はニヤリと笑いました。
その笑顔は、完全に私を捕食しようとする肉食獣のそれでした。
「そ、そんな……。私の人権は……?」
「あるわけないだろ。お前がドラゴンを倒した時点で放棄したようなもんだ」
「横暴だわ! ブラック国家よ!」
私は泣き崩れました。
北の国での羊ライフが、音を立てて崩れ去っていきます。
「……立てよ」
キース様が手を差し伸べてきました。
「お前がいなくなったら、誰が殿下とマリア嬢の結婚式を指揮するんだ? あのノートに書いた『誓いのキスの角度』、お前以外に誰が調整できる?」
「ッ……!」
痛いところを突かれました。
確かに、私の理想の結婚式を実現できるのは、私しかいません。
「……結婚式までは、やります。でも、それが終わったら……」
「終わったら?」
「引退させてください! 普通の女の子に戻りたいんです!」
私はキャンディーズのような台詞を吐きました。
キース様は少し驚いた顔をして、それからふっと表情を緩めました。
「……普通の女の子、か」
彼は私の手を引き、強引に立たせました。
そして、そのまま私の腰を引き寄せました。
「――っ!?」
薄暗い地下水路。
壁ドンならぬ、鉄格子ドン。
「キ、キース様……?」
「いいだろう。結婚式が終わったら、お前の『聖女』の称号は俺がなんとかしてやる」
「えっ、本当ですか!?」
「ああ。その代わり……」
キース様の顔が近づきます。
彼の瞳が、地下の闇の中で熱っぽく光っていました。
「お前は『普通の女の子』に戻って……俺の隣に来い」
「……は?」
意味が分かりません。
俺の隣?
物理的に?
「鈍いな。……俺が貰ってやるって言ってるんだ」
「貰う……? 私を? 不用品回収として?」
「違う! 妻としてだ!」
キース様が叫びました。
シーン……。
地下水路に、水滴の落ちる音だけが響きます。
1秒。
2秒。
3秒。
「……ええええええええええええええっ!?!?!?」
私の絶叫が、地下迷宮を駆け巡りました。
「つま、つま、妻ぁ!? 誰が!? 私が!? あなたの!?」
「うるさい! 他に誰がいるんだ!」
キース様も顔を真っ赤にしています。
「お前みたいな暴走機関車、俺以外に誰が御せるんだよ! 責任取って俺が管理してやるって言ってるんだ!」
「管理!? プロポーズの言葉が『管理』!?」
「うるさい! ……で、どうなんだよ」
キース様は私の肩を掴みました。
その手は、少し震えていました。
「お前は……俺じゃ不服か?」
「ふ、不服というか……その……」
私はパニックです。
推しカプのことなら何時間でも語れますが、自分のこととなると処理能力が追いつきません。
でも。
嫌かと言われれば。
この数ヶ月、私の無茶な作戦に付き合い、ドラゴンから守り、いつも隣で支えてくれたこの人のことを思うと……。
「……嫌じゃ、ないです……けど」
私は蚊の鳴くような声で答えました。
「……そうか」
キース様は安堵したように息を吐き、そして私の額にコツンと自分の額を合わせました。
「なら、決まりだ。……逃げるなよ、シュガー」
「うぅ……」
至近距離で見せつけられるイケメンのドヤ顔。
私は顔から火が出るほど赤くなり、頷くことしかできませんでした。
「さあ、帰るぞ。未来の奥様」
キース様は私をお姫様抱っこしました。
(地下水路で! 臭いのに!)
「ちょ、歩けます! それに臭いです!」
「いい匂いだよ。お前からは」
「鼻がおかしいんじゃないですか!?」
こうして。
私の「国外逃亡計画」は失敗に終わり、代わりに「永久就職(キース様のお嫁さん)」という、まったく予想外のルートが確定してしまったのでした。
地上へ戻ると、そこには心配した殿下とマリアさんが待っていました。
「シュガー! 無事か!」
「よかった……! 愛の逃避行かと思って心配しました!」
「……マリアさん、ある意味正解です」
私は遠い目で答えました。
私の人生、どうしてこうもラブコメの神様に愛されているのでしょうか。
……いえ、今は文句を言うのはやめておきましょう。
だって、キース様の腕の中は、思ったよりもずっと居心地が良かったのですから。
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