【完結】可愛く転生したのに、僕は生まれ変わっても好きなものを好きと言えない

cyan

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二人の進展

24.※

  
 僕は屋敷から寮の部屋に帰ると、勢いで買ってしまった器具を鞄から出して眺めた。
 あの時は本当に悩んで、どうにかしなきゃと思ったけど、これを自分で自分のお尻に……。
 殿下に大して望まれてもいないのに、そこまでするべきなのか分からなくなってきた。頭の中がそんなことでいっぱいとか、どうかしてる。考えるのはよそう。

 僕は気分転換にどこかへ出掛けようと考えて、また昨日のジャガイモ農家のお爺さんのところに来てしまった。
「お爺さん、今日も手伝っていいですか?」
「ありがたいがいいのかい?」
「うん。一人でいると嫌なこと考えてしまうから、ここで体を動かしている方がいいんだ」

 今日はお土産を持ってきた。高価なものは遠慮されてしまうと思ったから、ラベンダーの花が入ったサシェだ。ベッドはあったから、枕元に置いてもらえれば安眠できる。これくらいなら受け取ってもらえると思うんだ。

 その日も一日お手伝いして、夕方に寮に戻ると殿下が部屋の前で待っていた。
 何しに来たんだろう?
「リアン、やっと会えた」
「部屋に入りますか?」
 寮の廊下で殿下を立たせておくわけにもいかないから、僕は部屋に招き入れた。お湯を出せるようになったから、僕は殿下に少し待っていてほしいと伝えてポットとカップを食堂から借りてきた。

 戻ると殿下は椅子ではなく僕のベッドに腰掛けていた。椅子の上にはクマさんが座っていたからかもしれない。
 レモンバームとジンジャーのお茶を淹れて殿下に出した。部屋の中を爽やかな香りが漂う。
「どうぞ」
「ああ。リアン誤解だ」
 唐突にそんなことを言われても、何の話か全然分からない。首を傾げると、殿下は昨日娼館には行ったが女も男も買っていないから誤解だと説明された。
 そっか、昨日はお目当ての人がいなかったのかもしれない。でも僕は知っている。前にもあの娼館に行っていましたよね。そんなに娼館に何度も通う用事なんてあるわけない。
 昨日はたまたま買わなかっだだけだと理解した。

 僕は殿下の恋人でも婚約者でもないんだから、わざわざ説明に来なくてもいいのにと思った。それとも僕に見つかってしまったから、周りに吹聴しないよう口止めに来たんだろうか?
 殿下が娼館に通っていることなんて吹聴しませんよ。

「それでリアン、これは何だ?」
 殿下の手に握られているのは拡張のための器具だ。
 しまった、部屋になんて誰も入らないと思って枕のところに置いたままだった。
 あんなものを、よりにもよって殿下に見つかるなんて最悪だ。
 誤魔化したら誤魔化したで怪しいし、僕は仕方なく話すことにした。

 当たり前だが殿下の目を見て話すなんてできなかった。恥ずかしすぎて俯いたままボソボソと話したと思う。
「リアン、俺のために……本当に可愛いな」
 そう言って殿下は僕を抱きしめて顔中にキスされた。
 軽蔑されるかと思ったのに、なぜか喜ばれた。少しでも殿下の僕に対する好感度が上がったのなら、羞恥に耐えながら話した甲斐はあったのかもしれない。

「試していいか?」
「え? 今ですか?」
「今だ」
「はい」
 僕は慌てて全身に清浄魔法をかけた。今日は畑でジャガイモを掘っていたし、土や泥は洗い流したけど、汗をかいていた。

「んっ……」
 重なった唇、絡められた舌が温かくて、少しだけ擽ったくて気持ちいい。
「リアン、本当に可愛い。俺のものだ」
 僕は殿下の所有物になれたみたいだ。

 そんなにすぐに拡張できるとは思えない。たぶん今日も挿れることはできないんだろう。
「あと何度か使えば入りそうだ」
 慣れている殿下の見立てなら間違いない。明日は自分でやろう。殿下はまだ僕を求めてくれる。これ以上殿下の手を煩わせるわけにはいかない。

「殿下、僕にもやらせてください」
 僕は殿下の前を寛げて、そっと殿下のものを握り込んだ。オイルを追加してぬるぬると扱きながら先端を口に含む。こんなこと初めてやるから正解は分からない。龍男の頃に何度か動画を見たことはあるが、口の中の動きはどうやっていたのか分からない。
「リアン……」
 合っているんだろうか?
 分からなくて殿下の顔をそっと覗き見たりしながら、続けていると、押し除けられそうになって、何かと思ったら口の中にビュルルッと殿下のものが吐き出された。これ、本当に飲んで大丈夫だろうか? 少し不安だったけど、前に殿下は僕のを飲んでいたから、僕も飲んでみた。……美味しくはない。

 これで今日は他の人のところに行かないでくれるかな?
「他の人のところに行かないで」なんて僕が言えるわけない。
 お願い、行かないで。今日だけでいいから。今日だけは、僕だけを見てほしい。

 次の日は自分でしようと思っていたのに、夕飯を終えて部屋に戻ってしばらくすると殿下が部屋を訪ねて来た。
 それでまた拡張の器具を使って、抜き合って、抱きしめてくれた。
 そんなに僕としたいんだろうか?
 一度失敗したから、殿下のプライドが許さないのかもしれない。何がなんでも僕を攻略して、そしたらもう僕は要らなくなるんだろうか?
 もしかして、そこで殿下を繋ぎ止められるかは僕にかかってる?
 テクニックなんて無いよ。どうしよう……。

 
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