9 / 64
第9話→sideR
しおりを挟む
将兵に指示されるがままに運転をして、連れていかれたのはちょっとアメリカンな雰囲気のステーキハウスで、俺は駐車場に車を止める。
「ステーキとか、まだ給料前だしそんなに金だせねーぞ」
まあ、奢るとは言ったけど。
五十嵐さんとかが来るとしたら、まあ、それなりに食べるだろうしな。
財布に50000くらい入れてたかな。
ついつい財布の中身が気になっちまう。
「あー。この店、五十嵐さんの店だから。あの人、ここのオーナーなんだよ。とりあえず、士龍にはメールしといたから」
からんからんと扉を開けるとカウベルが鳴る。
俺は、五十嵐さんとはあまり顔見知りじゃないんだよな。
つかつかと見知った様子で中に入る将兵の背中を追いながら、カウンターに並んで座る。
「おー、将兵。オマエ給料日でもねーのに、珍しいなぁ」
長身でガタイのいい男が馴染みの相手が来たのがわかり、厨房から顔を出す。
俺らが一年生の時の三年なんて、あまり記憶にないが、このひとは一目でわかるようなオーラを持っていた。
やはり、オーナーと呼ばれるだけあって、まだ20才そこそこだろうが変な貫禄があるようにも見える。
「ハハッ、そうっすね、今日は奢りなんすよ。あと、五十嵐さんに聞きたいことあってきたんですよ」
水を目の前に出してくれる五十嵐さんに、俺は軽く頭をさげる。
「こっちはセールスマンさん?車でも買うのかよ、将兵。悪いけど、聞かれても金はねえし、貸せないぞ」
俺が車のセールスってことをよく見抜けたもんだと思わず目を見張ったが、
「あ、お久しぶりっす。セールスの仕事はしてるっすけど…………一応、俺も東高にいました。五十嵐さんとこには入ってなかったすけど。……峰頼人っす」
「あーあー。えっと、峰な。あの小倉のとこのヤバイヤツって言われてたヤツか。普通のセールスマンじゃん。変な取り合わせだなァ、オマエら仲良かったっけな」
五十嵐さんに覚えてもらえてたのは、意外だったがヤバイヤツって、何だろうか。
そんな風に上からみられてたのか。ホントにヤバイってどういう意味だろうか。
「聞きたいことってのは、松川さんのことなんすけど」
将兵は物怖じしない口調でいきなり核心を聞く。
五十嵐さんは、眉を寄せて軽く周りを見回すと、
「コーキのこと?!・・・・・・そりゃあ、ちょっと客前でする話じゃねーな。個室に移れよ」
声を潜めてチラッと個室らしい扉に視線をやって、立ち上がれと顎先を上に向けた。
俺は立ち上がり、将兵の後について個室に向かった。
「で、小倉がコーキと一緒にいたかもしれないって?」
個室に入った五十嵐さんは俺らの前で、手馴れた仕草で分厚い肉を焼いて、ふうと息を吐き出す。
「噂でしかないんすけど…………」
「いや、2ヶ月くらい前に1度コーキがうちに小倉を連れて食いに来たことがあったからよ。そん時にちっと仕事世話してやってるみたいなことを言ってたからな」
俺は、思わずガタンと立ち上がろうと机に腕をつく。
いてもたってもいられなくなる。
「峰、落ち着け」
将兵は俺の肩に軽く腕をかける。
落ち着け?そんなの落ち着けるかって。
「松川さんが死んだのは、何でですか」
「酔って海に落ちたって話だけどよ、ちげーよ。アイツ、酒飲めるヤツじゃなかったしな。殺されてからアルコール打たれたか。まあ、噂じゃ久住組のシノギを横取りしたとか」
五十嵐さんは仕事中だろうに、飲まないと話せないと言ってビールを煽った。
このひとも、仲間には慕われているアタマだったのを覚えている。
「ハルカは…………ハルカはどうなったんだよ」
俺の頭にはそれしかなかった。
「小倉の噂はないし、死体とかが出たわけでもないなら、拉致られてるか、うまく逃亡したか」
五十嵐さんは、俺の取り乱しようを見てぽんと頭に手のひらを載せる。
「まあ、峰よ、ここで慌てても仕方ねーだろ。俺もダチから情報を集めてやるからさ」
器のでかさを感じるような声音で、五十嵐さんは請け負ってくれた。
「ショーちゃん、峰ちんがステーキ奢ってくれるってホント?!」
うきうきしたような能天気きわまりない声が聞こえて、ガラガラと個室の引き戸が開かれ、俺は半年以上ぶりに元同級生の長身で金髪イケメンの顔を拝むことになった。
「ステーキとか、まだ給料前だしそんなに金だせねーぞ」
まあ、奢るとは言ったけど。
五十嵐さんとかが来るとしたら、まあ、それなりに食べるだろうしな。
財布に50000くらい入れてたかな。
ついつい財布の中身が気になっちまう。
「あー。この店、五十嵐さんの店だから。あの人、ここのオーナーなんだよ。とりあえず、士龍にはメールしといたから」
からんからんと扉を開けるとカウベルが鳴る。
俺は、五十嵐さんとはあまり顔見知りじゃないんだよな。
つかつかと見知った様子で中に入る将兵の背中を追いながら、カウンターに並んで座る。
「おー、将兵。オマエ給料日でもねーのに、珍しいなぁ」
