31 / 75
四章:進展 アダム視点
31.違う顔 ※
あの『毛玉』狩り大会の開催後、週に一度ほどロディは冒険者ギルドに行くようになった。
そんなのは必要ないんだが、ロディも自分で金を稼ぎたいらしい。もっといい剣を買いたいのかもしれない。あの片手剣は安物だからな……
別にいいんだけど、寝る前にロディが楽しそうに冒険者と狩りに出掛けた話をしてくると、ちょっとだけ嫉妬する。
今年はもう帝国は攻めてこないんだろうが、戦争でもあれば思いっきり魔術をぶっ放して発散できるのに。なんて実に『破壊神』らしい思考が出るくらいにはモヤモヤした。
「アダム、どうした? 何か嫌なことがあったのか?」
ロディにはすぐに分かってしまうらしい。僕の顔を至近距離でジッと見つめてくる。
「なんでもない」
嫉妬したなど恥ずかしくて言えるわけがない。言えない気持ちが胸の奥で燻って、酒に逃げたくなる。ロディと寝るようになって、ウォッカは減らなくなったんだけど、今日は久しぶりに飲みたい気分だ。この嫌な感情を忘れたいんだ。しかし、酒など飲んだらまたロディに心配される。何かあったのかと。だから僕は勇気を出してみることにした。
ロディ、僕だけを見て。
「ロディ、格闘したい」
僕が言えるのはこれくらいだ。『格闘』という隠語はなかなかいい。恋愛など全く縁がなかった僕にとって、誘うってのは結構勇気がいるんだ。「抱いてほしい」とか「セックスしたい」なんてとても僕の口からは言えない。隠語を使えば少しだけ恥ずかしさが軽減する気がする。
ロディの甘い口付けがトロリと下りてきて、それだけで僕はもう溺れて窒息しそうになる。
「んん……」
「アダム、可愛い。キス好きなの?」
「ロディとのキスは好き。もっとして」
ロディの甘い蜜に絡め取られると、僕の口からも糖度の高い言葉が出てくる。
「俺もアダムとキスするのが好きだ。でも少しだけにしないと死んでしまうんだろ?」
そんなことを言ったこともあったな。ずっと律儀にロディはそんな言葉を守ってくれていたのか。
「死なないから、たくさんしてほしい」
誰かに何かを強請ったりするのは、子どもの頃にお菓子か何かを強請った時以来だ。ロディは僕の願いを叶えてくれるって分かっている。ちゃんと僕を見て受け止めてくれるって分かっているから言える。
柔らかい唇と、ロディの香りに酔いながら、たくさんキスをした。
「ああっ……」
イケメンにそんなことさせてはいけないと思いつつ、僕の股間に顔を埋めるロディの銀色の髪を眺める。ジュルジュルと音を立てて吸われると、抗えない快楽に落とされていく。
そんなつもりはなかったのに、あっと思った時にはロディの口に出してしまっていた。僕から吐き出されたものがロディの口の横から溢れて、それを指で掬って舐めている。
う、エロい……
なにそれ、わざとなの? 僕に見せつけてるの?
「アダム、気持ちいい? 幸せ?」
「うん。気持ちいい。幸せだよロディ」
あぁ、また不意打ちでイケメンスマイルが発動された。しかもなんだその蕩けるような甘い顔は。僕は一体いつになったらロディの顔に慣れるんだろう?
どんどん顔に熱が集まって、ドキドキと鼓動が高鳴る。
これでもかというくらい丁寧に後ろが開かれ、気持ちいいところを攻め立てられる。本当にどうなってるんだ? ロディだって初心者のはずなのに、眉毛のじいさんは絶対に只者じゃない。
グプンッとロディを一気に飲み込む。
いいところをゴリっと擦られて息が詰まると、ロディがそっと抱き起こして抱きしめてくれた。微かに『モジャ』の香りがする。
「俺だけのアダム。ずっとこうして抱きしめていたい」
吐息混じりに耳元でそんなことを囁くから、なんだか耳の奥まで性感帯になってしまったみたいに、ゾクゾクが止まらなくなった。ロディ、僕だけのロディでいて。
腹の中がジクジクと疼いている。ロディの存在を感じているだけじゃ足りなくなる。もっと強い刺激が欲しくて、顔を上げてロディを見つめた。
「アダム、動いてほしい?」
えー? 今までそんな意地悪なこと聞かれたことないのに。ロディは一体どうしたのかと驚いた。
悪戯な目をしてるし、こんな顔もできるの?
