エインテ デュール

はついち

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黄金の眼

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蜂蜜色した双眼が覗き込むようにリリアンを写し出す

「それで、お前はどうする?逃れた子供は村に走ったみたいだけど、お前は帰らなくていいの?」

それはとても皮肉めいた言葉だった。
彼女は、こんな重しを両手に垂らしてのこのこと村に帰れるわけない、そう考えていた。
彼は心配そうな言葉とは裏腹にそんな表情一つ見せなかった。

「かえれ、ない……帰れるわけがない…」
「なんで?」
「だって……」
ふ、と視線を逸らす。
重い手から土の冷たい感覚が伝わる。
その冷たさか唇がまだ震えていた。

「だって、こんなの、ワタシ、気持ち悪い化け物だわ」

メトロに言われた事を反芻するように口に出す。
メトロは友達の中でもリーダー的な存在だった。リリアンはそんな彼に惹かれていたのだ。憧れと淡い恋とも分からないそんな念を抱いて。
だからか、彼に言われた一言がじわじわと呪いのように彼女の小さな体を締め付けていた。
彼女は、このまま村に帰っても居場所がない事は分かりきっていた、いや、それしか浮かばなかったのだ。
奇怪な腕をぶら下げて、帰った所でまたメトロのように彼女をリリアンと認められずに追い出されるのが何より怖かった。
グッと噛み締めた口には鉄の味が少し広がる。

「じゃ、お前は何もせずにここでくたばるわけ?」

少し顔を歪めた彼はそう言ってリリアンの頬に手を伸ばすと思いっきり掴み半強制的に金色の瞳と目を合わす事になった。

「人間でも化け物でもどっちでもいいけどさ、もっと頑張って地べたを這い蹲っても見苦しくても生きてみたらどう?」

掴まれた頬がじんわりと熱を持ち始めた。

「今が最も最悪なら、生きていてもこれ以上、下に落ちる事も無いんじゃないの?」

ピリピリと痛みが広がってきたが、痛いとは言えずにただその人間離れした金色の眼を見ていることしか出来なかった。

「ま、そんなのお前の勝手なんだけど」

ぱっと頬から手を離し、黄金の眼は夜空に映る満月に視線を移していた。
もう一度横目でリリアンを見て一笑すると
「それじゃぁね」
背を向け歩き始めた。

遠ざかる足音だけが響いていた。
その音が一歩一歩消えていくたびに、リリアンは喉が苦しくなり涙が出てきそうになっていた。
不安が押し寄せる。
得体の知れない何かが底なし沼に引きずり込むように、きっとその先は完全なる『死』なのだろう。

「まって……っ」

咄嗟に口に出ていた。
追いすがるように彼の背中に手を伸ばして…
そう、手を伸ばしてしまった。
忘れていたのだ、自分が今どうなっているのかを
風邪を切る音、気が付いた時には木々の硬い皮膚から肌が見えて何本か倒れていた。

「あ……」

無残に倒れている木々の中に彼の姿を見つけることが出来なかった
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