長身でガタイのいい男が馴染みの相手が来たのがわかり、厨房から顔を出す。
俺らが一年生の時の三年なんて、あまり記憶にないが、このひとは一目でわかるようなオーラを持っていた。
やはり、オーナーと呼ばれるだけあって、まだ20才そこそこだろうが変な貫禄があるようにも見える。
「ハハッ、そうっすね、今日は奢りなんすよ。あと、五十嵐さんに聞きたいことあってきたんですよ」
水を目の前に出してくれる五十嵐さんに、俺は軽く頭をさげる。
「こっちはセールスマンさん?車でも買うのかよ、将兵。悪いけど、聞かれても金はねえし、貸せないぞ」
俺が車のセールスってことをよく見抜けたもんだと思わず目を見張ったが、
「あ、お久しぶりっす。セールスの仕事はしてるっすけど…………一応、俺も東高にいました。五十嵐さんとこには入ってなかったすけど。……峰頼人っす」
「あーあー。えっと、峰な。あの小倉のとこのヤバイヤツって言われてたヤツか。普通のセールスマンじゃん。変な取り合わせだなァ、オマエら仲良かったっけな」
五十嵐さんに覚えてもらえてたのは、意外だったがヤバイヤツって、何だろうか。
そんな風に上からみられてたのか。ホントにヤバイってどういう意味だろうか。
「聞きたいことってのは、松川さんのことなんすけど」
将兵は物怖じしない口調でいきなり核心を聞く。
五十嵐さんは、眉を寄せて軽く周りを見回すと、
「コーキのこと?!・・・・・・そりゃあ、ちょっと客前でする話じゃねーな。個室に移れよ」
声を潜めてチラッと個室らしい扉に視線をやって、立ち上がれと顎先を上に向けた。
俺は立ち上がり、将兵の後について個室に向かった。
「で、小倉がコーキと一緒にいたかもしれないって?」
個室に入った五十嵐さんは俺らの前で、手馴れた仕草で分厚い肉を焼いて、ふうと息を吐き出す。
「噂でしかないんすけど…………」
「いや、2ヶ月くらい前に1度コーキがうちに小倉を連れて食いに来たことがあったからよ。そん時にちっと仕事世話してやってるみたいなことを言ってたからな」
俺は、思わずガタンと立ち上がろうと机に腕をつく。
いてもたってもいられなくなる。
「峰、落ち着け」
将兵は俺の肩に軽く腕をかける。
落ち着け?そんなの落ち着けるかって。
「松川さんが死んだのは、何でですか」
「酔って海に落ちたって話だけどよ、ちげーよ。アイツ、酒飲めるヤツじゃなかったしな。殺されてからアルコール打たれたか。まあ、噂じゃ久住組のシノギを横取りしたとか」
五十嵐さんは仕事中だろうに、飲まないと話せないと言ってビールを煽った。
このひとも、仲間には慕われているアタマだったのを覚えている。
「ハルカは…………ハルカはどうなったんだよ」
俺の頭にはそれしかなかった。
「小倉の噂はないし、死体とかが出たわけでもないなら、拉致られてるか、うまく逃亡したか」
五十嵐さんは、俺の取り乱しようを見てぽんと頭に手のひらを載せる。
「まあ、峰よ、ここで慌てても仕方ねーだろ。俺もダチから情報を集めてやるからさ」
器のでかさを感じるような声音で、五十嵐さんは請け負ってくれた。
「ショーちゃん、峰ちんがステーキ奢ってくれるってホント?!」
うきうきしたような能天気きわまりない声が聞こえて、ガラガラと個室の引き戸が開かれ、俺は半年以上ぶりに元同級生の長身で金髪イケメンの顔を拝むことになった。
0
あなたにおすすめの小説
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
Bランク冒険者の転落
しそみょうが
BL
幼馴染の才能に嫉妬したBランク冒険者の主人公が、出奔した先で騙されて名有りモブ冒険者に隷属させられて性的に可哀想な日々を過ごしていたところに、激重友情で探しに来た粘着幼馴染がモブ✕主人公のあれこれを見て脳が破壊されてメリバ風になるお話です。
◯前半は名有りモブ✕主人公で後半は幼馴染✕主人公
◯お下品ワードがちょいちょい出てきて主人公はずっと性的に可哀想な感じです(・_・;)
◯今のところほとんどのページにちょっとずつ性描写があります
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
路地裏の王子様と秘密のカフェ ―10年ぶりに再会した親友はトップアイドルでした―
たら昆布
BL
大学生の千秋がバイト帰りの路地裏で助けたのは、今をときめくアイドル『GALAXY』のセンター、レオだった。
以来、レオは変装して千秋の働くカフェへ毎日通い詰めるようになる。
「千秋に会うと疲れなんて全部消えちゃうんだ」
トップアイドルとは思えないほど素直に懐いてくるレオに、千秋は戸惑いながらも多忙な彼を支えたいと願うようになる。
しかし、千秋はまだ知らない。
レオが10年前に「また絶対会おう」と約束して別れた泣き虫な親友の玲央本人だということに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる