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1.始まり ナギ視点※

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それは無理矢理で、服従って感じだった。

「うぐぅ、、やめ、、て、、」
「黙って俺のものになれ。」

それは恐ろしく、殴られたわけじゃないけど、力のない僕を押さえ付けて、一方的に貪るような行為だった。

タイキくんはいつもそんなもの持ってるの?
一応ローションを使ってくれたのは、きっと僕のためじゃなくて、タイキくんが摩擦で痛くないためだと思う。

膝下まで下されたズボンと下着、シャツはボタンが千切れて2つくらいその辺に飛んでいった。
部屋を出ていく時、僕のメガネとポケットティッシュを投げられて、それは唯一彼の優しさを感じた瞬間かもしれない。
僕はお尻から流れ出てくる白い液体と太腿に伝った血を拭いて、汗とか涙とかローションを拭いて、震える手で服を着て、ボタンが千切れたシャツの前をグッと掴んで、ヨロヨロと歩いて帰った。

家には誰もいなかったから、すぐにシャワーを浴びた。さっきまでの入っていた感触と痛みと、タイキくんの恐ろしくも少し悲しげな目が僕の脳裏に焼き付いて離れなかった。

その夜、僕は熱を出した。翌朝になっても熱は下がらず、僕は学校を休んだ。
両親は心配していたけど、もう子供じゃないから、何かあったら連絡しなさいと言って出勤していった。


『明日は学校に来い』

それだけタイキくんからメッセージが届いていて、何でそんなこと言うのかも分からないし、また何かされるのかと思うと怖くて学校に行くのが嫌だと思った。
このままずっと熱が出てればいいのに。


翌日になってもまだ熱は下がらなかった。
それで僕はホッとしていた。

ピンポーン

お昼くらいになると、家のチャイムが鳴った。

宅配の荷物かもしれないって思って、パジャマのままだったけど、仕方なく玄関を開けると、そこにいたのは宅配業者じゃなくて不機嫌なタイキくんだった。
慌ててドアを閉めようとすると、ドアの隙間に靴を挟まれて、閉められなかった。

「何で閉めるんだよ。」
「あ、え、ご、ごめん、」
「上がるぞ。」
「え、でも、僕まだ熱があって・・・。」
「そうか。俺のせいか?」
「そんなこと、ないと思う。」

仕方なくタイキくんを家に入れると、タイキくんは僕を横抱きにした。

「お、下ろして。歩けるから。」
「いいから。ナギの部屋はどこ?」
「2階の右。」
「分かった。」

なぜかタイキくんは僕のことを横抱きにして僕の部屋のベッドに運んでくれた。
そして、手に持っていた袋から冷却シートを取り出して、僕の額に貼ってくれて、なぜか看病してくれてる。

「水分取れるか?スポドリ買ってきたぞ。」
「汗かいたなら着替えるか?」
「飯は?薬は?ゼリーなら食べれるか?買ってきたんだが。お粥のがいいか?」
「寒いか?大丈夫か?」

何でこんなことしてくれるのか全然分からない。だって一昨日、僕を無理矢理犯したのに。

「あの、、大丈夫、だから。」
「・・・そうか。」

沈黙が訪れると、タイキくんは気まずそうに僕に背を向けて、聞こえるか聞こえないか分からないくらい小さな声で、「ごめん」と言った。

「え?」
「無理矢理、したから。」
「あ、、うん、、。」
「ナギはの彼氏は俺だからな。それだけ言いにきた。」

彼氏?何がどうなってそんな話になったのか全然分からないけど、タイキくんは僕の彼氏になったらしい。なんで?
僕、女の子だと思われてる?

「僕、男だけど。」
「はぁ?そんなこと言われなくても知ってる。」
「そっか。」

それだけ言うと、タイキくんは何もせずに帰っていった。
ベッドもあるし、また無理矢理犯すのかも?って身構えてたから、何もしないで帰ってくれてホッとした。

そして残念ながら発熱は、そんなに何日も続かなくて、翌朝には下がって学校に行くことになった。
タイキくんと顔、合わせたくないな。そう思って玄関を開けるとタイキくんが待ってた。
待ち伏せ!?

いや、ここは僕の家だから何だろう?ストーカー?昨日も家に来てたしな。
迎えに来たってこと?何で?

「おはよう。」
「お、おはよう。ど、どうしたの?」
「迎えに来た。」
「そ、そっか。昨日、ありがとう。」
「あぁ。鞄貸せ。」
「え?」
「病み上がりだろ?鞄持ってやるよ。」
「いえいえいえ、そんな恐れ多い。自分で持てます。」
「そうか。」

その後歩き出した僕たちの間に会話なんてない。沈黙したまま歩いていくのが本当に気まずい。何でこんなことしてくれるのか分からない。
彼氏って言ってたのと関係あるの?
まさか学校でも隣にいたりとか・・・。

タイキくんはキラキラキイケメンだし、いつも男女の取り巻きがいるから、そんなことないと思うけど。

校門を抜けると、「じゃあな」って言って去っていった。僕はホッとしたけど、本当に意味が分からなかった。

ボーッと見てると、みるみる間にタイキくんの周りに人が集まって、いつものタイキくんとその取り巻きたちって感じになった。
学校の中ではいつも通りでいいんだ。よかった。

『今すぐ科学準備室にこい。』

昼休みになるとスマホが震えてタイキくんからメッセージが届いた。
僕の平穏な学校生活よさよなら。
また犯されるんだろうか。熱も下がったし、もうやっても大丈夫かどうか確認のために朝迎えに来たのかもしれない。
竦みそうになる足にぐっと力を込めながら、科学準備室に向かった。タイキくんは僕の家を知ってるし、逃げて家まで来ても怖いし、逃げたら何をされるか分からない。

ドアを開けると、タイキくんが1人立ってた。

「こっちに来い。」
「はい。」

身構えてガチガチになりながらタイキ君に近づくと、なぜか抱きしめられた。
え?えっと、これは何?僕は、どうすればいい?どうすれば正解なのか分からなくて、とりあえずタイキ君の背中に両腕を回してそっと抱きしめ返した。
僕が背中に触れると、タイキくんはビクッとしたから、間違えたのかと思ったけど、タイキくんの腕は緩まなかったし、突き飛ばされたりもしなかったから、間違ってはいなかったんだろう。

引き締まったウエストが細い。僕もちょっと腹筋とかしてみようかな。

「・・・可愛い。」
「え?」
「何でもねぇよ。」
「ご、ごめん。」

少しすると、タイキくんは離れた。
「目閉じろよ。」
「はい。」

いよいよか。ボタン、今日は千切れないといいな。そう思ってギュッと目を閉じたら、唇に触れるだけのキスをされた。

「はぇ?」
「なんだ?期待してたのか?抱かれると思ったか?」
「あ、えっと、そんなことは・・・。」
「無理矢理はもうしねぇよ。」
「そっか。分かった。」

ホッとした。と同時に、何で呼び出されて、そしてなぜ抱きしめられてキスされたのかが分からない。

「じゃあな。」
「あ、うん。」

タイキくんは僕の頭をポンポンっと叩いて部屋を出て行った。
本当に謎だ。揶揄われているんだろうけど、本当に意味が分からない。
僕は何のために呼び出されたんだろう?
分からないまま、僕は教室に戻って自分の席でお弁当を食べた。

そんな日が何日も続いた。
毎回、今日こそまた犯されるんじゃないかって身構えてたけど、そんなことはなかった。本当に意味が分からない。
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