【完結】家も家族もなくし婚約者にも捨てられた僕だけど、隣国の宰相を助けたら囲われて大切にされています。

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33.1人帰る(メレディス視点)

 
「レスター、私は寂しい」
「え? 僕はここにいますよ。どうしたんですか?」
「いや、また離れ離れになるのが寂しいんだ。レスターは寂しくないのか?」
「大丈夫です。僕にはメレディス様の隣という帰る場所があるから。寂しくないわけはないけど、離れている時間がずっと続くわけじゃないから。
 僕のこと、待っていてくれますか?」
「もちろん待っているが……レスターの方が私より大人のようだ。私だけ聞き分けのない子供のようで恥ずかしいな」

「ふふふ、僕は嬉しいです。メレディス様がそんなに僕のことを想ってくれているなんて。離れている間も僕の心はメレディス様のものです。手紙もたくさん書きます。側にいられない分、たくさん愛の言葉を文字にして送ります」
「分かった。また離れてしまうまでは、レスターのことをたくさん愛させてくれ」
「もちろんです。翌日に響かないよう回復の魔法陣も貼っておきますね」
「そんなことをしたら寝かせてやれないぞ?」
「いいですよ」

 レスターはやっぱり格好いいな。いつの間にこんなに大人になったんだ?
 ずっと私が側について庇護してやろうと思っていたのに。早く私の隣に立てるようになりたいと言っていたが、もう既に堂々と隣に立てているではないか。


「メレディス様」
「ん?」

 レスターを眺めていると、私の耳元に顔を寄せた。なんだ?


「僕、メレディス様が余裕がなくて激しく求められた時、凄く嬉しかった。またして下さい」

 耳元で囁くようにそんなことを言うものだから、私の方が恥ずかしくて顔を赤くしてしまった。
 レスターも恥ずかしそうに頬を染めて俯いているが、言われた私もかなり恥ずかしいんだぞ。そして、そんなレスターが愛おしすぎる。

 早く帰ってこいレスター。我慢できなくなったらまた国を飛び出して迎えにきてしまうかもしれない。




 翌日になるとレスターの母親の墓があるという、レスターの伯父の領地へ行った。

「お久しぶりです。伯父様」
「レスター、立派になったな。
 そしてすまなかった。ベリッシモ家にはなかなか近づけず、やっとの思いで妹を引き取ったが、その時にはもうダメだった。
 彼女は最後まで、お前の父や兄を信じていたし、お前のことを心配していた。
 妹の死から立ち直った頃にお前を探したんだが、見つけられずに……
 表立って探すことが難しくて、いやそんなのは言い訳だな。本当に申し訳なかった」
「気にしないで。僕は大丈夫ですから」

「ところでそちらの方は?」
「ふふ、僕の婚約者です。素敵な人でしょ?
 学園から一旦この国に戻ったんですが、屋敷も領地も荒らされていて、この国にはもう誰も味方はいないと思って国を出たので……」
「そうだよな……」
「でも、僕はこうして生きているし、父や兄の名誉も守れた。ベリッシモ家も再興できました」

「ドラータ王国宰相のメレディス・ソリターリオと申します」
「ど、ドラータの宰相!?」
「そうなんです。僕は彼のところに嫁ぎます。ベリッシモ家は僕の後継に任せることにしてあるから、これからもベリッシモ領を見守ってくれると嬉しいです」

 対応は遅かったようだが、レスターの味方はこの国にも一応いたということか。


「分かった。義弟殿も救ってやれなかったし、何もできなかったんだ。それくらいはさせてもらうよ」
「ありがとうございます」



 墓に案内してもらうと、表立ってベリッシモ家に嫁いだ者の墓を作れなかったのか、誰の墓なのか書かれていない白い墓石が置かれた墓があった。

「母上、会いに来ることができてよかったです。父上も兄上も、罪なんて犯してなかった。名誉は回復できたよ。家も存続できる。
 僕の未来の旦那さんを紹介するね。ドラータ王国宰相のメレディス様だよ。生きてたら驚いて倒れちゃったかもしれないよね。僕、学校は退学になったけど、ちゃんと仕事もあるよ。絶対に幸せになるから、見守っていてね」

 レスターは一筋の涙を流し、手の甲で涙を拭ってから私に向けて微笑んだ。
 当時、まだ彼は成人前の子どもだった。当たり前だ、先日成人を迎えたばかりなんだから。
 自分がいない間に家族がみんないなくなるなんて、辛かったよな。
 それでも泣き言一つ言わずに1人で耐えてきたんだ。大人になるわけだ。


「レスター、1人で今までよく頑張ったな」
「1人じゃないですよ。メレディス様がいつも側にいてくれました」
「これからもずっと側にいるからな」
「はい」

 私がしたことなど大したことではない。ほんの少しレスターに力を貸してやっただけだ。
 レスターに私が救われたことの方が多い。
 あぁ、このままレスターを連れ去ってしまいたい。

 名残惜しい。
 次いつ会えるか分からないのが寂しすぎる。

 出発時間を引き延ばして、馬車の中でレスターの柔らかい手を取る。
 抱きしめてキスをして、まだ足りない、まだ足りないと何度もキスを繰り返す。
 それでも時間というものは有限で、仕事をしているメレディス様が好きと言ってくれるレスターの期待に応えたくて離れる覚悟を決める。

 永遠に会えないわけじゃないんだ。この寂しさにもいつか終わりは来る。
 レスターは私の元に帰ってきてくれるんだ。再びドラータ王国で暮らせる日を夢見ながら、私はレスターの席を守り抜かなければならない。


「レスター、愛してるよ。国で待っているから」
「はい。僕もメレディス様のこと愛してますよ。なるべく早く帰ります。
 これ、予備の魔法陣です。気をつけて帰ってください」

 レスターから魔法陣をいくつか受け取ると、後ろ髪引かれる思いで私は帰路についた。
 家から連れてきた使用人や護衛たちも、レスターと離れるのは寂しそうだった。
 レスターは人気者だな。私のなのに。

 
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