俺たちの××

怜悧(サトシ)

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三学期編

激情 →side T

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鵜野小の正門に来いといわれたが、俺は以前に西覇が連れ込まれた廃屋へと向かった。
このあたりで、大人数で集まれる場所はこの廃屋くらいだ。
到着すると、バイクや鞄などが置いてあり、ここにたむろしていることが、外からでも分かった。

前に一度壊したが、また直っている閉められたままの扉へ、俺は加速したバイクごとそのまま突っ込んだ。

バリバリバリバリと扉を破って、中にいた男達を一気にバイクで跳ね飛ばす。
ヘルメットも衝撃で割れた気がするが気にならない。
積んであった角材を掴み取ると、立っている奴らの股間をそれでブチ殴っていく。
「クソども!!死にさらせ!!」
視線を巡らすと、倉庫の隅の台で下半身丸出しの男達を見つけて、ウイリー走行して台の上に乗り上げ、多分アタマだろう長髪の男の髪を引っつかんでバイクで引きずりまわした。

「ひぎゃああああああ」

擦過傷だらけになったそいつを床に転がして、手にしていた角材で頭を避けてがこがことぶん殴る。

「テメェら、ヤスに何したんだ、コラァ!!!」

さらけだしまくっているちんこを、角材で派手に殴りつける。
流石にもろみにキン的はかなり堪える筈だ。
近くで身構えている男たちのキン的を次々に角材を振り下ろしてぶん殴っていく。

康史を探して視線をさまよわせ、全裸で後ろ手に縛られ脚も開いたまま固定されている姿を発見して、慌ててバイクで近寄る。
遠目からも、暴行を受けたことは明らかだ。

どうやら意識はないようだが、無残な痕や体液のは痕が残されている。
綺麗な顔に傷を見つけて俺の頭に、カッと血が上昇していく。

バイクから一旦降りて、康史を縛っているロープを外して自由にする。
心臓に手を当てると、鼓動はちゃんある。
一安心して、着ていたスカジャンを脱いで包むように着せた。
そして、近くに転がっている長髪のパンツを脱がせて履かせる。

ドサッと自分の背中に背負って落ちないように、解いたロープで固定して角材を持ち直してバイクへ跨った。

「よーし、全員、地獄イキ決定な」

悲鳴をあげて逃げ惑うやつらを追いかけて、角材でべきべきと殴り倒していく。

ボス猿も完膚なきまでにやっつけたが、まだ俺の気はすまねえ。
それよりなにより康史の体のが心配で、それ以上深追いはしないことにする。

人殺しにもなる気も、ねえしな。

俺は奴らをそのままに、バイクを急発進させて廃屋から元来た逃走すた。

派手に扉を壊したし、スピード違反で逃げたし、もしかしたら騒ぎに通報されてるかもしれねえ。

さっきまで、のんきに寝てた自分が本当にうらめしい。
時間を戻せるなら、その時の俺を殴り起こしたい気分でいっぱいだ。

扉に突っ込んだ時に、割れたヘルメットが突き刺さったのか、頭から血がだらだら垂れていたが、痛覚なんかまったく脳みそには伝わってこなかった。

それよりも微動だにしない康史の様子に俺は恐怖している。

曲がりくねって道を遠廻りして、追跡を逃れるように走行方向を一巡する。

漸くついたマンションの駐輪場で、康史の体をロープを外して姫抱きに変えて心臓に耳を当てた。
さっき確認はしたけど、とくんとくんと規則正しく鼓動がある。

いきてる……。
よかった……。

部屋の鍵をあけて、酷い状態になっている康史の体を浴室にそっと降ろした。

洗ってやんねえと……。

いつも、俺のことを康史が洗ってくれているように、起こさないように優しく洗おう。
綺麗にさえしてやれば、ちょっとは安心するかもしれないから。

俺は、温かいお湯をためて丁寧に康史の体を洗う。
起きた時に、意識しないで済むように。 
ただの悪夢だったと思えるようにと、必死でその体を清め始めた。



康史さえ起きれば、またいつもどおりの日常に戻れると俺は信じていた。

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