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三学期編
因果応報とは →side Y
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ぼんやりと目を開くと、体中がギシギシと痛む。
スタンガンの威力か、頭もぐらぐらするしなんとなく吐き気もする。
東流と一緒に居て、怪我をするようなことは殆どなかったので、オレはかなり痛みには弱い方だ。
痛いってだけで、心が折れる。
「気がついたか?おひめさま」
東高の赤いラインの学ランの長髪の男が、オレの顔を面白そうに覗き込んでいる。
薄暗いどこかの建設会社の資材倉庫か何かのようだ、そういやや、ここ、前にきたことがあるかもしれない。いつだっけ…………。
周りに木材やら、建築用の機材が並んでいる。
丁寧にオレの手首は後ろ手にロープがかけられて、少し身体が震えるのは、暖房はたかれていてもこんな真冬のさなかにまっぱだかにされているからだろう。
今週末に本入試があるんだし、まじで風邪ひいたら、全身全霊で呪ってやる。
そうなったら、井戸やTVから身体をひねり出すしかないな。
それにしても、人を縛る趣味はあるけど、縛られる趣味は、まったくねえんだけどな。
「王子様を呼び出してるんだが、ぜんぜん電話に出やしねえな。使えない王子様だなー、ホント」
オレの携帯を手にして、何度も東流にコールしているのか、いらだたしそうに長髪は舌打ちをする。
…………そりゃそうだろう。
朝の東流の様子だと、まだまだグロッキーのはずだ。言葉さえまともに話せないくらいに、ぶっ壊した。
「それにしても綺麗な肌だし、男にしとくのが惜しいくらいの綺麗な顔だな。ハセガワが夢中になるのもわかるぜ」
わかられたくないけどと思いながら、俺の肌に掌をはわせてくる長髪の男を睨み返す。
どうやっても、オンナにはまったくもてそうにないセンスの男である。
服装や髪型とかちゃんとすれば、まあまあそれなりだとは思うんだけどな。
値踏みしてしまいながら、取り囲んでいるやつらを見返す。
「へえ、震えちゃって可愛いね。それとも、これからどうされるか期待してるのかな」
いやいや、単純にかなり寒いからなんだけど。
こりゃ……、マジで全員にまわされちまうかな……。
東流はこーいうの許せない性質だし、今度は、捨てられちまうのを恐れんのは、オレの方か……。
いままわされることより、その後の東流のことにビビッてるオレもたいがいだけどな。
今になって東流の気持ちが手に取るより明らかにわかる。まわされることなんて、なんてことはないのだ。
相手を失うことがなによりも怖い。
「……喧嘩じゃ勝てねえからって、セクハラか?いや、まあ、強姦か………オンナにもてねえ可哀想なやつらはこれだから困るよな」
開き直ってしまうと、怖いものはなにもなくなる。気持ちはわからねえけど、散々、オレは東流にやっちまってるわけだから、自業自得・因果応報なので、こうなっても仕方がない気がする。
とは思っても、どっかに逃げられるチャンスがねえかと、縛られた腕を緩めようとガシガシと動かして少しでも隙間を作ろうと。悪あがきしている。
こんなことなら、東流に一回くらい掘られておけばよかったなかな。
「減らず口ききやがって、ひいひい泣かせてやるからな。センパイに媚薬もらってきたんだぜ。どーせ、ハセガワにもさんざんやらせてんだろ」
今まさに、マジでやらせておけばよかったって後悔してんのにな。
…………そんなこと、言うなよ。
決心が鈍るじゃない。
「ハハハ、媚薬ね。あんたらテクに自信ねえから薬に頼ろうってことでしょ?可哀想だね」
オレもそうだったしな。
因果応報だな。
最初は自信がなくて、クスリ使えば少しは感じてくれるかなっていう浅はかな考え。
ブーメランでえぐられる。
「うるせえ……負け犬の遠吠えにしか聞こえないなァ。ハセガワの餌にもなるし、流石に皆でまわしてグチャグチャにしちまえば、気もはれるしな」
正直怖いけどな。
だけど………。
自分がやったことの報いだと思えば、少しは諦めもつく。
だけど、それで東流の重荷になるのはイヤだ。
