幼女公爵令嬢、魔王城に連行される

けろ

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第59話 次なる作戦準備

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 私がアルテミシアを体内に宿していること、そして彼女の力を借りてフォルトゥナを撃退したことをすべて話した。
 すると、意外にも魔物たちの反応は悪くなかった。

「やはり、当代の魔王妃様にもアルテミシアが宿っておりましたか」

 それを聞いたスターチアが予想通りでしたといった様子で言う。
 どうやら、他の隊長達も私の魔力にかつての「先代魔王妃メルヴィナ」の魔力と似たようなものを感じていたらしい。
 今まで話の流れに少し置いてけぼりだったニャルラも「アルテミシアってそういうことだったのかニャ」と納得した様子であった。
 ニャルラ的には、私が誘拐されてすぐの謁見の間で感じた魔力から「すごい人が来た」と思っていたらしい。

「それで、4人一組の部隊編成に関してはどうだったのだ?」

 全ての報告が終わった後に魔王が精鋭隊の隊長である私に問う。
 これからはより一層情報収集が重要になるだろうから、魔王としても4人組の運用については気になるようである。

「問題なく機能したわ」

 四天王の3人を相手するようなこと自体がそもそもイレギュラーすぎるため、それ以外の情報収集の場面においてはうまく機能するはずだと私は主張する。
 一緒に行動していたシグマとニャルラも「魔王妃殿の指示が無ければ、隠蔽を突破できない可能性が高かった」と冷や汗をかいて言うのだった。
 たしかに、あの場面にシグマやニャルラのような戦闘要員しかいなかった場合を考えると、その後彼らはどうなっていたか分からない。
 私は情報収集に加えて「部隊の生存可能性」もあげられる点に4人組のメリットを感じざるを得なかった。


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 長く続いた報告会は一区切りついたものの、今後の方針を話し合う必要があったためまだまだ続いた。

「フェイリスはまだ復活していないってことだけど、たぶん復活を止めるのは難しいわよね?」

 私は会議中に思ったことを口にする。
 それを聞いていた魔王やアドルも「おそらく無理だ」と答えた。
 シグマや他の武闘派の魔物たちは「なぜだ?」と私たちの考えに疑問を持ったらしいが、それを横に座るヴァネッサが説明する。

「私たちは邪神教に濡れ衣を着せられてるのよ?教国を相手しながら邪神教を攻めるのは危険だわ」

 1対1ならば戦力的にもほぼ互角である邪神教と魔王軍であるが、そこに「六柱」を抱える教国が関与してくると一気にパワーバランスが崩れてしまうのだ。
 これまでは「邪神教」がその矢面に立たされていたわけだが、この度の調査の結果によって「魔王軍」が不利な状況になってしまったわけである。
 それを受けて私は、この状況を何とかするためには「教国」の「魔王軍」に対する誤解を解かなければならないと考えた。

「それじゃあ、まずは教国の教主に会って誤解を解く必要があるわね」

 私は疑似的にとはいえ、邪神教と教国が手を組んでいるような状態を解消するために教国を統治している「教主」を説得しに行くことが必要だと説いた。
 やはり、混乱した民衆を動かすためには「トップ」が指示を出す以外に有効な手段はないのである。
 なので、被害が大きくなる前に手を打つべきであると私は魔王たちに進言するのだった。

「しかし、人間達に会ったところで魔物だということでまた争いになるのではないかのう?」

 私の提案に対してシグマが疑問を投げかける。
 たしかにシグマの言う通り悪戯に教国を刺激するのはこの場合良くないが、今回は少し事情が違う。
 というのも、今の魔王軍には私やアリシアが在籍しているからである。
 人間達の国に「魔物」が交渉に行くとなると色々と問題が生じるが、私やアリシアのような「人間」が出向いたならばそれほど問題にならないはずだからだ。
 というよりも「王国の王族」と「その侍従」が出向いたとなれば、教国としても対応せざるを得ないだろう。

「というわけで、私が教主と会って誤解を解いてくるわ!」

 一通りの説明を会場の魔物たちにしたところで、私は自らがその役目を務めると声をあげた。
 それを聞いたアリシアはまたしてもこちらを見て青い顔をしている。
 前回の調査の時と似たような流れであった。

「ちょっとまて、とりあえず落ち着けメルヴィナ」

 勢いよく立ち上がった私に対して、魔王がため息をついて冷静に諭すのだった。

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