【完結】破壊神のお婿さんはイケメンらしい

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八章:決着 アダム視点

60.イケメン怖い

 

 また昨夜もロディにトロトロに溶かされて、甘い蜜で絡め取られた僕は、やっぱりこのままじゃいけないと思って訓練場へ向かうことにした。

 適当に口が固そうな兵に聞いてみようと思う。
 兵舎裏に『モジャ』がたくさん生えているとか言っていたな。そこもちょっと見てみよう。
 ロディを真似て、『モジャ』の香りで心を落ち着けてから向かおうと思った。

 おお、あった。夏にかなり成長したのか、今年はまだこんもりと『モジャ』が残っていた。
 しゃがんで二本ほど茎を折る。スゥーっと香りを吸い込んで、いい香りを肺に取り込む。そこで気づいた。ロディの香りは、『モジャ』とロディの香りが合わさったもので、『モジャ』だけではイケメンの香りを完全再現することができないと。
 そうか。じゃあ『モジャ』の香水をつけているからといって、みんながイケメンの香りってわけじゃないんだな。

「アダムヘルム様?」
 急に後ろから名前を呼ばれて振り向くと、ロディと仲良しのイケメン、ランスがいた。
 僕は思わずロディとお揃いのペンダントを握ってしまった。

「ふはっ、大丈夫ですよ。アダムヘルム様とロディの仲に割り込んだりしませんから」
 バレていた。イケメンが笑っている。この前は無表情だったくせに、この笑顔、イケメンはずるい。

「僕は別に……」
 しどろもどろになりながら目を背けると、風が吹いてランスの髪がサァーっと靡いた。
 光が透けて黄金のように綺麗な色だ。思わず目で追っていた。ロディの輝く銀色の髪には負けるけど。

「俺、結婚してて娘もいるんで心配しないでください」
「あ、そうなんだ」
 嫉妬心が湧いてザワザワしていた僕がバカみたいだ。僕はロディのことになると余裕がなくなる。
 なんだかものすごく恥ずかしい。

 もうランスでいい。どうせ恥ずかしい思いをしたんだ。恥ずかしいのがあと一つくらい増えたってどうってことない。

「ランス、相談していいか?」
「え? 俺でいいんですか? 俺のが優れていることなんて槍の使い方くらいしかないと思うんですけど」
「いや、そんなことはない。ランスは子どもがいるんだろ?」
 ランスは不思議そうに僕を見てきた。僕はすぐに目を逸らして手に持った『モジャ』を見つめた。

 僕は話した。
「夜にベッドでゴニョゴニョがゴニョゴニョで、そしてゴニョゴニョだ。どうしたらいい?」
「はい? ゴニョゴニョばかりで全然何を聞きたいのか分からない」
 だよな。しかし格闘という隠語はランスには伝わらない。言葉に出せずどう伝えていいのか分からなくなった。

「ロディのセックスに満足できないってことですか?」
「い、いや……逆、だ」
 イケメンがそんな言葉を口にするなんて……

「じゃあ自分の夫は床上手という自慢ですか?」
「そうではない」
「じゃあなんです? 激しすぎて辛いってことですか?」
「そうでもない。その、ロディばかりに頼りすぎているんだ」
 とうとう言った。これで伝わるか? 分かってくれるか?

「うーん、ああ! エッロい仕掛けをしてロディの度肝を抜きたいということだな」
 僕の威厳は消えた。ちょっとだけ丁寧に話してくれていたのに、ランスはそんな言葉も使わなくなった。
「そ、そう、かな……」
 合っているのか?

「それ俺に聞く? 俺の嫁は女だから男同士は分からん。ジェムとモークが適任そうだ。行くぞ」
 ランスに腕を掴まれ、僕は戸惑いながらジェムとモークとかいう人物の元に連れて行かれることになった。
 知らない兵に色々知られるのは恥ずかしい。しかもベッドの上でのことなど……

 しかしなんだかランスに逆らえなかった。
 ランスはジェムとモークと言ったのに、二人だけと思いきや、僕は十数人に囲まれることになった。

 休憩室に入ると、ランスが大声で言ったんだ。
「アダムヘルム様がロディにエッロい仕掛けしたいんだとよ! いい案ある奴いる~?」
「へえ~面白そうじゃん」「やっぱ透けた下着だろ」「だいたい二人はどっちなんだ? ロディが受ける側か?」「逆だろ」
 僕が羞恥に悶えていると、勝手に盛り上がって、どんどん人が集まっていったんだ。

 そして僕は大勢に取り囲まれ、僕がロディに任せっきりなのだと告白することになった。
 恥ずかしすぎて両手で顔を覆って、もう手を退けることはできない。

「アダムヘルム様は無知で可愛いな~」
「アダムヘルム様でもできないことがあるんだな」
 そして、なんかとてもオープンに色々と教えてもらった。
 口でするとか、上に乗るとか、誘い方とか、こんな下着があるとか、どこの店のオイルがいいとか、そんなことも教えてもらい、なんだか兵と距離がグッと近づいた。

「アダム~! あ、いたいた、ここにいるって聞いて迎えにきたよ~」
 こんな卑猥な話をしているところにロディがきた。まさか聞かれてないよね?

「あ、うん。もうお茶の時間?」
「みんなで集まって何してたの?」
「えっと、その、ざ、雑談だ」
「そっか」
 ロディは両手を広げて輝くような笑顔で待っている。
 こんな話をした後で、僕はロディの胸に飛び込むのか?

 もう十分恥ずかしい思いをしたんだから、一個増えても変わらない。僕はロディの胸に飛び込んだ。
 ギュッと抱きしめられて、そのまま抱き上げられた。
 ヒューとか口笛なんかで囃し立てられながら休憩室を後にすることになった。
 僕は、相談する相手を確実に間違えた。ランス怖い。イケメンは危険だ。


 
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