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第2章 金の成る魚編
開店準備②
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王都内の空き店舗を3つ紹介してもらった私は、内見を終えて商業ギルドに戻ってきた。
再びピノと、開業に向けた相談のテーブルにつく。
「いかがでしたか?」
「私としては最後に見た建物が良かったなぁ。広さがちょうどいいし、人通りもちゃんとあるみたいだし」
「さすがですね。お金を気にしないのであれば、あの最後の物件がおすすめです」
「ていうことは、やっぱりちょっとお高いの?」
「他の2つに比べれば……というところでしょうか。せっかくですから、資金の計算をしてみましょう」
そういうと、ピノは手元の紙に表を作り、項目と数字をたくさん書き込んでいく。
店舗の買取価格、改装費、宣伝費、開店後の様々な運転資金などなど。
分かってはいたけれど、やっぱりたくさんお金がかかるんだなぁ。
「こんなところでしょうか……。そういえばミオンさん、今さらなんですが魚って腐りますよね? 新鮮なまま運ぶのに、何か経費がかかっていたりしますか?」
「あーそれはね……」
私はクレシュから買った転移装置の話をする。
ピノなら、量産すればお金の匂いがする! とか言ってきそうかと思ったけど、そんなことはなかった。
「なるほど、クレシュさんですか……。竜血茸をたまたま拾ったり、あの方に発明品を売ってもらったり……。ミオンさんはつくづく運が良いですね」
「意外だね。量産して儲けようとか考えないんだ」
「私のことどんな目で見てるんですか!? というか、そもそもクレシュさんの発明品を再現するなんて無理ですよ。分解して全く同じように作っても、機能が再現できない。どんな職人をもってしても真似できないから、クレシュさんは天才と言われるんです」
「やっぱりすごい人なんだ」
「もちろんですよ。でも転移装置があるとなると、輸送費が0になりますね。これは大幅なコストカットになります。そうすると……」
ピノは表を修正して言った。
「開業してからのある程度の期間分の運転資金も含めまして……3,300万Gといったところですね。あくまでも目安ですが」
「大金だねぇ」
「店舗を買い取るということと、大規模に改装するということでコストがかかりますね。普通の開業資金よりは、かなり高くなっています。2倍くらいでしょうか。でも払えますよね」
「うん。おかげさまで潤ってるからね」
「ではこの方向で話を進めていきましょう。ちなみに別途で様々な手続きの手数料として、92万Gを商業ギルドがいただきます」
やっぱりお金を取るんかいっ!
私はジトっとした目でピノを見る。
すると彼女は、冷静に付け加えた。
「いろいろな事務手続きを全てやって差し上げますから。さすがにボランティアではないので」
「まあ仕方ないか。これからよろしくね」
「はい。頑張っていきましょう」
お金の面は心配いらない。
あとはいかにうまく宣伝して、生魚という文化にないものを受け入れてもらうかだ。
そこはちょっとばかし、村のみんなに手伝ってもらおうかな。
「ちなみになんだけどさ」
私は気になっていたことをピノに尋ねる。
魚の店をやるとして、日本人ならぜひ聞いておきたいことだ。
「商業ギルドって、ヒノ国と取引はあるの?」
「ヒノ国……ですか。それはまたどうして?」
「手に入れたいものがあるんだよ」
手に入れたいもの。
もちろん米と醤油だ。
塩でも十分美味しいけれど、たいていの魚は醤油があれば美味しさが何倍にもなる。
それに米があれば、寿司や海鮮丼ができるかもしれない。
メニューのバリエーションが広がるわけだ。
「残念ですが、ヒノ国との取引はないんです。何せはるか遠い国で、ほとんど関わりがないものですから。ご期待に沿えずすみません」
「そっかぁ……。じゃあ仕方ないね」
「申し訳ないです。でも何か、ヒノ国に関する情報が入ったらお教えしますよ」
「うん。ありがとう」
ニクメシの店の主に教えてもらったヒノ国の存在。
いつかきっと、自力で行くつもりではいた。
今はお店を軌道に乗せることに集中して、余裕ができたら自分で行ってみよう。
1回行ってしまえば、ヒノ国の地力石を手に入れて瞬間移動できるようになるからね。
米も美味しい状態で運ぶことができる。
寿司と海鮮丼は、開店1周年とかのメモリアル商品に持ってくるのも悪くない。
「他に何か聞いておきたいことはありますか?」
「うーん、今は特にないかな。また何か出てきたら、その都度相談させてよ」
「もちろんです。何でも気軽にご相談ください。無料で、お答えしますので」
やけに「無料」の部分を強調してピノが言う。
そんなにがめついと思われるのが嫌なのかな。
がめついと思うんだけどな。
まあ、私も向こうも冗談で言ってるのは分かってるんだけど。
「それでは今日はこの辺で。また後日、正式な契約書などいろんな書類にサインをしていただきます」
