【完結】家も家族もなくし婚約者にも捨てられた僕だけど、隣国の宰相を助けたら囲われて大切にされています。

cyan

文字の大きさ
34 / 62

34.ステファノと領地

しおりを挟む
 
 メレディス様を見送ると、僕は護衛のベックとジェフと、メレディス様が僕に付けてくれた執事のヤコポと4人で王都のベリッシモ邸に戻った。

 ステファノが破壊されて荒らされたようなこの屋敷を使うかは分からないけど、過去の領地の資料はまとめて渡せるように整理していった。
 この前、領地に行く前にほとんど内容は把握しているから、必要なものだけを集めてまとめるだけでよかった。
 ヤコポも書類を運んだりするのを手伝ってくれてありがたい。

「レスター様、この屋敷で寝泊まりをされていたのですか?」
「うん、そうだよ。びっくりしたよね。ヤコポも荒らされてない客室を使ってね。僕が浄化かけるから、汚くはないよ。」
「安全面は大丈夫なのですか?」
「うん。結界の魔法陣を置いてるから大丈夫」
「そうですか。大変でしたね」
「大丈夫だよ。ベックとジェフもいるし。
 ご飯は作れないから外に食べに行くけど。お風呂も洗濯も浄化で何とかなるし」


 翌日になると、ステファノとステファノの従者や護衛が複数人やってきた。

「じゃあ行きましょう。この屋敷は修繕して使ってもいいですし、売って別の屋敷を王都に構えてもいいですし、どうするかはステファノ様が決めていいですよ」
「レスター、私はあなたの息子になるのだから様など付けなくていい。敬語も使わなくていい。できれば仲のいい友人みたいな関係を築けたらいいと思っている」
「分かった」

「私は一応経営の勉強はしてきたんだが、領地の経営をしたことがない。大丈夫だろうか?」
「ふふふ、同じ。僕も領地経営はしたことがないよ。父や兄が残した書類や資料を読んで把握してって感じ」
「ぇえ!? そうなの?この1ヶ月ほどで領地の改善をかなりやっていると報告を受けたんだけど」
「そうだね。過去の報告書とかを読み込んで街道とか川の堤防とか、農地の改良とかやったけど、まだ途中だし。そこはステファノが引き継いでくれると嬉しい」
「頑張ります」

 馬車の中ではそんな会話をしながら領地に向かった。



 領都に入ると、ベリッシモ家の復活おめでとうと街がお祭り騒ぎになっていた。

「凄い。私で大丈夫だろうか?」
「大丈夫。ステファノなら僕よりいい領主になれると思うよ。色々資料も準備したから心配しないで」
「助かる」

「そうだ……領主邸なんだけど、新しく建てないといけない。前の領主邸は孤児院と学校にしちゃったから」
「そんなこともしていたのか」
「孤児院と学校を作るってのは元々は僕の兄の案だよ。僕はそれを実現させただけ」
「実現させることが凄いんだが。
 分かった。領主邸は新たに建てることにしよう」

「まだ始動していないから、しばらくは領主邸に住めばいいよ。僕たちもそうするし。
 まだ修繕中だけど、夜にはちゃんと結界張るから安全面は心配ないよ」
「そうなのか。安心した。こんな大きな建物に結界をかけて魔力は大丈夫なのか?魔道具か?」
「魔法陣だよ。僕、魔法陣好きなんだ~
 ステファノのベッドにも回復の魔法陣貼ってあげるね。あと、服にも防御結界を貼っておこう。危険はないと思うけど、念のためね」
「それはレスターが描いたものなのか?」
「そうだよ。僕も貼ってる。ヤコポも。メレディス様も使ってるし。他にも治癒とか温度調節とか色々あるからあげるね」

 ステファノは嬉しそうにしていた。
 友達みたいな感じか。それはいいかも。元婚約者に交友関係を制限されていて友達を作れなかったから、友達ができるのは嬉しい。

 事業を進めている担当者に、ステファノを紹介して、僕がまとめておいた領地の書類や資料を説明していると、前にベリッシモ家で働いていた使用人が何人か訪ねてきた。


「レスター様……よくぞご無事で」

 泣き崩れてしまう人もいて、ベリッシモ家が再興されたのなら働きたいと言ってくれる人もいた。

「ステファノ、どうする?今後付き合っていくのはステファノだから、ステファノが決めていいんだよ。
 為人は問題ない人たちばかりだし、特に家令のセバスは領地のことを僕よりもよく知ってると思う。できれば雇用してもらいたいけど、無理にとは言わない」
「きっとこの方達はレスターに仕えたいんだと思う。私が上に立っても大丈夫だろうか?」
「僕は前当主という肩書きが残るから、困ったことがあれば僕も協力するよ。ステファノが継ぐこともちゃんと説明する」
「そうか。私はベリッシモ家のこともこの領地のことも知らないから、レスターがいなくなってしまうのが不安だったんだ。よく知る者がいてくれるのは有り難い。できる限り雇用しよう」
「ステファノ、ありがとう」


 僕は、戻ってきてくれた使用人のみんなに、僕は隣国に嫁ぐこと、ベリッシモ家は侯爵家に陞爵されて今後は第五王子であるステファノが僕の後継として当主の座に就くことを説明した。
 セバスはやはり家計のことも把握しており、ステファノの支えになってくれそうだった。

