小虎の初恋

珠雪

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虎の子

小虎は急ぐ

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朝、

寺子屋へ向かうためにいつもは寝起きのまんま放置してる顔を少しだけ拭き、泥だらけのお下がりの小袖をしっかりと着直す。

その様子を母が不思議そうにみていると兄達がいつものように寅次郎を囃し立てる。

「なんだ寅、おめかしかぁ?」
「寅も年頃だねぇ」
「母さん、寅はきっと好いたおなごでもできたに違いねぇ」
「これから逢引かもな」

そうからかい言葉を口にしながら上の4人の兄たちがニヤニヤと笑ってこちらを見ていた。

「違うよ!」

逢引などまだ幼い寅には到底早い話なので逢引なんてある訳がない。 
寅が寺子屋へ行くのを楽しみにしていることを知っているこの兄弟たちはそれをわかっててからかっているのだ。

「行ってくる!」

からかう兄弟たちをよそに寅はこれから逢う寺子屋の師匠を想い、逸る心を抑えながら、いそいそと飛び出していった。
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