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三学期編
さらけ出す傷痕 →side T
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昔は喧嘩をして身体を動かせば、性的欲求なんかはすぐに吹き飛んだ。
それなのに、今はまるで逆だ。
あんなに大暴れしたのに欲求が消えない。
いや、むしろ、乱闘の興奮につられて性欲が増してしまっている。
期待とか以前に、俺はずっとその興奮に煽られてるのだ。
「ちょっとづつは色々思い出してるのに、ここに来た記憶はちょっともないんだ」
噛み付いた歯の隙間から漏れる辛そうな康史の声。
きっと、康史も、思い出して辛い思い出に向き合った。
俺だけそこから逃げるのは、カッコわりいな。
「教えて?トール、なんでそんなに、手が震えているの?」
優しく響く康史の声に、ぐっと胸が詰まる。
暴かれたくない過去。忘れてしまっているのなら、全て覆い隠したい。
エレベーターが止まって、俺は康史の腕を無言でひいて部屋の前に立つ。
俺には怖いものなんか、ないとずっと信じていた。
だけど、あの時、俺はそれに恐怖を感じてしまった。
それを隠すことは自分の臆病を認めることになる。
康史は俺の顔を見上げて、キーカードをを挿し込む。
「此処に最初に来た時は、敵にクスリ嗅がされてフラフラだった。敵は撒いたんだけどさ」
康史の腕を引いて部屋の中に入る。
まるで診察台のようなベッドへと向かい、俺は康史の腕を離してその目の前で、ストリップよろしくばさばさと服を外して全裸になる。
「こういう部屋ばかりし、まあ、ヤスなら拘束するだろ?」
台に腕を置いてヤスの目の前に尻を差し出し、ケロイドになっている尻頰をそっと自分の手で撫でた。
この傷痕の説明をしなくてはいけない。
「ヤスと俺は気を失うまでヤリまくってた。そこに、敵がやってきてヤスを殴った後、俺は……」
続ける言葉を見失って、息を飲むと康史は、何かを察したのか俺の背後から抱きしめて唇を掌で覆う。
「トール!わかった。いい、いうな」
指先が震えている。らしくねぇ。とっくに、わすれたはずだった。
大丈夫。
ちゃんと全部教えてやろう。
俺は康史の掌を握って唇から外させた。
「.......意識のないうちにマワされてた。.......ここにも、ヒデェ落書きされたンだけど、ヤスが焼いて消してくれた。ここは、ヤスのだって印に変えてくれた」
目を閉じて、康史の手の甲に唇をチュッと押し当てる。
「も、う、いいって、トール」
「悪い思い出だけど、俺は、これは嬉しかったんだ」
ケロイドを何度も指でたどると、その動きを止めるように康史の手が重なる。
「トール。オマエは、全部、オレのだ」
背後から身体を抱きしめられて、うなじにガブリと歯をたてられる。
獣の掟のように俺は力を抜いて目を閉じた。
すでに臨戦態勢に入っているペニスの先端をくちくちと擦って粘液を溢れさせる。
「お、れは、ヤスの、だ。ぜんぶ、オマエのもんだ」
康史の言葉に答えながら、俺だけが理性をはがされていく。
なんもかんも、はがされて、むき出しの獣になる。
思い出してほしくない。だけど、その気持ちは思い出してほしい。
せめぎあうのは、初めて怖さを覚えた瞬間のことだから。
それなのに、今はまるで逆だ。
あんなに大暴れしたのに欲求が消えない。
いや、むしろ、乱闘の興奮につられて性欲が増してしまっている。
期待とか以前に、俺はずっとその興奮に煽られてるのだ。
「ちょっとづつは色々思い出してるのに、ここに来た記憶はちょっともないんだ」
噛み付いた歯の隙間から漏れる辛そうな康史の声。
きっと、康史も、思い出して辛い思い出に向き合った。
俺だけそこから逃げるのは、カッコわりいな。
「教えて?トール、なんでそんなに、手が震えているの?」
優しく響く康史の声に、ぐっと胸が詰まる。
暴かれたくない過去。忘れてしまっているのなら、全て覆い隠したい。
エレベーターが止まって、俺は康史の腕を無言でひいて部屋の前に立つ。
俺には怖いものなんか、ないとずっと信じていた。
だけど、あの時、俺はそれに恐怖を感じてしまった。
それを隠すことは自分の臆病を認めることになる。
康史は俺の顔を見上げて、キーカードをを挿し込む。
「此処に最初に来た時は、敵にクスリ嗅がされてフラフラだった。敵は撒いたんだけどさ」
康史の腕を引いて部屋の中に入る。
まるで診察台のようなベッドへと向かい、俺は康史の腕を離してその目の前で、ストリップよろしくばさばさと服を外して全裸になる。
「こういう部屋ばかりし、まあ、ヤスなら拘束するだろ?」
台に腕を置いてヤスの目の前に尻を差し出し、ケロイドになっている尻頰をそっと自分の手で撫でた。
この傷痕の説明をしなくてはいけない。
「ヤスと俺は気を失うまでヤリまくってた。そこに、敵がやってきてヤスを殴った後、俺は……」
続ける言葉を見失って、息を飲むと康史は、何かを察したのか俺の背後から抱きしめて唇を掌で覆う。
「トール!わかった。いい、いうな」
指先が震えている。らしくねぇ。とっくに、わすれたはずだった。
大丈夫。
ちゃんと全部教えてやろう。
俺は康史の掌を握って唇から外させた。
「.......意識のないうちにマワされてた。.......ここにも、ヒデェ落書きされたンだけど、ヤスが焼いて消してくれた。ここは、ヤスのだって印に変えてくれた」
目を閉じて、康史の手の甲に唇をチュッと押し当てる。
「も、う、いいって、トール」
「悪い思い出だけど、俺は、これは嬉しかったんだ」
ケロイドを何度も指でたどると、その動きを止めるように康史の手が重なる。
「トール。オマエは、全部、オレのだ」
背後から身体を抱きしめられて、うなじにガブリと歯をたてられる。
獣の掟のように俺は力を抜いて目を閉じた。
すでに臨戦態勢に入っているペニスの先端をくちくちと擦って粘液を溢れさせる。
「お、れは、ヤスの、だ。ぜんぶ、オマエのもんだ」
康史の言葉に答えながら、俺だけが理性をはがされていく。
なんもかんも、はがされて、むき出しの獣になる。
思い出してほしくない。だけど、その気持ちは思い出してほしい。
せめぎあうのは、初めて怖さを覚えた瞬間のことだから。
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