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君がためをしからざりし命さへ
side Searashi
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遅い時間だからと帰っていった背中を、俺は引き止めることもできずにただ見送ることしかできなかった。
俺が彼にしたことを考えれば、すぐに許されるだなんてことは思ってはいない。
ベッドに転がるも、体は疲労しているはずなのに、すぐに眠りは訪れなそうだ。
さっきまで、この部屋に彼がいたのだ。
それが、夢のようで、まだ現実のような気がしないのだ。寝てしまったら、逆に醒めてしまうのではないかという、恐れ。
あの時覚悟を決めて、自分の方から彼から離れる道を選んだというのに、結局諦めることなんて露ほどもできずに、ただただ再会を祈っていた。
あの時した選択を、俺は後悔をしていない。
だけど、あんなふうに彼を傷つけたことについては、自分で自分が許せない。
「……あんな風になっちまうなら……」
たとえ、自分の決心が揺らぐことになっても、ちゃんと真実のキモチをうちあけるべきだった。
もう、好きになってもらえないにしても。
それでも、彼をこころから大事に思ってきたのは変わらないのだ。
体を落として手に入れるといわれたときも、ただ単純に嬉しいと思った。
もし、この体を彼にあけ渡すことで、彼をもう一度手に入れることができるなら。
それならば、何も惜しくなんかない。
むしろ、彼になら殺されたとしても、それでもいいと思っている。
彼には分かってないなんて言われたけど、すべて分かった上の言葉だった。
高校の時もずっと話さない期間があったとしても、俺は彼をずっと眺めていた。
ずっと眺めているだけで満足していた。
だけど、いまは、眺めるだけでは我慢出来はしない。
明日も会いにいこう。
たとえ、どんな風にアイツから拒絶されても。
人を好きになるキモチをなくしたのだといっていたけど、とても自分にいいだけの解釈をするのならば、それは俺以外を好きにはなれないってことなのかもしれない。
すごく自意識過剰で、それはかなり楽観的すぎる考えかもしれないけど。
だけど、そんな考えにだとしても、一筋に垂らされた蜘蛛の糸に見えて、縋ってしまいたくなる。
ベッドの上に飾っておいた眼鏡を手にとって眺める。
これだけが、唯一のつながりだった。
もう、会いにくるなとも言わなかったし、もう会わないとも、これっきりだとも言わなかった。
俺が、恋人の存在に諦めたことに怒っていたようにも思えた。
「諦めなくても………いいよな」
手に入れるためなら、何も怖くなんかない。
きっと、あのときにその決断をしているべきだったのに。
遅くなってしまったけど、遅すぎることはない。
「今度こそ、きっちりケジメつけンよ…………西覇」
眼鏡のグラスに唇を押し当てて、そっと大切に掌で包み込む。
何も怖くない。
俺はオマエを失うこと以外なら、もともと何も怖くなかったはずなんだ。
俺が彼にしたことを考えれば、すぐに許されるだなんてことは思ってはいない。
ベッドに転がるも、体は疲労しているはずなのに、すぐに眠りは訪れなそうだ。
さっきまで、この部屋に彼がいたのだ。
それが、夢のようで、まだ現実のような気がしないのだ。寝てしまったら、逆に醒めてしまうのではないかという、恐れ。
あの時覚悟を決めて、自分の方から彼から離れる道を選んだというのに、結局諦めることなんて露ほどもできずに、ただただ再会を祈っていた。
あの時した選択を、俺は後悔をしていない。
だけど、あんなふうに彼を傷つけたことについては、自分で自分が許せない。
「……あんな風になっちまうなら……」
たとえ、自分の決心が揺らぐことになっても、ちゃんと真実のキモチをうちあけるべきだった。
もう、好きになってもらえないにしても。
それでも、彼をこころから大事に思ってきたのは変わらないのだ。
体を落として手に入れるといわれたときも、ただ単純に嬉しいと思った。
もし、この体を彼にあけ渡すことで、彼をもう一度手に入れることができるなら。
それならば、何も惜しくなんかない。
むしろ、彼になら殺されたとしても、それでもいいと思っている。
彼には分かってないなんて言われたけど、すべて分かった上の言葉だった。
高校の時もずっと話さない期間があったとしても、俺は彼をずっと眺めていた。
ずっと眺めているだけで満足していた。
だけど、いまは、眺めるだけでは我慢出来はしない。
明日も会いにいこう。
たとえ、どんな風にアイツから拒絶されても。
人を好きになるキモチをなくしたのだといっていたけど、とても自分にいいだけの解釈をするのならば、それは俺以外を好きにはなれないってことなのかもしれない。
すごく自意識過剰で、それはかなり楽観的すぎる考えかもしれないけど。
だけど、そんな考えにだとしても、一筋に垂らされた蜘蛛の糸に見えて、縋ってしまいたくなる。
ベッドの上に飾っておいた眼鏡を手にとって眺める。
これだけが、唯一のつながりだった。
もう、会いにくるなとも言わなかったし、もう会わないとも、これっきりだとも言わなかった。
俺が、恋人の存在に諦めたことに怒っていたようにも思えた。
「諦めなくても………いいよな」
手に入れるためなら、何も怖くなんかない。
きっと、あのときにその決断をしているべきだったのに。
遅くなってしまったけど、遅すぎることはない。
「今度こそ、きっちりケジメつけンよ…………西覇」
眼鏡のグラスに唇を押し当てて、そっと大切に掌で包み込む。
何も怖くない。
俺はオマエを失うこと以外なら、もともと何も怖くなかったはずなんだ。
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