【完結】露出狂が追いかけてきたら逃げるに決まってる

cyan

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4.再会

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「フィル! また会えて嬉しいよ!」
 輝くような笑顔でそう言う男は、やはり今日も火の海の真ん中で全裸だ。どこも隠すことなく、今日は両手を腰に当てている。
 なんで? ねえなんでなの? 服が燃えて無くなるのは仕方ないけどさ、せめて隠そうよ。なんでそんな堂々と晒してるの?

 動物系の魔物の大規模スタンピードなんてのはそうそう起こるものじゃないんだけど、虫系の魔物はどういうわけか大量発生しやすい。
 蜂系は人を襲う恐れがあるから危険だし、バッタ系や蝶々系は畑を荒らす。大群が通り過ぎた農地は食べ尽くされたりするから、アレンに討伐要請がきたらしい。僕は消火役として参加することになった。

 それで全裸のアレンに会ったというわけだ。今回はバッタだと聞いている。もう全て燃やし尽くされて影も形もないけど。時期的に考えてもまた会うんだろうな。虫系も火属性が有効だからだ。
 そう考えると火属性は最強に思えるんだが、辺りを火の海にしてしまうから街の中心なんかでは使えないし、事後処理が必要になる。魔物は倒されたのかもしれないが、これはこれで災害だよな。氷で辺りの温度を下げながらアレンの元へ向かった。

「アレン、服を持ってきた」
「ありがとう。でもまだ魔術を使ったばかりで体が熱いから着れない。もう少し冷めないと」
 そう言うとアレンは僕に抱きついてきた。

 しまった。近付きすぎた。こいつは露出狂の変態の上に痴漢で、勝手に抱きついてくるような奴だった。
 普段は人から距離を取られているせいで、ついつい忘れてしまう。
「離れろ」
「あと少しだけ」
 僕が離れろと暴れているとようやく放してくれた。

「ありがとう。フィルのおかげで体が冷めたから、もう服が着られる」
 ん? そのための抱擁だったのか?
 なんだ……。
 なんだってなんだよ。ちょっとガッカリした自分に驚いて、慌ててそっぽを向いた。

「服を着たら避けていてくれ。アレンを避けながらやるより、人を気にせず一気にやりたい」
「分かった」
 アレンは服を着るとすぐに遠くまで避けてくれた。ちゃんと説明すれば聞いてくれるのか。全く話が通じないわけではないことが分かって、少しだけホッとした。

「フィル、お疲れさま!」
 消火が終わると、当然のように待っていた。今はちゃんと服を着ている。
 しかし足元を見ると素足だった。
 そうか、服が燃えるってことは靴も燃えるよな。次からは靴も必要か。面倒ではあるが、そこは僕が自腹で用意するわけではないからいいんだ。

 こうして次のことを考えていると、アレンにおもむろに抱きしめられた。
「何してんだよ!」
「フィルも魔術を使うと体が冷えるだろ?」
 そうだけど、僕は服が凍ってボロボロになったりはしないから、温めたりしなくても平気だ。
 離れろと暴れると、ようやく放してくれて、僕はすぐにワイバーンタクシーを呼んで帰った。油断も隙もあったものじゃない。

 それからも、時期的なこともあり、何度かアレンと一緒になった。
 何度か経験すると、火の海の中で全裸の男が立っていても、「ハイハイ服ね」という感じで、僕の感覚まで麻痺していった。
 毎回、体が熱いから服が着れないと抱きつかれるのにも慣れた。

 でも僕の消火が終わった時に抱きつくのは、僕が嫌がるからしなくなった。露出狂で変態で痴漢でもあるが、本当に嫌がることはしないし、説明すれば理解する人間だということが分かった。

 
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