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14.伝言
しおりを挟む皆が朝食のテーブルに着く。ふと辺りを見回す夫人スピナはそこである事に気付き、アメジストをジトっとした目で睨みつけ話した。
「あら、珍しいわね。いつもあなたの傍を一時も離れずベッタベタと付いて回る、専属お世話役ジャニスティさんの姿が見えないけれど?」
ビクッ。
予想した通りの言葉が継母から聞こえてきた。
そしてジャニスティの事をあまり良く思っていない継母は、嫌味を含んだ言い方をいつもするのだ。
「おぉ、本当だな。アメジスト、ジャニスはどうしたんだね?」
優しい父からの言葉も今の彼女には刺さるように感じた。そんな中ジャニスティの言っていた言葉が、頭の中で繰り返される。
――「旦那様と奥様には、こうお伝え下さい。『ジャニスは魔力回復をすると言っていた』と」
(約束……そうよ、アメジスト頑張るのよ! 他には何も言わない)
彼女は自分の心に大丈夫よと勇気づけながら、ジャニスティと交わした約束を思い信じ、その指示された言葉を両親に伝えた。
「あ、あの! ジャニスは『本日お暇をいただき、魔力回復をさせて下さい』と伝えてほしいと申していました」
アメジストはやっとの思いで理由を言い終わると下を向き、次に問い詰められたらどうしよう、どう対処したらいいだろうと手をギュッと握り、目を瞑っていた。
(何とか言えた。どうかしら? これで言われたら……)
「アメジスト、それは本当かね?」
いつもであれば継母が発言をしてくることの方が多い状況。しかし意外にも今回は、父から本当かと問われた。
「お父様、は、はい。そう伝えてほしいと……」
「そうか。ジャニスはアメジストに話していないのだな。なるほど、分かった」
(え、それだけ? 本当に、いいの?)
アメジストは心の中でそう思いつつ、少しだけ笑みが零れる。本当にその言葉だけで父が納得したことに驚き、内心ホッとしていたのだ。すると急に継母が口を開き話し始め、彼女の全身には再度緊張が走った。
「あなた、ジャニスティがいないのでしたら、今日の外出はちょっと」
元々、父には甘えたように話をする継母であったが今は珍しく、とても不安気な様子の面持ちで話している。
「そうだな。用心するに越した事はない。そうする方が良いかもしれんな」
何の事だろうと彼女は、黙って両親を見つめ話を聞いていた。
それにしても不思議だ。本当に問い正される事もなくジャニスティが言った通りになった。魔法の言葉だったなと、アメジストは思っていた。
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