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33.夜のエリオ(ノア視点)
しおりを挟むエリオが可愛すぎて、夢中で求めすぎた。
かなり僕も疲れたけど、エリオもグッタリとしている。いつもだ。やりすぎたと反省して、それなのにエリオを前にすると止められなくなってしまう。
エリオ。僕しか知らないこの可愛いエリオを、いつか誰かが知ってしまったら、一瞬で掻っ攫われてしまうんだろうな。
本当は誰にも知られずに、僕の腕の中だけに閉じ込めておきたい。まぁそんなことは無理なんだけどさ。
汗でペタリとエリオの頬に張り付いた髪をそっと掬って耳にかける。本当に綺麗な顔。綺麗なのは顔だけじゃない。もう全身だよね。全身。立ち姿も、仕草も全部綺麗。僕がこの容姿と才能と地位を持っていたら、やりたい放題して我儘放題で遊び放題だったと思う。
ほとんど全ての人間を見下していたかもしれない。
そんなことを思いながら、自信がないと膝を抱える可愛いエリオを思い出して、僕の柔らかい腕で抱きしめた。
腕の中にエリオがいる。それだけで幸せで、僕はふわふわと夢の中を漂っていた。
夜中に何だか震えているような気がして目が覚めると、エリオが膝を抱えて震えながら泣いていた。
「え?エリオ、どうしたの?何で膝を抱えて泣いてるの?」
「ごめん。私は役立たずなんだ。ノアにたくさんのことをしてもらって、いつも救ってもらっているのに、私には何もできることがない。」
僕は膝を抱えて小さく丸まったエリオをギュッと抱きしめた。
「エリオ、僕はたくさんエリオからもらってる。何もできないなんて言わないで。僕はエリオが僕の隣で微笑んでくれるだけで幸せなんだよ。」
「ノアの役に立ちたい。ノアに何もしてあげられない自分が情けない。ノアにずっと好きでいてほしいのに、このままではノアに嫌われてしまう。」
バカだなエリオは。ずっと好きでいてほしいなんて、その言葉だけで僕は舞い上がってしまうほどに嬉しいのに。
「エリオ、僕がエリオのこと嫌いになるなんて有り得ないよ。大丈夫だから。エリオは何も心配せ僕に愛されてればいいよ。こっち向いて。」
「ノア・・・。」
泣き腫らした顔が恥ずかしいのか、エリオは顔を上げる前に、自分の顔に魔法をかけていた。回復の魔法だろうか?
そんなことしなくても、いつでもエリオは綺麗で可愛いのに。
恐る恐るという感じで顔を上げるエリオの目は鋭い。その目にはちょっと怯みそうになるんだけど、別に僕を威嚇してるわけじゃない。緊張したり、困ったり、不安になったり、そんな時にエリオの目は鋭くなる。ただそれだけなんだ。みんなが不機嫌だとか怖いとか近寄り難いと思ってしまうのも仕方ないとは思うんだけど、本人には全くそんな気持ちはないことを僕は知ってる。
「ノア、キス・・・してほしい。」
「いいよ。」
唇を重ねて舌を滑り込ませると、またエリオの舌は必死に逃げていくんだけど、弱ってる時のエリオの舌を捕まえるのは容易い。
舌を捕まえて、ジュルッと吸うと、はぁと甘い吐息を吐いて、フルフルと震える。あぁ、本当に何でエリオはこんなに可愛いんだろう?
エリオのガチガチに固まっていた体が少し解れる。
「ノア、もう一回して?」
「いいよ。何度でもしよ。」
「んん、、ぁ、、、はぁ、、、、」
何度も何度も舌の追いかけっこを繰り返して、トロトロに蕩けたエリオを抱きしめて、髪を撫でる。愛しい。どこに嫌いになる要素があるのかが分からない。
「エリオ、僕はエリオとの時間をたくさんもらってる。幸せな時間をたくさんもらってる。大好きだよ。」
「私も、ノアが大好き。ずっと一緒にいたい。」
「うん。ずっと一緒にいようね。」
「ノア、ありがとう。」
そう言うと、エリオは安心したのか目を閉じた。
そういえば、エリオは不安な時や辛い時はよくキスをねだってくる気がする。
エリオが安心できるなら、キスくらい何度でもするよ。僕だって可愛いエリオとキスしたいし。
エリオが不安に思うことなんて何もないんだけどな。どちらかと言うと僕の方がね・・・。
地位も無いし、秀でたものもない。顔も平凡だし体力は無いし、あるのは贅肉?ダメじゃん。
エリオは公爵家の後継ぎだし、エリオの才能を受け継ぐ子供を作った方がいい。
エリオの両親は僕とのことを反対しないって言ったけど、それは遊びってことかもしれない。愛人とか、まぁ公爵家の当主であれば何人か娶ることになるのも不思議はないし、末席くらいには入れてやってもいいということかもしれない。
エリオの父親は、王家から姫を貰い受けたからなのか、夫人は1人しか居ないけど。
何れは高位貴族か、他国の王族やなんかから正室を娶ることになって、僕はどうなるんだろう。それまでの関係として捨てられるのか、屋敷の端にでも住まわせてくれたりはするかもしれないけど。エリオが飽きるまでは愛人的な立場でいられるんだろうか?
いいんだ。僕はエリオが幸せになれるなら身を引く。その覚悟はしてる。実際にそんな時が訪れたら悲しくて寂しくて、耐えられなくなるかもしれないけど、それは仕方ないこと。
ちゃんと受け入れられる。たぶん。ちょっとは泣くかもしれないけど。
今はそんなこと考えないでおこう。
今はただ愛しいエリオを抱きしめて、エリオの心を守りたい。
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