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第1話
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俺が登校した時点では既に時計は10時半を示していた。
骨折した左足を庇いながらの着替えや、教科書の準備忘れなど、細かいミスが重なってこんな時間になってしまった。
当然こんな時間に昇降口をウロウロしている生徒なんてどこにも見当たらないわけで。
体育だろうか、遠くの方で男子の楽しそうな声。
とりあえず事前に教えてもらっていた自分の下駄箱に学校指定のローファーを入れ、真新しいスクールバッグからスリッパを取り出し履く。
そう言えば最初は職員室に来てって先生に電話で言われてたっけ。
職員室・・・、どこだ。
キョロキョロと学校の生徒らしくない挙動をしながら、闇雲に校舎内を歩く。
慣れない松葉杖のせいで、腕が少し痺れてきた。
5分ほど歩き回っただろうか。
方向音痴だからというべきか、運がないからというべきか・・・。
元々広い校舎ではあるのだが、まだ職員室にたどり着くことができなかった。
「あの」
途方に暮れていると、後ろからか細い、それでいて綺麗な声が聞こえてきた。
突然のことびびくっと肩を震わせてから、俺に話かけているんだと気づき、振り向く。
・・・なんといったらいいんだろう。
端的に言えば、そこには美少女、いや、絶世の美少女が立っていた。
スラッとした高めで華奢な体型。透き通るような白い肌。クリっとした丸い瞳に、薄いピンク色の唇。
きっとこの人は、初めて会う人全員にもれなく『こんな綺麗な人見たことない』と思わせるんじゃないだろうか。
なぜなら、俺はその人の美しさと可愛さに息を飲んで固まってしまったからだ。
「・・・大丈夫ですか?」
首を捻った体勢で固まってしまっている俺を見つめて、少し眉を潜める彼女。
「あ! だ、大丈夫です!」
客観的に見たら間違いなくダサイんだろう。あわあわと絵にかいたように焦った俺は、慌てて彼女に向き直る。
そんな俺の様子を見て、彼女は綺麗な瞳を少し悲しげに曇らせた。
・・・なんで悲しそうなんだ? 悲しくなるくらいダサかったってことか?!
「もしかして道に迷ってるんですか?」
「え、あ、はい。そうなんですよー。今日実は初めて学校来て」
「あー・・・。じゃあ職員室ですか?」
「そうですそうです!」
「案内しますね、ついてきてください」
綺麗な顔の表情を少しも変えることなく。ただただ、淡々と事務的に話す彼女。
なんだか、似合わないな、と話をしながら感じた。
俺が歩くスピードに合わせながら、ゆっくりと歩く。
『どうして今日が初めてなんですか?』とか、『脚大丈夫ですか?』とか、そんな話を振る様子も一切感じない。
それにしても、どうしてこんな授業真っ只中の時間に校舎を歩いていたんだろう?
「つきましたよ」
そんなことをぐるぐると考えながらひたすら彼女についていくと、あっという間に職員室についた。
昇降口からそう遠くないところにあると気づき、少し凹んだ。
「ありがとうございます!」
それでもなんとか笑顔でお礼を言う。
彼女は軽く会釈して、『じゃあ』と言った後、スタスタとその場を立ち去ってしまった。
・・・名前、聞けなかったな。
骨折した左足を庇いながらの着替えや、教科書の準備忘れなど、細かいミスが重なってこんな時間になってしまった。
当然こんな時間に昇降口をウロウロしている生徒なんてどこにも見当たらないわけで。
体育だろうか、遠くの方で男子の楽しそうな声。
とりあえず事前に教えてもらっていた自分の下駄箱に学校指定のローファーを入れ、真新しいスクールバッグからスリッパを取り出し履く。
そう言えば最初は職員室に来てって先生に電話で言われてたっけ。
職員室・・・、どこだ。
キョロキョロと学校の生徒らしくない挙動をしながら、闇雲に校舎内を歩く。
慣れない松葉杖のせいで、腕が少し痺れてきた。
5分ほど歩き回っただろうか。
方向音痴だからというべきか、運がないからというべきか・・・。
元々広い校舎ではあるのだが、まだ職員室にたどり着くことができなかった。
「あの」
途方に暮れていると、後ろからか細い、それでいて綺麗な声が聞こえてきた。
突然のことびびくっと肩を震わせてから、俺に話かけているんだと気づき、振り向く。
・・・なんといったらいいんだろう。
端的に言えば、そこには美少女、いや、絶世の美少女が立っていた。
スラッとした高めで華奢な体型。透き通るような白い肌。クリっとした丸い瞳に、薄いピンク色の唇。
きっとこの人は、初めて会う人全員にもれなく『こんな綺麗な人見たことない』と思わせるんじゃないだろうか。
なぜなら、俺はその人の美しさと可愛さに息を飲んで固まってしまったからだ。
「・・・大丈夫ですか?」
首を捻った体勢で固まってしまっている俺を見つめて、少し眉を潜める彼女。
「あ! だ、大丈夫です!」
客観的に見たら間違いなくダサイんだろう。あわあわと絵にかいたように焦った俺は、慌てて彼女に向き直る。
そんな俺の様子を見て、彼女は綺麗な瞳を少し悲しげに曇らせた。
・・・なんで悲しそうなんだ? 悲しくなるくらいダサかったってことか?!
「もしかして道に迷ってるんですか?」
「え、あ、はい。そうなんですよー。今日実は初めて学校来て」
「あー・・・。じゃあ職員室ですか?」
「そうですそうです!」
「案内しますね、ついてきてください」
綺麗な顔の表情を少しも変えることなく。ただただ、淡々と事務的に話す彼女。
なんだか、似合わないな、と話をしながら感じた。
俺が歩くスピードに合わせながら、ゆっくりと歩く。
『どうして今日が初めてなんですか?』とか、『脚大丈夫ですか?』とか、そんな話を振る様子も一切感じない。
それにしても、どうしてこんな授業真っ只中の時間に校舎を歩いていたんだろう?
「つきましたよ」
そんなことをぐるぐると考えながらひたすら彼女についていくと、あっという間に職員室についた。
昇降口からそう遠くないところにあると気づき、少し凹んだ。
「ありがとうございます!」
それでもなんとか笑顔でお礼を言う。
彼女は軽く会釈して、『じゃあ』と言った後、スタスタとその場を立ち去ってしまった。
・・・名前、聞けなかったな。
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