【完結】破壊神のお婿さんはイケメンらしい

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二章:ロディ視点

19.永遠の誓い

  


 マナーとか今はいい。ノックもせずアダムの部屋の扉をバタンと開けて中に入ったけど、アダムの姿はなかった。でもカーテンが膨らんでいるのを見つけた。
 初めて会った日に、俺のことを警戒してカーテンの後ろに隠れていた、まさにその場所。

 カーテンを無理に引き剥がして、蹲るアダムをギュッと抱きしめた。抱きしめずにはいられなかった。好きだから抱きしめたいのはもちろんある。目の前のアダムは小さくて震えながら泣いていた。今にも消えてしまいそうに見えたんだ。

「俺はアダムが好きだ。さっきセドリックから聞いた。俺たちがちゃんと結婚できたって。離縁するなんて言わないで。結婚に失敗して殺されることが怖いんじゃない。アダムを失うことの方が怖い。いなくならないって約束したじゃないか」
「事件のこと聞いたんだろ? 僕のこと怖くないの? そんなに近くに来たら爆発するかもしれないよ?」
 アダムの声は震えていた。
 近付いたら爆発するなんて言われてきたのか? だからアダムと一緒にいると、みんなが距離をとるのか?
 俺とアダムが二人きりになれるように離れていくのだと思っていた。そんな理由で距離をとっていたなんて知らなかった。
 俺はアダムに近づきたいし触れたい。いつでもそばにいたい。

「事件の話は聞いたけど、全然怖くない。近くにいたって爆発しないって分かってる。俺はいつもアダムを抱えていたんだから、近寄って爆発するなら俺はもうとっくに死んでる」
「なんで……」
「なんでって、アダムは俺の夫だからだ」

 あの日、俺はアダムに救われた。だから俺もアダムを救いたい。アダムは強いから、俺が守る必要なんてないかもしれないけど、せめて悪意からは俺がアダムを守るって決めた。
 アダムはきっとたくさん傷ついたんだ。

「アダム、キスしていい? 結婚したから、愛してるから、キスしたい」
「うん。する」

 カーテンの影に隠れて、俺たちは初めてキスをした。
 アダムの手は小さくて柔らかいけど、唇はもっと柔らかかった。何度もキスした。全部が愛しくて、流れた涙の跡にもキスして、額にも、頬にも、鼻にも、潤んだ目の上の瞼にもキスをして、ギュッと抱きしめて、またキスをした。

「ロディ、待って、待って、僕初めてなのに、そんなにいっぱいキスされたら死んじゃうから」
「キスをたくさんしたら死ぬのか!?」
 そんなこと眉毛のおじいちゃん先生は言ってなかった。キスって危険なものなのか?

「違うよ。僕もロディのこと好きだから、そんなにたくさんキスされたらドキドキして、苦しい。死なないけど、死にそうな気分になる」
「嫌だったならごめん」
 好きだけど死にそうな気分か……俺は幸せだったけど、アダムにとって嫌なことをしてしまったのかもしれない。

「違う違う。嫌じゃない。嬉しいし幸せだけど、き、緊張するから、その……またしたいけど、いきなりいっぱいはダメ」
「分かった。いっぱいはしない。少しだけにする」
「うん……」
 アダムのキラキラした石みたいに綺麗な目はまだ潤んでいる。

「俺はアダムと一生添い遂げたいと思ってる。アダムのこと大好きなんだ」
「うん。僕もロディと一生添い遂げたい。一生、ううん、永遠がいいな」
「エイエン?」
「そう。一生よりもっと長い。死んでも終わらないずっとずっと続く終わらない時」
「じゃあ俺も永遠を誓う。ずっとずっと、アダムを大切にする」
 キスをして、抱きしめて、鼻先がくっ付くくらい近くの距離で、二人だけで永遠を誓った。


 コンコン
「アダムヘルム様~? ローデリック様~?」
「おい、今入るのは野暮だろ」
「でも気になるでしょう? 私のせいで二人が別れたりしたらと思うと……」
「おやめなさい」

 邪魔が入ったようだ。二人だけの時間は突如として終わりを迎えた。
 カーテンの後ろから、アダムを抱えたまま出ていくと、トミーとフライツとセドリックが入り口に立っていた。
「申し訳ない。私がローデリック様に事件のことを勝手に話しました。それと、アダムヘルム様を怖がりすぎた。傷つけていることに気付かなかった。その……すいませんでした」
 フライツは俺が怒ったからか、深く頭を下げて謝った。

「俺も、アダムヘルム様をあの事件だけで怖がりすぎていた。人の気持ちを思いやれなかった。申し訳ない」
 トミーも頭を下げた。

「私も、アダムヘルム様が学園を退学してこちらに戻ってきた頃、「近付くな」と言われ、そっとしておいた方がいいと思っていましたが、その後、情けなくも距離感を上手く図ることができず、近付くことができなくなってしまいました。
 使用人は皆、アダムヘルム様を恐れているわけではないのです。距離をとっていることで、それ程までに傷ついておられるとは思い至らず、申し訳ございませんでした。
 ローデリック様の言葉で目が覚めましたローデリック様、ありがとうございます」
 セドリックも深く頭を下げている。

「ロディ、何言ったの?」
 俺の腕の中でアダムがモゾモゾ動いて、俺を見上げてきた。可愛い。ではなくて……
 俺は、怒鳴られるのが苦手なのに、怒鳴られた人がどれだけ怖い思いをするか知っているのに、怒鳴ってしまった。

「皆さん、その……怒鳴って申し訳ありませんでした。反省しています。罰は受ける。柵のついた地下室に閉じ込めてもいいし、魔術の的でもいい……」
 痛いのも苦しいのも怖いけど、悪いことをしたら、罰を受けることになる。

「は? 柵のついた地下室? 牢ってこと? そんなところにロディを入れたのか? 魔術の的にしたのか? どういうことだ?」
 背筋が凍るようなアダムの低い声が部屋に響いて、思わず足が震えた。
 でも、アダムのことは大切だからギュッと抱きしめた。
「アダム怒らないで。ここに来てからは地下室には行ってないし、魔術の的にもされてない」
「誰にされた?」
「キラキラした石がついた服を着た男」
 顔は分かるけど名前は知らない。あの男は誰だったんだろう?



  
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