どうしよう。こんな顔をしてもイケメンは最高に格好いい。抗えない僕はロディに素直にお願いするしかなかった。
「うん。動いてほしい」
「いいよ。アダム可愛い」
僕を抱きしめたまま、下からゆっくりと抽挿が始まって、忍び足みたいにゆっくりと高みへ上り詰めていく。
「ああっ、もう……」
「苦しくない? こっちも一緒にしてあげる」
気持ちいいのにギリギリの表面張力みたいにイけないでいると、ロディはそれを知っているかのように、僕の陰茎を握った。
「ダメ、もう出ちゃう……」
「ちょっとだけ我慢して」
そんなこと言われると思ってなかったから、押し寄せる快楽と軽い精神的ショックにどうしていいのか分からなくなる。ロディに嫌われたくなくて必死にイくのを耐えた。
「一緒にイきたい」
「ん……」
僕は必死にロディに縋りついた。
もうダメだと思ったんだけど、僕が吐精する瞬間に、腹の中に熱いものが広がって、僕の中でロディがドクドクと震えていた。
少し汗ばんだ胸に抱きしめられて、またロディの甘い蜜の中で溺れそうになる。
それが最高に幸せなんだ。
「アダム、大好きだ」
「うん。僕も好き」
相変わらずロディはアフターケアと言って、僕の体を拭いたり、飲み物を持ってきて飲ませてくれたり、甲斐甲斐しく世話を焼いてくれる。
本当はこんなの浄化魔術でサッと綺麗にできるし、飲み物だって一歩も動かず魔術で手元に運べるんだけど、ロディが僕のためにしてくれるってことが嬉しい。
「アダム、嫌なことがあるなら言って。俺が分かってやれたらいいんだが、言ってくれないと分からないんだ」
「嫌なことなんかない。ただ、ロディが僕だけのものから、みんなのものになっていくのが、少しだけ寂しいというか……嫉妬だ」
隠していてもロディには分かってしまう。こうなったらもう開き直るしかない。
「俺はアダムが誰より何より一番大切だ。俺によくしてくれる人は好きだが、それは柔らかいパンが好きなのと同じで、アダムだけは特別なんだ。永遠に愛してるのはアダムだけ。俺はアダムだけのものだ」
パン? 他のみんなはロディにとってパンと同列なのか?
なんか嫉妬して損した。僕のお婿さんは僕だけを一途に愛してくれるらしい。
相変わらずロディは甘くて、次の日はまたずっと僕にべったりくっ付いていた。
朝になると僕を抱えて移動して、風呂に入れてマッサージもしてくれた。
あのちょっと意地悪な一言が気になったが、普段はそんな素振りは全く見せない。
あなたにおすすめの小説
【完結】巷で噂の国宝級イケメンの辺境伯は冷徹なので、まっっったくモテませんが、この度婚約者ができました。
明太子
BL
オーディスは国宝級イケメンであるにも関わらず、冷徹な性格のせいで婚約破棄されてばかり。
新たな婚約者を探していたところ、パーティーで給仕をしていた貧乏貴族の次男セシルと出会い、一目惚れしてしまう。
しかし、恋愛偏差値がほぼ0のオーディスのアプローチは空回りするわ、前婚約者のフランチェスカの邪魔が入るわとセシルとの距離は縮まったり遠ざかったり…?
冷徹だったはずなのに溺愛まっしぐらのオーディスと元気だけどおっちょこちょいなセシルのドタバタラブコメです。
脳筋剣士と鈍感薬師 ~騎士様、こいつです~
季エス
BL
「ルカーシュは、駄目よ」
その時胸に到来した思いは安堵であり、寂しさでもあった。
ルカーシュは薬師だ。幼馴染と共に、魔王を倒すために村を出た。彼は剣士だった。薬師のルカーシュは足手纏いだった。途中で仲間が増えたが、それでも足手纏いである事に変わりはなかった。そうしてついに、追い出される日が来たのだ。
ルカーシュはそっと、瞼を伏せた。
明日、明日になったら、笑おう。そして、礼と別れを言うのだ。
だから、今だけは、泣いてもいいかな。
呪われた辺境伯は、異世界転生者を手放さない
波崎 亨璃
BL
ーーー呪われた辺境伯に捕まったのは、俺の方だった。
異世界に迷い込んだ駆真は「呪われた辺境伯」と呼ばれるレオニスの領地に落ちてしまう。
強すぎる魔力のせいで、人を近づけることができないレオニス。
彼に触れれば衰弱し、最悪の場合、命を落とす。
しかしカルマだけはなぜかその影響を一切受けなかった。その事実に気づいたレオニスは次第にカルマを手放さなくなっていく。
「俺に触れられるのは、お前だけだ」
呪いよりも重い執着と孤独から始まる、救済BL。
となります。
契約書はよく読めとあれほど!
