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15.リオ
しおりを挟むずっと屋敷に閉じ込められていると、たまにリオが遊びにくるようになった。
リオはもう学園を卒業しているのだし、実家の領地経営に携わっているのだと思うが、何をしにこんな遠くまで馬を飛ばしてくるんだろうか?
婚約者だった当時とは年齢も関係も違うのだから、手を繋いで仲良く遊ぶなんてことは無いんだが、友人として普通に会話できる程度には親しくなったと思う。
ここは帝国ではないのだから、親しくなっても友人とキスしたりはしない。
帝国のみんなは元気かな?夜にまた手紙を書こう。
「ランディー、どうした?」
「何でもない。ただ帝国の級友たちは元気だろうかと思っただけだ。」
「そうか。」
「それで今日リオは何か用があったのか?」
「用は、ランディーの顔を見ることかな。」
「は?リオは領地を継ぐんだろ?こんなところに来ている暇はないんじゃないか?」
「領地のことはやっているからいいんだ。ランディー、僕との婚約の話なんだけど、考えてくれない?」
「は?それは断ったはずだ。もう随分昔に。」
「そうじゃない。子供の頃の話ではなく、今の話だよ。」
今の話?そんな話あったか?
「そんな話は知らない。何かの間違いだろう。」
「そう・・・。僕のこと嫌い?」
「嫌いじゃない。まぁ普通に友人という感じだな。」
「そっか。僕は好きだよ。」
「そうか。」
帝国のみんなと比べて少し遠い感じはする。離れていた時間もあるしな。あぁ、みんなに会いたいな。また5人で楽しく過ごしたい。
リオの口から婚約という話しが出てから、リオは毎回私に婚約の打診をしてくるようになった。それが嫌というわけではないんだが、断っても何度もしつこく言ってくるせいで、私はリオのことが苦手になっていった。
「リオ、もうその話はやめてくれ。そんなに結婚を急ぐのなら私ではなく他を当たれ。領地持ちの次期当主ならいくらでも嫁ぎたい者はいるだろう。」
「そんなこと言うなよ!」
リオは私の言葉が何か癇に障ったのか、声を荒げて私の両肩を強く掴んだ。
「痛い、やめてくれ。リオ、離してくれ・・・」
こんなの友達ではない。獲物を狙うようなその目もすごく怖いし、肩に食い込んだ指が痛い。
「何してる!」
リオが声を荒げたせいか、私の危機を察したのか、兄上がサロンに入ってきて、私からリオを引き剥がしてくれた。
「ランディー、大丈夫か?」
声が出なくてコクコクと頷く私を兄上はひょいっと抱き上げて、使用人を呼ぶとリオが帰ることと、リオの屋敷への立ち入り禁止を告げていた。
「ランディー、怖かったな。もう大丈夫だ。」
「兄上、ありがとう。」
そのまま兄上の部屋に行くと、私を抱き抱えたままソファーに座って、私が落ち着くようにずっと背中をトントンと子供をあやすようにしてくれていた。
兄上にとって私はまだ子供なんだな、とも思ったが、兄上の優しさが嬉しい。
それと、兄上がリオを立ち入り禁止としてくれたことにも正直ホッとした。憂鬱の種が消えてホッとすると、私は兄上の腕の中で眠ってしまった。
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