【完結】おじさんの私に最強魔術師が結婚を迫ってくるんですが

cyan

文字の大きさ
18 / 20

おじさん遠征に参加する

しおりを挟む



 少し緊張する。
 帯剣はした。革鎧も一応着たし、まぁ私は騎士ではないから力は強いが戦いが得意なわけではない。

「さぁ、行こうか。はいそこ、もっと寄って。転移するよ~」

 ラウロは私の手をギュッと握ってる。私もラウロの手をいつもより強く握った。
 一瞬で辺りの景色が訓練場から森の中に移った。

「シモン、一応魔力遮断かけてるけど、少しでも体調がおかしくなったらすぐに魔力溜まりから距離を取ってね」
「分かりました」

 しばらく森を進むと、禍々しい気配が肌にピリピリと感じるようになった。
 これはどうなんだろう? これも体調の変化なのか?

「かなり強いな。肌にピリピリくる」
「だなー、これは追加人員が必要になるかもな」
「魔物が見当たらないのが幸いか」
「確かにな」

 魔術師たちがそんな会話をしているのを聞いて、ピリピリするのは普通のことなのだと思った。

 あれか。森の奥に空間が歪んで濃い紫のような霧が固まったところが見えた。
 初めて見た。あれが魔力溜まりか。

「ん~、これくらいならこの人数で大丈夫じゃない? とりあえずそこのお前からそっちのお前まで、結界展開ね。それ以外は浄化最大で。さっさと終わらせよう」
「「「はい!」」」

「シモンはここにいて。体調が悪くなるようなら離れていいけど、魔物なら出てきたとしても俺が倒すから心配しないで」
「分かりました」


 ん? 何だか少し暑いな。
 体の奥からじんわりと熱が広がっているような感じがした。

「シモン!? 離れろ!!」
「え? わ、分かりました」

 ラウロに凄い形相でそう言われて、後ろを向いて踏み出したが足がもつれた。
 あ、倒れるかも。クラリと視界が揺れて、私は地面に接触する寸前でラウロに抱き止められた。

 はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、、、
 なぜか息が苦しい。そして暑い。起きあがろうとするが、力が入らなくて起き上がれなかった。

「ラウロ、ごめん。なんか暑い。ちょっと苦しい」
「すぐ帰ろう。全員すぐに集合しろ!」
「「「はい!」」」

 すると、次の瞬間には城の演習場だった。

「誰でもいいから医療班をすぐに呼べ!」

 珍しいな。ラウロが声を荒げるなんて。


「ラウロ、魔力溜まりは?」
「恐らくシモンが殆どの魔力を吸ったから消えた」
「そっか」
「苦しいか? 痛いか?」
「痛くは、ない。暑い。息苦しさは、少しある。私は、大丈夫です」

 間も無くバタバタと誰かが走ってくる音がして、数人で抱えられながら私は医務室へ運ばれた。
 申し訳ない。そんな重篤ではないし、私は無駄に体格がいいから重いだろうな。そんなことを考えながら大人しく運ばれていった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】悪妻オメガの俺、離縁されたいんだけど旦那様が溺愛してくる

古井重箱
BL
【あらすじ】劣等感が強いオメガ、レムートは父から南域に嫁ぐよう命じられる。結婚相手はヴァイゼンなる偉丈夫。見知らぬ土地で、見知らぬ男と結婚するなんて嫌だ。悪妻になろう。そして離縁されて、修道士として生きていこう。そう決意したレムートは、悪妻になるべくワガママを口にするのだが、ヴァイゼンにかえって可愛らがれる事態に。「どうすれば悪妻になれるんだ!?」レムートの試練が始まる。【注記】海のように心が広い攻(25)×気難しい美人受(18)。ラブシーンありの回には*をつけます。オメガバースの一般的な解釈から外れたところがあったらごめんなさい。更新は気まぐれです。アルファポリスとムーンライトノベルズ、pixivに投稿。

強面龍人おじさんのツガイになりました。

いんげん
BL
ひょんな感じで、異世界の番の元にやってきた主人公。 番は、やくざの組長みたいな着物の男だった。 勘違いが爆誕しながら、まったり過ごしていたが、何やら妖しい展開に。 強面攻めが、受けに授乳します。

生まれ変わったら知ってるモブだった

マロン
BL
僕はとある田舎に小さな領地を持つ貧乏男爵の3男として生まれた。 貧乏だけど一応貴族で本来なら王都の学園へ進学するんだけど、とある理由で進学していない。 毎日領民のお仕事のお手伝いをして平民の困り事を聞いて回るのが僕のしごとだ。 この日も牧場のお手伝いに向かっていたんだ。 その時そばに立っていた大きな樹に雷が落ちた。ビックリして転んで頭を打った。 その瞬間に思い出したんだ。 僕の前世のことを・・・この世界は僕の奥さんが描いてたBL漫画の世界でモーブル・テスカはその中に出てきたモブだったということを。

悪役のはずだった二人の十年間

海野璃音
BL
 第三王子の誕生会に呼ばれた主人公。そこで自分が悪役モブであることに気づく。そして、目の前に居る第三王子がラスボス系な悪役である事も。  破滅はいやだと謙虚に生きる主人公とそんな主人公に執着する第三王子の十年間。  ※ムーンライトノベルズにも投稿しています。

幼馴染の王子に前世の記憶が戻ったらしい

325号室の住人
BL
父親代わりの叔父に、緊急事態だと呼び出された俺。 そこで、幼馴染の王子に前世の記憶が戻ったと知って… ☆全4話 完結しました R18つけてますが、表現は軽いものとなります。

親友と同時に死んで異世界転生したけど立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話

gina
BL
親友と同時に死んで異世界転生したけど、 立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話です。 タイトルそのままですみません。

ゲーム世界の貴族A(=俺)

猫宮乾
BL
 妹に頼み込まれてBLゲームの戦闘部分を手伝っていた主人公。完璧に内容が頭に入った状態で、気がつけばそのゲームの世界にトリップしていた。脇役の貴族Aに成り代わっていたが、魔法が使えて楽しすぎた! が、BLゲームの世界だって事を忘れていた。

名もなき花は愛されて

朝顔
BL
シリルは伯爵家の次男。 太陽みたいに眩しくて美しい姉を持ち、その影に隠れるようにひっそりと生きてきた。 姉は結婚相手として自分と同じく完璧な男、公爵のアイロスを選んだがあっさりとフラれてしまう。 火がついた姉はアイロスに近づいて女の好みや弱味を探るようにシリルに命令してきた。 断りきれずに引き受けることになり、シリルは公爵のお友達になるべく近づくのだが、バラのような美貌と棘を持つアイロスの魅力にいつしか捕らわれてしまう。 そして、アイロスにはどうやら想う人がいるらしく…… 全三話完結済+番外編 18禁シーンは予告なしで入ります。 ムーンライトノベルズでも同時投稿 1/30 番外編追加

処理中です...