無表情令嬢は死亡フラグを回避したい!!

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私、悪役令嬢になりまして

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どうも、皆様、こんにちはこんばんは。
わたくし転生して悪役令嬢になった元ブラック企業勤めのOLですわ。

公爵家のご令嬢として生まれ変わったからにはそれ相応の立ち振る舞いをしなければと思いまして。敬語…というかお嬢様言葉…のようなもの…で皆様にお話しておりますの。

さて、そんなわたくしは今何をしているかと言いますと……わたくしの放心状態に痺れを切らしたメイドさんに化粧台までズルズル引きずられております。


おふざけはここまでにして、引きずられてたどり着いた化粧台の席に私が座るとメイドはテキパキと箱から道具を取り出し準備を進めていく。どうやら手元に抱えていた箱はヘアセットの道具が纏められていたらしい。

(装飾が控えめながらも十分豪華そうだったから…高級なお菓子の箱かなんかだと思ったわ…。)

中に詰められたスプレーやら櫛やらを取り出しヘアセットの準備を終えるとメイドはスタスタと部屋の壁側に向かう。
壁としては不自然な持ち手に手をかけガラガラと引くとずらりと並べられたドレス達が目の前に飛び込んでくる。

「お嬢様、本日のお洋服は何色に致しましょう?」

「は、え。」

「先日は落ち着いたグリーンをお召しになっていましたので、本日は少し華やかに薄めのパープルなんていかがでしょうか?あ、こちらのブルーのワンピースもきっとお似合いになりますわ、お嬢様の瞳と同じ綺麗な色ですもの。」 

放心状態の私を気にせずメイドはドレスを数着取り出し部屋のラックにかけていく。

(え、あれ全部ドレス?クローゼットでか!!公爵家令嬢恐るべし。)
と内心ビビりながらもとりあえず勧められたブルーのワンピースを指差すと、あれよあれよという間に着替えさせられていく。

(しまった、私起きてから動揺しすぎてなんにも出来てない!?私悪役令嬢に転生したんだよね!?このままだといずれ死ぬんじゃ!?)

着替えの途中でふと冷静さを取り戻した私。自分のポンコツ具合に顔面を殴りたくなる。
ひとまず今の状況が知りたい。自分がクレア・ヴィルデンブルフだと言うことはわかっているがそれ以外の情報が全くと言っていいほど無い。まず私は今何歳なの?本編開始まであと何年…?

(とりあえず今がどれくらいの時期なのかが知りたいとこだけど、急に切り出したら変な感じに思われるよね。無難な質問から行こう。)

「本当に失礼だとは思うのだけれど…貴方お名前は?」

「ニーアと申しますわ、まだこの屋敷にして2ヶ月ですから、お嬢様が覚えてらっしゃらなくても無理はございません。」

「あら、そうなの?ニーアはどうしてこの屋敷に?」

「私子供が2人いるものですから、夫の稼ぎではどうしても賄いきれなくて。働き口を探していたところこちらのメイド長とたまたまお知り合いになりまして、その事がきっかけでお嬢様のお世話係として参りました。」

皆さんとっても良くしてくださって、毎日楽しく働いているんですよ、とにこやかにニーアは化粧台の鏡越しに笑いかける。

ふむふむ、どうやら職場環境は良好らしい。それは良い事だ。職場環境と労働環境は大事。元ブラック勤めの私が言うんだから間違いない。

「そうなのね、ニーアが楽しく働けているのなら良かったわ。お給料はちゃんと貰えてる?」

「ええ、もちろん。おかげで生活も大分楽になりましたわ。御当主様に感謝しております、もちろんこうしてただの使用人である私の心配をして下さるクレアお嬢様にも。公爵家の方々には頭が上がりませんわ。きっと、領地の方々も同じ気持ちです。」

はっ、しまったつい癖で。転職するんじゃないんだから。要らないことまで聞いてしまった。
とりあえずニーアの話からすると公爵領は大分安定しているらしいので悪役令嬢の父とはいえ資金に手をつけていたりする訳では無いっぽい。親の汚職で断罪エンドとか要らない心配する必要は無さそうだ。

