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しおりを挟む「お前を、聖女と偽った罪で国外追放にする!聖女とは名ばかりで何も出来ないお前など、要らぬ!」
と言われ、国外追放になりました。
えーと、一つ言わせてもらうとするのなら……。聖女って、18歳にならないとちゃんと力を振るえないのですが、この王子大丈夫です?あ、ちなみに私は現在17歳で明日が18になる誕生日なのです!
なんでも、この制約があるのは、聖女としての力が強いせいで、昔は幼い頃から聖女を戦場に立たせる、ということもあったそうなのです。そのせいで、聖女としての役目を果たせない人も多かったようで……。
で・す・が!この制約があれば、幼い頃は少なくとも戦場に立たなくて済みますから。まぁ、言うなればちゃんと聖女の役目を果たせるようにするための制約、ですね。
「あー、私これ明日まで生きられるのですかね?」
なにせ、私は今魔物がうようよいるような森に一人捨てられた状態なのです。え、両親はいないのかって?んー、一応いたにはいましたよ?ただ、私が聖女と分かるなり国に売り飛ばしやがりましたけど。
「明日になればなぁ……。聖女の力でなんとか出来ちゃうんでしょうけど」
明日になれば、聖女パワーできっとなんとかできるのです。ただ、それまでに魔物に遭遇すれば終わりなのですが。
しばらく歩くこと数時間、私の体力は既に限界に近くなっていました。そして、そんな時に限って出るのですよ……。
「ありゃ……。コボルトですか。これは、どうやら私終了のお知らせですかね。うーん、どうせなら一瞬でお願いします?」
目の前まで迫ってきたコボルトに、私はそんな的外れなことを口にしながら目を瞑ります。ですが、いつまで経っても痛みはこず、恐る恐る目を開くと、そこには切り捨てられたコボルトが居た。
「おい、大丈夫か!」
「はい、お陰様で。助けていただいて、ありがとうございます」
騎士様は私を見て、不機嫌そうに額に皺を作りました。んー、私何か失敗したのですかね?
「……一人でここまで来たのか。家は?どこから来た?両親はどこにいる?」
「一人ですよ。両親はいませんし、アクアポート王国は、国外追放って言われちゃいましたから」
「それは……。済まなかった」
騎士様は申し訳なさそうに謝ってきますが、やはり、額には皺が刻まれていました。そういえば、黒髪って珍しい気がしますね。
「別に気にしていませんから。それにしても、騎士様は何故ここに?」
「……魔物が増えすぎないよう、間引きをしている。行くぞ」
「え?」
「……歩けないのか?ならば」
「い、いえ!歩けます!でも、その。行くってどこにです?私、多分今日は役に立ちませんよ?」
この騎士様、言葉がかなり足りないように思うのです。せめて、行先くらい教えて貰いたいのです。
「ラーストリアだ。帰る場所がないのだろう」
「ありがとうございます、騎士様!」
騎士様、と呼ぶと何故か不機嫌そうになりました。呼び方、お気に召さなかったのですあね?
「イルフェルト・ユーリアスだ」
「イルフェルトさんですね!」
私が名乗らなかったのには、ワケがあるのですよ。まず、私には名前がありません。聖女は、18になるまで名前がなく、聖女としか呼ばれないのです。18になると、名前を貰うのですが、名前を貰うと契約という形となり、聖女に名前をつけた人、まあ名付け親ですね。名付け親が、聖女の力を制御できるらしいのです。ついでに、まあ色々と恩恵があるらしいのです。
本当、聖女って面倒ですねぇ。
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