 整理した書類を渡してセバスにステファノへ説明してもらうようお願いして、僕は魔法陣の作成に取り掛かった。

 結界を多めに作っておこう。僕がこの地を離れてもみんなには安全に過ごしてほしい。
 ニコラスが僕に恨みを持っていたように、あの事件に関わった貴族はかなり搾り取られたらしいから、襲撃とまではいかなくても嫌がらせを受けるかもしれない。
 そうならないためにメレディス様は王子を後継にと提案したのかな? そこまで考えてるなんて凄い。
 早く会いたいな。メレディス様は寂しいって言ってた。僕も寂しい。本当は一緒に帰りたかったよ。

 早くメレディス様に近づきたいから、自分がやるべきことをしっかりやって、それからメレディス様の元に嫁ぐって決めてる。
 メレディス様、待ってて。星に願う、メレディス様が無事にドラータ王国に着きますように。
 引き継ぎが終わって、1日も早くメレディス様に会えますように。


 
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

あの日、北京の街角で

ゆまは なお
BL
5年前、一度だけ体を交わした彼が、通訳として出張に同行するーーー。 元留学生×駐在員。年下攻め。再会もの。 北京に留学していた上野孝弘は駐在員の高橋祐樹と街中で出会い、突然のアクシデントにより、その場で通訳を頼まれる。その後も友人としてつき合いが続くうちに、孝弘は祐樹に惹かれていくが、半年間の研修で来ていた祐樹の帰国予定が近づいてくる。 孝弘の告白は断られ、祐樹は逃げるように連絡を絶ってしまう。 その5年後、祐樹は中国出張に同行するコーディネーターとして孝弘と再会する。 3週間の出張に同行すると聞き、気持ちが波立つ祐樹に、大人になった孝弘が迫ってきて……? 2016年に発表した作品の改訂版。他サイトにも掲載しています。

BLゲームの展開を無視した結果、悪役令息は主人公に溺愛される。

佐倉海斗
BL
この世界が前世の世界で存在したBLゲームに酷似していることをレイド・アクロイドだけが知っている。レイドは主人公の恋を邪魔する敵役であり、通称悪役令息と呼ばれていた。そして破滅する運命にある。……運命のとおりに生きるつもりはなく、主人公や主人公の恋人候補を避けて学園生活を生き抜き、無事に卒業を迎えた。これで、自由な日々が手に入ると思っていたのに。突然、主人公に告白をされてしまう。

転生エルフの天才エンジニア、静かに暮らしたいのに騎士団長に捕まる〜俺の鉄壁理論は彼の溺愛パッチでバグだらけです〜

たら昆布
BL
転生したらエルフだった社畜エンジニアがのんびり森で暮らす話 騎士団長とのじれったい不器用BL

元執着ヤンデレ夫だったので警戒しています。

くまだった
BL
 新入生の歓迎会で壇上に立つアーサー アグレンを見た時に、記憶がざっと戻った。  金髪金目のこの才色兼備の男はおれの元執着ヤンデレ夫だ。絶対この男とは関わらない!とおれは決めた。 貴族金髪金目 元執着ヤンデレ夫 先輩攻め→→→茶髪黒目童顔平凡受け ムーンさんで先行投稿してます。 感想頂けたら嬉しいです!

憧れのスローライフは計画的に

朝顔
BL
2022/09/14 後日談追加しました。 BLゲームの世界の悪役令息に憑依してしまった俺。 役目を全うして、婚約破棄から追放エンドを迎えた。 全て計画通りで、憧れのスローライフを手に入れたはずだった。 誰にも邪魔されない田舎暮らしで、孤独に生きていこうとしていたが、謎の男との出会いが全てを変えていく……。 ◇ハッピーエンドを迎えた世界で、悪役令息だった主人公のその後のお話。 ◇謎のイケメン神父様×恋に後ろ向きな元悪役令息 ◇他サイトで投稿あり。

愛され少年と嫌われ少年

BL
美しい容姿と高い魔力を持ち、誰からも愛される公爵令息のアシェル。アシェルは王子の不興を買ったことで、「顔を焼く」という重い刑罰を受けることになってしまった。 顔を焼かれる苦痛と恐怖に絶叫した次の瞬間、アシェルはまったく別の場所で別人になっていた。それは同じクラスの少年、顔に大きな痣がある、醜い嫌われ者のノクスだった。 元に戻る方法はわからない。戻れたとしても焼かれた顔は醜い。さらにアシェルはノクスになったことで、自分が顔しか愛されていなかった現実を知ってしまう…。 【嫌われ少年の幼馴染(騎士団所属)×愛され少年】 ※本作はムーンライトノベルズでも公開しています。

影武者は身の程知らずの恋をする

永川さき
BL
 孤児院出身のライリーは農場で働いている傍ら、冒険者を副業としている。  しかし、農場では副業が禁止である上に、冒険者は孤児院で嫌悪の対象となっている。  解雇や失望されてしまう可能性があっても冒険者として働くのは、貧しい孤児院に仕送りをするためだった。  そんなある日、冒険者ギルドから帰宅する途中、正体不明の男に尾行される。  刃を交え、ギリギリのところで男を振り切ったが、逃げ切れていなかったとわかったのは、その数日後のこと。  孤児院に現れたのは王宮の近衛騎士の三人。  そのうちの一人であるユリウスは、ライリーが尾行を振り切った正体不明の男だった。  自身の出自を餌に、そして言外に副業やその内容をバラすと脅され、王宮に行くことを決意したライリーを待ち受ける運命とは……。 近衛騎士×元孤児の影武者の切ない身分差BL。

処理中です...