朝焼けは雨

怜悧(サトシ)

文字の大きさ
36 / 64

第36話→sideR

しおりを挟む
なんだか夢の続きのような言葉を聞いて、俺は現金にも俺は舞い上がっていた。
ハルカのことだから、腹にいちもつもにもつも抱え込んでいるのは分かっていた。気分屋で今の言葉だって、翌日には有効かどうかわからない。
昨晩あれだけ手酷くしたことには、ぶつぶつ文句はいっていたが、俺の返した言葉にひどく満足した顔をしている。
実際のとこ、ハルカのキモチが俺にあるのかといったら、ソレはどうかわからない。なんの気まぐれか分からないが、恋人にしてくれるって言ってんだよな。
何でこんなうまい話になってるのかも、実際よく分かってない。

今日は休みなので朝飯をつくりながら、俺は気持ちが地につかないのでいっぱいだった。

結局のところ、ハルカを助け出したのだって、俺がハルカが欲しくて仕方がなかっただけなのかもしれない。

「朝飯か?なんだ、今日は、仕事じゃねーのか?」

起きてきたのか、ハルカはダイニングの椅子に座ってキッチンに立つ俺を眺める。
「今日は金曜だし、昨日の今日で怪我するかもしれねーから休みはとっておいた」
「ふうん。…………用意周到だな。相変わらず」
目の前に冷えた麦茶を出してやり、首筋に残る痛々しいうっ血に流石に、俺は罪悪感をもよおして視線を逸らす。
自分のやったこととはいえ、直視できない。
「随分動いてなかったからなあ。筋肉が落ちちまった。なー、ダンベルとかねーの?」
「リビングに水ダンベルならある。でも、まだ、無理すんなよ」
「大丈夫、俺は無理するタマじゃねーよ。…………後で真壁とかに、礼しにいくなら俺もいくぜ。昨日は憎まれ口しか言えなかったし……」
五十嵐さんの店に、世話になったヤツらを誘おうとは思っていたが、話を先にふられて俺は意外に思う。
「ハルカはさ、あの…………松川さんとこにいたんだよな」
「ああ。偶然街で会って仕事くれたからな。ま、結局のとこ利用されちまったけどな。……俺は、頭わりーからさ」
テーブルに作った味噌汁とごはんと、焼き魚の定番メニューを並べてハルカを眺める。
昨日のような険のある態度はさっぱりきえている。
俺が好きだと告白したからか?
ガラリと変わった態度が、俺にはよくわからない。
「内臓とられて、身体いじられたけど生きてるだけ良かったかもな。別に殺されてもいいやって気になってたけどさ。…………でもよ、オマエには、俺は命張る価値あるんだろ?」
目を伏せてハルカは静かに俺に問いかける。
問われなくとも、俺は心からそう思っている。
深く頷くと、ハルカは俺に手を伸ばす。
「オマエに縁を切られても、まっあく構わないと出ていったのにな」
俺に寄りかかることをよしとしなかったのは、ハルカのプライドだ。
「縁を切るとか、そんなの……脅しだ」
「どっかで、それも分かってたかもな」
俺の首筋に手を回すと軽く締め上げて、ハルカは笑う。
すっと目が細められて、ハルカらしい凶暴な光がやどる。

「こころのどっかで、ライは俺を追いかけてくると思ってた」

生殺与奪も全てを握ってるのだといわんばかりの表情に、俺はキモチの全部もっていかれた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

隣の席のイケメンに懐かれた

しょうがやき
BL
隣の席のイケメンに懐かれた平凡男子の話

Bランク冒険者の転落

しそみょうが
BL
幼馴染の才能に嫉妬したBランク冒険者の主人公が、出奔した先で騙されて名有りモブ冒険者に隷属させられて性的に可哀想な日々を過ごしていたところに、激重友情で探しに来た粘着幼馴染がモブ✕主人公のあれこれを見て脳が破壊されてメリバ風になるお話です。 ◯前半は名有りモブ✕主人公で後半は幼馴染✕主人公  ◯お下品ワードがちょいちょい出てきて主人公はずっと性的に可哀想な感じです(・_・;) ◯今のところほとんどのページにちょっとずつ性描写があります

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

路地裏の王子様と秘密のカフェ ―10年ぶりに再会した親友はトップアイドルでした―

たら昆布
BL
大学生の千秋がバイト帰りの路地裏で助けたのは、今をときめくアイドル『GALAXY』のセンター、レオだった。 以来、レオは変装して千秋の働くカフェへ毎日通い詰めるようになる。 ​「千秋に会うと疲れなんて全部消えちゃうんだ」 トップアイドルとは思えないほど素直に懐いてくるレオに、千秋は戸惑いながらも多忙な彼を支えたいと願うようになる。 ​しかし、千秋はまだ知らない。 レオが10年前に「また絶対会おう」と約束して別れた泣き虫な親友の玲央本人だということに。

処理中です...