【完結】うちの子は可愛い弱虫

cyan

文字の大きさ
33 / 49

33.夜のエリオ(ノア視点)

しおりを挟む
  

 エリオが可愛すぎて、夢中で求めすぎた。
 かなり僕も疲れたけど、エリオもグッタリとしている。いつもだ。やりすぎたと反省して、それなのにエリオを前にすると止められなくなってしまう。

 エリオ。僕しか知らないこの可愛いエリオを、いつか誰かが知ってしまったら、一瞬で掻っ攫われてしまうんだろうな。
 本当は誰にも知られずに、僕の腕の中だけに閉じ込めておきたい。まぁそんなことは無理なんだけどさ。

 汗でペタリとエリオの頬に張り付いた髪をそっと掬って耳にかける。本当に綺麗な顔。綺麗なのは顔だけじゃない。もう全身だよね。全身。立ち姿も、仕草も全部綺麗。僕がこの容姿と才能と地位を持っていたら、やりたい放題して我儘放題で遊び放題だったと思う。
 ほとんど全ての人間を見下していたかもしれない。
 そんなことを思いながら、自信がないと膝を抱える可愛いエリオを思い出して、僕の柔らかい腕で抱きしめた。

 腕の中にエリオがいる。それだけで幸せで、僕はふわふわと夢の中を漂っていた。

 夜中に何だか震えているような気がして目が覚めると、エリオが膝を抱えて震えながら泣いていた。

「え?エリオ、どうしたの?何で膝を抱えて泣いてるの?」
「ごめん。私は役立たずなんだ。ノアにたくさんのことをしてもらって、いつも救ってもらっているのに、私には何もできることがない。」

 僕は膝を抱えて小さく丸まったエリオをギュッと抱きしめた。

「エリオ、僕はたくさんエリオからもらってる。何もできないなんて言わないで。僕はエリオが僕の隣で微笑んでくれるだけで幸せなんだよ。」 
「ノアの役に立ちたい。ノアに何もしてあげられない自分が情けない。ノアにずっと好きでいてほしいのに、このままではノアに嫌われてしまう。」

 バカだなエリオは。ずっと好きでいてほしいなんて、その言葉だけで僕は舞い上がってしまうほどに嬉しいのに。

「エリオ、僕がエリオのこと嫌いになるなんて有り得ないよ。大丈夫だから。エリオは何も心配せ僕に愛されてればいいよ。こっち向いて。」
「ノア・・・。」

 泣き腫らした顔が恥ずかしいのか、エリオは顔を上げる前に、自分の顔に魔法をかけていた。回復の魔法だろうか?
 そんなことしなくても、いつでもエリオは綺麗で可愛いのに。

 恐る恐るという感じで顔を上げるエリオの目は鋭い。その目にはちょっと怯みそうになるんだけど、別に僕を威嚇してるわけじゃない。緊張したり、困ったり、不安になったり、そんな時にエリオの目は鋭くなる。ただそれだけなんだ。みんなが不機嫌だとか怖いとか近寄り難いと思ってしまうのも仕方ないとは思うんだけど、本人には全くそんな気持ちはないことを僕は知ってる。

「ノア、キス・・・してほしい。」
「いいよ。」

 唇を重ねて舌を滑り込ませると、またエリオの舌は必死に逃げていくんだけど、弱ってる時のエリオの舌を捕まえるのは容易い。
 舌を捕まえて、ジュルッと吸うと、はぁと甘い吐息を吐いて、フルフルと震える。あぁ、本当に何でエリオはこんなに可愛いんだろう?

 エリオのガチガチに固まっていた体が少し解れる。

「ノア、もう一回して?」
「いいよ。何度でもしよ。」

「んん、、ぁ、、、はぁ、、、、」

 何度も何度も舌の追いかけっこを繰り返して、トロトロに蕩けたエリオを抱きしめて、髪を撫でる。愛しい。どこに嫌いになる要素があるのかが分からない。

「エリオ、僕はエリオとの時間をたくさんもらってる。幸せな時間をたくさんもらってる。大好きだよ。」
「私も、ノアが大好き。ずっと一緒にいたい。」
「うん。ずっと一緒にいようね。」
「ノア、ありがとう。」

 そう言うと、エリオは安心したのか目を閉じた。
 そういえば、エリオは不安な時や辛い時はよくキスをねだってくる気がする。
 エリオが安心できるなら、キスくらい何度でもするよ。僕だって可愛いエリオとキスしたいし。

 エリオが不安に思うことなんて何もないんだけどな。どちらかと言うと僕の方がね・・・。
 地位も無いし、秀でたものもない。顔も平凡だし体力は無いし、あるのは贅肉?ダメじゃん。

 エリオは公爵家の後継ぎだし、エリオの才能を受け継ぐ子供を作った方がいい。
 エリオの両親は僕とのことを反対しないって言ったけど、それは遊びってことかもしれない。愛人とか、まぁ公爵家の当主であれば何人か娶ることになるのも不思議はないし、末席くらいには入れてやってもいいということかもしれない。
 エリオの父親は、王家から姫を貰い受けたからなのか、夫人は1人しか居ないけど。

 何れは高位貴族か、他国の王族やなんかから正室を娶ることになって、僕はどうなるんだろう。それまでの関係として捨てられるのか、屋敷の端にでも住まわせてくれたりはするかもしれないけど。エリオが飽きるまでは愛人的な立場でいられるんだろうか?