「…ごめんなさいねニーア。今日何日だったかしら。少し寝ぼけているみたいで…。」

テキパキ作業していたニーアの手が止まりきょとんとした表情に変わる。
しまった、これは少し無理があったかと思ったがニーアは笑顔で答えてくれた。

「14日、5月の14日ですわ。ふふ、明後日でクレアお嬢様の5歳の誕生日ですものね。月末の
選定の儀、私密かに楽しみにしておりますのよ。」

(ふーん…なるほどね。選定の儀か…確か水晶使って魔法見極めるやつよね。)

「そう…帰ってきたらニーアにも水晶、見せてあげるね。」

「まあ、嬉しいですわ!楽しみにしております。」

「支度が終わったら、朝食まで時間はあるかしら?」

「はい、1時間ほど余裕を持ってお支度しておりますので。」

「悪いのだけれど、部屋に紙と筆記用具を用意してもらえる?」

「かしこまりました。」












ニーアから1番重要な年齢と日付を聞き出せた私は、朝食までの時間で用意してもらった紙に今の状況と今後の課題を書き出していく事にした。

まず根本となるゲームの設定から。舞台はアガスティア王都にある名門セントラル学園高等部。この世界は18が成人で独り立ちする年齢と言われており、高等部は3年間。成人年齢である18歳で卒業のため16~18歳の生徒が所属する。
セントラル学園は初等部、中等部、高等部が存在し初等部は4年制、中等部は高等部と同じく3年制となっているが初等部、中等部には貴族しか入学できない。しかし、高等部からは魔術の才能を認められた平民も特待生扱いで入学することができる。

ゲームの主人公であるアンナはこの特待生制度を利用して、特別な魔法を持つすごい子…という感じで入学してくるのだ。

メインヒロインであるアンナの主な攻略対象は4人

ノア・アストライア

ノイシュ・オイラー

レオンハルト・フォン・アガスティア

クラウス・ハイドリヒ

と、あとは隠しルートが1人だけど…まあ相当なミーハーでなければたどり着かないので大丈夫だろう。多分。

メインの攻略対象について書き出してみよう。

まずノア・アストライア。
金髪碧眼の青年でとにかく性格がいい、気弱な面も持ち合わせているためイメージとしては病弱王子様…のような儚げな雰囲気が似合うキャラクターである。
伯爵家の次男で主人公であるアンナと同じ学年。(ちなみにクレアも同い年)

確か主人公が選ばなければ男爵家の令嬢とくっつくルートもあったような気がする。
ちなみに、ノアとクレア、もう1人の攻略対象であるクラウスは幼馴染のためノアルートに進んだ場合クレアはとばっちり食らって死ぬ。絶対回避。

「今なら幼馴染ルート回避出来たりしないかなぁ…無理…?まあ選択肢のひとつには入れておくか。」

次にノイシュ・オイラー。
メインの4人の中では唯一年上。学年としては1個上である。
4つある公爵家の1つオイラー公爵家長男でありプラチナブロンドに紫の瞳を持つ美青年である。
主人公達からすれば年上のためお兄さん感を出してきたかと思えば主人公と2人の時だけ甘えてくる…といったギャップにやられて堕ちたプレイヤーは数知れず。
同じ公爵家として小さい頃からクレアと交流があり、それ故にノイシュルートに進むとオイラー公爵家長男と言う立場で平民と結婚することに反対だったクレアは邪魔者として扱われ、暗殺されて死ぬ。絶対回避。

「今思うと、ノイシュの事考えて割と真っ当なこと言ってるのに暗殺されるクレア可哀想すぎんか…?まあ、今私がクレアなんですけど…控えめに言って泣きたい。」

次、レオンハルト・フォン・アガスティア。
ここアガスティア王国の第2王子であり、赤髪が特徴的な青年である。
第2王子と言うだけあって人当たりも良くThe王子様キャラなのだがノアと比べると元気っ子ポジのキャラクターである。
公爵家の1つヴァレンタイン家の長女、ウルティアが婚約者であり、レオンハルトルートに進むと主にこのウルティアが主人公達に嫌がらせをする立場である。レオンハルトはアンナと結婚をするに辺りアンナに嫌がらせをした者達を全て断罪するという正義感を拗らせた行動をするためちょくちょく嫌がらせをしていたクレアも断罪対象に。絶対回避。

