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5.訪れる変化
42.※
しおりを挟むキスをしてしばらくすると、黒馬は皇帝に怯えなくなった。だから僕たちは先に帰ることにしたんだ。
「あとは任せた。何かあれば早馬を飛ばせ」
「畏まりました」
先に帰るのは僕たちだけではない。軽い怪我なら手当てをしてまた討伐に出るけど、骨折などの大怪我をした人たちは治療魔法が使える人に治してもらうために帝都へ帰る。
小型の魔獣と戦って遅れをとるような人はいないけど、大型と戦うと怪我人が数名出る。僕たちより先にもう何人かが帝都へ帰っている。
今日は天気がいいから、馬に乗っていると心地いい風が吹いてきて気持ちがいい。
「陛下、まだ頭痛は酷いですか?」
「もう平気だ。アルとキスすれば治る」
僕は痛みを癒す魔法なんて使えないし、そんなわけないと思うけど、少しは緩和したってことでいいのかな?
強い魔法は体に負担があるってことが分かった。今思い出しても、あの黒いのに覆われている皇帝を見るのは怖かった。そんなこと言ってはいけないけど、もう魔法を使ってほしくない。
「今日は疲れた。魔力ももうあまり残っていない。帰ったら食事をして風呂に入って寝るぞ」
「はい」
魔力が残っているとかそんなこと分かるんだ……
僕も光の適性があるから魔力があるはずだけど、魔法を使ったことがないから魔力の残量なんて分からない。
食事をしてお風呂に入る。最近はもしものためにといつもお尻を洗っていた。必要ないのに習慣になっていて、今日も考えごとをしながら洗っていた。
また今日も無駄なことをしてしまった……
今日の皇帝は、強い魔法を使ったからか、たまに肩の辺りに黒い靄が現れる。お風呂の前に払ったのに、お風呂を出るとまた靄がいた。
「アル、おやすみ」
「陛下、おやすみなさい」
今日も僕は皇帝の抱き枕になって寝る。さっきお風呂に入ったのに、皇帝の体はいつもより冷たい気がする。寒いってほどじゃなくて、僕も今日は森を歩いたりして疲れたからこの冷たさが心地いい。ゆっくり眠れそうだ。
「ううっ……」
夜中に呻き声が聞こえて僕は目を覚ました。夢かと思ったら夢じゃなくて、そこには黒い靄が纏わりついて魘されている皇帝がいた。
薄明かりの中、皇帝に纏わりつく黒い靄を払って額の汗をそっと拭く。眉間には皺が寄っていて、呼吸も浅くとても苦しそうにしている。そっと両手で頬を挟むと、ゆっくりと目が開いた。
「アル……」
「すみません、起こしてしまいましたか?」
「いや、いい」
皇帝の真っ赤な目が光っている。これも闇魔法を使ったせいなんだろうか?
目が覚めて、もう怖い夢は見ていないはずなのに、皇帝はまだ苦しそうに眉間に皺を寄せたままだ。
「アル……抱きたい」
「はい」
僕は寝巻きを脱いだ。怖い気持ちはまだある。だけど皇帝を苦しみから救えるなら、なんとか耐えてみようと思う。
「俺の名を呼べ」
「はい、グレオン様」
冷たい指が僕の頬をなぞって耳に触れた。
「あっ……やっ……」
僕の急所が指先で擽ぐられると、僕は身を捩って逃げようとした。
「俺から逃げるな」
「はい」
ゆっくりと唇が重なって、唇に吸いつかれた。それ僕もやるのかな?
皇帝の柔らかい唇をチュッと吸ってみる。そしたら冷めたい舌が入ってきた。いつもより冷たくて、気持ちを落ち着けてくれる。
「アル、優しくする」
「はい」
皇帝の唇は、僕の唇や頬にキスしながらゆっくりと下りていく。
「んっ……」
首は擽ったいよ……だから声が漏れてしまったのは許してほしい。
胸に触れた冷たい指先が、先端をそっと撫でるとピリッとした快感が走った。前はそんなことなかったのに……
「あっ……」
「気持ちいいか?」
「んっ、気持ちいいです」
「素直だな」
あのときは食い殺されると思って怖くて泣いていたんだった。今日はそうじゃないから、気持ちいいんだろうか?