 いいんだ。僕はエリオが幸せになれるなら身を引く。その覚悟はしてる。実際にそんな時が訪れたら悲しくて寂しくて、耐えられなくなるかもしれないけど、それは仕方ないこと。
 ちゃんと受け入れられる。たぶん。ちょっとは泣くかもしれないけど。
 今はそんなこと考えないでおこう。
 今はただ愛しいエリオを抱きしめて、エリオの心を守りたい。

  
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします

み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。 わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!? これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。 おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。 ※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。 ★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★ ★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★

完結|ひそかに片想いしていた公爵がテンセイとやらで突然甘くなった上、私が12回死んでいる隠しきゃらとは初耳ですが?

七角
BL
第12回BL大賞奨励賞をいただきました♡第二王子のユーリィは、美しい兄と違って国を統べる使命もなく、兄の婚約者・エドゥアルド公爵に十年間叶わぬ片想いをしている。 その公爵が今日、亡くなった。と思いきや、禁忌の蘇生魔法で悪魔的な美貌を復活させた上、ユーリィを抱き締め、「君は一年以内に死ぬが、私が守る」と囁いてー? 十二個もあるユーリィの「死亡ふらぐ」を壊していく中で、この世界が「びいえるげえむ」の舞台であり、公爵は「テンセイシャ」だと判明していく。 転生者と登場人物ゆえのすれ違い、ゲームで割り振られた役割と人格のギャップ、世界の強制力に知らず翻弄されるうち、ユーリィは知る。自分が最悪の「カクシきゃら」だと。そして公爵の中の"創真"が、ユーリィを救うため十二回死んでまでやり直していることを。 どんでん返しからの甘々ハピエンです。

【完結】転生した悪役令息は、お望み通り近付きません

カシナシ
BL
「お前など、愛す価値もない」 ディディア・ファントム侯爵令息が階段から落ちる時見たのは、婚約者が従兄弟を抱きしめている姿。 (これって、ディディアーーBLゲームの悪役令息じゃないか!) 妹の笑顔を見るためにやりこんでいたBLゲーム。引くほどレベルを上げた主人公のスキルが、なぜかディディアに転生してそのまま引き継いでいる。 スキルなしとして家族に『失敗作』と蔑まれていたのは、そのスキルのレベルが高すぎたかららしい。 スキルと自分を取り戻したディディアは、婚約者を追いかけまわすのを辞め、自立に向けて淡々と準備をする。 もちろん元婚約者と従兄弟には近付かないので、絡んでこないでいただけます? 十万文字程度。 3/7 完結しました! ※主人公:マイペース美人受け ※女性向けHOTランキング1位、ありがとうございました。完結までの12日間に渡り、ほとんど2〜5位と食い込めた作品となりました!あああありがとうございます……!。゚(゚´Д`゚)゚。 たくさんの閲覧、イイね、エール、感想は、作者の血肉になります……!(o´ω`o)ありがとうございます!(●′ω`人′ω`●)

身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される

秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました! 最終17位でした!応援ありがとうございます! あらすじ 魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。 ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。 死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――? 傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。

異世界転移してΩになった俺(アラフォーリーマン)、庇護欲高めα騎士に身も心も溶かされる

ヨドミ
BL
もし生まれ変わったら、俺は思う存分甘やかされたい――。 アラフォーリーマン(社畜)である福沢裕介は、通勤途中、事故により異世界へ転移してしまう。 異世界ローリア王国皇太子の花嫁として召喚されたが、転移して早々、【災厄のΩ】と告げられ殺されそうになる。 【災厄のΩ】、それは複数のαを番にすることができるΩのことだった――。 αがハーレムを築くのが常識とされる異世界では、【災厄のΩ】は忌むべき存在。 負の烙印を押された裕介は、間一髪、銀髪のα騎士ジェイドに助けられ、彼の庇護のもと、騎士団施設で居候することに。 「αがΩを守るのは当然だ」とジェイドは裕介の世話を焼くようになって――。 庇護欲高め騎士(α)と甘やかされたいけどプライドが邪魔をして素直になれない中年リーマン(Ω)のすれ違いラブファンタジー。 ※Rシーンには♡マークをつけます。

転生先のぽっちゃり王子はただいま謹慎中につき各位ご配慮ねがいます!

梅村香子
BL
バカ王子の名をほしいままにしていたロベルティア王国のぽっちゃり王子テオドール。 あまりのわがままぶりに父王にとうとう激怒され、城の裏手にある館で謹慎していたある日。 突然、全く違う世界の日本人の記憶が自身の中に現れてしまった。 何が何だか分からないけど、どうやらそれは前世の自分の記憶のようで……? 人格も二人分が混ざり合い、不思議な現象に戸惑うも、一つだけ確かなことがある。 僕って最低最悪な王子じゃん!? このままだと、破滅的未来しか残ってないし! 心を入れ替えてダイエットに勉強にと忙しい王子に、何やらきな臭い陰謀の影が見えはじめ――!? これはもう、謹慎前にののしりまくって拒絶した専属護衛騎士に守ってもらうしかないじゃない!? 前世の記憶がよみがえった横暴王子の危機一髪な人生やりなおしストーリー! 騎士×王子の王道カップリングでお送りします。 第9回BL小説大賞の奨励賞をいただきました。 本当にありがとうございます!! ※本作に20歳未満の飲酒シーンが含まれます。作中の世界では飲酒可能年齢であるという設定で描写しております。実際の20歳未満による飲酒を推奨・容認する意図は全くありません。

処理中です...