「今日は、どんだけ呼んだって今日はトールはこねえよ。いいよ、相手してやっから、もう、トール呼ぶのはやめろよ」
言わなきゃ、わかんねえ………よな。
スタンガンの威力か、頭もぐらぐらするしなんとなく吐き気もする。
東流と一緒に居て、怪我をするようなことは殆どなかったので、オレはかなり痛みには弱い方だ。
痛いってだけで、心が折れる。
「気がついたか?おひめさま」
東高の赤いラインの学ランの長髪の男が、オレの顔を面白そうに覗き込んでいる。
薄暗いどこかの建設会社の資材倉庫か何かのようだ、そういやや、ここ、前にきたことがあるかもしれない。いつだっけ…………。
周りに木材やら、建築用の機材が並んでいる。
丁寧にオレの手首は後ろ手にロープがかけられて、少し身体が震えるのは、暖房はたかれていてもこんな真冬のさなかにまっぱだかにされているからだろう。
今週末に本入試があるんだし、まじで風邪ひいたら、全身全霊で呪ってやる。
そうなったら、井戸やTVから身体をひねり出すしかないな。
それにしても、人を縛る趣味はあるけど、縛られる趣味は、まったくねえんだけどな。
「王子様を呼び出してるんだが、ぜんぜん電話に出やしねえな。使えない王子様だなー、ホント」
オレの携帯を手にして、何度も東流にコールしているのか、いらだたしそうに長髪は舌打ちをする。
…………そりゃそうだろう。
朝の東流の様子だと、まだまだグロッキーのはずだ。言葉さえまともに話せないくらいに、ぶっ壊した。
「それにしても綺麗な肌だし、男にしとくのが惜しいくらいの綺麗な顔だな。ハセガワが夢中になるのもわかるぜ」
わかられたくないけどと思いながら、俺の肌に掌をはわせてくる長髪の男を睨み返す。
どうやっても、オンナにはまったくもてそうにないセンスの男である。
服装や髪型とかちゃんとすれば、まあまあそれなりだとは思うんだけどな。
値踏みしてしまいながら、取り囲んでいるやつらを見返す。
「へえ、震えちゃって可愛いね。それとも、これからどうされるか期待してるのかな」
いやいや、単純にかなり寒いからなんだけど。
こりゃ……、マジで全員にまわされちまうかな……。
東流はこーいうの許せない性質だし、今度は、捨てられちまうのを恐れんのは、オレの方か……。
いままわされることより、その後の東流のことにビビッてるオレもたいがいだけどな。
今になって東流の気持ちが手に取るより明らかにわかる。まわされることなんて、なんてことはないのだ。
相手を失うことがなによりも怖い。
「……喧嘩じゃ勝てねえからって、セクハラか?いや、まあ、強姦か………オンナにもてねえ可哀想なやつらはこれだから困るよな」
開き直ってしまうと、怖いものはなにもなくなる。気持ちはわからねえけど、散々、オレは東流にやっちまってるわけだから、自業自得・因果応報なので、こうなっても仕方がない気がする。
とは思っても、どっかに逃げられるチャンスがねえかと、縛られた腕を緩めようとガシガシと動かして少しでも隙間を作ろうと。悪あがきしている。
こんなことなら、東流に一回くらい掘られておけばよかったなかな。
「減らず口ききやがって、ひいひい泣かせてやるからな。センパイに媚薬もらってきたんだぜ。どーせ、ハセガワにもさんざんやらせてんだろ」
今まさに、マジでやらせておけばよかったって後悔してんのにな。
…………そんなこと、言うなよ。
決心が鈍るじゃない。
「ハハハ、媚薬ね。あんたらテクに自信ねえから薬に頼ろうってことでしょ?可哀想だね」
オレもそうだったしな。
因果応報だな。
最初は自信がなくて、クスリ使えば少しは感じてくれるかなっていう浅はかな考え。
ブーメランでえぐられる。
「うるせえ……負け犬の遠吠えにしか聞こえないなァ。ハセガワの餌にもなるし、流石に皆でまわしてグチャグチャにしちまえば、気もはれるしな」
正直怖いけどな。
だけど………。
自分がやったことの報いだと思えば、少しは諦めもつく。
だけど、それで東流の重荷になるのはイヤだ。
「今日は、どんだけ呼んだって今日はトールはこねえよ。いいよ、相手してやっから、もう、トール呼ぶのはやめろよ」
言わなきゃ、わかんねえ………よな。
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