前は手が冷たいとか、そんなことも感じる余裕がなかった。
皇帝は僕の胸に飽きたのか、僕の股間を冷たい手で包み込んで扱き始めた。
「可愛いな。もうトロトロと溢れ始めたぞ」
「あっ……ダメです、出てしまいます」
人にそんなことされるのは初めてで少しだけ怖いけど、すごく気持ちいい。我慢できないかもしれない……
「いいぞ。出してみろ。見ていてやる」
そんなの恥ずかしいと思っているのに、我慢できなかった。
「ダメ……出ちゃう……ンンッ!」
高みに昇りつめて、白いのが飛んでいく先を見ていた。
「可愛い」
皇帝は呟いて僕のお尻に手を伸ばしたけど止まった。皇帝は僕がお風呂でお尻の中まで洗ったことを知らないから、どうしようか迷っているのかもしれない。
「お風呂で洗いました」
そんなこと言ったら、まるで期待していたみたいだ。僕は期待していたんだろうか?
そんなことはないけど、もうとっくに覚悟は決めていた。言えなかっただけだ。
皇帝は僕のことを抱き起こしてぎゅっと抱きしめてくれた。力が強すぎて、グエッとなったから、もう少し加減してくれるとありがたい。
とろりとオイルが塗られると、前にしたみたいに指が入ってきた。
入口を解すみたいに広げられて、すごく恥ずかしい。グチュグチュと音を立てるのも恥ずかしいからやめてほしいけど、やめてとは言えなかった。
「アルの中は温かいな。本当にいいのか?」
「はい」
緊張はしている。少し怖いけど、痛いかもしれないけど、僕は頑張れる。
僕を見下ろす皇帝の赤い瞳が揺れている。薄暗い部屋の中でも光っているから揺れているのがよく見える。
硬いものがあてがわれ、ゆっくりと入ってくるのが分かった。
「アル、俺を救ってくれ」
「はい」
「アルの中は温かくて気持ちいい。動く必要がない。ずっとこうしていたい」
前は激しく揺さぶられたのに、今日は動かないの?
少し苦しいけど、痛くはない。
異物感はあるけど、その感覚が皇帝が僕の中にいるんだって教えてくれる。
僕を見つめる真っ赤な瞳の光がゆっくりと消えていく。眉間の皺も伸びて、あんなに苦しそうだったのに、今は穏やかな表情に見える。
「何かしたか?」
「何もしていません。ごめんなさい。どうやって動けばいいのか分かりませんでした」
皇帝が動かなかったのは、僕に動けって意味だったのか。僕は動きもせずただ寝転んでいた。
「アルは動かなくていい。頭痛も、頭の中の闇も、アルに吸い取られていくように引いた。光魔法が関係しているのかもしれない」
そうなの?
僕は何もしていないけど、役に立ったならよかった。
「俺はこのままでもいいが、アルは退屈か……終わってしまうのは惜しいが、慣れないアルに無理をさせてもいけない。少し動く」
「はい」
退屈なんて思っていないけど、どうすればいいのかは分からなかった。
抱きしめられたままゆっくり抽送を繰り返されると、体の奥から快楽が引き出されていく。
「んっ……ダメです、また出ちゃう……」
「いいぞ、好きなだけ出せ」
「あぅ……」
ダメだ、逃げたいのに逃げられない。震えるほど気持ちよくて、自分が自分でなくなりそうで怖い。
ゆっくり揺すられ続けると、もうわけが分からなくなった。
ふと我に返ると、皇帝に体を拭かれているところだった。
「グレオン様……」
「どうした?」
「終わったのですか?」
「ああ、終わった。アル……俺の話を聞いてくれるか?」
「はい」
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