「はーい。じゃあよろしくね」
「はい。よろしくお願いします」
異世界海鮮料理店。
うーん、楽しみだなぁ。
再びピノと、開業に向けた相談のテーブルにつく。
「いかがでしたか?」
「私としては最後に見た建物が良かったなぁ。広さがちょうどいいし、人通りもちゃんとあるみたいだし」
「さすがですね。お金を気にしないのであれば、あの最後の物件がおすすめです」
「ていうことは、やっぱりちょっとお高いの?」
「他の2つに比べれば……というところでしょうか。せっかくですから、資金の計算をしてみましょう」
そういうと、ピノは手元の紙に表を作り、項目と数字をたくさん書き込んでいく。
店舗の買取価格、改装費、宣伝費、開店後の様々な運転資金などなど。
分かってはいたけれど、やっぱりたくさんお金がかかるんだなぁ。
「こんなところでしょうか……。そういえばミオンさん、今さらなんですが魚って腐りますよね? 新鮮なまま運ぶのに、何か経費がかかっていたりしますか?」
「あーそれはね……」
私はクレシュから買った転移装置の話をする。
ピノなら、量産すればお金の匂いがする! とか言ってきそうかと思ったけど、そんなことはなかった。
「なるほど、クレシュさんですか……。竜血茸をたまたま拾ったり、あの方に発明品を売ってもらったり……。ミオンさんはつくづく運が良いですね」
「意外だね。量産して儲けようとか考えないんだ」
「私のことどんな目で見てるんですか!? というか、そもそもクレシュさんの発明品を再現するなんて無理ですよ。分解して全く同じように作っても、機能が再現できない。どんな職人をもってしても真似できないから、クレシュさんは天才と言われるんです」
「やっぱりすごい人なんだ」
「もちろんですよ。でも転移装置があるとなると、輸送費が0になりますね。これは大幅なコストカットになります。そうすると……」
ピノは表を修正して言った。
「開業してからのある程度の期間分の運転資金も含めまして……3,300万Gといったところですね。あくまでも目安ですが」
「大金だねぇ」
「店舗を買い取るということと、大規模に改装するということでコストがかかりますね。普通の開業資金よりは、かなり高くなっています。2倍くらいでしょうか。でも払えますよね」
「うん。おかげさまで潤ってるからね」
「ではこの方向で話を進めていきましょう。ちなみに別途で様々な手続きの手数料として、92万Gを商業ギルドがいただきます」
やっぱりお金を取るんかいっ!
私はジトっとした目でピノを見る。
すると彼女は、冷静に付け加えた。
「いろいろな事務手続きを全てやって差し上げますから。さすがにボランティアではないので」
「まあ仕方ないか。これからよろしくね」
「はい。頑張っていきましょう」
お金の面は心配いらない。
あとはいかにうまく宣伝して、生魚という文化にないものを受け入れてもらうかだ。
そこはちょっとばかし、村のみんなに手伝ってもらおうかな。
「ちなみになんだけどさ」
私は気になっていたことをピノに尋ねる。
魚の店をやるとして、日本人ならぜひ聞いておきたいことだ。
「商業ギルドって、ヒノ国と取引はあるの?」
「ヒノ国……ですか。それはまたどうして?」
「手に入れたいものがあるんだよ」
手に入れたいもの。
もちろん米と醤油だ。
塩でも十分美味しいけれど、たいていの魚は醤油があれば美味しさが何倍にもなる。
それに米があれば、寿司や海鮮丼ができるかもしれない。
メニューのバリエーションが広がるわけだ。
「残念ですが、ヒノ国との取引はないんです。何せはるか遠い国で、ほとんど関わりがないものですから。ご期待に沿えずすみません」
「そっかぁ……。じゃあ仕方ないね」
「申し訳ないです。でも何か、ヒノ国に関する情報が入ったらお教えしますよ」
「うん。ありがとう」
ニクメシの店の主に教えてもらったヒノ国の存在。
いつかきっと、自力で行くつもりではいた。
今はお店を軌道に乗せることに集中して、余裕ができたら自分で行ってみよう。
1回行ってしまえば、ヒノ国の地力石を手に入れて瞬間移動できるようになるからね。
米も美味しい状態で運ぶことができる。
寿司と海鮮丼は、開店1周年とかのメモリアル商品に持ってくるのも悪くない。
「他に何か聞いておきたいことはありますか?」
「うーん、今は特にないかな。また何か出てきたら、その都度相談させてよ」
「もちろんです。何でも気軽にご相談ください。無料で、お答えしますので」
やけに「無料」の部分を強調してピノが言う。
そんなにがめついと思われるのが嫌なのかな。
がめついと思うんだけどな。
まあ、私も向こうも冗談で言ってるのは分かってるんだけど。
「それでは今日はこの辺で。また後日、正式な契約書などいろんな書類にサインをしていただきます」
「はーい。じゃあよろしくね」
「はい。よろしくお願いします」
異世界海鮮料理店。
うーん、楽しみだなぁ。
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