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しおりを挟む「エリーナ・レニアス。お前のような者を私の婚約者などとは認めぬ!ニアに対する悪質な虐めに加え、国庫の金を勝手に使うなど……。決して許されることではない!よって、貴様を国外追放にする!二度と、この国に足を踏み入れるな!」
私の婚約者である……。いや、婚約者であった、エリスタン王国の王子、ライラック様は可愛らしい少女を連れ、私にそう告げた。
笑顔が引き攣るのを感じながら、それでも冷静に、受け入れる。だが、一つだけ言わせてもらいたい。
ニアに対する悪質な虐め?私は、だれかさんの尻拭いで奔走していて、そのような時間などありませんでしたが?それに加え、王妃教育に、感情を抑える訓練など、様々な教育があり、あなた程暇ではありませんでしたが。
それに、国庫の金を勝手に使う?その、国庫のお金の動きが異常であると伝えたのは私ですが?しかも、調べてみればびっくり。婚約者へのプレゼントなどの費用として割り振られていたお金が全て、そのニアに使われているのだ。おかしいですね?いつ、あなたの婚約者は私からニアに変わったのか、教えてはくれませんかね?
「私だって、あなたのような婚約者など願い下げです。それでは、さようなら」
私は笑顔で、ドレスを翻した。これで、この国とはおさらばだ。ようやく、この婚約者から解放される。そう思うと、喜びで胸が震えた。
*
そして、1ヶ月後。私は隣国の酒場にいた。
「いらっしゃいませー!って、なーんだ。レイさんじゃないですか」
「さすがに、それは酷くないか?これ、今日のお土産。受け取ってくれる、リーナ?」
「わっ、ありがとうございます!でも、いつも貰ってばかりで申し訳ないですし、いいんですよ?」
いつものように、レイさんが店に来て、花をくれる。レイさんは私がここでお世話になる前より、常連さんだったらしく、新しく働き始めた私を気にしてか、こうして毎日来ては花をくれるのだ。
「リーナ、次の休みは空いてる?空いてるなら、王都を案内するけど……。まだ、慣れていないだろうし、変わったものも多いから」
「はい、大丈夫です。ありがとうございます、レイさん!楽しみにしてますね!」
「うん」
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