RNR
BL
異世界で目が覚めた、就職浪人中の美容系男子、優馬。
最初に出会った美しい貴族青年は、言葉が通じないが親切に手を差し伸べてくれた。
彼の屋敷に招かれた際、文字は読めないもののなにかの書類にサインをすると、その彼と結婚したことになっていて……。
この世界で何をする? また無職生活? 本当にそれでいい? 葛藤する日々と、それを惜しみない愛情で支える夫。
理想の自分と、理想の幸せを探す物語。
23話+続編2話+番外編2話
禁書庫の管理人は次期宰相様のお気に入り
結衣可
BL
オルフェリス王国の王立図書館で、禁書庫を預かる司書カミル・ローレンは、過去の傷を抱え、静かな孤独の中で生きていた。
そこへ次期宰相と目される若き貴族、セドリック・ヴァレンティスが訪れ、知識を求める名目で彼のもとに通い始める。
冷静で無表情なカミルに興味を惹かれたセドリックは、やがて彼の心の奥にある痛みに気づいていく。
愛されることへの恐れに縛られていたカミルは、彼の真っ直ぐな想いに少しずつ心を開き、初めて“痛みではない愛”を知る。
禁書庫という静寂の中で、カミルの孤独を、過去を癒し、共に歩む未来を誓う。
虐げられている魔術師少年、悪魔召喚に成功したところ国家転覆にも成功する
あかのゆりこ
BL
主人公のグレン・クランストンは天才魔術師だ。ある日、失われた魔術の復活に成功し、悪魔を召喚する。その悪魔は愛と性の悪魔「ドーヴィ」と名乗り、グレンに契約の代償としてまさかの「口づけ」を提示してきた。
領民を守るため、王家に囚われた姉を救うため、グレンは致し方なく自分の唇(もちろん未使用)を差し出すことになる。
***
王家に虐げられて不遇な立場のトラウマ持ち不幸属性主人公がスパダリ系悪魔に溺愛されて幸せになるコメディの皮を被ったそこそこシリアスなお話です。
・ハピエン
・CP左右固定(リバありません)
・三角関係及び当て馬キャラなし(相手違いありません)
です。
べろちゅーすらないキスだけの健全ピュアピュアなお付き合いをお楽しみください。
***
2024.10.18 第二章開幕にあたり、第一章の2話~3話の間に加筆を行いました。小数点付きの話が追加分ですが、別に読まなくても問題はありません。
処刑される悪役令息に転生したらなぜか推しの騎士団長がグイグイ近づいてくる
猫に小判
BL
交通事故で死んだはずの会社員・田中悠人は、気がつくとBL小説『恋と陰謀~はじまりは夜に~』の世界に転生していた。
しかも転生先は、原作で処刑される悪役令息エリオット。
当然そんな未来は回避したい。
原作知識を頼りに慎重に立ち回るつもりだったのに、気づけば王宮を揺るがす事件に巻き込まれていき――。
さらに困ったことに、原作で一番の推しだった騎士団長ガイウスがやたらと距離を詰めてきて……?
平穏に生きたい元悪役令息と、過保護な騎士団長がじれじれ距離を縮める話。
ガイウス(騎士団長)×エリオット(元悪役令息)
【新版】転生悪役モブは溺愛されんでいいので死にたくない!
煮卵
BL
ゲーム会社に勤めていた俺はゲームの世界の『婚約破棄』イベントの混乱で殺されてしまうモブに転生した。
処刑の原因となる婚約破棄を避けるべく王子に友人として接近。
なんか数ヶ月おきに繰り返される「恋人や出会いのためのお祭り」をできる限り第二皇子と過ごし、
婚約破棄の原因となる主人公と出会うきっかけを徹底的に排除する。
最近では監視をつけるまでもなくいつも一緒にいたいと言い出すようになった・・・
やんごとなき血筋のハンサムな王子様を淑女たちから遠ざけ男の俺とばかり過ごすように
仕向けるのはちょっと申し訳ない気もしたが、俺の運命のためだ。仕方あるまい。
クレバーな立ち振る舞いにより、俺の死亡フラグは完全に回避された・・・
と思ったら、婚約の儀の当日、「私には思い人がいるのです」
と言いやがる!一体誰だ!?
その日の夜、俺はゲームの告白イベントがある薔薇園に呼び出されて・・・
ーーーーーーーー
この作品は以前投稿した「転生悪役モブは溺愛されんで良いので死にたくない!」に
加筆修正を加えたものです。
リュシアンの転生前の設定や主人公二人の出会いのシーンを追加し、
あまり描けていなかったキャラクターのシーンを追加しています。
展開が少し変わっていますので新しい小説として投稿しています。
続編出ました
転生悪役令嬢は溺愛されんでいいので推しカプを見守りたい! https://www.alphapolis.co.jp/novel/687110240/826989668
ーーーー
校正・文体の調整に生成AIを利用しています。