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八章:決着 アダム視点
63.事件の真相
ロディがいない日々がただ虚しく過ぎていく。
両親が何か言っていたが、何も理解できなかったし、何も聞きたくなかった。
風呂に入れられて、体を磨かれ、それがロディの手つきでないと分かると「触るな!」と暴れて人を遠ざけた。ロディ以外の誰にも触れてほしくなかった。近づいてもほしくなかった。
みんな避けてたくせに。
「アダム、新年の祝賀会に行く準備をしなさい。今日だけは絶対に参加するんだ」
父上に言われたけど、そんなものに参加して何になる。また『破壊神』と陰口をたたかれ、距離を取られてガッカリするだけだ。
心を抉る場所へなど、ロディと一緒でなければ行きたくない。
それなのに、無理やり衣装を着せられて馬車に押し込まれ、王城に行くことになった。
もしかしてロディも来るのでは? そう思ったら急に気分が乗って、髪を整えてロディとお揃いのペンダントと指輪、タイピンをつけた。
ロディは僕があげたペンダントも指輪もしていない。僕の部屋に魔石が抜かれた状態で置かれていたんだ。でもロディがくれたお揃いの短剣はなかった。まだ希望はあるのか?
ロディに会えるのではないかと逸る気持ちを抑えながら会場へ向かう。
会場に入るとロディを探す。ねぇロディ、なんで僕の隣にいないの? 僕たちは結婚してるのになんで一緒にいないの?
王族が入場すると、陛下が新年の挨拶を行なった。そしてダンスが始まるかと思ったら、引き続き話があると僕は両親に両脇を固められて陛下の元へと連れて行かれた。
『石男』も陛下の元へきた。その隣にはロディがいて、僕に向かって寂しそうな笑顔を向けた。いつもはもっと甘くて優しい笑顔なのに、なんでそんなに寂しそうなんだ。なんでそんな遠くにいるんだ?
僕はすぐにでもロディの元に向かいたかったけど、両親が両脇を固めているせいで動けなかった。何かしらの魔道具でも使っているのか、全く抵抗できなかったんだ。
「これから話す内容は、長きに渡り国を欺いてきた者をあぶり出し、被害者の汚名を返上するものである。皆は六年前に学園の建物が破壊された事件を知っているだろう。その真相を明るみにしようではないか。ここにいるロイター辺境伯家前当主と奥方、並びにハーマイン伯爵に説明を委ねる」
陛下の話は、六年前に起きた学園が破壊された事件の真相だった。
僕はロディのことだけを見ていた。事件のことなんてもうどうでもよかった。騒いでいる奴もいたけど、それもどうでもよかった。『破壊神』と呼ばれ恐れられてもいい。誰も僕に近づかなくてもいい。ロディさえいればいいんだ。
「アダム、しっかりしなさい。好きな人の前で失態を晒してもいいの?」
母上に言われて、僕は父上や『石男』の話を聞くことにした。
当時、学園の地下では違法薬物に使われる植物がエアガイツ公爵の主導で秘密裏に栽培されていた。そのことがバレそうになり、証拠隠滅をはかるために僕が使われた。
それを証拠とともに皆に説明したんだ。
証拠の品は、クルートが僕にくれた当時使った魔術書、エリスレーベンの証言の音声データ、シュリンゲ子爵、フェイル・クライバー、マクベリス・ビュットナーの三名の密談の音声データ、学園の地下から採取した魔力データ。母上は調査のために高精度で魔力を感知できる魔導装置を作り上げていた。
そして帝国の証言もあるし、『石男』が提出した違法薬物の製造と貯蔵を行う計画書と契約内容の書類。国外で販売していた商人の証言や契約書なども出てきて、もう言い逃れはできなくなった。
違法薬物が絡んだ大事件として歴史書にも載る事件となった。僕はそれに巻き込まれた被害者と認識を改められ、無事汚名は返上された。
主導していたエアガイツ公爵家、エアガイツの指示で薬物の抽出から販売を行なっていたモーベリア男爵家、事件後の薬物の保管とこっそり隣国で販売していたシュリンゲ子爵家も取り潰しの上、当主とその家族たちは強制労働施設へ送られることになった。生涯出ることは叶わない、極刑の次に重い刑だ。
極刑では、僕が味わった辛い日々を味わわせることができないということで、この刑になったそうだ。僕の知らないところで両親や陛下や『石男』が決めたらしい。
クルートはシュリンゲ家から籍を抜かれていたため対象とはならなかった。そこに僕は少しホッとした。
帝国を挑発し戦争を起こしたフェイル・クライバーはこの会場にいなかった。帝国が連れ去ったようだ。
僕の魔力に干渉して爆破を引き起こしたマクベリス・ビュットナーは研究所で、人の精神を操る危険な魔術を研究していたとか、危険人物として極刑が確定された。
エリスレーベンは国外追放。この女だけは軽いように感じるが、帝国でもいくつかの詐欺に加担していたらしく、我が国での罪と帝国での罪を合わせて、ラディウス帝国に判断を任せることになった。
僕の記憶を封印した魔術師は、数年前に不慮の事故で亡くなっていた。不慮の事故というが、きっと消されたんだろう。
僕の名誉は回復された。でも僕にはそんなことどうでもよかった。
ロディがいないなら意味がない。全部意味がない。ロディ、僕のこと嫌いになったの? 永遠は? もう無くなってしまったの?
羞恥心に耐えながら兵に教えてもらった格闘の技だって、まだロディと試してない。
事件の説明が終わり、罪人が捕えられ会場を後にした時、無事に解決してホッとしたのか両親の腕が緩んだ。その一瞬を僕は逃さなかった。
一気にロディの元まで飛んで、絶対に放さないとロディに力を込めて抱きついた。
ここで逃したら、もうロディに会えない気がしたんだ。
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校正・文体の調整に生成AIを利用しています。