「明確なルート分岐に入るまでは、アンナほぼ攻略対象全キャラから好感度そこそこあるハーレム状態だからな…婚約者関係なくみんなから大体嫌がらせ受けるから、レオンハルトルートにほぼクレア出てこないのに断罪されるというオチですよ。ええ。…無理ゲーかな???泣きたいな???」

最後にクラウス・ハイドリヒ。
公爵家長男で黒髪に赤い目が特徴。私、クレア・ヴィルデンブルフの婚約者である。
クラウスは所謂俺様系ツンデレ男子。普段ツンツンでクールな彼がふとした時に見せるデレ、しかも女子に対しては主人公にしかデレないといった特別扱いも相まって堕ちるプレイヤーがそれはそれは多かった。
このルートの主な悪役はもちろんクレア。何をしたって断罪、死刑、死亡!正直絶対避けたいルートではあるのだが…。

「これがまさかの唯一の希望だったりするのよね…。」

実は4人それぞれのルートの中でもエンディングは1つでは無く幾つか存在する。
上記3人のルートエンディングでは全てクレアは死亡するのだが、クラウスのエンディングの1つである通称追放エンドのみクラウスの恩情によりクレアは死ぬことなく修道院送りになるのである。
しかしもちろんそれ以外は死亡、というかなんなら他のルートよりクラウスルートで1番真っ当に悪役してるので追放エンド以外の扱いが悲惨。
私にとってクラウスルートは希望の光であり絶望でもある諸刃の剣なのである。


「…整理して頭痛くなってきた…。悪役の扱い悲惨すぎない…?主人公中心過ぎるでしょ…。」

ちなみにちょくちょく話題に出しているためお気づきかも知れないが、この世界には魔法というものが存在する。
魔法を使えるものは特別扱いされてきていたためその多くは大昔に権力を得ており、それが貴族が生まれるきっかけとなったため魔法を扱えるものは貴族出身であることが多い。

例えばノアは植物を操る魔法、ノイシュは雷を操り、レオンハルトは風を操る。クラウスは火を操り、クレアは氷帝の名の通り氷を操るのである。

しかし、ごく稀にアンナのように平民でも魔法を扱える物が現れる。
しかもアンナは特別珍しい聖魔法。治癒や防御など、攻撃系が多い魔法の中では味方の援護中心という特別な分類の魔法を扱うのだ。  

ちなみに魔法が扱えるようになるには1つ条件がある。それはを「発現」を行うこと。その発現を行うのが、先程ニーアとの話の中に出てきた選定の儀である。
貴族の子供達はみな5歳になると5月、または11月の月末に行われる選定の儀に参加する。平民の場合はこれに限らず、機会があれば…といった感じで必ずしも5歳で行う訳では無いようだ。
やり方は簡単。会場となる教会で、神父立ち会いの下、特殊な呪文をかけてもらいながら水晶に触れる。すると水晶にその者の魔法の特性が現れる…といったものだ。
子供達はみなこの選定の儀を楽しみにワクワクしながら教会を訪れるのだが、私の場合氷とわかりきっているのでそんなワクワク感は無い。悲しい。

貴族達は魔法持ちがほとんどのため魔法の種類に期待を寄せるが、平民達からすれば魔法を持ってるだけで特別扱いだ。そんな選定の儀で聖魔法なんて、しかも平民が持ってるなんてわかった日にはさぞ騒ぎになっただろう。聖魔法だと水晶はどんな反応になるだろうか…
主人公の立場に嫌気が差して大きくため息をつく。そして湧き上がるのは理不尽に対する怒り。

「聖魔法は聖女になる絶対条件…30年聖魔法を持つ者は現れ無かったアガスティアに一筋の光がーって祭り上げられるんだよ知ってる。しかもくそ強いの。はぁぁぁご都合主義か!?どっかの乙女ゲーか!?許さんぞチート野郎め!!」

あ、ここ乙女ゲームの世界でしたわ。


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