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婚約破棄
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第1王子、アルバートの成人を祝して開かれた王城での誕生パーティー。
この国では、王位継承権1位のものが成人になった時点で王位継承が行われる。すなわち、今日の誕生パーティーは先代の王が亡くなりしばらく主として君臨していた女王クリスティーヌから第1王子アルバートへ王位継承が行われることを意味する大事な式典であった。
そんな記念すべき日とあってパーティーが行われる広間には国中の貴族達が集まり各々談笑をしながら賑わいを見せている。
…いや、賑わいというよりどよめきといった方が正しいのかもしれない。
皆、会話の途中にちらりと一方を覗き見しながら声を潜め相手の耳元で囁く。
『ねえ、あれ…』
『アルバート様はいらっしゃらないの…?』
『まさかあの噂は本当だったのか』
『第一王子がアイリーン様を放って男爵令嬢の小娘に夢中になっているという』
『しっ!縁起でもないことを言うんじゃない。』
『いや、でも…。』
『この状況だったら噂は本当だったとしか…』
『このタイミングでまさか本当に婚約破棄?』
『哀れで仕方ないな』
ちらちらと人々が様子をうかがう目線の先にいるのは、用意された席にポツンと座る第一王子の婚約者、アイリーンの姿だった。
どんなパーティーであれ、普通パートナーと入場し、共に過ごすのが通例である。しかし主役であるアルバートの姿は会場には見当たらない。王位継承を兼ねた大事な誕生パーティーで婚約者同士が別々に入場など前代未聞のことだ。
ざわつく貴族達を黙らせるかのように入口付近の衛兵が突然声を張り上げた。
「第1王子、アルバート様ご入場!」
大声と共に開かれた扉の向こうから、正装に身を包んだアルバート、そしてその手を取って隣を歩くクラリスが現れる。
その姿を見た貴族達は再びざわつき始める。
あの噂は本当だったのか、と。
周りの反応など意にも返さず、アルバートとクラリスは広間の中央まで歩みを進める。
そしてふと立ち止まると、アルバートは声を張り上げた。
「本日はこのような場にお集まり頂きありがとう。今日、この場を持って私は成人を迎えると共に、現君主クリスティーヌより王位を継承する。」
先程までの騒がしさが嘘のように会場が静まり返る。
「この記念すべき日を皆と共に迎えられること、心より嬉しく思う。…ただ、この式典を始める前にお伝えしなければならないことがある。」
アルバートは前の方で座っているアイリーンを睨みつけながら声高らかに宣言した。
「今この場を持って、第1王子アルバートは、アイリーンとの婚約を破棄し、クラリスを正妃として迎えることを宣言する!」
その宣言を、アイリーンは表情を変えず真顔で聞いていた。
アルバートの言葉と共に並べられるアイリーンがクラリスに行ったとされる嫌がらせ、悪事の数々。
資料を持ってくるのは皆第1王子の取り巻き達で内容も正直本人が行ったかどうかの確証が無いものばかり。
普通に考えればこんなもので婚約破棄など認められる訳が無い。
しかし、取って付けたような理由などこの場では特に重要ではなかった。
王位継承を行う正式な場で、王子が婚約破棄を宣言した。
この事実は覆らない。
この宣言がされた時点で婚約破棄は成立したようなもの。
幼少期から厳しい教育に耐え、王妃として相応しい姿を体現してきたアイリーンにとって今までの努力全てを否定されたも同然である。
さぞショックであろう…誰もがそう思い、席で静かに座っているアイリーンを見つめた。
そのアイリーン本人はと言うと、無言でアルバート達の主張を聞き流すとすっと立ち上がり、さも可笑しそうに笑った後、満面の笑みでこう言ったのだ。
「婚約破棄、喜んでお受け致しますわ。」
この国では、王位継承権1位のものが成人になった時点で王位継承が行われる。すなわち、今日の誕生パーティーは先代の王が亡くなりしばらく主として君臨していた女王クリスティーヌから第1王子アルバートへ王位継承が行われることを意味する大事な式典であった。
そんな記念すべき日とあってパーティーが行われる広間には国中の貴族達が集まり各々談笑をしながら賑わいを見せている。
…いや、賑わいというよりどよめきといった方が正しいのかもしれない。
皆、会話の途中にちらりと一方を覗き見しながら声を潜め相手の耳元で囁く。
『ねえ、あれ…』
『アルバート様はいらっしゃらないの…?』
『まさかあの噂は本当だったのか』
『第一王子がアイリーン様を放って男爵令嬢の小娘に夢中になっているという』
『しっ!縁起でもないことを言うんじゃない。』
『いや、でも…。』
『この状況だったら噂は本当だったとしか…』
『このタイミングでまさか本当に婚約破棄?』
『哀れで仕方ないな』
ちらちらと人々が様子をうかがう目線の先にいるのは、用意された席にポツンと座る第一王子の婚約者、アイリーンの姿だった。
どんなパーティーであれ、普通パートナーと入場し、共に過ごすのが通例である。しかし主役であるアルバートの姿は会場には見当たらない。王位継承を兼ねた大事な誕生パーティーで婚約者同士が別々に入場など前代未聞のことだ。
ざわつく貴族達を黙らせるかのように入口付近の衛兵が突然声を張り上げた。
「第1王子、アルバート様ご入場!」
大声と共に開かれた扉の向こうから、正装に身を包んだアルバート、そしてその手を取って隣を歩くクラリスが現れる。
その姿を見た貴族達は再びざわつき始める。
あの噂は本当だったのか、と。
周りの反応など意にも返さず、アルバートとクラリスは広間の中央まで歩みを進める。
そしてふと立ち止まると、アルバートは声を張り上げた。
「本日はこのような場にお集まり頂きありがとう。今日、この場を持って私は成人を迎えると共に、現君主クリスティーヌより王位を継承する。」
先程までの騒がしさが嘘のように会場が静まり返る。
「この記念すべき日を皆と共に迎えられること、心より嬉しく思う。…ただ、この式典を始める前にお伝えしなければならないことがある。」
アルバートは前の方で座っているアイリーンを睨みつけながら声高らかに宣言した。
「今この場を持って、第1王子アルバートは、アイリーンとの婚約を破棄し、クラリスを正妃として迎えることを宣言する!」
その宣言を、アイリーンは表情を変えず真顔で聞いていた。
アルバートの言葉と共に並べられるアイリーンがクラリスに行ったとされる嫌がらせ、悪事の数々。
資料を持ってくるのは皆第1王子の取り巻き達で内容も正直本人が行ったかどうかの確証が無いものばかり。
普通に考えればこんなもので婚約破棄など認められる訳が無い。
しかし、取って付けたような理由などこの場では特に重要ではなかった。
王位継承を行う正式な場で、王子が婚約破棄を宣言した。
この事実は覆らない。
この宣言がされた時点で婚約破棄は成立したようなもの。
幼少期から厳しい教育に耐え、王妃として相応しい姿を体現してきたアイリーンにとって今までの努力全てを否定されたも同然である。
さぞショックであろう…誰もがそう思い、席で静かに座っているアイリーンを見つめた。
そのアイリーン本人はと言うと、無言でアルバート達の主張を聞き流すとすっと立ち上がり、さも可笑しそうに笑った後、満面の笑みでこう言ったのだ。
「婚約破棄、喜んでお受け致しますわ。」
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