【完結】破壊神のお婿さんはイケメンらしい

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九章:未来 ロディ視点

72.神様

  

「アダム、手紙がそんなに届いたのか?」
 ハドリットがたくさんの手紙を抱えてアダムの元に持ってきた。アダムはいつものように魔術でどんどん開封していく。

「今までは僕のことを避けてたっていうのに、僕が事件の被害者だと分かった途端にこれだ。貴族は面の皮が厚くないと務まらないってことだ」
「嫌なことを言ったことへの謝罪の手紙か?」
「いや、夜会や茶会の招待状だ。謝罪の言葉など一つもない」
 アダムを傷つけたことへの謝罪もなく、家に招こうとするのは貴族なら普通のことなのか?
 クルートは謝ってくれたが珍しいことだったんだろうか?

「こんなにも招待されるなど、アダムは人気者だな」
「僕っていうより僕の魔力量かな。それと僕と一緒に来るであろうロディ目当てって可能性もある」
「俺? アダムの弱みだからか?」
「違う。イケメンだからだ」

 またイケメンという言葉が出てきた。イケメンというのはどうも都合が悪いようだ。アダムに迷惑をかけないといいんだが。

 アダムとそんな話をしていると『モコの父』がやってきた。
「アダム、それは招待状か? 私のところにはアダムへの釣り書きと、ローデリックくんと個人的に話をしたいという手紙が届いている」
「は? 全部お断りだ」
 アダムは不機嫌な様子を隠すことなく『モコの父』を睨みながらそう言った。

「そう言うと思っていた。どれ、私が全て引き取って断りの返事をしておこう。行きたい夜会や茶会があるなら行ってみるといい」
「そんなものはない」
「では、アダムやローデリックくん宛に届いた手紙は私が全て対応するとしよう。せめてもの罪滅ぼしだ」
「分かったから手紙を持って出ていってくれ」
 アダムはまだ両親が故意に領地に閉じ込め孤立させたことを許せないでいる。
 理解しても、謝られても、許せないこともあるのかもしれない。

 こんなやりとりをした時は、アダムの呼吸が乱れやすい。『モコの父』が部屋を出ていくと、俺はアダムを抱えてソファーに座る。
 可愛くて細くて小さいアダムを腕に閉じ込めて背中を撫でていると、呼吸は整っていく。

「ロディ、ありがとう」
「大丈夫か? 気晴らしに明日は狩りに行こう」
「そうだな。冒険者たちと一緒にいる方が楽しい」
「俺もそう思う」

 その後、アダムや俺宛に届く招待状や手紙は全て『モコの父』が対応してくれている。
 俺たちは連日冒険者ギルドに行って、王都周辺の色々な森で魔物狩りをした。

「アダム、神様だ」
「は?」
 アダムは気づいていないようだ。でも間違いない。今日はこの前会った時とは服装も髪型も違うし、あの黄色い花の形の石はつけていないけど、あれは間違いなくネーベル様。神様のオーラが漂ってくるんだ。
 俺はアダムの手を握ったままネーベル様の元へ駆けていった。なぜ神様が冒険者ギルドに?

「神様! 今日はどうしたんですか?」
「はい?」
「ネーベル様ですよね?」
 俺はまた会えた喜びで前のめりになってしまった。

「ローデリック様、貴方は何者ですか? なぜ私が分かるのですか? 今日はあのペンダントもしていないのに。それと、私は神様ではありません」
 やっぱり神様だった。神様だということは内緒にしなければならないようだ。騒ぎになってしまうからかもしれない。

「神様、また会えて嬉しいです」
「ですから、私は神様ではありません。だがちょうどよかった。お二人に話があります」
 ネーベル様は俺たちのことを心配していた。どうやらアダムと俺が断った貴族が逆恨みで俺たちを傷つけようとしているとか。冒険者崩れの者たちに依頼したようだと聞いて確認しにきたところだった。

「ネーベル様、どうか俺がアダムを虐めたりしないよう見張っていてください」
「はい? なんで私が」
「神様に見張っていてもらえれば安心だからです」
「だから、私は神様ではありません。ですが貴方なら大丈夫ですから、心配せず二人で幸せになりなさい」
 神様に大丈夫だとお墨付きをもらって、やっと安心できた。神様の言葉なら信じられる。
 しかし神様は難しい顔をしていたので、『ポコポコ』をあげた。神様にも効果はあるんだろうか?

「アダム、俺の悩みは消えた。嬉しい」
「うん。僕の悩みは消えてないけどね。ロディ、もう領地に帰ろう。危険な場所にいていいことなどない」
「分かった。しかし道には雪があるんじゃないのか?」
「大丈夫。二人で飛んで帰れば安全だ」
 アダムはすごい。アダムにしかできない方法で解決してしまう。
 こうして俺たちは、護衛のみんなや両親を置いて二人だけで先に帰ることになった。

「春になったら領都の屋敷に遊びに行く」
「分かった」
 アダムは『モコの父』が家に来ると言ったのを拒否しなかった。アダムだって絶対に許さないと決めているわけじゃないんだ。
 雪が溶けるように、アダムが両親を許せない気持ちも溶けてくれたらいいのに。

「ロディ、ちょっと距離が遠いから途中で休みながら行くぞ」
「分かった。途中で美味しいものを食べよう」
「それがいい。二人きりの旅行だ」
 二人きりというのは部屋にいる時くらいだ。これは眉毛のおじいちゃん先生が言っていたデートというやつかもしれないと思った。
 アダムと二人でデート、楽しみだ。


  
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