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8.アルフレート(グレオン視点)
56.※
しおりを挟む俺はアルバンの部屋を出るとエデラーを帰しアルを迎えに行った。
ついていくと言う兵たちを数人引き連れて地下牢に歩みを進めると、少し緊張した。アルに会うのは久しぶりだ。
「は? なんだここは」
まさか地下牢がこんなに酷い場所とは知らなかった。
地下牢はしばらく使っていなかった。裁判を受ける間もなく、すぐに処理していたからだ。暗くジメジメした冷たい空間なのに、闇の魔力が漂っていないのはアルがいるからか……
薄暗い小さなオイルランプが揺れる中に、アルが小さく膝を抱えて座っていた。本当はすぐに抱きしめたいが、兵の前でそれはできない。
「おい、出ろ」
「はい」
兵たちにはアルは俺が預かると伝え、軍部へ戻らせた。アルの手を取ると部屋へ真っ直ぐ向かう。
聞きたいことも言いたいことも色々あるのに、何から話せばいいのか分からず、部屋まで無言のままだった。
扉を開けると、闇の魔力で霞がかかったような部屋にアルを通していいのか少し迷ったが、アルは抵抗することなく部屋に入った。
この部屋に入るのは俺でも少し躊躇う。頭痛と苛立ち、破壊衝動が湧き起こってくるからだ。
「あいつが来る前に何か言おうとしていたな」
「もういいんです。どうぞ殺してください」
「王子ではないと言おうとした。違うか?」
なぜ話そうとしない? 俺は信用に足る人物ではないということか?
アルは俺の問いに素直に答えると思っていた。なのになんだその態度は。アルに対してこんな感情は持ちたくないのに、沸々と怒りが湧き起こりアルに詰め寄っていた。
「そうです。言えば僕の気持ちは楽になるけど、国がどうなるか、国に残してきた家族がどうなるかと考えて、言えませんでした。僕は平民です。ケットシーの血も引いていません。ただの猫人族です。
申し訳ありませんでした」
アルは怯えたように声を震わせたと思ったら、床に平伏し、床に額を擦り付けた。
違う。俺はそんなことをさせたいわけじゃない。ただ、真実が知りたいだけだ。アルの心が欲しいだけだ。なぜ伝わらない?
「そんなことするな」
「すみません」
アルは俺と目を合わせず、ずっと俯いたままだ。
「手」
「はい」
アルの手を取り、柔らかい手のひらに触れると、さっきまでの怒りで固まっていた心がゆっくりと溶けていく。
アルの柔らかい手にそっと頬を寄せると、気持ちがいくらか落ち着いた。
「キスの練習をサボったな?」
「はい、すみません」
「今から練習しろ」
なぜそんな怯えた目で俺を見る?
なぜ俺との間に壁を作ろうとする?
半ば無理やりキスをさせた。拙い舌の動き、柔らかくて温かい手のひら、全部俺のものだ。
「アルフレート……」
俺が名前を呼ぶと、アルはビクッと肩を揺らした。身代わりにさせられていたことが、ずっとアルを苦しめてきたんだろう。
「お前の名前、アルフレートだろ? これからはアルフと呼ぶ」
「はい」
身代わりでなく、アルフレートを必要としていることを知ってほしくて提案した。耳をピクピクさせながらアルは了承してくれた。この耳の動きも久々だ。
思わず触れそうになって、嫌がるかもしれないと伸ばした手を引っ込めた。
もう我慢できそうにない。鬱々とした日々と、闇に飲み込まれそうに不安定な心。アル、俺を救ってくれ。
「俺は欲求不満だ。洗ってやるから来い」
「はい」
風呂で中を洗いながら前も可愛がってやると、アルは少し抵抗したが気持ちいいと縋りついてきた。
「お前は可愛いな」
上気した頬で見上げられると、もう俺の理性は保てそうになかった。
ずっと触れていたくて、横抱きにしてベッドまで運ぶ。温かいアルの体は本当に触れているだけで癒される。
唇に頬に肩に首に、キスを繰り返しながら、ゆっくりと下に下りていく。
「んっ……」
「ここがいいのか?」
「はい、気持ちいいです」
アルは素直で可愛いままだ。フルフルと震えながら甘い吐息を漏らすところは本当に可愛い。
「陛下……挿れてください」
「いいぞ」
アルは膝を抱えて大きな瞳を揺らした。
己をゆっくりとアルの中に沈めていく。
俺のことが好きだと言うように絡みついてくるのが堪らない。
アルの温度を感じたくて抱きしめながら抽送を繰り返す。
「んっ、あっ……」
しがみついてくるのも可愛いが、アルの温かく甘い吐息が俺の肩にかかるのも最高だ。
天蓋の中にまで及んでいた闇の魔力がゆっくりと消えていく。俺の中の闇の魔力も消え去った。また俺はアルに救われた。
「アルフ……お前はずっと俺のそばにいろ」
「はい」
そういえば、ケットシーの血筋であれば男でも子ができるんだったな。俺とアルの子か……何がなんでも欲しい。
アルを妃として迎える手筈を早急に整えよう。明日から忙しくなるな。
クリアになった頭で明日からのことを考え、アルを抱きしめて眠りについた。
久しぶりにゆっくり眠れそうだ。
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