出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ

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第百三十三話:建国の槌音

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僕が転移魔法陣を通ってノーランドの地へと帰還した翌日。僕は館の広間に僕の腹心たちを集めていた。

忠実なる鉱山長ボリン。天才ルーン学者ニール。
そして僕が最も信頼するメイドであり、今やこの館の、家政全てを取り仕切るリリア。
セバスは、僕の密命を帯びて王都に残り、僕の「目」として、そして本家を内側から支えるための重要な役割を担っている。

目の前にいる三人が、僕の新しい王国の、最初の閣僚だった。

「今日から、我々の本当の国作りを始める」

僕は彼らの前で、ノーランドの巨大な地図を広げた。
そこには僕がこれまでの年月をかけて練り上げてきた、壮大な計画がびっしりと書き込まれている。

「まずボリン。君には『星屑鉄』の採掘と精錬の全てを任せる。これが我々の王国の心臓となる。最新の魔導工学と僕の技術を組み合わせ、世界最高の金属を作り上げるんだ」

「へい、若様! この命に代えても!」

ボリンの目が、かつてないほどの熱意に燃えていた。

「次にニール。君の転移魔法陣は完璧だ。君にはこの光の道を、さらに広げてもらいたい。まずは同盟者であるシルバーバーグへ。そしていずれは大陸の全ての主要都市へと繋がる、巨大な交易網を築き上げる。これが我々の王国の血管となる」

「はい、ルキウス様! 僕の叡智の全てを捧げます!」

ニールは感極まったように、涙ながらに頷いた。

「そしてリリア」

僕は最後に、彼女へと向き直る。

「君には、この国の民の生活そのものを任せたい。僕が描いた設計図を元に、このグレイロックの町に、新しい水と食料の循環システムを構築してほしい。病に苦しむ者のない、文化的な生活を、この地の全ての人々へ。それが我々の王国の血肉となる」

「……はい、ルキウス様。必ずや、成し遂げてみせます」

リリアは、その優しい瞳の中に、鋼のような決意を宿して、そう答えた。

心臓と、血管と、そして血肉。
僕の王国は、今、この三つの大きな計画と共に、その産声を上げたのだ。

彼らがそれぞれの持ち場へと散っていくと、執務室には僕一人だけが残された。
僕は窓の外に広がる、どこまでも続く、灰色の山脈を見つめる。
これから僕がやろうとしていることは、一つの領地経営という、小さな話ではない。
それは、新しい文明をこの地に、創造するということだ。

数週間後ノーランドは、かつてないほどの、槌音と活気に包まれていた。
ボリンが率いる鉱夫たちは、僕が教えた魔力振動を利用した、新しい採掘法を用い、驚異的な速度で、星屑鉄を掘り進めていく。

ニールは僕の研究室に籠もり、転移魔法陣の、安定性と転移距離を向上させるための、新しいルーン術式の開発に没頭していた。

そしてリリアは、町の女性たちを、まとめ上げ、僕が設計した公衆浴場や、共同炊事場の建設を指揮していた。
誰もが自分の仕事に誇りを持ち、そして輝かしい未来を信じていた。

僕自身もまた、休んではいなかった。
僕は僕にしかできない仕事に取り掛かっていた。
それは、このノーランドを外敵から守るための絶対的な防御網の構築。
僕は一人、領地の四方を囲む、山脈の頂を巡っていた。
そして、その要所要所に、僕の古代ルーンの知識と、アリスティア先輩から得た防御障壁魔法の技術を組み合わせた、巨大な防御術式を刻み込んでいく。
それはノーランドの大地そのものを、一つの巨大な要塞へと変える、途方もない大魔法だった。

ある日の夕暮れ、僕は最後の一筆を、北の山頂の岩肌に刻み終えた。
僕が魔力を注ぎ込むと、僕が刻んだ全てのルーンが一斉に共鳴し、淡い光の粒子がノーランドの空へと舞い上がる。
そして、それは僕にしか見えない、巨大な魔力のドームとなって、僕の王国全体を優しく、そして力強く覆い尽くした。
これでいい。
これで僕の民は安心して眠ることができる。

僕は山頂から、生まれ変わった、僕の王国を見下ろした。
町の灯りが、まるで地上の星々のように輝いている。
それは、僕がこの世界に生まれてきて、初めて美しいと感じた光景だった。

僕は、静かに空を見上げた。
そこには、僕の未来を祝福するかのように、満天の星が輝いていた。
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