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歩く
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村が見えてきた。
いつもは、もうポツポツとしか付いてない明かりが全てついている。
村へ進もうとするが、一向に足が動かない。気持ちだけが急ぎ体がそれについていかないようだった。
震える足で少しずつ前に進む
ーーー
雑木林
地面も抉れ、木々も弓なり状になっているか折れているか、散々な有様だった。
そこに、ザリッと土と石を踏む音が響く。
「はぁ、ビックリした」
先程の少年が木々の陰から姿を現した。
月光に照らされた薄紫色の髪には土と枯葉で少し霞んでいた。
「まさか、避けた拍子に転ぶなんて…」
ため息をつきながら、髪についた土と葉を軽く払うと辺りを見回す。
抉れた土や木が異様な空気が漂い、遠くから遠吠えらしきものまでも聞こえてきた。
雲がかかり薄暗い空から、ヒラヒラと黒い蝶が降りてきたかと思うと輪を描くように、少年の周りを飛び始めた。黒い綺麗な姿とは裏腹にノイズがかった機械の様な声が聞こえてくる。
「マト退治、オ疲レ様デス」
少年は、蝶に軽く目をやると
「その台詞はもう聞き飽きたんだけど。それで、あとどれぐらい喰わせれば俺は帰れるんだよ」
「マダ、正確ニハ ワカリマセン」
「いつもそればっかりじゃん…本当にインフェルトに帰れるんだろうな?」
「エエ、必ズ」
「ふーん、ならいいんだけど」
そう言うと、少年は真っ直ぐに村の方に向かっていった。先程までいた蝶はいつの間にか姿を消し暗い帰路には少年一人になっていった。
ザク、ザクと進むたびに枝と枯葉が音を立てる。
木がはけ、村が見えはじめた。
「ん?」
はずだった
少年は首を傾げる。
そこにあったのは、土や、壁がボロボロと崩れ、家の内面が見えている。柱にはチラチラと炎が見え隠れするように動いていた。
「なんだなんだ、少し見ない間に随分と様変わりしてるじゃんか」
そのまま、足を進めて村の中心部分へと歩いて行った。
そこには、ある程度予想はしていたが、先ほどの少女の姿と数人の村人が向かい合わせに立っている。
「なんだあいつ…?」
よく見ると少女の姿は先の姿より人間らしさを失っていた。顔の半分以上は黒く染まり頭からはツノのような何かが髪の隙間から覗き、口はニンマリと弧を描いていた。ゾクリ、とするような表情に一瞬飲み込まれそうになる。
ーーーーーーーー
ーー少し前
不気味な程辺りは静まり返っていた。
少し急ぎ足の様子でリリアンは自分の家にたどり着いた。
ドッドッと動悸が早くなる。
すぅ、はぁ、と深呼吸をし声を出す。
「お、おじいさん、おばあさん」
絞り出すような声に反応するように中からガタッと物音がする。
「あ、あのね、私、リリアンなの…本当に、本当に…いま、手がちょっとアレで…扉が開けられないんだ、だから、開けて欲しいんだけど…」
会いたい。会ったら変わる。そう、根拠のない確信が心を埋めていた。この手さえ使わなければ、使わなければ、きっと、きっと…元に
「ねぇ、ねぇ……お願い、ドア、開けて」
辛くて、辛くて、苦しくて、助けてほしくて……
暫く、無音だった向こう側からものが動く音とともに、ガチャリと扉が開いた。
会いたドアから、光が漏れる。朝日のような暖かさが溢れるようだった。
眩しさに一瞬目を細め、逆光で見えなかった顔が徐々に見えるようになってくる。そこに居たのは紛れもない、おじいさんとおばあさんだった。
リリアンを見た二人は軽く顔を見合わせると、何時ものように、笑顔で
「おかえり、リリアン」
そういったのだ。
いつもは、もうポツポツとしか付いてない明かりが全てついている。
村へ進もうとするが、一向に足が動かない。気持ちだけが急ぎ体がそれについていかないようだった。
震える足で少しずつ前に進む
ーーー
雑木林
地面も抉れ、木々も弓なり状になっているか折れているか、散々な有様だった。
そこに、ザリッと土と石を踏む音が響く。
「はぁ、ビックリした」
先程の少年が木々の陰から姿を現した。
月光に照らされた薄紫色の髪には土と枯葉で少し霞んでいた。
「まさか、避けた拍子に転ぶなんて…」
ため息をつきながら、髪についた土と葉を軽く払うと辺りを見回す。
抉れた土や木が異様な空気が漂い、遠くから遠吠えらしきものまでも聞こえてきた。
雲がかかり薄暗い空から、ヒラヒラと黒い蝶が降りてきたかと思うと輪を描くように、少年の周りを飛び始めた。黒い綺麗な姿とは裏腹にノイズがかった機械の様な声が聞こえてくる。
「マト退治、オ疲レ様デス」
少年は、蝶に軽く目をやると
「その台詞はもう聞き飽きたんだけど。それで、あとどれぐらい喰わせれば俺は帰れるんだよ」
「マダ、正確ニハ ワカリマセン」
「いつもそればっかりじゃん…本当にインフェルトに帰れるんだろうな?」
「エエ、必ズ」
「ふーん、ならいいんだけど」
そう言うと、少年は真っ直ぐに村の方に向かっていった。先程までいた蝶はいつの間にか姿を消し暗い帰路には少年一人になっていった。
ザク、ザクと進むたびに枝と枯葉が音を立てる。
木がはけ、村が見えはじめた。
「ん?」
はずだった
少年は首を傾げる。
そこにあったのは、土や、壁がボロボロと崩れ、家の内面が見えている。柱にはチラチラと炎が見え隠れするように動いていた。
「なんだなんだ、少し見ない間に随分と様変わりしてるじゃんか」
そのまま、足を進めて村の中心部分へと歩いて行った。
そこには、ある程度予想はしていたが、先ほどの少女の姿と数人の村人が向かい合わせに立っている。
「なんだあいつ…?」
よく見ると少女の姿は先の姿より人間らしさを失っていた。顔の半分以上は黒く染まり頭からはツノのような何かが髪の隙間から覗き、口はニンマリと弧を描いていた。ゾクリ、とするような表情に一瞬飲み込まれそうになる。
ーーーーーーーー
ーー少し前
不気味な程辺りは静まり返っていた。
少し急ぎ足の様子でリリアンは自分の家にたどり着いた。
ドッドッと動悸が早くなる。
すぅ、はぁ、と深呼吸をし声を出す。
「お、おじいさん、おばあさん」
絞り出すような声に反応するように中からガタッと物音がする。
「あ、あのね、私、リリアンなの…本当に、本当に…いま、手がちょっとアレで…扉が開けられないんだ、だから、開けて欲しいんだけど…」
会いたい。会ったら変わる。そう、根拠のない確信が心を埋めていた。この手さえ使わなければ、使わなければ、きっと、きっと…元に
「ねぇ、ねぇ……お願い、ドア、開けて」
辛くて、辛くて、苦しくて、助けてほしくて……
暫く、無音だった向こう側からものが動く音とともに、ガチャリと扉が開いた。
会いたドアから、光が漏れる。朝日のような暖かさが溢れるようだった。
眩しさに一瞬目を細め、逆光で見えなかった顔が徐々に見えるようになってくる。そこに居たのは紛れもない、おじいさんとおばあさんだった。
リリアンを見た二人は軽く顔を見合わせると、何時ものように、笑顔で
「おかえり、リリアン」
そういったのだ。
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