【完結】破壊神のお婿さんはイケメンらしい

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九章:未来 ロディ視点

66.アダムと過ごす朝

 

 アダムがそばにいていいって言ったのは夢かと思って、朝は目を開けるのが怖かった。
 ちゃんと温かいぬくもりがあって、目を開けたらロイターの屋敷でアダムが隣で寝ていた。
 起こしたら悪いから、アダムをこの腕の中に閉じ込めたいのを我慢して、可愛いと思いながらジッと見ていた。アダムは寝ていても可愛くて、見飽きることがない。ずっと見ていられる。

 瞼がピクピクと痙攣して、ゆっくりの瞼が開き、紫色の宝石みたいな目が現れた。

「ひっ」
 アダムは俺が隣にいたからビックリしたのかもしれない。可愛いアダムの目に俺の姿を映してもらえるだけで嬉しい。

「アダム、おはよう。今日もアダムは可愛くて愛しい」
「あ、うん、おはよう」
 綺麗な紫色の目がゆらゆらと揺れて、アダムの顔がほんのりピンク色に染まった。可愛い。

 もう起きたから眠りの妨げにはならない。アダムの首の下に腕を滑り込ませて、頭を抱えるように抱きしめた。
 俺の腕にすっぽりと収まるアダム。一日の始まりに最初に見るのはアダムで、一日の終わりに見るのもアダムがいい。
 アダム、俺はアダムを虐めてしまうかもしれないのに、そばにいていいの?

 アダムが俺の背中に手を回して力を込めたから、胸に抱えていたアダムの頭をそっと上に向けてキスをした。
 アダムの温度を感じながらキスを繰り返す。もう離れたくない。
 何度キスをしても、もっとしたくなる。離れていた日にできなかった分を取り戻すようにたくさんキスをした。

 父上たちと過ごすのは昔と違って怖くなかったし、魔法の的にされなかったから痛くなかった。眉毛のおじいちゃん先生とも再会して、男女でする閨の意味も教えてもらった。男女ですると子どもができるんだそうだ。不思議だ。
 楽しいこともあった。でもアダムがいない生活は寂しくて苦しかった。一人で眠るベッドは冷たくて、アダムと会うまではいつも一人で寝ていたのに、一人ぼっちは心細くて寂しくて眠れなかった。

 ネーベル様、お願いです。俺がアダムに酷いことをしないよう見張っていてください。

 アダムは俺が置いていったペンダントと指輪を渡してくれた。これをつけると戻ってきたんだと実感する。アダムが買ってくれた御守り。
 ベッドでアダムを抱きしめて、スベスベの背中を撫でたり、腕や頬もその存在を確かめるように撫でてキスをした。ずっとこうしていられたらいいのに。

 コンコン
「大旦那様と大奥様がお話ししたいとのことです」
 ハドリットの声だ。いつもは扉を開けて一歩か二歩入ったところで話すのに、今日は扉を開けずに話をした。廊下から寒い風が入ってくるからかな?

「アダム、朝食も食べてないし行く?」
「そうだな。全部終わったら説明するとか言ってた気がする」
 少し緊張する。アダムの母とは少し話して受け入れてもらえた気がするが、アダムの父とは会話をしていない。それどころか、先日は父上が突然来たから動揺して挨拶すらできなかった。

 まずは庭師のボンに『ポコポコ』を摘んでいいか聞いて、ハンカチに包んで持っていこう。
 怒られたら怖いけど、ちゃんと悪いところは謝って直す。それで許してくれるだろうか? 魔力が少ないことを責められないといいんだが、それは分からない。不安だ。

「アダム、ボンのところに先に行きたい」
「ん? 『ポコポコ』か?」
 なんで分かったんだろう? アダムは俺の心を読む魔術を使えるのかもしれない。心の中が全部読まれていたら恥ずかしい。

「アダム、心を読む魔術を使われると恥ずかしい」
「そんな魔術無いよ。拷問で自白させるようなものはあると聞いたことがあるけど、僕はそんなの使ったことないし使おうと思わない」
 違ったようだ。俺が昨日のアダムが可愛かったと思い出していることや、やっぱり泣かせてしまったけどすごく涙が綺麗でドキドキしたことは内緒にしたい。

「アダムの父に会うのは少し緊張するから『ポコポコ』があると嬉しい」
「心配することないと思うが、一緒にボンのところに行こう」
 アダムも緊張するんだろうか? 俺も父上と話す時は緊張するから、同じかもしれない。

 そうだ、アダムを産んだ母にも『毛玉』を食べさせてあげたい。近いうちに『毛玉』を狩りに行こう。

 ボンに『ポコポコ』を二本摘んでもらうと、ハンカチに包んで胸ポケットに入れた。いい匂いがほわっと香ってきて少し落ち着く。

 食堂で朝食をいただいていると、父上に「所作が美しくなったな」と褒められたことを思い出した。
「どう? 俺は上手くなった?」
「ん? なんのこと?」
 アダムに聞いてみたが、分かってもらえなかった。

「俺は食事が苦手だった。アダムに会ったばかりの頃はフォークとナイフが上手く使えなくて、スプーンで食べたり、溢したり豆が転がったりしていた」
「それは知らなかった。今は見惚れるくらい美しい所作だ」
 知らなかったのか。初めの頃は遠く離れた席で食べていたから見えなかったのかもしれない。
 今はアダムに見惚れてもらえるなんて嬉しい。頑張ってよかった。


 
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