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八章:決着 アダム視点
64.ロディの思い
ロディに抱きついて腕に力を込める。
「ロディ、愛してる。だからそばにいて」
「ごめんアダム。俺も永遠にアダムを愛してるけど、そばにはいられない」
苦しそうにロディはそう言った。
なんでそんなことを言うの? 分かんないよ。なんでだよ。
こんなことになるなら、事件なんて解決しなくてよかった。僕は『破壊神』のままロイター領でロディとひっそり暮らせればよかったんだ。
ロディは必死に僕を引き剥がそうとしたけど、僕は全力で、身体強化も使ってロディにしがみついた。息ができない、苦しい……
「納得できない。説明してくれなきゃ、絶対に……放さないん、だから……」
叫ぶように主張したつもりだったのに、僕の口から出た言葉は、掠れて弱々しいものだった。
「ロイター辺境伯、ここではあれだから、部屋を移動したらどうだ?」
陛下が言ったけど、僕はこの腕を絶対に放さないんだ。
「アダム、話すから移動しよう。嫌われたくなかった。愛されたまま離れたかった」
そう言いながら、ロディは僕を抱き上げて会場を後にした。僕を抱きしめたロディの腕が震えていることには、気づかないふりをした。
ロディの石がいっぱいついた衣装の胸ポケットには『モジャ』が入っていたから、やっぱりロディはロディだと思った。
部屋に入るとロディは僕を抱きしめたままソファに座った。
ついてきてくれなんて言ってないのに、僕の両親と『石男』も勝手についてきた。『石男』は正式にロディの父親だと分かったわけだし、名前も聞いたから、そろそろ『石男』ではなくハーマイン伯爵とでも呼ぼうか。いや、分かりやすいから『石男』でいいや。
二人きりがよかった。みんながいたら恥ずかしいことは言えないし、夫夫の問題なんだから入ってこないでくれよ。無粋な奴らめ。
心の中で悪態をつきながら、久々にイケメンの匂いを嗅いで幸せに浸った。
「ロディ、なんで? 僕のこと嫌いになったの? そばにいたくないくらい嫌なの?」
「そんなことはない。アダムのことが大好きだ。愛してるのはアダムだけ」
僕だけを愛してると知ってようやく息ができるようになった。ロディがいなくなってから、ずっと上手く呼吸ができなかった。呼吸の仕方なんて意識したこともなかったのに、なぜか呼吸の仕方が分からなくなって苦しかった。
じゃあなんで? 余計分からないよ。それならそばにいてよと言いそうになって、その言葉を飲み込んだ。話を聞くためにここに来たんだ。僕はロディを責めたいわけじゃない。理由を知りたいんだ。
ロディの手が僕の背中を優しく撫でる度に、呼吸がどんどん楽になっていく。
僕は、ロディがいないと呼吸さえ上手くできない。
「そばにいられない理由を聞かせて」
「俺は悪魔なんだ」
ロディがいなくなる直前にもそんなことを言っていた気がする。どういうこと?
「俺はアダムが泣くと嬉しくなってしまう。たぶん悪魔だ。だからそのうちアダムを泣かせたくなってアダムを傷つけると思う。だからそばにいられないんだ」
僕には全然分からない。僕、ロディの前で泣いたっけ? 泣きそうになったことはあるけど、泣いたことなんてあったっけ?
「僕、ロディの前で泣いたことなんてあった?」
「アダムはよく泣いている。(格闘の時に)」
ロディは最後の言葉は周りに聞こえないように耳元で囁くように言った。途端に僕の体温が上昇した。特に顔が熱くてたまらない。
「傷つけてもいいよ。ロディがそばにいてくれるなら、僕はなんだって耐えられる」
「ダメだ。俺が耐えられない。俺の中に父上の血が流れているから、俺はアダムに酷いことを言って、痛いことをするんだ」
「え? なんで? そんなことないと思うけど。そんなこと一度もされたことないし」
僕はロディがなんでそんなことを言っているのか分からない。これはロディがたまにする意地悪のものすごく手の込んだ仕掛けなのではないかと思えてきた。
「いつかする。父上が言っていた。子には父の血が半分流れていると。容姿や性格、体質などが引き継がれていると。父上はその父にされて嫌なことを俺にした。だからきっとそれは血のせいだ。俺もいつかするんだ。大好きで大切なアダムを傷つけたくない……」
僕が格闘の時に泣くのが嬉しい。それは『石男』の血がロディにも流れてるせいだと。そして血のせいで『石男』がロディにしたことを僕にするのが怖いからそばにいられない。ってこと?
「大丈夫だよ。ロディはそんなことしない。それに僕は魔力も多くて魔術の才能に溢れてるから、自分で回避できるし問題ない」
「前から思っていたんだ。俺はたまにアダムにちょっと意地悪したくなる。悪魔みたいだろ?」
自覚してたんだ……僕はそれが嫌じゃない。嫌だと思ったことなんて一度もないんだ。ちょっと意地悪されるのも好きなんて言ったら、ロディは僕のことを嫌いになるだろうか?
「ローデリック、私のせいだな。すまない。二人を引き裂くつもりはなかった。
心配することはない。私の血が流れていても、ローデリックが私と同じ失敗を犯すことはない。私が失敗したのは私の心が弱かったからだ。ローデリックは強いからそんなことは起きない」
『石男』が近づいてきて、ロディの肩に手を置いた。
「そうなのか? 俺は強くないと思うんだが」
ロディは納得していない様子でそう呟いた。
「ローデリック、親として一つだけアドバイスをする。大切なものは遠くからでは守れない。辛くてもそばにいて、全て受け止めてやることが守るということだ。お前も幸せになれ」
ロディを散々いじめた『石男』のくせに。すっかり更生したということか?
「アダム……俺はそばにいていいのか?」
「いいよ。いてよ」
「また意地悪するかもしれない」
「いいよ。ロディになら意地悪されたい」
ロディを見上げると、綺麗な深い青の瞳と目が合った。イケメンの顔が思ったより近くて、ドキドキしてしまう。
僕はまだロディの顔に慣れていないのか……
「アダム、可愛い」
そう言ってロディは僕にキスをした。人前だ、しかも親の前で……
あらあらと言って人が部屋の外へ出ていく気配がした。やっと出ていったか。
「ロディ、僕はロディがいないと息もできないんだ。ロディがいないと死んでしまう。ずっとそばにいて」
「分かった。アダム、寂しかった?」
「寂しかった」
「ごめんね。アダム、早く家に帰ろう。早く帰ってアダムの淫らな姿が見たい」
「!!」
何言ってんのロディ!
「このセリフはダメだった? 眉毛のおじいちゃん先生が、これは誘い文句として成功率が高いって言ってたんだけど」
眉毛のじいさん、ロディに何を教えてんだ!
そういえばハーマイン家は親戚になったんだ。『石男』は僕のお義父さんで、だったら眉毛のじいさんをちょっと借りてもいいんじゃないか?
僕もぜひ眉毛のじいさんの閨教育というものを受けてみたい。ものすごい技術を習得してロディをメロメロにできるかもしれない。
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校正・文体の調整に生成AIを利用しています。