出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ

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第百三十話:王の天秤

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謁見の間での、僕のあの⼤胆な宣⾔は、⽗である侯爵と、そして⽼王アルフォンス三世の両者に⼤きな衝撃を与えたようだった。

⽗は僕がただの怪物ではなく、明確な政治的野⼼を持った交渉相⼿であることを認めざるを得なくなった。
そして王は、僕という新しい駒が、この王国のパワーバランスにどのような影響を与えるのか、その価値を⾒極めようとしていた。

王宮から屋敷へと戻る馬⾞の中、⽗は僕に⼀⾔も話しかけなかった。
だがその横顔にはこれまでに⾒たこともない深い苦悩と、そして計算の色が浮かんでいた。
彼にとって、僕はもはや出来損ないの息⼦ではない。
アークライト家の未来を左右しかねない危険な賭けの対象なのだ。

数⽇後、⽗は僕を再び書斎へと呼び出した。
その表情は以前のような威圧的なものではなく、どこか疲労の色さえ⾒えた。

「……ルキウス。貴様の提案、王も前向きに検討なさるとのことだ」

「光栄の極みでございます、⽗上」

「だが無論無条件ではない。王は貴様のその『盾』が本物であるか、その証明をお求めだ」

⽗が僕に突きつけてきた王からの「条件」。
それは僕の想像を超えるものだった。

「——王国騎⼠団最強の騎⼠、そして貴様の兄でもあるガイウス・フォン・アークライト。彼と公式の場で模擬戦を⾏い、その実⼒を⽰せ」

それはあまりに悪趣味で、そして残酷な提案だった。
僕と兄ガイウス。
出来損ないと天才。
光と影。
その⼆⼈が今再び剣を交える。
しかも王や全ての貴族たちが見守る中で。
⽗は僕の⼒を確かめると同時に、僕とガイウスを競わせ互いに潰し合わせることで、アークライト家の主導権を再び握ろうとしているのだ。

「……御意に」

僕に否やはない。
これは、僕の価値を王国全体に認めさせるための、最高の舞台でもあった。

数⽇後、王宮の巨⼤な演習場でその決闘は⾏われた。
観客席には王とその側近たち、そして王都の全ての有力貴族が顔を揃えている。
アリーナの片側には王国最強の騎⼠として完璧な鎧に⾝を包んだ兄ガイウス。
その⼿にはアークライト家に伝わる伝説の魔剣が握られている。

彼はもはや、僕の見知った兄ではない。
幾多の死線を乗り越えその才能を完全に開花させた絶対的な強者。
その⾝から放たれる闘気はアリーナの空気を震わせていた。

対する僕はただの軽装。
⼿には訓練⽤の⽊剣が⼀本。
誰もが僕の敗北を確信していただろう。
だが僕の心は静かだった。
僕は兄の全てを知っている。
彼の剣技も癖も、そしてその⼒の源泉さえも。なぜなら僕の体にはかつて彼から徴収した『剣術スキル』が眠っているのだから。

「始め!」

合図と共に兄が動いた。
その速さはもはや人間のそれを超えている。
だが僕の⽬にはその動きがゆっくりと⾒えた。
僕は最⼩限の動きで彼の魔剣をかわし、そして僕の⽊剣で彼の鎧の隙間を正確に突いた。
カツンという軽い音。
だがその⼀撃に込められた僕の魔⼒と技術は、彼の巨体を数歩後退させた。

「……なっ!?」

兄が初めて驚愕の表情を⾒せる。
観客席がどよめいた。
僕たちの兄弟の最後の戦い。
そしてアークライト家の世代交代を告げる戦いの火蓋が今、切って落とされた。
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