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5.バエルとお出掛け
しおりを挟む次の日も犯されるのかと思ってたけど、誰も来なかった。
「ミケ、リンゴばかりで飽きたか?」
「そ、そんなこと・・・。」
わがままなんて言ったら殺されるかもしれない。毎日犯されるのは嫌だけど、殺されるのはもっと怖い。
「今日は一緒に出掛けよう。」
「え?お出掛け?」
「そうだよ。ここに来てから外に出ていなかったからな。たまにはいいだろう。」
「うん。」
「ほらおいで。」
バエルは僕を抱きしめて髪を撫でると、抱き上げてそのままベランダに出た。
え?出掛けるってまさかベランダ?確かに外だけどさ。なんだ。僕は少しがっかりした。
「さぁ行こう。」
「え?」
その瞬間にバエルの背中には蝙蝠みたいな黒い羽が現れて、僕を抱っこしたままベランダから飛び立った。
バエルはちゃんと僕のことを抱き抱えてくれてるから落ちないと思うけど、僕は怖くてバエルにしがみ付いた。
「ミケ、ほら景色を見てごらん。綺麗だろう?」
「う、うん。」
僕はバエルにしがみついたまま、そっと景色を見たんだけど、真っ黒な森に紫や赤の煙が色んなところから立ち昇っていて、綺麗というよりは怖かった。
もしかして、僕あの煙に触れたら死んじゃったりするのかな?あんな煙の色初めて見たし。
しばらく飛んでいくと、街みたいなのが見えてきた。
人間の世界よりも建物が高い。木の家よりも石の家の方が多いみたい。
「街に行くの?」
「あぁ、ミケに服を買ってやろうと思ってな。」
「僕の服、買ってくれるの?」
「一緒に選ぼうな。」
「うん。」
服、買ってくれるんだ。しかも一緒に選んでくれるなんて嬉しい。
今までは自分で買ってた。そんなにお金を持っていなかったから、中古の安いものを買ってたし、擦り切れるまで繕いながら着てたから、誰かと一緒に服を選ぶなんて初めて。
「これはどうだ?サイズが合わなければすぐに直してもらおう。」
「えっと・・・」
バエルが最初に選んだのは、貴族が着るみたいな金の刺繍が入った豪華なジャケットだった。こんな高そうなやつ着れないよ。
「気に入らないか?それならこれはどうだ?」
「えっと・・・」
今度は宝石みたいな綺麗な石が散りばめられた服を持ってきた。
それ、女の人が着るドレスじゃない?バエルはそんなのを僕に着てほしいの?
「脱がしやすい服がいいよな。」
「え?」
なんで?脱がしやすいってなんで?
バエルは僕に服を着せて脱がせたいの?他の悪魔たちに犯されてる時はずっと裸だし、そう言えば僕が服着てる時間って少なくない?
「ねえバエル、バエルはなんで僕に服を買ってくれるの?」
「ミケを着飾って自慢したいからだ。」
「そ、そうなんだ。」
みんなに自慢・・・。なるほど。その後僕は犯されるってことだよね?
だから脱がしやすい服って・・・。なんだか急に服を選ぶことが嫌になった。
「バエルがいいと思った服にする。僕はなんでもいい。」
「なんだ?ミケはなぜ怒っているんだ?」
「怒ってないよ。」
「じゃあなんだ?悲しいのか?体の具合が悪いのか?」
「違うよ。」
なんでバエルは僕が楽しくなくなっちゃったことに気付いたんだろう?
「おいで。」
「え?」
僕はバエルに抱きしめられた。機嫌を取ろうとしてるのかな?
前に僕が抱きしめられると幸せで嬉しいって言ったから?
「服を選ぶのが嫌なら何がいい?私はミケが喜ぶことをしたい。」
「え?そんなこと言われたの初めて。」
僕が喜ぶこと?なんでそんなことしたいんだろう?
「ミケが喜ぶことはセックスしか知らん。他のことも知りたい。」
「・・・僕、そんなに喜んでた?」
バエルは僕が喜んで悪魔のみんなに犯されてるんだと思ってるの?痛いことされないから嫌じゃないけどさ、なんか違うと思う。
「大喜びで腰振って歓喜の涙を流してるだろ?」
「そうなんだ・・・」
周りからはそんな風に見えてたなんて知らなかった。僕、腰なんて振ってたの?自分では気付かなかった。
「見ている私も嬉しいし楽しい。可愛いしな。」
「バエルはもしかして、見てるだけ?」
「あぁ、そうだよ。」
「そっか・・・」
何でか分からないけどちょっとショックだった。僕が気絶してる間にバエルも僕を犯してるんだと思ってた。してなかったんだ。
こんなに優しくしてくれるのに、いつも抱きしめて治癒とかかけてくれるのに、抱きしめて寝てくれるのに、僕を犯すことはしないんだ。
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