俺たちの××

怜悧(サトシ)

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二学期編

無遠慮なアウティング→side T

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「長谷川君、長谷川君、ねぇ!いいかげんに起きなさいよ!!」

ゆっさゆっさと激しく体を揺さぶられ、脳内に激しく殺意が沸く。
結局、昨日は夜中まで俺は康史に体力と精力を奪われ続け、目が覚めるとHP1のまっ黄色の世界だった。

……もっと寝ないと、死ぬ。

たぶん、スライムに出くわしただけでもかなりの勢いで死亡フラグがたつ。
教会送りまっしぐらだ。

「……あァ…?…………なンだよ!」

このパターン、こないだから続いてねーか。

不機嫌マックスで顔を起こし睨み据える俺に、おびえたような表情でたっているのは学年1の美少女と言われる小西弓華である。

「そんな怖い顔したって、べ、べつに怖くないんだからね!!!」
そんなことを言われても、怖い顔はしたくてしてるわけじゃねーんだけどな。地顔だから仕方ない。
「………………あ、そ。……怖ェ顔で、わりい」
俺の前から小西は机兼枕をどかして、スライムのようにぷるぷる震えていたかと思うと、俺の頬にビッシャンと軽快な音を響かせる。

あまりに軽くて痛くはないが、俺のHPは1なので多分死んだかもしれん。
死んだ振りでもしようかなと、周りを見回すと委員会なのか康史の席には姿が無い。
康史が居ない時間を見計らってきたんだなあと、なんとなく合点がいく。

「小西さん、ちょっとやめとけ……」

立ち上がりかけた俺と小西の間に割ってはいる勇者くんは、俺の後ろの席のサッカー部のキャプテン東山である。まあ、俺はさしずめ魔王ポジだろう。
スポーツマンらしいイケメンなので、クラスでもリーダー的な人気者である。

「……長谷川も手ぇだすなよ。…………殴るなら俺を殴れ。小西も無茶するな」
あー、キャプテンカッコいいなあ、おい。
ここでわかったといって東山を殴ったら、まあ、ホントに悪役だろうなあ。

俺は今HP1なので、何の関係もない東山を殴る気にもならねえけども。

周りはざわつき俺が小西に何かしたんだろうという、俺に対する正義の視線がいたい。
俺は何もしてねえからな……昼寝の邪魔されて非難を周りから浴びてるだけなんだが。

俺は椅子から立ち上がり、どかされた机を無言で戻す。

「な、なんでよ!どうして私が長谷川君なんかに負けなきゃいけないの」

結局、康史の尻拭いは俺がせんとならんらしい。
めんどくさいな。

「……どけよ、ヒガシヤマ」
目の前を阻むように立つ東山の肩を軽く押す。
小西を庇う東山は俺を軽くみあげて、覚悟した表情で首を横に振る。

「なあ、…………大丈夫だからよ。俺ァ、オンナに手はあげねーよ」

ぐいと東山を肩をのけると、自分が触れたら壊れちまいそうな華奢な生き物を見下ろした。

「負けとか勝ちとかじゃなくてよ。コニシ、アレは俺のだ。…………いいかげん諦めろ」
傲岸不遜とか俺ルールとか散々言われるが、うまい言葉は思いつかない。
まあ、諦めろとしか言えないな。

「なによ……バカにしてるの?オカマの癖に、屋上で見ちゃったんだから。日高君にヤられて嬉しそうに……男の癖に突っ込まれて、あんあんよがっちゃって、あー気持ち悪い!!」

静かな教室が、更にシーンと教室が静まり返った。
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