幼女公爵令嬢、魔王城に連行される

けろ

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第39話 ワタアメ先生

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 私の肩を叩いて「魔方陣を探しに行く」と言ったニャルラは、シグマとなにやら相談しているようであった。
 彼女の話によると同じ場所を歩かされている「幻覚」のような今の状況は、おそらく「隠蔽魔法陣」によるものらしい。
 隠蔽魔法陣は魔法の効果範囲内の獲物に「認識阻害」の効果を与え、道に迷わせると言った性能があるのだ。
 魔法陣について本でいくらか学んだ時の記憶によると、基本的に魔法を解除するためには直接魔法陣に接触する必要がある。
 他にも力技で魔法陣の効果そのものをぶっ壊すといった乱暴な対処法もあるらしいが、やり方も良く分からないので今回はパスだ。

「探すって言っても、こんなに広い森の中を歩き回るわけかしら?」

 魔法陣を探すという単純な方法では、とてつもない時間がかかるのではないかと私は思った。
 同じく疑問を持っていたガウェインも「隠されているでしょうから、見落としもあり得ますね」と最悪の展開を予想する。
 しかし、それに対してシグマは問題ないと答えた。

「魔法陣からは微量ながら魔力が流れ出ているのだ」

 以前ガウェインに教えた「気配察知」をうまく利用することで、魔法陣を逆探知することができるとシグマは言う。
 それを聞いた私は「魔力って便利なのね」となんでもありのチートパワーの存在を知るのであった。

 そういうわけで魔法陣を探す旅に出ることになった私たちである。
 一人で行動するのは危険であるため、二人一組で魔法陣を探すことになった。
 私とシグマ、ニャルラとガウェインの二組である。
 というより、私はシグマに守ってもらわなければならないのでこの組み合わせ以外には成立しなかった。

「では、1時間後にこの「ハサミ」のもとへ合流するとしよう」

 私たちは魔法陣を発見できてもできなくても、1時間後にここに一度戻ってくることになった。
 シグマの予想では魔法陣を探すことだけに特化して動けば、30分もあれば発見できるはずだという。
 逆に、それでも見つからない場合は少々厄介なことになるらしい。
 私は、なんだか嫌な予感がしながらも「きっと見つかるわ」と楽観的なことを口にする。
 それに対してニャルラも「魔王軍を代表する獣人親子が見つけられないわけないニャ」と軽口をたたいていた。


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 ニャルラ達と一旦分かれた私とシグマ、それとワタアメの2人と1匹は森の中を走っていた。
 戦闘は何もできない幼女の私にもシグマが道中で簡単に「気配察知」についてレクチャーしてくれる。

「体内の魔力を感じるであろう?それを体外にまで感じ取れるようになれば気配察知ができるようになる」

 シグマが私に「簡単だろう?」と説明してくれるのだが、如何せん抽象的な解説であった。
 というより、具体的にどうすればできるようになるのかはシグマ自身も良く分かってないらしい。
 こんな感じだから、戦闘能力は「センス」が重要と言われるわけである。
 白いまん丸ウサギのワタアメも「気配察知」はできるらしいので、特別強くなくても習得できるらしいことが分かった。

「ねえ、ワタアメはどうやって気配察知してるのかしら」

 私はなんとなくワタアメにやり方を尋ねてみると、意外にも良い反応が返ってきた。
 ワタアメは私の腕を軽く噛むと、なにやらブルブル震え始める。
 チクリと噛まれた腕に弱い痛みを感じる私は、痛み以上に噛まれている腕とその先にくっついてるワタアメに違和感を感じた。
 私の体内の生命力のようなものが、ワタアメのほうに吸い寄せられているような感触がするのである。

「もしかして、この良く分からない感覚が「魔力」の流れってやつかしら?」

 私のつぶやきに対して、ワタアメが「もきゅ!」と反応する。
 彼女が小さい歯を私から離すと、腕には小さな歯型が残った。
 私はその歯型からも今まで感じたことのない違和感を感じる。

「それは、ワタアメがわざと腕に残した彼女の魔力だ」

 ワタアメが残した歯型を見て「微量ながら魔王妃殿の腕に残っている」というシグマ。
 それを聞いた私は、自分から吸い出された魔力とワタアメの魔力の違いに気づく。
 そして、次の瞬間今まで感じなかった周辺の魔力と思われるものを急激に感じるようになった。

「すごい……これが魔力……」

 魔力を感じ取れるようになった私は、周囲に存在する小動物なんかの魔力に気づくのだった。
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